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tacticsさんのななついろ★ドロップスの長文感想

ユーザー
tactics
ゲーム
ななついろ★ドロップス
ブランド
UNiSONSHIFT:Blossom
得点
93
参照数
685

一言コメント

甘い、甘いの一言に尽きる作品ですね。やってるこちらが赤面してしまう感じ。なかなか改善されないテキストや、サブキャラの微妙な扱い、起伏の少ないシナリオなど悪い点はかなりあるが、個人的に昨今のPCゲームではあまり見られない完全な純愛は新鮮さを覚え、それと同時に優しい気持ちにしてくれる作品。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想





シナリオ点:90
キャラクター点:100
グラフィック点:100
音楽点:90点
システム点:95
総合点:93

CGはやはりのぢさんが描かれているだけあって、文句の付け所が無い。さらに上手くなっていることもプレイしていても窺える。キャラも魅力的、背景のCGも良かった。そしてもう一つ注目するのはやはり、ぺろさんが描かれたSD絵だと思う。以前『Peace@Pieces』で人気だっただけあり、今回も上手くゲームを面白くしてくれる役割を十二分に果たしていた。

BGMはやはりユニゾンシフト、いや、さすが水月 陵さんというべきだろう。何も違和感が無く、逆に耳に残る音楽も多々あった。個人的には「light★wind」と「伝説のスピニア」はアップテンポの曲でかなり好みです。驚いたのは「きらきらすぴにあっ★ミ」、まさに変身!って感じだったのがかなりビックリ、苦笑いが口から漏れましたね。。「Geometrical growth」は『こもれびに揺れる魂の声』をやった人にはとても懐かしく感じさせてくれると思います。OP曲の「コイスル★フローライト」も今までのユニゾンシフト作品の中でもすこし違ったOP曲だが、これも好みだった。しかし難をいうのはEDテーマ。すもも専用EDテーマ「虹色のルシア」は良かったのだが、ノナ専用EDテーマとナコ専用EDテーマに声が入っていなかったのが残念。ここまで望むのは高望みだろうか?

キャラは絵的にはOKだが、主人公の性格に少し問題がある。奥手というか、鈍感と言うか、同じところを思考をぐるぐると回らせる性格な為、ハッキリ言ってイライラさせられるところも多々。しかしそれ以上に周りのキャラ(ヒロイン、サブキャラ全員)が立っていて主人公をリードするので、こんな主人公でもいいのかな、と感じさせてくれる。この作品の主役は「主人公」ではなく「ヒロイン」だと感じがする・・・と、ここまでが客観的主人公意見。実際個人的にはかなり好きなキャラ、誠実過ぎてから回りするところなどは特に好きです。

テキストは・・・ちょっとテンポ悪いです。自分は結構感情移入がしやすいほうなので面白くはあったのですが、イライラする人はイライラしますね。シナリオは全体的には悪くないとは感じましたが、『Peace@Pieces』みたいに「笑い」が主ではないため、苦手な人は苦手だと思います。どちらかと言うと『こもれびに揺れる魂の声』のようなのんびりした感じの方が強いです。
細かい(?)ところだとすももシナリオは完全に満足しました。ただ、ノナとナコのシナリオ、悪くは無かったと思うのですが、すももに比べるとボリュームが足りないと思います。魅力的なヒロインの為、逆にそれが残念です。
サブキャラも魅力的過ぎて「なんで攻略対象じゃないんだ!」と思うところもかなりあります(個人的にはフローラが好み)

Hシーンですが・・・個人的には純愛と感じたのですが、本当に必要だったのかと聞かれると言葉を濁してしまいます。かなり薄いですが、ジャンルが「恋愛初心者どきどき★ADV」で原画家がいとうのいぢさんだった時点で期待してはいませんでしたから、それほどショックでも。

このように問題点を列挙しました、が!何故だかプレイ後に不快とか、釈然としないとかそういうものは無かったです。終わった後に残った感想は「おわっちゃたな~・・・」という、寂しいようなそんな感じでした。きっと終わって欲しくなかったんだと思います。何と言うか、心にくる作品だった、と自分は思います。
買って損は無かった、それだけはハッキリと言えますね。
まあ、人を選ぶ作品ではありますが、『こもれび~』に多少なりとも共感できた人はプレイしても楽しめる作品だと思います。
『わんもあ@ぴぃしぃず』のようなFDが発売されたら、躊躇も無く買ってしまうでしょう、自分は。