ノーマルルートについて
黒澤明監督の「乱」という作品がある。
大名家の親兄弟が殺しあい、幸せをつかんだ瞬間に瓦解する。
親兄弟が皆死んでしまった悲劇に小姓の狂阿弥が絶望し、空に向かい神を責める。
盲目の鶴丸が崖の上から落ちる寸前のところで助かる。
シェイクスピアの「リア王」を骨格とした作品だ。
生きる意志に乏しいあろえでさえ死んでしまった世界に
司は絶望せず、神を責めるわけでもなく
人間が作り出し、人間が修復したキリスト像を天に掲げる。
SWANSONGを醜いと感じる人と美しいと感じる人がいるのと同じように、
人によって正義の価値観が違うように。
悲劇も見方によっては人間賛歌なのだ。