女装潜入物に現代風刺を合体させた、人を選ぶようで万人受けしやすい作品
オルトロス作品のプレイは初めてで、男が排除された世界観での女装潜入物というコンセプトに惹かれてプレイした。
現代の行き過ぎたフェミニズムや、それを掲げるフェミニストに対する一般の人々の冷笑ぶりなどを物語に落とし込んでおり、頷き納得できる内容であったと思う。
時事問題に対して論理的な意見を主張できない政治思想をお持ちの方以外はプレイに支障はないだろう。
世界観の掴みから面白く、途中の内容まで広く理解されやすい内容だと思うため、万人受けしやすい作品だと思った。シナリオは厚いようでそうでもなく、ディストピアを生きるキャラクター達のやり取りを楽しむ物と考えたのでそれほど読みごたえを気にしなくて良いと考えたので気も楽だった。
ユイのキャラも中身は女性に恐怖心や嫌悪感を持っている男が女装するというコンセプトであるが、心までメスになる男の娘はあまり好きではないので好感が持てた。
また、公式サイトを見てヒロインはアカリ単独だと思っていたので、個人的にはプレイしていてミク先輩を攻略できないことを残念に思っていたところで、最初のエンディングが流れた後の展開は歓喜した。
機械的で感情のない女性が感情を得て、思いが昂って発情してしまうことでしか得られない栄養素があると思っている。
ただ読み物として見た時の面白さは、最初のエンディング後の話はミクさんの視点からユイを攻略する内容であるからか、平坦になりやすくCGの枚数も減少しているように感じられるのが厳しいところではある。
最初から最後までユイとアカリの物語を追いたかった人からすれば蛇足に感じられる内容であると客観的には理解している。
さらに、最後の結末は少し拍子抜けに感じてしまうところはあった。だが私は作品に対して求めていたものは全て受け取ることができたと思っているので、個人的には満足している。