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sweets443さんの家族計画の長文感想

ユーザー
sweets443
ゲーム
家族計画
ブランド
D.O.(ディーオー)
得点
89
参照数
146

一言コメント

シナリオを重視してエロゲを選びプレイしているのであれば、令和でも必修科目と言って良いほどの名作

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

シナリオ・キャラクター・音楽など、全ての構成要素のレベルが非常に高く、令和にプレイしても色あせないゲームだと思う。

個別ルートもそれぞれ人それぞれに刺さる場所があり、自分の心は打たなかった場所でも他の人ならここで心を打たれるのかもしれないと思うほど、それぞれの個別√の完成度も高い。

青葉、準は、家族計画においても心を閉ざしていたことから、この2人が心を開くまでの過程と開いた時のシーンは心に響くものがあった。

好きになれる気がしないマイナスの印象から、理由に納得してここまでプラスの印象に持っていけるのは流石だと思った。

青葉√と茉莉√のあるシーンを見て、初対面のギャップの大きさから、青葉が一番ヒロインとして魅力的だったと思う。

個人的にも刺さるシーンは沢山あったが、その中でもピックアップしたいのが、

真純√の主人公の台詞
「彼女が俺のために不幸になった。そう思うなら、今度は俺が彼女のために不幸になってやればいい。けど仮にそうなったとしても、俺は不幸だとは思わないだろう。人と繋がるというのは、そういうことだ、きっと。……どうか勇気を」

家族計画に参加するまで、失って不幸になることを恐れていた主人公の成長を感じられる台詞。

家族の様に深い繋がりを人と持つ上で、お互いに不幸にならない様に幸せを目指すと言う価値観は目指すべき理想ではある。

しかし、その理想に囚われ過ぎていると不幸を知っている人間は誰の手も掴むことはできない。手を取った人間を幸せにするよりも、人生経験を積むほどその手を取るための心構えをすることに大きな勇気がいることが身にしみる名言だったと思う。

個別ルートが共通して流れが同じ部分があることから、それを繰り返し5回プレイすることにマンネリを感じやすい点など、気になる点もあるが、それを帳消しにするほど刺さる点や良い点が多かった。

シナリオを重視してエロゲを選びプレイしているのであれば、家族計画は令和でも必修科目と言って良いほどの名作であると思う。