ErogameScape -エロゲー批評空間-

sunagimo0925さんの継母情事(継母調教)の長文感想

ユーザー
sunagimo0925
ゲーム
継母情事(継母調教)
ブランド
大熊猫
得点
75
参照数
215

一言コメント

景子さんが好みかどうかで評価が分かれる作品(好みの場合は+20点)

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

注)2020/7/24に大幅に加筆しました

タイトルは過激ですが中身はノベルゲーです。主人公の一成(変更可能)が小学生の頃に母親が病に倒れ、
間もなく他界してしまいます。深い悲しみと孤独から彼を救ってくれたのは新任教師だった景子さんでした。
主人公はそんな彼女に好意を抱き、学校を卒業後も連絡を取り合います。やがて主人公が高校生となったある日、
父親が再婚相手として連れて来た相手は何と景子さんだったのです。主人公はこの事態を受け入れられずに
夜の街を徘徊する日々を繰り返します。昼夜が逆転した生活を送る事で学校も休みがちになってしまいました。

景子さんは主人公との距離を縮めようと努力しますが複雑な胸中の主人公は素直に接する事ができません。
しかしある時、背伸びして飲酒した事で感情を爆発させた主人公は酔った勢いで景子さんを押し倒してしまいます。
景子さんが好きな事、同じ屋根の下で父親に抱かれる姿を想像したくない事、僕だけの景子さんでいて欲しい事。
主人公から全てを告白されて肉体関係を迫られた景子さんは突然の事態に狼狽して涙を浮かべていましたが…

「私がっ…そう、したら…、一成…くんは、学校に、行って…くれますか…?」

こうして二人の間に交わされた「約束」。主人公は学校に行く事を条件に景子さんと身体を重ねていきます。
始めこそ戸惑いを隠せない景子さんでしたが、やがて関係が続く内に身も心も流されていって…。

というのが物語の流れとなります。嫌がる相手と肉体関係を迫る上で相手の弱味を掴むのは凌辱ゲーの基本ですが
今作では主人公とヒロインの関係性によって従属関係が成立するという独特なシチュエーションとなっています。
しかも「脅す側と脅される側」という単純な構図ではなく、二人のキャラクター設定が大きく関わってる点が
今作の評価に繋がっていると思います。特に景子さんのキャラクター像は作品の魅力の大きな要素を占めています。

具体的に説明すると、景子さんは小動物の様に気が弱くて常におどおどとした典型的な内気で気弱な人間です。
年相応には絶対に見えない幼い外見も相まって誰もが庇護欲をそそられる様な存在として描かれています。
これは少し偏見な意見かもしれませんが、景子さんの性格は決して教師に向いているとは思えません。
主人公の回想によれば小学生相手に泣かされる事もあったそうですしwでは何故そんな彼女が教師になったのか?

これは他サイト様でも考察された方がいましたが、景子さんは潜在的に「頼られたい」と思っているのです。
邪推ですが、常に周囲から守られてばかりの自分に対するコンプレックスへの反発なのかもしれません。
誰かの役に立ちたい彼女にとって、自分に救いを求める主人公は自分の欲求を満たす存在でもあるのです。
なし崩し的に肉体関係を続けていく理由には「主人公を支えたい」という純真な気持ちだけではなく、
彼女自身の欲望に根付いているとも言えるのです。継母として主人公と向き合い身体までも差し出す献身性と
その内側に秘めた確かな欲望に流されていく二面性、これが景子さんと言うキャラクターの魅力なのです。

主人公も景子さんに好意を抱いていますが、その正体は寧ろ子供じみた独占欲に近いものに感じます。
と言うのも、主人公はゲーム冒頭に景子さんに対して「二人の再婚自体はどうでもいい」と言い切っているのです。
つまり彼は単純に景子さんを父親に渡したくないのです。母親の愛情を独占しようとする子供の心理に近いです。
(勿論、亡き母への想いや初恋の相手である景子さんを奪われた事で父親に対する負の感情はあるでしょうが)
主人公は無意識に景子さんへ「母性」を求めているのではないでしょうか?それは調教メニューを決めた時に
景子さんに「お願い」する態度からも見て取れます。タイトルには「調教」とあるのに「命令」をしない理由は、
自分を無条件に受け入れてくれる存在=母親、からの愛情を求める彼の心を表している様にも思えました。

そんな何処か歪んだ二人が関係を深めて快楽に溺れて堕ちていく…。それこそがこの作品の面白さのキモとなります。

主人公の要求はどんどんエスカレートしますが景子さんは最初は嫌がっていても最後には必ず受け入れてくれます。
胸を露出、手淫、フェラ、ぶっかけ、愛撫、正上位、膣内射精、後背位、騎乗位、駅弁ファック、コスプレ、
ロープ、ローター、首輪、放尿、アナルセックス、野外露出や青姦、果ては熟睡する父親の横での緊縛プレイ…。
ゲームの進行がカレンダー方式なので日数の経過と共に景子さんが少しずつ開発されていく過程に説得力が生まれ、
声優さんの演技も相まって調教の過程に生々しさがあります。普段は優しくおしとやかで儚げな景子さんの声と、
快楽に戸惑いを覚えながらも身体が反応するにつれて淫らに喘ぐ艶やかな景子さんの声、その対比がたまりません。
これは同じ屋根の下で暮らす継母という関係性でなければ描けない魅力であると言えます。
同じシチュエーションでも回数によって反応が変わるのも調教の過程を感じられるのでいいと思います。
景子さんの堕ちていく過程を見て、主人公と共にプレイヤーさえも景子さんへの支配欲を満たしていくのです。

しかし、主人公やプレイヤーの想いとは裏腹に景子さんは精神のバランスを崩壊させていきます。
特に主人公の父親の配慮が彼女を追いつめる事となります。と言うのも、彼は景子さんに優し過ぎるのです。
物語の終盤間際、景子さんは夫である主人公の父親に「どうして叱ってくれないのか」と涙を浮かべて訴えます。
普段の景子さんの態度からは考えられない位に明確な意思表示です。それ程に彼女は精神を疲弊させてしまいました。

勿論、主人公との関係に対する後ろめたさもあったかもしれませんが、ここでの不満は後妻としてのそれでしょう。
主人公の父親からすれば再婚であり年の大きい連れ子がいる事で景子さんに色々と気遣っているのでしょうが、
その配慮こそ景子さんにとって苦痛なのです。妻としてこの家に来たのにゲスト扱いされてる様なものですから。
家庭を任されたい景子さんにとって、夫の寛容な態度は期待されていないかの様にしか受け取れない訳です。
一番頼りにして欲しい存在から頼りにされず、一方で自分を最も頼ってくれる息子とは不貞に溺れる毎日。
言うなれば、この家の中で景子さんには「妻」としても「母」としても本来の居場所がない訳です。
こうして景子さんは寝付けない夜が続き、深夜に独りで台所のテーブルに佇み思い悩む日々が続きます。

一方で主人公も同級生の真理恵によって景子さんとの関係を乱されます。小学生の頃に主人公とクラスメートで
景子さんの教え子でもある彼女は、先生の結婚を知って景子さんに会いたいと主人公の家に遊びに来る様になります。
真理恵と景子さんは再会を喜びますが、主人公にとって真理恵は景子さんに近付く邪魔者でしかありません。
彼にとって景子さんとの時間を奪う相手は全て敵な訳です。しかも真理恵は主人公と急速に距離を詰めてきます。
実は真理恵は主人公の事を気にかけており、いつしか主人公と景子さんの関係について怪しむ様に。

こうして、景子さんも主人公もそれぞれに葛藤や問題を抱える中でも二人は関係を続けていきます。

景子さんは「約束」をたてに迫って来る主人公へ毎日の様に身体を差し出しては良心の呵責に苦しみます。
夫からの信頼を得る為、義理の息子を支える為、家庭での立場を守る為、言い方は色々ありますがそれも言い訳。
快楽と依存の虜になっている自分の本心を否定する事はできませんし、夫の放任するが如き態度に変化もありません。
いつしか景子さんは「約束」の呪縛の中にしか自分の居場所を見つけられなくなってしまいました。

主人公の方も自分が景子さんから笑顔を奪っている事を痛感していますが、今の彼にとっては「約束」こそが全て。
それを失えば彼は景子さんと共に自分の居場所を失って、また夜の町を彷徨い歩く日々に逆戻りです。
母を失い、景子さんを奪われ、何もかも無くしてしまう孤独と恐怖。だけどこの先に待つのは不可避の破綻のみ。
景子さんとの肉欲に溺れる日々の中で主人公の葛藤は大きくなり、彼を苛み続けていくのですが…。
とある出来事を期に二人の関係に大きな溝が生まれます。この後の選択がエンディングへと繋がっていきます。

今作にはエンディングが4つ用意されていますが、具体的にGOOD、BADといった区分は付けられていません。
その判別はプレイヤーに委ねるといった感じでしょうか?エンディングのそれぞれの内容としては
1「再婚を認めるが一緒には住めないので実家を離れて新生活を送る」2「景子さんを妊娠させてしまう」
3「今まで通り陰で肉体関係を続ける」4「真理恵に全てを見せた上で彼女も自分達の側へ引き込む」です。

個人的には二人の共依存みたいな関係性に強い魅力を覚えたので今作のエンディングは3番目だと思っています。
1番目は前向き過ぎてこの作品には似つかわしくなく、4番目はいくら何でも都合が良すぎます。
2番目は寧ろ3番目の後日談として用意されるべきであり、この手の絶望は後にとっておいた方が…w

家庭という閉じた世界で、ぬるま湯の様な関係を続けながら遠くない破綻の未来から目を逸らして堕ちていく二人。
これこそ今作の魅力であり、同時に景子さんというキャラクターの魅力を際立たせた設定、物語だと思います。
主人公の独白が鬱陶しくてメッセージ送りが面倒だったり、2番目エンドが意外と難しかったりしますが
少しでも興味を持たれた方がいらっしゃいましたら是非一度プレイしてみて下さい。