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taiki_VAさんの面影レイルバックの長文感想

ユーザー
taiki_VA
ゲーム
面影レイルバック
ブランド
ハイクオソフト
得点
55
参照数
1469

一言コメント

フルプラで買う作品では絶対ない。キャラ絵が好みでエロシーン目的なら超安く(1000円以下)なったら買っても良いかも

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

問題は一点のみ
・個別√が大まかなプロットを無理やり繋ぎ合わせたような内容。
これに尽きる。


共通√はサブキャラ含めて良く描けている。
あの丁寧さのままなら単純なキャラゲーとして80点くらいはあったかと。

しかし、個別√に入るとガクッとその丁寧さが無くなる。
といってもキャラ立ち絵や演出の手抜きではない。
テキスト量、描写が圧倒的に足りてないのだ。

それは個別√が約1~2時間程度で終わると言えば伝わるだろう。
これはサブキャラだけでなくメインの「いろは」「樹里」も同様である。
もう、これは「物語」ではない。
プロットをとりあえずゲーム化したβ版だ。
これにフルプラの金を払ってくれとか舐めてんのかと。


本作品は超大企業の誘致側である「樹里」と、誘致される側の
里の長「いろは」の関係およびそれぞれの主人公への恋模様。
また過去の因縁なども絡まった暗い展開などもあるかと予想していた。

うん。まったくなかったね…。

無料公開されている前日譚「泥亀の月」のようなヒリヒリするような
緊迫場面は皆無だった。
むしろ本編のどのシーンよりも「泥亀の月」単体の方が面白かったと断言出来る。

月先生の病気とか泥マサの行方とか全てが中途半端なまま終わった。
主人公もどっちの側に付くかで悩む描写が少なすぎるし、その決断に対して
周囲が簡単に受け入れているし、なんだかなーと。
別にキャラゲーならそれでも良いのだが、「泥亀の月」のようなシリアス前日譚を
出しておいてあの適当さはない。

100歩譲ってキャラゲーとして考えてみる。
しかし、先に記述したように個別√が超短い。
これではキャラの魅力や主人公の魅力、惹かれ合った描写が足らず
置いてきぼりになる。
特に本作は心理描写が少なく、サブキャラがかなり活躍するので余計そうなった。
主人公とヒロインがよく分からん感じで盛り上がって唐突にエロがあって「おわり」である。
いきなり「おわり」って右下に表示されてマジで吹いたからな…。
ソードマスターヤマト状態で( ゚д゚)ポカーン 


個別√が終わるとそれぞれのヒロインのアフターとして冬編が解放される。
短編集のアフターシナリオみたいな感じ。
メッチャ少ないけどな!

この冬編を作ったのは本当に謎。
本編が超短く余韻もクソもない主人公とヒロインカップルを見せつけて、
更にその先を描くってどういうことよ。
こんなの用意するくらいなら本筋√をしっかり作れよ!
個人的に「樹里」がメッチャ好みなキャラではあったので、その√だけでも
しっかり出来ていれば文句なかったんだがなー。

邪推は出来る。
この冬編ではヒロイン達の服装が冬仕様になるのだが、その立ち絵の
気合っぷりが半端ない。
あんな短いアフターシナリオの為だけに用意するようなものではないので、
恐らく本来はアフターシナリオ短編集とかでなく、しっかりとした冬編を想定し
ていたのだろう。
特に田舎が舞台だと「夏」の青空、田園風景、「冬」での服装変化、雪景色
なども楽しめて生活感を出せるので大変良いと思う。

それらの素材はしっかり用意出来ていた。
後半はCGを使う為にシナリオを繋ぎ合わせているような違和感が何度も
あったので、シナリオが間になっていないか、大作にするには時間が足り
なくなったのだろう。

延期は何度もするが「さくらさくら」はしっかりしていたものだったので、大丈夫
かと思ったが駄目だった。

その後の「さくらさくらFESTIVAL!」「ひとなつの」も低評価気味だったので
少し心配もしていたのだが、なんだかんだ言っても10周年記念作品と銘打って
いるので気合入れてくると思ったがそんなことは無かった。

ハイクオソフトは延期ゲーメーカーから新たに詐欺ゲーメーカーと心に刻まれた。
体験版で「泥亀の月」とのあまりのノリの違いにちょっと求めているものと違うと感じたが、
それ以上にヤバイものが出てくるとは思わなかった。
やはりエロゲー新品買いは博打だぜ…(爆死