万人受け不可、マンネリを感じている人や新しい刺激を求めている人に向いている
やったことがない人で興味があるという人には、一言感想以外に言えることはない。
NGと思われる要素(グロテスク・スカトロ・救いのない結末)が多すぎるし、積極的に勧めるべきゲームでもないだろう。
それらのNG要素を乗り越えさせてまで勧めるべき価値があるかといえば、同じCLOCKUPのeuphoriaや羊狼と比較してもないと思う。
では、凡作や駄作なのかといえばそうではない。少なくともエロゲにマンネリを感じている場合や、新しい刺激を求めている人には刺さるところもあるだろう。私としてはエロゲだからこそできる表現や作品でこれまでにないものだったと考えている。
シナリオとしては序盤の共通エンドまでがピークだったと思う。それぞれの人物の視点で心情が描かれ、クラブにのめり込んでいく仮定が描かれる。そして、結果的には主人公の行動によって周りの人々が不幸に巻き込まれていくところまでは非常に丁寧だったと思う。
特に紗栄子のように現実世界の宗教やマルチに属していても周りを見下しながら生きている人物はいるだろうし、円夏のように他人を思いやっているように見えて人の話を聞いておらず、自分本位に生きている人間も珍しくはないので共感しやすいところだろう。
どこにでも普通にいる人間が、自身の心の弱みや性格を理由にどのように狂っていくのかを見守るところが、この作品の魅力な気はした。
しかし、終盤に進むにつれて評価がわかれるところだろう。ハッピーエンドになることはないとはわかっていても、共通エンドを迎えた後から再び主人公の視点に戻ってからの展開はあまりにも現実離れしているうえに、そういった展開が作品の面白さにつながってこない。
ここまでのすべてが現実的だったとはいわないが、ユーザーも共感できる要素をちりばめたドキュメンタリーを読んでいるような感覚から、我に返ってしまうような状況になってしまった。
結末は報いを受けるという意味で筋が通っているものであるが、主人公にとっては救いたかった人を同時に失うというもの。これ以上にない悲劇であり、しかし、その結末の最期にヒロインは救いを見出すもの。
この結末に納得できて、それが刺さるという人には神作なのだと思う。個人的には理解はできるし妥当な結末だと思うが、共通エンド後からの展開を丁寧に書いて欲しかったというのが本音だ。一般的ではないゲームなのは確かだが、鬱ゲーというジャンルでもないように思う。
BADENDしかないから悪いのではなく、そこに至るまでの過程が最後にかけてお粗末になることが、それでも勧められるゲームではなく、マンネリ感じてるならやっても良いくらいの評価に収まる所以だと思う。
個人的には前半までは非常に興味深い内容でした。あと、仰げば尊しの威力強すぎ(笑)
全年齢の小説なら似たような内容のものはあるが、R18のシーンまでCG付きで丁寧に描けるのはこのエロゲだけなので、このエロゲでしか得られない栄養素があるような気がするのが、今でもCLOCKUPのゲームのなかでも話題に取り上げられる理由な気はした。