これは「あいとゆうきのおとぎばなしだ」。それ以上でもそれ以下でもない。何か、ファンをばかにしてるとか、戦争賛美とか見当違いのことを述べる輩がいることが本当に残念でしかない。その「立脚点」を持っていれば、この物語の主題が見えてくるのではないか?
この作品には100点以外付けられない。
始める前は「なんだよ、グロゲーかよwwwアージュ終わったなwww」
とか考えてて敬遠してました。
無印のマブラヴはエクストラのみのプレーで適当にしかプレーしてませんでした。
そこで今回、ゴールデンウィークを利用し、アンリミデットとオルタをプレイ!!
以下、感想。
総括
圧倒的なシナリオを始め、音楽、エフェクト、CVなどあらゆるものが一級品。その一級品を絶妙に調合し、この作品が生まれた。間違いなく、この業界における最高傑作と言えるだろう。少なくとも私はそう思う。
平行世界に飛ばされた主人公が仲間と、そして恋人と共に成長し世界を救う。一文で述べるとありがちな陳腐な作品と捉えられるかもしれない物語をこのような、誤解を恐れずに言えば、高尚とも言える領域に昇華したシナリオライターを始めとするアージュのスタッフには、一ファンとして敬意と共に感謝の念を送りたい。
この作品には多々の批判がある。量子論や多宇宙世界解釈を大事な軸の一つにおいている以上、そのような方面の研究をかじったことのある人ならば、違和感や疑問点も湧くだろう。無意識や世界のループ、因果律、またそれによる平行世界の相互補完的な流入、流出といった論理の確立していない我々の既存の知識では穴があるのは仕方のないことでしょう。
私は個人的に量子論の本を少し読んだことがある程度だし、無意識とかの研究はフロイトやユングといった人物のことくらいしかわかりません。
なのでここで詳しく述べることはお門違いなのでしません。
ただ、これはこの物語のテーマを述べる上で、こういった世界が都合よかったからに過ぎないのだからだと私は考えています。詳しくは後で述べます。
一番の賛否両論の種と言えるかもしれない、グロ描写。これについてはまりもの死を我々に印象付ける上で必要なものだったと考えています。
主人公はこの事象をターニングポイントとし、やっと自分自身に、そして世界に向き合うのですから。
一部、ユーザーへの配慮がないと言う方もいらっしゃるようですが、全てをアージュのせいにするのは違うと思います。
このゲームが18禁であり、メディア倫理の審査を通っている以上、社会通念上問題はないはずです。なのであとは個人の受け取り方なので、アージュは関与する問題ではないのだと私は考えます。事実、私は驚きこそしたものの精神的ショックはさほど受けませんでした。あれより気持ち悪いものなんて世間には沢山溢れています。
同様に、澄香の拷問描写についても同じでしょう。個人的には触手とかそういう三次元世界に極めてありえないプレイには興味がないので、正直引きました。だが、それもまたこの物語の澄香とBETAを結ぶ上で印象度を深める描写と言ってもいいはずです。
この作品は「あいとゆうきのおとぎばなし」である。御伽噺である以上、物語に教訓、批判は必要だ。
この世界では戦争というものが核になっている。戦争という舞台を通じて我々の「生きる」ことに対する態度を批判し、反省を促す、というのは本文を読んでいればわかることだろう。
ここで戦争という舞台が導入されたのは、「生きる」ことを感じるのに手っ取り早いのが相対的な概念である「死」であると思った結果であろう。
決して、戦争賛美などではない。ただ、必要だったからに過ぎなかったのだと私は考える。
事実、主人公はあらゆる人々の死を通じ、「生きる」という意味や、意義を知って成長していった。まぁ、描写上の主人公の成長は分かりやすくは描かれていなかったと思うが。
それに、主人公は死を通じて「勇気」を得た。ここでは覚悟と置き換えた方が分かりやすいかもしれない。内容的には悠陽の提言がわかりやすいだろう。主人公は何度も悠陽の言葉を思い出し、行動を重ねた。行動を決める勇気。それはとえ周りの人が傷ついても大局的な行動を果たす。そういった覚悟だ。
そして、そこには「愛」があった。ヒロイン達は主人公を愛し守ろうとした。主人公もまた澄香を愛し澄香も主人公を愛した。愛するものを死なせたくない。その気持ちが「生きる」こと、また「死」に密接に関係していたことをこの作品をプレイした人にはわかるだろう。そして、その行動を取らせたのは勇気ではないだろうか。
これはあくまで私自身の感想である。そのことを忘れないようにしていただきたい。
私は別にアージュの信者ではないし、手放しでこの作品を賞賛するつもりもない。私がこのように評価しても、アージュの意図は違うかもしれない。
リベラリズムやネオ・リベラリズムの違いのように「主観性」と「客観性」のどちらに重きをおくかによって話は変わってくるだろう。
上で述べたよう穴はあり、人を不快にする要素もある。また、度重なる延期もあった。だが、私にはそのようなマイナスを帳消しにするほどの衝撃があったし、延期した分以上の価値を見出した。ただそれだけだ。
この作品を越えるのにどれくらいの年月が必要になるのだろうか。これだからエロゲはやめられないw
最後にもう一度この作品を作ったアージュに感謝したい。ありがとう。そして、武を救ってくれてありがとう。