ErogameScape -エロゲー批評空間-

sweets443さんのヘンタイ・プリズンの長文感想

ユーザー
sweets443
ゲーム
ヘンタイ・プリズン
ブランド
Qruppo
得点
89
参照数
817

一言コメント

エロゲという媒体だからこそ生まれた最低で最高の作品

長文感想

前作のぬきたし1と2をプレイしていた私は、Qruppoの最新作ということですぐに興味を持ち、予約して購入をした。
ぬきたしとはキャラデザにも大きな変化があり、主人公のビジュアルが微妙に感じたので少し不安を覚えたが、それでもあの会社であれば面白い作品を届けてくれるに違いないと考えた。

結果は信じた通り、前作のぬきたしに劣らない卑猥なギャグの連続に何度も笑い、蓋を開けてみれば主人公も非常に魅力的なキャラであった。
理不尽な目に遭う主人公がどのような絵図を描いて、この状況を打破するのか毎回ワクワクしながら見ていた。
そして、始めた後と終わった後ではキャラの印象も丸っきり変わっており、3人の看守長全員に好感を持つとは思わなかった。
最後の結末も含めて、ぬきたしを進化させた上で超えてきた最高の作品であったといえるだろう。


正直にいうと批判するところはないし、私としては十分に満足だったのだが、批評空間なので批判の1つは書かないと公平ではないので1つ懸念となる点をお伝えする。
刑務所が舞台ということもあり、主人公にはさまざまな理不尽が待ち受けているのだが、いじめの描写がリアルなこともあり、共感性羞恥心が強い人には辛いかもしれない。
万人に向いているとは最初から思っていないが、思わぬところで合わないと感じる可能性がある点であったため、プレイを考えている方は留意して欲しい。

考え方を押し付けるわけではないが、私はエロゲという媒体で作品を出すならR18であることを活かしたゲームこそ価値があると思っている。
それが悪いとはいわないし面白ければいいとは思うのだが、R18要素を抜けばギャルゲーとして販売できるような完成度の高いシナリオのゲームをはたしてエロゲでやる意味があるのかという問いに私は完璧に答えられない。

では、エロゲという媒体だからこそ発表できる作品であって、最高に面白い作品こそ最終的に行きつく理想の形ではないだろうか。
それが、今作のヘンプリ、前作のぬきたしが一つの答えではないかと考えている。
ヘンプリのあらすじや作品について何も知らない人に伝えるとき、「露出を芸術だと考えている全裸マンと呼ばれる囚人が・・・」などと話を始めればこいつはなにを言っているんだと思われることだろう。

プレイした人々がどう取り繕って説明しても世間一般的には最低と呼ばれてしまう。なぜならヘンプリからエロや性に関する表現を切り離すことはできないからだ。
エロアニメならともかくアニメ化はできないし、他のエロゲのように家庭用ゲームへの移植は難しいだろう。
だが、それでいい。少なくとも私はエロゲという媒体でしか実現できないエロゲを求めていた、そしてこの人気の高さから多くの人が同じことを思っていたはずなのだ。
まさにエロゲという媒体だからこそ生まれた最低で最高の作品である。


ということで、次の作品がヘンプリ2でも、ぬきたしVSヘンプリでも、完全新作でも一生ついていきますぜQruppoの兄貴!
今回も素晴らしいゲームをありがとう!