【前を向いて歩いていこう】お菓子作りパートをしっかりとやりつつ「シリアス93％カット」「主人公の空気化」に成功しているコンセプトに忠実な萌えゲー。しかしヒロインの自己主張が弱く内容はパッとしない。キャラゲーなのにキャラが物足りないのは残念。【癒やし枠】
※ネタバレあります
※この感想は個人の妄想です
インストール容量は3.83GB
橘ののか ＣＧ20枚(通常CG11枚、HCG９枚) シーン数４＋１
大園柚姫 ＣＧ20枚(通常CG11枚、HCG９枚) シーン数４＋１
鍵由楓花 ＣＧ20枚(通常CG11枚、HCG９枚) シーン数４＋１
白咲美絵瑠 ＣＧ20枚(通常CG11枚、HCG９枚) シーン数４＋１
その他 ＣＧ４枚
ＳＤ絵 10枚
ＣＧ合計84枚 回想20枠
ＢＧＭ20曲 ボーカル曲は２曲
エロは４回ずつ＋クリア後のおまけで１回ずつです。
■■ポジティブ
パッケージより引用
恋愛ルセット こだわりポイント２
徹底したイチャラブシナリオ！
本作は物語としての起承転結の構造は残しつつ、
それ以外はシリアスシーンを徹底的に削ぎ落とした
イチャラブ特化作品です。
ヒロインとの嬉し恥ずかしい甘々なストーリーを心行くまでお楽しみください。
『ルセット』の最大の特徴は「コンセプトを守っている」ことです。
●学園の選択授業でお菓子作りをするというお話
一般的な萌えゲーでは話の起伏を作るために様々な話を無理に入れてきますが、
『ルセット』では「お菓子作り」のテーマが主軸になっているので自然なストーリー展開が楽しめます。
最低限のストーリーはあるので眠くなるタイプでもないです。
ただしストーリーが面白いわけではなく、あくまでキャラゲーに必要最低限のシナリオのみ用意されています。
●シリアスが本当の意味で存在しない
一般的な萌えゲーでは「ケーキ屋が経営難になる」「材料の中に覚醒剤が混ざっている」など何故か変なシリアスシーンが入ることがあります。
起伏を作る為に暗い展開がほぼ確実に用意され、「茶番」いう名のおちゃらけ解決でシリアスを軽減して誤魔化すことが多いです。（私は茶番が嫌いなのですが）
『ルセット』では無駄なシリアスや暗くなるシーンが（１箇所を除いて）全くありません。茶番型でないのは個人的にポイント高いです。
パッケージには「シリアスシーンを徹底的に削ぎ落とした」と書いてありますが、削ったというより最初から存在しないプロットを用意したように感じました。
そのほか
●主人公の位置づけ
共通ルートでは、主人公を特別なキャラとしてではなくただの授業のメンバーの１人として扱っています。
主張が弱い空気ポジションの主人公でありヒロインの魅力を阻害しないようにしていますね。
空気でもやる気はあり、活躍は少なくとも個別パートではしっかりと恋愛してくれます。告白シーンはどれも違和感なかったですね。
●主人公とヒロインとの１：１の関係
一般的な萌えゲーではヒロイン同士の友情関係（百合）が重視されているもの、個別ルートに入っても他のヒロインの出番が多いゲームが増えてきました。
『ルセット』はヒロイン同士の横の関係が弱く、個別ルートはあくまで主人公と攻略ヒロインの１：１の関係であって、他ヒロインはチョイ役になります。
イチャラブとは主人公とヒロインの１：１の恋愛模様です。余計なキャラが要らない私には理想的なコンセプトでした
ただし《美絵瑠》ルートだけは少し他ヒロインから恋愛に茶々を入れられるシーンがあったのは残念でした。
●才能ゲーではない
「才能」の一言でキャラの強さを表現しているエロゲーがあります。才能キャラが苦悩を語りだしたらもう最悪ですね。
そして才能ゲーでは能力値の低いヒロインはハズレ枠になることが多いのですが、
『ルセット』ではお菓子作り初心者の《柚姫》にスポットライトを当てているのが特徴。主人公と同じ目線で成長していけるというのもGood。
そして最も評価したいことは
●常に前向きなキャラクター
一般的な萌えゲーでは落ち込んだりとか、葛藤とか、ネガティブなキャラを見せるとどうしても暗いシーンになってしまいます。
例えば《柚姫》がお菓子作りで失敗するシーンがありますが《柚姫》はめげずに前向きに頑張っています。《ののか》が賞に落ちたシーンも《ののか》はポジティブです。
ちゃんと苦難を真正面から受け止めていること。茶番で逃げたりせず、重く捉えることもない。前向きな精神のキャラクターは見ていて気持ちが良く応援したくなります。
どれも2017年の萌えゲーで気になっていたことばかり。
これらのコンセプトを（ほぼ）守ることで、ユーザーの不満点を解消した萌えゲーになっています。
■■ネガティブ
●キャラ個性の薄さ
萌えゲーなのに、イチャラブはしっかりしているのに、あんなに「あーん」シーンが入っているのに、何故かあまり萌えられないゲーム。
《柚姫》はまだキャラが立っているのですが、《ののか》《楓花》は初期属性のみで発展性がないのでキャラが激薄です。
幼馴染属性をあえて消した《ののか》のコンセプトは挑戦的ですが、それでは彼女の魅力は？と聞かれると特にない。
《楓花》は主人公よりもさらに薄い一歩引いたところにいるキャラ。将来考えながらゆっくりと成長するところは良く出来ているのですが
「コンセプト通りだけど萌えない」このゲームの相反した欠点を一番体現しているのが《楓花》でした。
●白咲美絵瑠
唯一のぺちゃぱいヒロインなのに、貧乳コンプレックス発言がないのは素晴らしいことですが、
授業をサボりまくる「やる気のなさ」は魅力を削ぎます。１～２回ならまだしも告白までは逃亡シーンがかなり多かったですね。
告白が中途半端なのも恋愛を知らない子供らしさをアピールしている一方で、恋愛ステップアップできてないと見ることもできます。
共通ルートではたまにやる気ある行動を見せてくれましたが、個別ルートではやる気ゼロ。最大のコンセプト「前向きなヒロイン」が《美絵瑠》個別だけ全然ダメ。
「サボリ」「家族思い」「子供」の３要素が全然絡みあってないのが最大の敗因ですかね。
他の３ヒロイン（＋共通）が前向きで完全一直線だけに、《美絵瑠》のブレブレキャラは目立ちました。
●７％のシリアス
《柚姫》ルート終盤の留学の話です。留学話すらポジティブに考える２人の恋人関係はいいのですが、
流石に他と違って離別展開は「いつかは一度別れが来る」という爆弾を抱えたまま付き合うことになるから、イチャラブに完全没頭できない要素になりえます。
個人的にイチャラブ萌えゲーをコンセプトにしているエロゲーで離別をやると確実にマイナス点つけます。
「ちゃんと苦難を真正面から受け止めて、茶番で逃げたりせず、重く捉えることもない。」離別すらコンセプトに忠実にしても、萌えゲーには多分不要です。
この留学話を無くしてもストーリーは問題なく成り立つだけに、約７％の無駄シリアスは削ぎ落さなかったようですね。
●女性プロデューサー
『あなたに恋する恋愛ルセット』の企画・原案・プロデュース担当の「杉村れおま」さんは女性の方のようです。オカマ先生押しはそういう理由だったんですね。
主人公が空気に徹したり、《柚姫》ですら成長するのに主人公がお菓子作りを失敗し続けるのも、女性Ｐだから
という別の理由があると知ってしまえばこのゲームの見方は少し変わってきます。《ののか》を安易に入賞させない辺りも該当しそうです。
■■システムについて
ユニゾンシフトのゲームエンジンは軽く、最低限の機能はありますが、一応気になったところは
●バックログからのシーンジャンプ機能がありません
2017年のエロゲーだと標準装備してほしい機能
●文字装飾機能がありません
フォント選択のみ可能。ウィンドウ枠を透明にすると文字が読みにくいのはユニシフ系の欠点です。
「太文字」「縁取り」「影つき」などの装飾機能はどのエロゲーでも付けて欲しいところ。
あとこの手の専門分野を扱うエロゲーで用語集があるのは大変嬉しいのですが
「百聞は一見に如かず」ということわざもあります。お菓子は文字説明だけではなく、可能な限り全部ＣＧで見せてほしかった。（実写を使うという手もあります）
小麦粉と卵と砂糖の焼き料理ばかりなので、文字説明だけではわかりにくく実物を見せたほうがずっとわかりやすいんですよ。
■■総評
イチャラブゲーに求められているものをよく理解しているコンセプトに忠実な萌えゲーです。
特に前向きなヒロイン達を見るのは楽しく気持ちよくプレイできるエロゲーです。
しかし肝心のキャラが薄い、薄すぎます。かろうじて合格点をつけれるのが《柚姫》だけでした。
いくら土台がしっかりしてようと萌えゲーで一番重要なのはキャラクターですから。
エロゲー初心者向き。現代の萌えゲーに不満をもっている人にオススメできます。
また「地雷を踏んでしまった」「鬱ゲーをやって心が荒れている」等、他のエロゲーによってダメージを受けてしまった人は
『あなたに恋する恋愛ルセット』をプレイすると癒されるでしょう。癒やし枠・心の清涼剤としてピッタリです。
１ルート３時間弱程度でお菓子を食べる感覚でサクっとプレイできます。
あとはプレイする人に合うキャラが見つかるかどうかでしょうね。大当りヒロインはいないので過度な期待はしないように。
61点 橘ののかルート
68点 大園柚姫ルート
63点 鍵由楓花ルート
50点 白咲美絵瑠ルート
イチャラブ特化ゲーなのにロリ枠が外れというのも珍しい。う～んキャラさえ磨けば別の評価のゲームになっていた気がします。61点 橘ののかルート
68点 大園柚姫ルート
63点 鍵由楓花ルート
50点 白咲美絵瑠ルート
イチャラブ特化ゲーなのにロリ枠が外れというのも珍しい。う～んキャラさえ磨けば別の評価のゲームになっていた気がします。