個人的にはPiecesを超えて渦巻きの最高傑作だと思う
主人公がこの世界にやって来るところではなく、やってきた後の途中から物語が始まっていくため、最初はどのような世界観であるのか、人間関係が出来上がっているのかを考えながら読み進めていくことになる。
この世界は主人公と4人のヒロインのために最適化されていること、共通の敵である少女のヨルが存在していることを理解し、ヨルを倒したところでそれぞれの理想を追求する物語が幕を開ける。
ヒロインそれぞれが理想を追求できる世界に対して出す結論は大きく異なっており、ヒナギクは自分の気持ちに正直になって理想に向き合い、ハルカはこの世界では理想を追求できないと結論を出して外に理想を探しに、ティアは自身の理想を否定して、生まれ変わることを選ぶ。
True Endを除けば、ヘル子の理想の世界を捨てて、本人と主人公からすればクソみたいだった元の世界に帰って生き抜くことを決めるエンドが実質的に最後を飾るに相応しい帰還エンドとなっている。
哲学的なテーマであるが、シリアスな場面は全体としては少なく読みやすい内容となっていた。シナリオゲーとも言えるし、キャラゲーとも言える分類が難しいゲームだったように思える。
しかし、それ故にシリアスになり過ぎず、中身のない内容にならなかったため、万人受けしやすいように感じた。悪く言えば中途半端とも言えるが、はじ論はその塩梅のバランスが絶妙であったため、少なくとも自分は中途半端と言う感想にはならなかった。
テーマに関しては一貫しており、飽きさせない内容であったため評価に値すると思う。ただし、キャラゲーとして見た時、ヒナギクの融通の効かなさは見ていてイライラする人はいるかもしれない。世界と言う常識が違うのだから、あの反応は当然ではあるのだが。
渦巻きはPiecesでも最後は良かったが、序盤はあまりにも退屈であったと言う感想を持っており、特別に良いとは感じていなかったが、はじ論をプレイして大きく見直した。