世界の観光名所と名物料理に詳しくなれる地域制圧SLG。遊べるエロゲーの転機となるかもしれない作品。
ゲームデザイン Ａ＋
新ブランドらしく過去の地域制圧ゲームの常識に囚われない大胆な仕様変更は軒並みグット。
仲間の加入、生死分岐をばっさり捨てることでイベントパートでは常に大勢の仲間達が賑やかに活躍。
(分岐ありだと生きてるバージョン、死んでるバージョンを用意する必要があり展開に制限が出る)
敵勢力との戦争をプレイヤー側で完全に制御出来るぬるま湯バランスは
ゲームの緊張感と引き替えに安心かつ快適にキャラクターのイベントを回収出来るユーザーフレンドリーを実現しています。
最大のポイントは大作であるにも関わらず１週で全てのプレイヤーがイベントをコンプリート出来る仕様にしたことでしょう。
進軍ルートの取り方で若干の差分はあるものの(ロシア制圧前にＥＵ攻めるとナポレオンがロシアに援軍要請するとか)
このジャンルではお決まりの時期限定イベントや二者択一の選択を廃止して自分のペースでミッションをこなしていくだけで
用意されたコンテンツ全てを楽しむことが出来るという舵取りは英断と言えるでしょう。
もちろんこれは「周回プレイの楽しさ」とトレードオフの関係にある訳ですが
(２周目以降プレイする意味は高難易度ボーナスで手に入るアイテムのコンプリートとハードモードくらい)
2時間足らずの差分イベントを回収するためにまた20時間プレイするのはキツいというプレイヤーは少なくないはず。
遊べるエロゲーが相次いで発売される3-４月商戦で発売されたこともあり、私はこの仕様を歓迎しました。
快適に周回プレイさせる工夫が難しいジャンルではこういう１周入魂スタイルは十分ありですね。
システム Ａ
装備品の検索とセットが面倒な以外はストレスを感じさせない作りでした。
戦闘も頭を使うと敵の攻撃範囲外から一蹴出来たり、思わぬキャラクターが強敵キラーになったりとよく出来ている。
バランス面では補助、回復が死にスキルになってたのがちょっと残念。
そんなことしてる暇があったら殴って頭数減らした方がいいからね。もう少し強力でも良かったと思います。
バランスといえば内政ミッションの必要数値は絶妙の調整。
これが機能していたからこそ序盤から終盤まで仲間の数が増加しても
常に「そのターンのベストメンバー」が変わりちまちまとしたやりくりを楽しめた。お見事。
シナリオ Ｂ＋＋＋
前情報で「ライターが地雷」と聞いていたので不安でしたが
特にストーリーが破綻したり、違和感を感じることなく最後までプレイ出来ました。
ピエロ関連の引っ張り方は上手いと感じたくらい。
各キャラクターのイベントも１本軸作って起承転結と分かりやすい形でまとめていてグッド。
毒舌、ツンデレ、無愛想キャラが好きなのでこの辺の出番がもうちょい欲しかったかな。
グラフィック Ａ＋＋＋
正直、プレイ前はこの絵師の画風はそんなに好きじゃなかったんだけど
プレイしてると英雄の伝承や出身国の印象を生かしつつ、エロゲーらしいデザインに仕上げる技術に唸らされた。
地味にエロゲー史上最もキャラクターの下着立ち絵が多いゲームじゃないだろうか。色々と丸出しです。
総評
発売前の印象通りの明るく楽しい地域制圧SLGでした。
全体的に初心者でも大丈夫なように温めの調整がされてますが
高難易度ボーナスをガンガン取っていけばミドルユーザーでもそこそこ苦戦しながら遊べるバランス。
コアゲーマーの皆さんは最初にロシア攻めて凍えればいいと思うよ。
ファンディスクがあるなら出番が遅れた後半加入のメンバーを最初から使える感じでお願いします。