個人的には、本編よりも全体的にクオリティが向上しているように感じました。本編をやって「おかわり!」したいと思ってた部分の味付けが濃い味付けになってて、大満足でした!
グラフィック、ムービー、テキスト、演出等、物語を表現する外枠がしっかり向上していたと思います。
肝心のシナリオですが、本編の時のメッセージ的な部分をヒロイン昇格キャラのそれぞれのテイストを
活かしながら、コントラストを強めにして本編の時より分かりやすくなっていたと感じました。
また、主人公を含めた本編ヒロインSのキャラクター性もメリハリをつけて以前よりも立ち位置が明確に
なっていたように思います。
本編ありきの補完的なFDなので、キャラクター性の特化による弊害はほとんど感じずに済んだのかも
しれません。新ヒロインのストーリーを彩る要素としては適当なアレンジかと。
そして「るい智」らしい修辞法も健在です。本編に比べてピンポイントで使う様な感じに変わっていた様に
感じたので、本編で感じた冗長さは、ほとんど感じませんでした。
ただ、本編以上にメッセージ性が明確になっている様に感じたので、本編が楽しめなかった人には
本編以上に楽しめない内容になっているかもしれません。
とりあえず、個人的には本編を超える出来だったと思います。
がっつり楽しめました!
以下激しくネタバレ↓
「宮和編」は、本編で語られた智の目指した幸せの形の延長上にある選択だと思いました。
物語の大きな分岐点の一つである「恵の真実」に触れなかった場合の大団円の形ではないかと。
呪いを持たない宮和との幸せの形は、ある意味FD終章で回答される幸せの形に通ずるものだと
思いますが、それよりも、本編で智が追い求めてきた幸せの形の一つの到達点としての意味合いが
大きいのだと思います。呪い持ち全員と呪いを持たない人間がお互いを認め合い絆を持つという
ことが、呪いが人と人との間で隔たりにならない未来を暗示する結末ということではないでしょうか。
「央輝編」は、本編で仄めかされていた呪いに関わる組織や関係性について言及していたりと、
「るい智」の冒険活劇としての側面を強調しながら、央輝に萌えられるような内容になっていました。
央輝編自体は、央輝をヒロインにし宮和編まで貫かれてきた智の追い求める幸せの形としての答だと
思いますが、終章へ向かう欠かせない布石としての意味でもあると思いました。
央輝は「るい智」のヒロインの中にあってはストイックに過ぎるキャラクターだと思います。それ
だけに話としては王道展開になってしまうのは仕方無いと思うのですが、「恵編」を際立たせると
いう意味においてはトリッキーな効果になっているなぁと。
「恵編」は、それ以前を起承とするならばまさに転と言える内容だったかと思います。それまでの
智の追い求めた幸せの形としての一つのHAPPYエンドであり、「終章」に向かうために必須な
BADエンドであったのではないかと。智の自惚れと、挫折、叶わない現実…決して幸せと言える
結末ではなかったとしても、智が最も人間らしい話だったと思います。「央輝編」の最期で央輝を
止めた智と、「恵編」で決断した智が、どちらも同じ智であるということが「終章」への鍵になっ
ている様に思いました。本編で語られ続けてきたことなのですが、FDではその点をあまり言及し
なかったのは、そこが「終章」の肝だったからでしょうかねぇ。
「終章」は、本編からFD通じて初めて智の持つ能力について語られるルートですが、不幸な能力
であることを上手に表現している様に思いました。タイムリープ的な展開についてはまぁベタな展
開だなぁという感想ですが、その先を見出すきっかけになったのが、「恵編」で失敗した智の弱さ
であり、そしてそれを気付かせた仲間達の記憶だったというのは、如何にも「るい智」だなぁとい
う意味で妙に安心してしまいました。私的には弱さが絆になっているのは「るい智」の一番好きな
テーマだったりするので、それを期待はしていましたが、予想以上の展開ににやけが止りませんで
した(笑)落としどころとして、「人間の尊厳」としたことは結局本編と同じ展開なのですが、『観
測所』で恵に本音を吐露させたことは物語全体にとって大きなカタルシスになっているのかなぁと。
エピローグは、結局呪いを解く前の話でしたが、そこに智の望んだ本質的な幸せがあったと言う事
なのでしょうか。私にはそれは智が「呪い」を乗り越えたのだということなのかなと思いました。
最期に「るい智」の中で一番印象的な言葉をあげてみます…『未来は未踏である』
そして一番好きな言葉は…
「うまいうまいうまいうまい」でした!
だってこの時の智がすごくかわいいんだもの…。
駄文失礼致しました。