「取捨選択」の楽しさを味わえる良作RPG。ストーリーも近年のエウシュリー最高峰の出来。
システム A--
今作の最大の魅力はお金に相当するギルドポイントの使いみちが幅広いということ。
装備品の購入はもちろん、仲間の雇用やスキルの成長にも使う。
だから強いレア装備を買うか、障害物を破壊するスキルを成長させて宝箱を取るか、戦闘スキルを強化してボス戦に備えるか
はたまた仲間の妻子を救うために大金を払ってやるかといった悩ましい選択が連続して発生する。
こうした多彩な選択肢からどれが一番得するか考えて試す面白さこそゲームの醍醐味だよね。
似たようなシステムを導入しているゲームは他にもあるが評価したいのはそのコスト設定。
とにかくパーティが大人数なので一度探索に出れば必ず弱い仲間をちょっと強くするくらいのリターンが得られる。
探索→成長→探索→成長が途切れないRPGは面白いんです。
もっとも欠点がない訳ではない。
まずドラクエの小さなメダルに相当する魔王石の使いみちがまったくない。
全回収にこだわらなくてもクリアまでに50は手に入るが使うのは10かそこら。
これでは集めるモチベーションにならないよね。
調べてみたら2周目では使い道が増えるらしいけど明確なルート分岐でもない限りは普通ゲームは1週ですよ。
やりこみ要素は否定しないけど開発者はまず誰もがプレイする1週目の面白さを重視して欲しい。
あと封緘システムの消費アイテムは共用ゲージにして欲しかったな。
ラスボス以外は弱いのでアイテム全然使わずに進められる難易度だけど
真面目にこれらのアイテムを活用しようとすると管理が煩雑すぎる。
ストーリー A
本筋は平凡だがキャラクターの描写は絶賛に値する。特に男キャラがいい。
ジェダルが奴隷になる原因を作ったザルドネにしろ何かと嫌味を言ってくるザルドメリにしろ
ある面から見たら嫌な人間だけど別の側面から見たら妻子思いだったり忠誠心が厚かったりと
単純な悪役や無能キャラにならないようにする工夫が見受けられる。
エウシュリー恒例の男の親友ポジションと見せかけて途中で意味の分からない闇堕ちする枠のユトレ君にしても
指揮官として部下を奴隷にしてしまった責任をとるために
裏切り上等で祖国への帰還を目論むという真っ当な動機が与えられている。
彼の暗躍は中盤までのストーリーをとても面白くしてくれましたね、助演男優賞をあげます。
今回のシナリオライターは3人とも過去に高い評価を得ていない人たちでした。
もしもこれがマグレではなく成長した実力であるのならエウシュリーの未来は明るいですね。
総評
中盤までの広がりが素晴らしい分、終盤にゲームとしても物語としても
やや尻すぼみを感じてしまう作品ですがRPG好きならまず楽しめる出来です。