名作になりそこねた作品。やりたいことはわかるが手法を間違えた。
このゲームは無用配布されて話題になった訳だが、なぜよりにもよってこのゲームを無料配布したのか。
と言うのもこのゲームのテーマは「お前らエロゲなんかやってないで現実見ろよ」というものであり、このテーマが向けられるべきは、無料だからちょっとやってみるかというライトな層ではなく、(自分を含め)人生がエロゲ中心でまわっているような重症な人達だからである。
また、発表方法だけでなく、ストーリーの構成にも不満を感じた。
上述の通り、この作品のテーマはエロゲからの卒業なのだが、それが解るのは全ヒロイン攻略後のルートである。各ヒロインのルートは最終ルートで脱却を求められる“エロゲ的な物語”の象徴であり、そうであるならば、五つの前フリは、エロゲ全体を表して欲しかった。ここでの感想に、各ルートで雰囲気が違いすぎる、というようなものが散見されたが、この意見には同意できない。むしろ世のエロゲを五つに分類する位の勢いで、もう全く毛色の異なる五つの別の物語にして欲しかった。
また、話の締め方もパンチが効いていない。上にテーマは卒業と書いたが、エロゲ自体は否定されていないのだ。いつまでもエロゲに現を抜かしているエロゲーマーを否定しているのだ。そこに甘さというか徹底してなさを感じた。どうせならエロゲを完全否定しろよ、と。
あれ?なんか不満ばっかり書いてる。無料云々抜きにしても結構楽しめたのに。
まさに名作になりそこねのPOVはこんなゲームのためにある。