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sweets443さんのEVE rebirth terrorの長文感想

ユーザー
sweets443
ゲーム
EVE rebirth terror
ブランド
El Dia
得点
88
参照数
44

一言コメント

前作の小ネタの拾い方が細かく、菅野氏へのリスペクトがあるEVE burst errorが好きな人ほど楽しめる理想的な続編

長文感想

2011年にEVEを作り上げた菅野ひろゆき氏が亡くなり、原作者の死後に作られた続編のEVE rebirth terror。

セガサターン版のEVE burst errorから始めたことから、シナリオライターの違う続編をすぐにプレイするのは躊躇われた。

しかし、EVEシリーズの続編として非常に完成度が高く、なにより原作に対する敬意が感じられるゲームだった。

使用されるBGMもアレンジはされているものの同様であり、バーストエラーで探索した同じ街が舞台、没入できる雰囲気は完璧である。

その上でバーストエラーの小ネタを次々と拾ってくれるため、記憶が新しいうちにプレイすることでネタに反応しやすかった。

小次郎とまりな、2人の主人公と取り巻く登場人物達にも違和感はなく、原作の登場人物が多く登場する。

秘密を守るために弥生との距離を取る小次郎とそれを理解しながらも寂しく思い、時に女性にモテる小次郎に嫉妬する弥生の2人の関係。

年上の男が好きで恋に生きるまりなは、前作の心の傷を引きずりながらも、今作でも新たな恋に出会い大人のやり取りを重ねていく。

バーストエラーであった出来事を思い出す、私の知っているEVEシリーズが確かにここにあった。

自分も感想を書いた後に知ったが、バーストエラーの悦楽学園の設定を今作でも拾っているのは、本当に菅野ひろゆき作品を読み込んでないとできないことだと思う。

私もそのゲームは未プレイであるし、30年近く前のEVEよりも前の作品の設定を拾っても普通は置いてけぼりになりかねないと考えるが、そこも拾っていくのかと感心した。

むしろ菅野ひろゆき氏の作品を昔からプレイしている人ほど驚かされるところであると思う。

原作に対するリスペクトがしっかりした続編であるため、EVEシリーズが好きな人ほど楽しめるだけでなく、プレイして間もなく記憶が新しいほど小ネタが分かるため楽しめる。

前作のバーストエラーがあってこその物語ではあるが、続編として非常に高い完成度の内容といえるだろう。