桜ルートでただの変態・キチガイゲーでなくなってビックリした。
改めてすごいタイトルだ。
「恋する妹はせつなくてお兄ちゃんを想うとすぐHしちゃうの」並に一発で覚えられる。(未プレイ
タイトルの通り「使用済みナプキン」が大好きな性癖を持つ主人公がナプキン求めて奔走する話。
歌乃→あかり→桜の順でプレイしたが、特に歌乃、あかりルート序盤はまさしく生粋の変質者だし、後半でちょっとまともになったかと思ったらやっぱり屑と再認識する部分が多かった。
しかしこの主人公侮れない。
ナプキンをゲットするためならどんな苦労もいとわない。
監視カメラ設置、機材購入、朝昼夜のナプキン箱の確認、ヒロイン所属の生徒会で働く、バイト先で働く、施設への侵入、などなどその有能っぷりには舌を巻く。
どうしてその情熱を他に活かせないのかと何度思ったか。
その滑稽さもまた本作の面白さである。
そういった意味では主人公ゲーに分類されるので、当たり前だが主人公を許容出来ないと厳しい。
桜ルートだけは最後推奨だけあって唸らされた。
まあその桜ルートでも首をかしげる部分は多々あったし、その桜ルートを面白く感じる為には他2ルートクリアした方が良いのでなんとも人に勧めにくい作品。
しかし、普通のテンプレ展開的に飽きた人には良いとは思う。
プレイ中まったく先が読めなかった。
初見で展開読めた人いたら尊敬する。
以下、桜ルート中心でのネタバレ感想。
まさかのタイトル回収に痺れた。
こうゆうのに弱い。
しかも、それまでは
(俺は君の生理用ナプキンを舐めたい…)
といった心の声であり、プレイヤーもそう思っていた文言を
「俺は君の生理用ナプキンを舐めたい!」
と自分の変態性を高らかに宣言し、しかもそれを受け入れてもらえるという幸せな印象に変わっている。(変態ではあるが
ただタイトルを回収するだけでなく、その意味までも反転させるとは。
桜はルートロック必須ではと思った。
桜ルートプレイした後に他ルートやるのは、せっかく救済された主人公がまた辛い道に進んでいったようにしか見えなさそう。
最後クリア推奨ということで他2ルートに比べて話の落ちは当然として、話の流れも大変スムーズで違和感無かった。
桜との交流、好きになる過程、自分の変態性への苦悩などなどが描かれていて共感でき、桜自身も「宗教」という人から嫌悪されかねない要素を持っていることから主人公の変態性が鳴りを潜めそちらに描写が多かったのでバランス的に良かった。
だからこそ智樹さんに犯られる展開は納得できない。
そこまでは主人公に共感出来ていたので他ヒロイン2キャラにはない愛着が桜にはあった。
それなのに
「私、初めての性交の相手を智樹さんにお願いすることにしたんです」
!!?!?!?!?!??!!?
…ちょっと何言ってるか分かんないですね…。
しかもラブホテルではなく自宅だし、主人公にSEX見ていけ、妹のすみれにも見ていけとか言うし、智樹さんはまったく動じないし…。でも親にはバレないようにしようとするし何がしたいの…。
ここで完全に作中キャラ心情が理解不能になったので、以後は冷めた視点で進めた。
これが無ければ最後のエピローグも感動したと思うのに勿体無い。
まあ他2ルートも作中キャラ心情が理解不能になったのは同じだけど、主人公の変態行動も控えめだったし、ここまでの流れは良かっただけに余計に悔やまれる。
せっかく「宗教」というキーワードがあったのだから、これを用いてもっと違和感ない進め方があったのではと思ってしまう。
例えば、桜の相手は「教祖」でSEXは宗教の為に必要な大切な儀式。
懐妊するも実は宗教自体が嘘っぱちと判明し、宗教自体が崩壊。
信じていた宗教が嘘と分かり桜が絶望する的な。
でも、あれか。
この場合は望まぬ相手からの子供を懐妊するという展開にならないのか。
なんともめんどくさい制約だ。
だったらそこらの強姦魔から無理矢理レイプとか。
でもそれだとヒロインが相手男を受け入れた状態でのSEXにならないから駄目か…
やっぱなんともめんどくさい制約。
というか展開・キャラ心情とかはツッコミどころ満載な癖になんでここらへんはしっかり3√統一されているんだよ!
そういった意味では悪ノリとかで書いていった訳でなく、しっかりとそれぞれのルート展開を考えて構成されているんだなぁ…。
テーマは「避妊は大事」ってことでいいかも(違う
あと宗教自体が桜を構成する重要な要素だから崩壊させても駄目か。
主人公の性癖と対比部分ともなっているし。
でも宗教ってSEXとかと結びつき強そうだし、せっかくだから上手いこと絡めることが出来なかったかなと思った次第。ここに違和感無ければ80超えもあったのに…。感情移入出来ることは大事!
自傷による死産。
あれだけ子供は授かり物とか言っていた桜がその行動を起こしたのはすごい意味があるし、その結果がもう子供埋めないとは天罰的な…。
この桜の行動は他2キャラにはあまりない胎児への嫌悪として良かった。
「好きな人が、他の人とセックスしてるのを見るのってこんなに、辛いことだったんですね」
ここは桜と智樹のSEXを見せつけられた主人公だけに上手かったなー。
主人公を好きなことを自覚し、かつとんでもないことを主人公に強いてしまったことが分かったという桜が表現されていた。
それまでの話の流れでちょっと付いていけなかった桜の思考に追いつけた。
あと上手いと思ったのが、主人公のナプキン好き性癖の発端などに言及しないところ。
やっぱりあれだけの性癖ってことは何か理由があると物語を読む側からすれば求めてしまう訳で、そういった話がいつあるのか期待していた部分があった。
しかし、主人公の過去描写はほぼ無く、母子家庭で愛情に恵まれていない程度のことしか読み取れなかった。
もちろんこの家庭環境が主人公の性癖に多少は影響を与えた可能性はあるが、やっぱり「どうにもならない性癖」っていうのを描きたかったのだと思う。
実際どんな人もそれぞれある程度の性に関する「フェチ」を持っていると思う。
しかし、それが好きな理由を聞かれても過去に衝撃的なエピソードとかの理由があったわけでもなく、だいたいが「好き」だから好きになっていたという回答になるはず。
そのフェチについてたまたま主人公が「使用済ナプキン」という他人様にも迷惑をかけ、世間からも理解がほぼ得られないというフェチであったというのがそもそも不幸だったという話。また主人公も自身の性癖について十二分に忌避されていることは自覚しており、それがどうにもならない衝動であり、そんな自分を心底嫌っていることが何度も描写されている。
だからこそ、そんな自身も嫌っていた性癖を宣言しても許される桜ルートは尊いし、そこに至る前に桜の為に自身の性癖を克服しようとするところや、今までの自分の罪を全て告げようとする主人公には好感が持てた。
すごい極端に言えば「CHAOS;HEAD」「STEINS;GATE」と構成的に似てるかな。
こっちの主人公達はあまり自分を社会からの異端としては自身で認識はしてないけど、傍から見たらどう見ても「痛い」人物であり、その「痛さ」が物語終盤に意味のあるモノに反転する的な。
使用済ナプキン好きというどうしようもなく酷い性癖を拗らせた主人公救済の良い物語だった。
クリアした瞬間は桜ルートのエピローグに感心はしたが、他ルートが…とか思っていたが、書いている内に3ルートの構成が相当考えられていることに気づき感心していた。感想書くのは自分の考えをまとめる上で重要だな。
本作で一番笑ったのが聖人さんが主人公の性癖の罪まで被ってしまったところ。
あそこは展開的にも主人公の家に捜索が入った時点で予想は出来ていておかしくはないのだけど、大爆笑していた。
レイプとかの方が罪状は厳しいとは思うけど、世間的に「使用済ナプキンを蒐集」はインパクトありすぎる…。
そりゃ聖人さんも自殺するわw