ErogameScape -エロゲー批評空間-

st.さんの乙女理論とその後の周辺 -Belle Epoque-の長文感想

ユーザー
st.
ゲーム
乙女理論とその後の周辺 -Belle Epoque-
ブランド
Navel
得点
85
参照数
877

一言コメント

エッテルートアナザーというかエッテルートリベンジ

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

   ※ この感想は感想と妄想でできています ※



大蔵家の孫世代が好きで好きでたまらないです。
発売前にプロモ公開されてたOPを見て「素材が前作のやつばっかりで不安だなあ。本編の後味を殺すようなガッカリFDにならないだろうか……」と評価待ち気配になりつつも、
大蔵家孫世代集合の一枚絵を見た瞬間、思わずポチってしまいました。
孫世代はそれぞれ違うベクトルで頭おかしい連中ばかりなんですが、頭おかしい割にみんな妙に純粋なところがあって大好きです。
特に衣遠お兄様はりそなと並んで俺がこのシリーズを追い駆ける要因となってくれました。
ありがとうございます、お優しい衣遠お兄様。たとえあなたが「惰弱」というテキストを「情弱」と読み間違えるようなことあったとしてもこの忠誠に変わりはありません。
でももし将来甥っ子にだだ甘になってたら考え直すかも。


前置きが終わったところで、まずは総評。
全体的な感想としては、「値段の割にボリュームに欠けるものの、この雰囲気がまた味わえたならまあいいか」という感じです。
OPを見た時には新規絵不足を不安視しましたが、予想に反して新規の一枚絵は結構ありましたし、ここは満足。もしかすると一部キャラは立ち絵も新しくなってますかね?
演出の幅が増えたように思いますが、ここは良し悪しですかね。ギャグっぽいわちゃわちゃ感は増しましたが、発言者以外のキャラの心情を表現する頻度が落ちた気がします。
あと演出に関しては、りそなアフターのコレクションのあの演出は好きです。演出としても面白いですし、何より誰が勝者なのかについて納得しやすかったです。

それと、本作をプレイしてみて、やっぱり俺はこのキャラ達が好きなんだなーと思い知らされました。
なんといっても会話が好きです。掛け合いっていうか会話になってます。
みんながみんな一人上手なセリフを垂れ流しまくってるんですが、相手の言葉尻のパクり合いをしたりしててめちゃくちゃ噛み合ってるんですよね。
コミュ障設定キャラが多い作品ですが、トークスキルに長けてて頭の回転も速いコミュ充の会話になっていて、聞いていて気持ちいいです。
また、声優さん達も一人上手なセリフを非常に表情豊かに演じていて、そのあたりも気持ちよさに大きく貢献していました。
演じてる側も演じ甲斐があるんじゃないかなーと思えるテキストです。もちろん俺が勝手に思ってるだけで実際どうなのかは知りませんが。

その他の点だと、このシリーズはBGMが素晴らしいです。
個人的にADVをプレイする時はBGMのボリュームをかなり絞るタチなんですけど、このシリーズは音量気持ち大きめでプレイしてます。
特にタイトル画面で使われてる曲がお気に入りです。軽快な中に上品さも漂わせていて、聞いていて楽しく幸せな気分になってきます。

あと、今回はエロシーンの変態度が増してるのも良かった点です。
とはいえフィニッシュ前のヒロインの喘ぎが短くて「あれ、もう終わるの?」と思うことが結構あったのが残念。
てかこれ遊星が一人でイってばかりじゃありません?
伝わってこない。ヒロイン達から「自分も気持ちよくなるんだ」という欲求が全然伝わってこない。
でもなんかそれでいいやって思ったのも事実です。そういうgdgdなところもこのシリーズらしいですし。
そもそもエッテとのシーンとか凄いですよね。主人公はマッパなのにヒロインはアウターすら脱いでないの。
伝わってくる。メーカーから「おまえら朝日で抜きたいんやろ?」というサービス精神が伝わってくる。そして「朝日の喘ぎ声が聞きたきゃ次回作を買おうね?」という商魂も伝わってくる。
ですがその目論見は無駄だと言いたいですね。朝日の喘ぎ声なんかに負けたりしない!(キリッ
まあそれ以前に乙りろシリーズはこれで完結でしょう。もう続きを作るのは無理でしょうし、更に続編となるとタイトルも『乙女理論とその後の周辺から徒歩3分』とか訳わからん感じになりそうですし。

(追記: webサイトをよく見たら朝日ボイスパッチは既に公開されてました。失礼しました。Navelさんはほんまカスタマーサービス精神の塊やでぇ)


といった感じで、フルプライスの割にはボリューム不足だと思うので基本点は75~80程度ですが、
テキスト・イラスト・声・演出をはじめ全体的にクオリティの高さが感じられて満足したので、85点です。



         *   *   *



ここからは個別ルートの感想です。
とはいえボリュームや内容的にアフターの方は特に触れるほどでもなさそうなので、おそらく今作のメインであろうエッテアナザールートについて。



   【エッテアナザールート】


面白かったです。本作についてコスパが悪いと感じつつもそれなりに満足できたのは、特にこのルートがこの出来だったからです。
乙りろではあまりエッテに魅力を感じてなかったのですが、本作では要所要所でエッテの元気なかわいさが光っていました。
エッテのかわいさに関しては一枚絵の力もかなりあると思います。
正直うまい絵だとは思わないのですが、遊星が男だと確信した場面やアントワープでの場面などなど、一枚絵のエッテがかわいくて仕方ありませんでした。

ちなみにこのルートは「エッテアナザー」ルートなのですが、案の定あまりヒロインに焦点が合ってないです。
ルートの内容の内訳としては、大蔵家5割・アンソニー2割・エッテ3割くらいです。
これ「大蔵家アナザー」ルートじゃね?

とはいえその大蔵家展開が面白かったんだから仕方ないです。
悪役達の思惑が交錯する中、厳しいストレス下で主人公やヒロインやサブキャラ達が知恵と根性を振り絞り、力業でハッピーエンドをもぎ取っていく。
乙りろのりそなルートやメリルルートと同様、黒いところは黒く、熱いところは熱く、かわいいところはかわいい、非常に気持ちの良いルートでした。


そうした喜びもあったルートでしたが、何より嬉しかったのは、エッテというヒロインにようやくまともなルートが出来たことです。
乙りろ本編でもエッテルートは存在していましたが、とてもメインヒロインの一人に与えられるようなものではありませんでした。
勝手な想像ではありますが、乙りろ本編をプレイした時には、
「ネタが出なかったのかスケジュール的にまともなルートを作るのが間に合わなかったかの事情でエッテルートが犠牲になったのでは」と感じました。
そのエッテのルートがこうして新たに作られて本当に良かったです。
それも単なる間に合わせではなく、しっかりと面白いルートでした。個人的にはつり乙・乙りろ・乙り後の中で四番目に面白いルートです。
ちなみに俺の中ではりそなルートが別格で、ユーシェルート、ルナルートと続いて、その次が今回のエッテアナザールートです。


そういえば乙りろをやってるとつい忘れてしまいますが、
東ノ助さんは大蔵家ルートのようなおんどろでんでろダークパワーな物語だけでなく、
ユーシェルートのようなラブパワー全開のド根性物語も書けるんですよね。
久々にユーシェルートも少しプレイしたのですが、ユーシェの魅力が弾けまくっていて改めて驚かされました。
乙りろも大好きなのですが、ヒロインが大蔵家騒動に埋もれがちになっているのは否めなかったので、
あのようにヒロインを中心とした「夢に向かって一直線! 恋の力でがんばるもんっ☆」な物語もまた堪能したいなと思いました。
「(既につり乙2にそういうルートが)入ってるんだよこの野郎!」ということだったらすいません。



         *   *   *



というわけで感想の締めくくりをば。
エッテアナザールートが面白かったので満足です。今作でエッテのことも好きになりました。
今後もこういう気持ちの良い作品と出会いたいものです。
















はい。
比較的綺麗に締めくくったところで、ここからは割とどうしようもない戯言を書き殴ります。



カリンさんに「何なりとお申し付けください。私があなたのお世話をします」と言われた時には性的なお世話展開が来ると期待したがそんなことなかったぜ。
結構期待してたのにおあずけですか?俺そういうので喜ぶようなマゾじゃありませんが?
でもやっぱり主人公が遊星なので浮気まがいのことは無しなんでしょうね。
いやしかしですね、たしかに遊星とそういうことになる展開はNGでしょうが、
上司である駿河さんがパワハラでカリンさんに性処理を強要する展開はエロゲ的にアリなんじゃないですかね?
つまり駿河さん鬼畜攻めのカリンさん無感動受けこそが最適解だということです。
駿河さんに性処理を命じられて時折嫌悪や軽蔑の眼差しをよこしつつも気丈に淡々とフェラなどをこなすカリンさんなのですが、
生挿入を強要された時にはかすかに動揺の色を覗かせてしまって、
そのことを気取られないように取り繕うカリンさんでしたが駿河さんはそんな彼女の弱さを見透かしていて(以下だらだらと妄想を垂れ流すだけなので割愛)

まあ要するにカリンさんのエロシーンが欲しいってことですよ。
あとドイツの人のも欲しいです。姦通時に「挿入る(はいる)!」とか言わせたり中出しした時に「被弾!」とか言わせればいいと思います。すいませんやっぱりそんなエロシーン嫌です。
それはさておき、実際リンデはFDでなら中規模のルートがあってしかるべきアホかわいさだと思うのですが。
大した影響力は持ってないリンデですが、この主従が出ると非常に和みますし、主従揃って好きです。


でも本当に欲しいのは衣遠×八千代ルートなんです。
ルナルートアフターでの二人の絡みや白玉ブログに掲載された学生時代のアレとかを見て以来、俺のカプ厨魂が平蜘蛛バーニング状態でもう止まりません。
今回は二人が絡むシーンがありませんでしたが、まず八千代さんの「大蔵くん」っていう呼び方がちょっぴり好きなんです。もし他メーカーの某CATIONに八千代さんによる「大蔵くん」ラブリーコールが謎実装されたら自分の名前なんて無視してそっちで呼ばせたい程度には好きです。

とにもかくにも、あの二人ならエロゲ的にもいい感じの「大人のコミカルな恋愛ルート」ができると思うんですよね。
たとえば八千代さんが未だに処女なことが弾みで発覚して、さすがの衣遠でもそのことをいじるのはさすがにためらわれて、
そんな気遣いがなおのこと気に障った八千代が「学生時代に大蔵くんが抱いてくれなかったせいでこうなったのよ?」とやや理不尽にキレて、
「いや待て山吹、俺の愛人になったらどうだという誘いを断ったのは君の方だ」
「なるかそんなもの! え、ごめんごめん、何? あれ素で言ってたの? 大蔵じゃなくてボンクラなの?」
みたいな学生時代の距離感で話をした後、当時の衣遠が父親の愛人に横恋慕してたことが発覚して八千代がドン引きして、
その愛人の息子が遊星であり女装すると母親そっくりなことを聞いて八千代が更にドン引き、みたいな。
そしてその後ちょっと当時を懐かしむ空気になって、なしくずし的に衣遠が八千代をお持ち帰りすることになって、なんとなくお互い引くに引けない感じになって、
「君を未だに処女にさせてしまっている責任を取る」みたいな締まらないセリフでギシアン突入する訳です。
で、翌朝二人とも後悔しつつもお互いもう大人なので「一晩限りのこと」ということで忘れたことにしようとするんですが、
何らかの外的要因で次の晩も同室で寝ることになってしまい、雰囲気に流された二人は(以下だらだらと妄想を垂れ流すだけなので割愛)

まあ要するに衣遠×八千代ルートのスピンオフが出るならたぶん買うってことですよ。
いや、さすがに衣遠×八千代派以外にケンカを売るルートになるのでまず実現しないと思いますが。
でも八千代が結婚するなら衣遠しかないと思うんですよね。
この作品ってかなり少女漫画ですし、ということは八千代の「大蔵くんだけはない」というセリフはいずれ「大蔵くんしかない」となるフラグのはずですし。
プレイしてない俺が悪いんですが、時間が次世代に飛んでるつり乙2では結ばれてたりするんでしょうか。






それでは最後に愚痴を一つ。

言うまでもなく、このシリーズの一番人気ヒロインはお優しいルナ様です。
俺も好きです。男主人公遊星のヒロインはたくさんいますが、女主人公朝日のヒーローはルナ様しかいないと思います。
ですが、あれはさすがにおかしくありませんか?
こと「乙りろ」に限ればルナ様はサブキャラですよねえ?
「乙りろ」メインヒロインはりそなのはずですよねえ?
だったらなんで今回も、予約特典情報一番手がルナ様なんですかねえ???

   てめーはりそな派のおれを怒らせた

しかし怒った結果として特典「りそな抱き枕カバー」込みで予約買いしてるあたり完全にメーカーの術中にはまってますわ。
てか抱き枕本体を持ってないのにどうすりゃいいんですかこれ?
それにしてもりそなって身長の割には胸があるんですね。85cm設定なことに今更気付きました。ロリ巨乳はなんとなくえぐいけどチビ巨乳はロマン。



比較的汚く締めくくったところで感想を閉じます。最後までお読みいただいたのにこんな感想で申し訳ないです。