サブキャラ達の織りなす絶妙の掛け合いが最高に魅力的です
複数のそれぞれの主人公の視点から見た各章のストーリーの組み合わせ方が、実はこの作品の最大のテーマであり、その表現方法はとても面白かった。あの構成方法は本当にお見事です!
さて、このテーマですが、現実では結構シビアで重いため、マニアックに風呂敷を広げすぎず、あくまで物語を彩る構成道具として、シンプルかつポップに表現して締めくくっていたのが私としては高評価でした。素人がエロゲ如きでとやかく論じる問題でもないかなっと。
ともあれ、このゲームの最大の魅力は、魅力溢れるサブキャラ達の見事なキャラテイストを楽しむのが最高の醍醐味かと。「それ散る」に比べて、笑いやインパクトは弱くなったかもしれないけど、それ以上に各キャラ毎の設定やテイストなど、ある種洗練された完成度的なものはこちらのほうが断然上で、最後まで安心して楽しむことができます。あ、ただし、間違っても、このゲームにエロなんて求めちゃいかんよー。
鷹志編
ありきたりな学園生活で、残念ながら魅力的なキャラもおらず消化不良。ノリも暗くパッとしない。個別ルートも同じノリで展開でやや長いため、も少しポップなノリを前面に出してほしかった。このゲームの欠点でもあるが、鷹志君の存在意義を考えた時、おぉ、なるほどなー!と思わされるところもあるため一概には言えないところ。
鷲介編
ぬるぬるPOPなノリで展開されるファミレスでの和みの空間がとってもGOOD。狩男店長のCOOLな下ネタは日々勉強になります!ちなみにこのルートが一番好きです♪ヒロインの中では、たまひよが一番気に入りました。あの魚の腐ったような瞳で見つめられると狩男店長でなくても、もうドキドキしてしまいます!
隼人編
夜の繁華街で繰り広げられる、ちょっぴりハードボイルドで、人情味溢れる心温まるお話。でもこのルートが何気にキャラが一番濃く、最高に笑えます。最初は雰囲気が急転換して、次々に登場する一癖も二癖もあるキャラ達に最初は引き気味ですが、慣れてくると、それぞれがいい味を出していて、本当に全員が忘れがたい存在になってきます。
伽楼羅編
主人公、面白いんですが、あまりにもぶっ飛び過ぎていて、正直頭が痛くなってきます…。とても短かく、個別ルートに入る前の前座みたいなもの?解放ルートである、ようじ編とセットで考えないといまいち訳のわからんお話になってしまいます。
トゥルー(ようじ編)
まぁ、この物語の核心ともいえるべき、各ルートで語られなかった真実が明らかになるのですが、特に深入りせず、事実だけが淡々と語られ、淡白に締めくくったのは良かったかなーと思います。ここで変に風呂敷広げるとグダグダな作品になっていた可能性もあるので、ここはライターさんの賢い選択ですね。
ただ、このルートですら、真のEDでなく、一つの物語の可能性でしかないのかな?
真のEDはそれぞれの主人公ルートのEDでもいいのかなーっと言う風に感じました。
特に感動とか、ずっと心に残るようなインパクトのある作品ではないかもしれませんが、人生についての色々な可能性、今自分が生きているこの世界の感じ方・捉え方を、ゲームを解いた後に、何かもう一度ゆっくりと考えさせられるよないぶし銀のような作品です。
キャラやテキストがあく強めなので、好みは分かれるところなので万人にお勧めはしませんが、一般的な萌えゲーとは一風違った楽しみを見つけたい方は、暇なときにやってみるの悪くはないかもしれませんね。
私の中では、かなり傑作の部類に入る珠玉の逸品です。