最高に面白い。体験版終わって躊躇なく即買いしたのは初めて。一番の薦めたい作品。ネタばれは体験版まで。
江戸時代にタイムトラベルするストーリーになってるが、歴史モノに興味ない人でも関係なく絶対楽しめるはず。
そもそもこの作品の元になってるお話の忠臣蔵が、めちゃ面白い。
歌舞伎等で何百年もの人気演目になってるモノが面白くないわけがない。
が、演劇でもドラマ、漫画でも、歴史モノ自体が、取っ付き難い、話に入り込み辛いところはあると思う。分からん単語がぽんぽん出てきて肩が凝る。
この作品その予備知識とジェネレーションギャップと埋めてくれるのが、現代の感覚を持ってタイムトラベルした主人公直刃君であり、言葉遣いや慣習、時代背景等の知識説明を、聞き出し役として違和感なく補助してくれる。
特に忠臣蔵は、お侍さんが殿の無念を晴らす話。武士独特の行動原理、矜持があって、その武士道が読み手に上手く伝わらないと、唯のヤクザのお礼参りでした、で終わってしまう。討入り後のカタルシスも味わえたもんじゃない。
敷居を上げなくフォローがあるとこが万人に薦められる理由かな。
どーいうことかは具体的な内容でいうと、
最初の騒動、幕府から主人公のいる藩の取り潰し&家臣は藩から出ていけよと通達され、家臣の武士達全員で今後どうするって話し合いの場面。
そこで家臣の半数以上がさっさと逃げ出している事実に直刃君は愕然。侍って主君の事こんな簡単に見限るのか、みたいな。
と思ったら、残っていた武士達は幕府に抗議の意思を見せよう、その為には絶対死ぬけど抗戦派or切腹しよう派で意見を言い争っている。死ぬの前提で、よりどっちの死に方がいいかという話し合いにまたまた仰天。
このままじゃ巻き添えで死んでまう、と穏便にしたい直刃君は、各々の過激な主張をする武士の考えを聞くも、自分との感覚の違いにあたふた焦りだす。
てな感じに、現代の人等の考える乖離した侍のイメージ、ズレを拾って読み手を置いてけぼりにしないようにしてる主人公。
とても話に入りやすい。やはり異世界トリップと歴史物はマッチする。
その後も元禄の時代で生活して、時代の慣習、侍の実情を説明していく。
こういう場合、歴史博物館の目録を読まされてる感じになって嫌になってくるものだけど何も知らない主人公が質問役になって分かり易く読み手に説明してる。
そんな有難い存在の末端藩士である主人公も、恒例の現代知識披露で、周りから一目置かれる存在になってく様は、読んでて気持ちいいものがあった。最終的には切り合いも切腹もへっちゃらな立派な侍に。
感想をいうと延々とあるけどいちゃいちゃがもっと欲しかった。
4章の忠臣蔵論争で主人公が赤穂藩士に疑問を持ち始めたから、もしかして吉良側に回って赤穂浪士と戦うのかなって、忠臣蔵をあらゆる切り口で料理してくのかすげーなって読んでてわくわくしてたけどさすがに収拾つかなくなるか。
この辺りから執筆時間が限られてたのか、はたまた侍ってキャラは動機付けが大変で思うように動かし難かったのか、
と邪推を少ししてしまった。面白いけどね。
あといちゃいちゃが足りない。喋々喃々がもっと欲しいんじゃ。
ともかく最近は大抵の作品を途中断念してたけど久々に話にのめり込めた素晴らしい作品だった。傑作だと思う。この位もっとストーリーにのめり込みたい。