【退屈200%】鉄道、地域復興、昭和のかほりの雰囲気ゲー。のはずだったが◆ストーリー展開が完全ワンパターン◆という致命的欠点を抱えている。とても頑張って作っている、ライターの愛を感じるところもいくつかあるのだが、それ以上に退屈でしかないゲームに何点つけるのが大いに悩むゲーム。シナリオ単体で評価するなら10/100点なのでシナリオ目的・シナリオ重視での購入だけは絶対に薦められない。
インストール容量は
修正パッチのみ当てると 5.50GB(ver1.4)
追加シーン全部ダウンロードすると 7.71GB です。(※DMMへの登録必須です。初回版は予約特典のみ追加ダウンロードカードがついてきます。)
●《ハチロク》/《右田すず》
CG38枚 (通常CG19枚 / HCG19枚) 回想9枠(5回+パッチで4回追加)
●《右田日々姫》
CG28枚 (通常CG16枚 / HCG12枚) 回想6枠(4回+パッチで2回追加)
●《雛衣ポーレット》
CG26枚 (通常CG10枚 / HCG16枚) 回想8枠(4回+パッチで4回追加)
●《雛衣ポーレット》+《れいな》
CG5枚 (通常CG3枚 / HCG2枚) 回想1枠
●《れいな》
CG10枚 (通常CG4枚 / HCG6枚) 回想3枠(2回+パッチで1回追加)
●《早瀬ふかみ》+《蓑笠凪》
CG6枚 (通常CG2枚 / HCG4枚) 回想2枠
●《早瀬ふかみ》
CG7枚 (通常CG1枚 / HCG6枚) 回想3枠(2回+パッチで1回追加)
●《蓑笠凪》
CG5枚 (通常CG1枚 / HCG4枚) 回想2枠(1回+パッチで1回追加)
●《右田真闇》
CG8枚 (通常CG2枚 / HCG6枚) 回想3枠(2回+パッチで1回追加)
●《宝生稀咲》
CG8枚 (通常CG2枚 / HCG6枚) 回想3枠(2回+パッチで1回追加)
合計
CG141枚 (通常CG60枚 / HCG81枚) 回想40枠(25回+パッチで15回追加)
BGM 68曲 (アレンジ除くと実質29曲) ボーカル曲は12曲
SD絵はなし
全シーン フルE-moteです(イベントシーン、Hシーンも動きます)。
Hシーンは全て本編外のオマケシナリオ扱いになります。
■■タイトルについて
このゲームのタイトル『まいてつ』の4文字に込められた意味は何なのでしょうか?
「まいてつ」とは鉄道ファンのこと、赤字の鉄道事業に資金を出すパトロンです。
本作はどのルートでも金策の話ばかりです。でも鉄道と地元愛を訴えれば誰かがお金を出してくれます。
つまりは他力本願の物語が『まいてつ』なのです。頑張れば誰かが助けてくれる→解決の理論は適当です。まあご都合主義って言うんですけどね。
タイトル通りですから最初のコンセプトから失敗しているとしか言えません。このゲームのシナリオははっきり言ってかなり酷いです。
■■独自性について
2016年のエロゲーは学園モノや萌えゲー、巨乳キャラが主流であり、人気ジャンルを企画しないと流通からお金を貸してもらえない事情がエロゲー業界にはあります。
『Lose』さんはグッツ販売が絶好調なのもあって、流行りのジャンルではないスタッフの趣味100%のエロゲーを大規模で作ることが出来ました。
鉄道、地域振興、熊本の田舎町を舞台に昭和の日本文化と民俗学。背景も綺麗で雰囲気はとても良いです。
さらに『Lose』さんの特徴であるロリを取り入れています。
ペドキャラが何人もいる本作ですが、大人キャラもちゃんと存在しサブキャラですがジジイババアも充実しています。
子供<大人<年寄り 全てが揃っているからこそよりペドさが際立ち、ジジイババアの存在は田舎の空気を引き立たせていますね。
《凪》がヒエラルキーの一番下でしょうか。主人公の《双鉄》は有能ですが、さらに有能な《真闇》《稀咲》を配置してバランス取っていますね。
「幼女ロボと結婚する」「市長が社長を兼任する」「女子高生が銀行支店長だったり市長選に立候補したりする」。
一見ムチャクチャな設定に見えて「大真面目に馬鹿をやる」ことで世界観とロリの融合を見事に成立させています。
まあ《ポーレット》は全ルートで市長辞任イベントがあるので、この設定だけは無理があったことをライター本人が認めているようなものですが。
真面目な堅物に見えて時々変態になる《双鉄》くんも『Lose』さんらしさが出ています。
閉鎖的なエロゲー業界で趣味100%エロゲーを作れる。スタッフは幸せだなあとプレイ前は考えていたのですが
いざプレイしてみると、進めるごとにテンションが下がっていく悲しみのシナリオでした。
お金が無い(もしくはピンチ)→素人発想を思いつく→鉄道愛(もしくは地元愛)を語る→「まいてつ」が助けてくれる
このゲームは25時間ずっとこのパターンが繰り返されるだけでした。完全ワンパターンのプロットでは流石に途中で飽きてしまいます。
「バーベキュートレイン」は実際にあるものらしく、鉄道についてよく調べて書いていると感じますが、
「マイントレジャー」は学園祭の出し物レベルの発想、《右田日々姫》候補と《宝生稀咲》候補の討論会はまんま高校生の討論。学園エロゲーと同じです。
そもそも問題発生→適当に解決パターンが萌えゲーによくあるパターンで私は嫌い。
『まいてつ』のシナリオは独自性を出そうとしていますが、平凡な萌えゲーと中身が大体同じようなもので大変残念です。
■■《ハチロク》について
エロゲーライターには「テキストライター」「プロットライター」の2種類が存在します。一般的に評価が高いのは前者ですが、私は変わり者なので後者が大好きです。
「進行豹」さんは「テキストライター」です。このゲームのプロットは壊滅的に酷いですもの。
ただテキスト重視タイプですが、テキストが良いとは言っていません。テキストに特徴があるものの面白いかと言われれば微妙なところ。
「進行豹」さんテキストの問題点は他の人の長文感想にたくさん書いてあるので割愛。
このゲームで気になったことの1つに、「テキストライター」なのにキャラ描写が「プロットライター」のようにガチガチの設定キャラになっていることがあります。
どのキャラも物語上の役割を与えられて、設定どおりの範囲内でしか動けません。まるでロボットのように。(悪いことではありません)
そして例外がたった1人だけ存在します。《ハチロク》です。
《ハチロク》は出会いからご主人様に平手打ちするなど、ロボット三原則すら守ってなくロボらしさがないです。
記憶欠如や機能障害のイベントも多数盛り込まれていて、機械らしさもない。エアクラに乗ることを拒否したり認めたりもします。
さらに「8620」の台枠問題では、レイルロオドとしての職務である安全性よりも、ご主人様の願いを優先したのはびっくりしました。
《双鉄》への深い信頼関係・主従関係を感じます。
人間でないものを人間らしく感情豊かに描き、
それ以外のキャラ全てをあえて機械的に描くことで《ハチロク》の人間性を最大限に高める事を目的にしたキャラ描写は面白いです。
「進行豹」さんのシナリオはまずメインヒロイン1人を決め、その子の為に設定やキャラを配置していく作り方をしているようです。
『まいてつ』は《ハチロク》の為に他全てを犠牲にする物語なのです。
■■システムについて
フルコンプまでに強制終了3回でした。
TIPSの説明で間違っているところがあり、《れいな》のシーン回想にH3が2つあるなど、ver1.4でも細かいスクリプトミスは残っています。
システムに拘りのあるエロゲーなのは間違いないですが、バグが少ないエロゲーではないので注意。
「E-mote」は動作が重いのでは?とよく思われがちですが、むしろ軽いほうです。低スペックのノートPCでプレイしていますがサクサク動きます。
他の動くエロゲーは動作が厳しい状況でアニメOFFでプレイすることが多いのですが、「E-mote」だけは全然問題なし。
吉里吉里を使っている他のエロゲーが動くPCなら多分大丈夫でしょう。むしろ前作の『ものべの -monobeno-』のほうが動作が重いように感じるくらいです。
ただPCの温度がちょっと熱いです。猛暑の夏にプレイしたので別の面で大変でした。
「E-mote」の欠点を1つ指摘しておきます。
『まいてつ』は基本立ち絵が1パターンです(普通は3~4パターン)。「E-mote」で細かく動かすのはいいですが体の向きやポーズは一定で基本変わりません。
また表情差分も動かす関係上変顔が使えません。エロゲーではデフォルメされた表情差分も多く使われます。そのため表情が少し硬いと感じる部分も。
頑張っているゲームに言うのもなんですが、「E-mote」はADVの完全上位互換ではないと書いておきますね。
その他、場面選択機能がホント神機能。全シナリオを好きなところから読み返せるのはとてもいいです。
セーブ・ロードはブックマーク方式(上書き不可)なので慣れてないと使いにくいかも。特にセーブファイルを大量に使うプレイスタイルの人は要注意。
■■総評
すごく制作スタッフの愛が感じるエロゲー、なのにワンパターンシナリオの1点だけで全部台無しになった悲しいエロゲーでもあります。
面白くないエロゲーなのに、ここまで作りこまれれば嫌いにもなれない、どう評価すべきか物凄く悩みました。
10点でもよかったのですがまあ50点つけておきます。シナリオが酷いと一言コメントで付け加えておけば十分でしょうから。
前作の『ものべの -monobeno-』の発売後に『ものべの -happy end-』なる謎の完全版がリリースされています。
アンケートを取った結果、ユーザーはハッピーエンドを求めていると結論付けたようですが、
そりゃハッピーエンドかバッドエンドかの2択なら前者のほうが多くなるのは当然でしょう。
現代萌えゲーは、シリアス排除やハッピーエンドが求められるようになり、シナリオ要素が茶番劇で適当に解決されるパターンが増えてきています。
『まいてつ』も前向きなハッピーエンドを目指そうとして、1つ1つのイベントを高速解決していくダメ萌えゲーに近い内容で、独自性を出せてなく失敗しています。
う~ん「進行豹」さんはほのぼの路線が得意じゃないような。すみルートの続きにえみの話があるのであって、最初からえみだけでは多分失敗します。
1ルートだけでも「進行豹」さんのダーク路線、エグい話が読んでみたいと個人的な希望を書いておきます。
『Lose』さんはかなり売れているようなので、ユーザーの声は無視できなくなってきているから難しいと思いますが。
もしも「このゲームは鉄道が要らないよね」の声が大きくなってきたら危険信号でしょうね。