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syamaさんのリトルバスターズ!エクスタシーの長文感想

ユーザー
syama
ゲーム
リトルバスターズ!エクスタシー
ブランド
Key
得点
95
参照数
1082

一言コメント

(無印攻略済)エロはやっぱり要らなかったけど、追加ヒロインや加筆シナリオは良かったと思います。無印だけじゃ分かりにくかった謎も補足により理解しやすくなってるし、アフターストーリーな要素もあって結構楽しめました。    ※沙耶エンドの考察みたいなもの(ネタバレ)→

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

沙耶エンドはネットを見るといろいろ捉え方があるみたいですね。
私も結構あれこれ考えていたので批評はさておき考察してみました。



まず考察の前提。

・あやは陥没事故で既に亡くなっている。
・光となり彷徨っているところ恭介たちの世界を発見、
 幾多の偶然が重なりスクレボの沙耶として降臨した。
・幼くして死んだあやは、恋愛や青春など数々の未練があった。
・沙耶は世界の秘密と、自分が既に死んだ存在だと分かっている。
(理樹に「私を選んだ時点でBADEND」といっていることから)
・虚構世界でも夢は見れる。
(小鞠ルートなどから)



真・沙耶ルートの最後の場面。
沙耶は生物兵器で自ら命を落とし、銃身自殺でこの世界から立ち去り消えようとした。
その時、沙耶BADの対峙のクライマックスシーンで彼女の未練を知っていた恭介は、
彼女が持つ願いを少しでも叶えてあげようと新たに虚構世界を作り、送った。
そこはあやが手に入れるはずだった青春など輝きに満ちた過去から始まる世界で、
沙耶がその世界いったことを恭介はタイムマシンでいったと理樹に説明した。


これはちょっと迷っているところなんだけど、
エンディングで沙耶が寝ている場所は、理樹と射撃訓練していた場所で、
クロの世界のように周囲からは遮断されているって見方と。
あそこは恭介が新たに創った虚構世界の一角で、そこへ沙耶を送り、
あやとして過去をやり直す世界を見て眠っているシーン。
の考えでちょっと迷ってる。
でも恭介は沙耶をイレギュラーな存在として排除しようとしてたから、
前者の可能性はないかな。
というわけで後者と仮定して進めます。


流れとしては、新しく作った虚構の世界に沙耶を送り、
その世界にいる沙耶に虚構(あや)の世界を見せる
という感じじゃないかと。
虚構の虚構の世界なんてちょっとややこしい考えでごめんなさい。



沙耶エンドの真相の鍵は「Saya’s Song」じゃないかな。
一番の歌詞を読むと恭介たちの世界へ辿りつく様子や、誓いが書いてあったり。
全部考察すると大変なので重要そうな歌詞をピックアップ。
____________________________

※春が終わる
 長い夢と過ぎ去った
 夏も秋も
 ほんとうはみんなと居たかった
 
 ありがとうたくさんの
 ありがとう思い出を
 これ以上はもうわがままになる
 ありがとうきみたちの中ににある輝きを
 こんなにくれたらもう十分だよ

※ひとつだけで誓うよ 
 去り際は潔く 
 何の未練も残さないでゆく
____________________________

という二つ。
最初の歌詞からいろいろ状況を考えることが出来るので仮説を立ててみた。

<仮説1>

沙耶が夢を見ていられるのは高校2年生の1学期(春)までで、
夏も秋も一緒に居たかったけどもうこの世界は終わってしまう。
これ以上を望むのは我侭だ。
という解釈、でもこれはちょっと違う気がする。


<仮説2>

「春が終わる」というのは、恭介たちが創った世界の終わりを指している。
沙耶が体験している虚構世界は、恭介たちの世界があるから成り立っていたものであり、
それがなくなると沙耶(あや)の世界も崩壊してしまう説。
みんなは夢から覚め現実に戻るけど私は死んでいるから一緒に行くことができない、
だけどこれ以上望むのは我侭になってしまう、もう幸せは十分貰った、
ありがとう、そしてさようなら。という解釈。

この説だとどうやって、恭介たちの虚構世界の終わりを知ったのか謎だし、
そもそも世界が終わってしまうなら仕方が無い、もう満足したから構わない、
という投げやりというか、半分諦めからくる決意に聞こえるので個人的にこの説は外したい。


<仮説3>

上二つとは違い、実ははまだまだ夢を見続けることが可能だった説。
本当はみんなと居たいけれど、もう彼女には十分だった。
だってこんなにたくさんの思い出をもらったのだから。
これ以上はもう我侭になってしまう。
ありがとう、未練はもうありません。
といった、沙耶の感謝の気持ちと、心残りなく逝ける心情を歌ったという解釈。


私が望むのがこの形ですね。
沙耶がありがとうの気持ちを込めて歌を捧げ、
安らかな笑顔で逝くエンディングという終わり方。
ちょっとFateのセイバーに近いかも。




ちなみに敢えて”あや”ではなく”沙耶”を主体に話をしているのは、
あやはもう亡くなってしまった存在であり、
これは沙耶として生まれ変わった沙耶としての物語だと思うからです。
エンディングロールで寝ているが幼いあやでなく沙耶だったり、
歌も「Saya's Song(沙耶の歌)」というタイトルですからね。
よく掲示板などで「いや、沙耶じゃなくてあやだから」って突っ込みを見かけるので一応補足しておきます。




私の推察から結論をいうと彼女はエンディングロールのあと、
恭介が与えた虚構世界から離脱し死を迎えてしまうことになりますが、
沙耶の物語はハッピーエンドだったと思います。
だって本当なら幸せな思い出らしいものは一つもなく、
不幸な事故で死に消えてしまうはずだったのに、
ちょっとした偶然と奇跡からたくさんの友達や思い出、
本来得るはずのなかった幸せに満たされ笑顔で逝く事が出来たのですから。