ErogameScape -エロゲー批評空間-

sugercubeさんの装甲悪鬼村正の長文感想

ユーザー
sugercube
ゲーム
装甲悪鬼村正
ブランド
NitroPlus
得点
94
参照数
535

一言コメント

辛辣さに徹しきれないNitro+らしい、ストイックな優しさを込めた渾身の1作。いろいろ肩に力が入り過ぎてる様な印象ですが、そこがいい!テーマを一言で言うならば「風狂」。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

臨済宗の教義を連想させるような1節もありましたが、今作は「一休宗純」をリスペクトした
物語なのでしょうか?
一休宗純が風狂に至るほどの辛辣なストイックさと、景明が悪鬼の道を選んだストイックさは
その方向性は違えども、自身の境涯を持って語る姿勢を見れば、本質的には同じものではないかと
思うのです。
そこまでに至るには、様々な葛藤、闘争、挫折があり、多くのものを犠牲にしてしまう。
今作ではその辺りの表現に妥協せず辛辣に表現しています。でなければ、その先にある景明の選び
取った道にこれほどの説得力を持たせることは出来なかったでしょう。
闘争の中心にいるのが人間であると言う事、あらねばならないと言う物語の縛りと、その証明の
ために英雄編、復讐編、魔王編とたっぷりボリュームを割いて表現している様に感じました。

そしてドラマとしては、冗長に感じるかもしれない悪鬼編ですが、人として「武」の体現者たらん
とした、その1つの解答を得るために非常に重要な1節だと思います。
クライマックスで一蔵の立ち位置が明確になるのですが、彼こそは既に風狂を体現している者であり、
この物語の持つ横顔そのものであったのではないでしょうか。

最後に締めの文字を「始」としたことは、物語の真のテーマはその先にあるのだと言うことなので
しょう。まぁこれは全て私見での感想を超えるものではありませんが。

非常に興味深いテーマを考えさせられながら、際立ったキャラクターが織り成すドラマで飽きる
ことなく最後まで楽しむ事ができました。

































最後に、三世村正マジ萌えた。