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sweets443さんの刹那にかける恋はなびの長文感想

ユーザー
sweets443
ゲーム
刹那にかける恋はなび
ブランド
CRYSTALiA
得点
83
参照数
404

一言コメント

人の一生は儚く短い。だからこそ一生を賭してでも剣士として大事にしたい輝ける刹那を追う。ゆれあかとはテーマの方向性が違うため、どちらが面白いかは好みにもよると思う。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

人の一生は儚く短い。だからこそ一生を賭してでも剣士として大事にしたい輝ける刹那を追う。

天真爛漫で押しが強い魅力的なヒロイン朱雀院撫子と父親の背中を追いカッコいい男であろうとする滝川一馬が一生に一度しかない剣士としてぶつかり合う刹那に愛を証明する物語だった。

個人的には共感できて好みの恋愛の形だったので、撫子ルートは刀シリーズでも一番好きな個別ルートだと思う。

傍で支えながらも、戦う剣士にしか分からない価値観を理解できずに衝突しながらも、それでも最後まで支えることを選ぶ小鞠や初乃の存在も描いていて良かった。剣士としての本懐を果たした後に、それを次代に繋ぐ終わり方を含めて素晴らしかった。

ただし、パルヴィルートの内容がどうしても薄く感じてしまった。パルヴィのたった一度の恩返しのためにすべてを捨てるという信念は、刹那を追い求めるテーマに一貫しているものの、天呪ゴリ押しの展開で心情的に盛り上がる前にルートが終わったのが残念だった。

また、パルヴィルートを除いてほとんどの試合を一馬が戦うことから、全体を通して必然的に一馬の試合が多くなる。成長型の主人公ではなく相手に合わせて全力を引き出させる試合をするために、どうしても番付上位クラスの試合以外は展開がワンパターンになる印象も感じた。

パルヴィ→小鞠→撫子とプレイしていくと、段々と面白くなり、終わりの余韻の満足感は高かったと思うが、序盤から進めて熱くなれる試合を見るまでにかかる時間が長いのがネックと考える。

いくつか気になる点はあるが、めくいろからクオリティを進化させ、ゲームとしての完成度が高まっており、今回も前作のゆれあかの「友情を描いた王道的なスポ根」とは違うテーマで楽しめる作品に仕上がっていたと思う。

ゆれあかとどちらのほうが面白いか、好きかはテーマが違うため好みによるとしか言いようがない。ゆれあかを超える作品と思ってプレイすると肩透かしを食らう可能性はある。