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spindriftさんのFairChildの長文感想

ユーザー
spindrift
ゲーム
FairChild
ブランド
ALcot
得点
70
参照数
496

一言コメント

ネタバレ

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

最初にシステム的なところで気になったのが会話ウィンドウにキャラクター名が表示されないこと。一応キャラクターごとに文字色が違うので区別はつくんですが普通名前表示されてますよね。まあ立ち絵も一緒に表示されてますから誰が話してるか分からないってことはないですがサブキャラとかは最初は名前なんだっけ?が起きると思います。
あと会話ウインドウが一発で消えません。メニューを開いてウインドウを閉じると段階を踏まないといけません。経験では右クリックとか×ボタンで会話窓消せてるのでここも違和感を感じました。
ゲームは第一部と第二部に別れていて第一部はマップセレクト方式でお目当てのキャラクターを攻略していくタイプ。またそれに加えて選択肢があります。都合上共通らしき共通はなくてどのルートでも決まった時期に起きるイベントくらい。この選択肢が厄介で特定のヒロインを選び続けても第二部の個別に入れるとは限りません。中にはかなりシビアなものもありバッドエンド量産です。また第二部の個別に入っても選択肢次第でバッド、こちらも結構難しいのがありすんなりとは行きません。セーブロード駆使すれば何ともないと言えばそれまでなのですがせっかく入り込んでてもその度に若干テンションダウンするのが頂けないですね。バッドの分岐はクリアしてから回収したほうが気持ち的には楽なので。
 各キャラクリア後におまけHシナリオがプレイでき、H分を埋めています。本編HはHシーン(HCG)が各キャラ一回使い回しがあるのでここで補填できるのはいいですね。ただおまけのほうはFD的クリア後日談というわけではなく本編の中で起きたことになってるのでもともとは本編にあったのを切り出したものかなという気もしますが。
 あとBGMが結構いいです。聞きたくなるのもいくつか。以下キャラ別評価。公式の人気投票では悠姫>こころ>とばり>朔夜>恋鳥ですが個人的には 朔夜>恋鳥≧悠姫=こころ>とばりという感じ。

朔夜・・・無口系完璧キャラ。シナリオも仲良くなって好きになる過程が自然で好き好きオーラが出てるのも○。ヒロインの呼び名が加賀見先輩→朔夜先輩と変化するのも嬉しい。主人公のクライマックスでの「愛してるんだ、朔夜」のセリフはほろっと来ました。その後呼び方が朔夜先輩に戻っちゃうのがもったいないですが。そのまま朔夜って呼んでほしかったところです。

恋鳥・・・エロ妹系キャラ。途中までは良かった、途中までは。第二部の冒頭は朝フェラから始まるエロラブラブっぷりですが、後半主人公のことが大好き過ぎて周り見えなくなってなんかギクシャクみたいな流れです。そのままでもいいのに。主人公の行動も乱暴なところもあってそれはないだろってのもあります。まあ緩急つけなきゃいけないのは分かりますが、恋鳥とばりこころの幼馴染3人組はその急が全部破局の危機なのが頂けないですね。シナリオのクライマックスは感動させに来ます。自分は泣けました。泣けたらまあ制作側の狙い通りって感じですかね。期待された役割はそれでクリアしてると思うのでこの順位。

悠姫・・・ツンデレ金髪お嬢様キャラ。シナリオもお父さんに恋路を邪魔される超王道。流れもバカップル地味たところもあっていい出来なんですがそこまではまりませんでした。
このルートは特に選択肢が厳しくて何度もバッドになったせいもあるかと。またクライマックスはちょっと手遅れだったような気もするのが引っかかりました。そのせいで感動できなかった。どうせなら完全に円満に解決しても良かったですね。後、悠姫だけおまけHが後日談になってるのでこのルートだけ別の人が書いたのかなという気がします。そのせいか世間の評判はいいですね。

こころ・・・このルートは何でこうなったのかなという気がします。第一部は好きなのにずっと告白できない主人公をサブキャラの大吾が最後に超かっこよくサポートして結ばれます。あまりのかっこよさにぐっときました。こころルート第一部では唯一他キャラと違ってバッドを引かずに一発でいけたのですがこのバッドは大吾にヒロイン取られるのがあるので一回でいけるかいけないかでだいぶ印象変わると思います。第二部は途中までお互い大好きずっと一緒にいようねの流れなのに途中で破局の危機。ここは思うところがあるのでちょっと書きます。
超平和ラブラブ→お菓子コンテストがあるみたいだよ(こころはお菓子得意設定)→出場決定→お菓子作りの練習したりするシーンあり(Hシーンも絡むくらいのイベント)→当日、開催、そして優勝(あれ文字量たった一行のイベント?練習描写もあったのに。しかも結局何作ったのかもわからない)→腕を認められてフランスで修行積みませんか?とスカウト→主人公と一緒に居たいから別にいいの→お菓子屋になれる夢がかないそうだな、邪魔だから別れよう(え主人公からそんなこと、いいって言ってるのに。しかも乱暴に振り払ったりする)→ギクシャク→一応解決→渡仏前に最後にもう一回デート(ああ結局行っちゃうのね)→すぐに一年後、再会(あれ、また一瞬?あれだけ揉めた一大事だったのに。これ行く必要ないじゃん)

 主観が入ってますが大体こんな感じです。最後の解決にもまた大吾に助けられます。大吾に真の主人公で賞を授けたいくらい。
 何も外国に修行に行かなくてもお菓子屋さんにはなれるでしょう。お菓子屋さんの夢は主人公が実家の花屋継いで同時にお菓子も提供すればいいじゃない。シリアス入れたいのは分かりますがキャラ自体はいいので勿体ないです。

とばり・・・第一部はいいんですが、第二部は恋鳥の主人公への想いを応援しつつ、隠れて主人公と付き合う展開。そのせいであんまり付き合ってるって感じはしない上に終盤は本人同士の修羅場になる三角関係の昼ドラ的展開。成長物語ゲームとしてはシナリオの流れは全くおかしくなくてよく書けてるとは思うんですがこういう展開を期待してる層とプレイする層はちょっと違うでしょう。キャラはいいだけに惜しいです。

全キャラクリアすると成長した愛音とのHシナリオがあります。どうせなら成長前でもよかった。総じて中古なら手ごろな価格ですから十分プレイする価値はあると思います。