ハルキオンザロード
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私の苦痛が、誰かが笑うきっかけになるかもしれない。
しかし、私の笑いが、誰かの苦痛のきっかけになることだけは、絶対にあってはならない。
チャールズ・チャップリン
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☆攻略順
高城冬羽→綾目七夕莉→四葉琥珀→待雪亜芽→葛ノ葉チトセ(ルートロック)
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キャラゲーを無駄にシリアスで語った、キャラ好みの激しい批評となってますので、読む際はどうかご容赦下さい。
また、本批評はあくまで自己満足的な一個人による解釈であり、断定出来る物ではない事を予め、ご了承願います。
1.全体感想
楽しめたモン勝ち、って風潮があります。
例え多くの部分に欠点があっても「でも、楽しかったろ?」と問われて肯定出来たら無問題と、常々思いたい人生でした。
いくら「批評」と格好つけたって、結局は理屈のみに左右されない主観的嗜好が多くの価値を占めるもんです。
そこに対しては僕自身、素直な気持ちで向き合いたいなって、心朗らかに文章を書いてます。
さて、そんな素直な気持ちで語るとするなら、本作は間違いなく「楽しめた」部類に入るでしょう。
主人公は面白えし、ヒロインは「ほぼ」可愛いし、掛け合いも僕の中では性に合っていた。キャラゲーとしてはあまり文句なし。
ユーザーを飽きさせない為の展開工夫も随所に感じられて、某ルートは「正直好き」と言う結論にまで至った次第
完全攻略出来ただけで価値があると思える程、僕はキャラゲーに対する性根が飽きっぽい人間なので、本作に対しての評価もそんな低くないと言えましょう。
でもね……すっごいモヤモヤしちゃったの。
バカゲーとかキャラゲーって、基本考えたら負けだと思っているんですけど、終わった現在、凄く心が切ないの。
それがクリアした読後感故の寂しさとかだったらまだ良いんですけど、深く分析してみたらちょっと違うなって。
だから、僕はやっぱり考えるしかないと言う事で、少しそれについて個人的感想も踏まえつつ、内容を記載していきたいと思います。全体的に書いていきますが、メインとなるのはチトセルートと亜芽ルートです。
また、プレイ中は結構楽しめたんで上記の点数と相成りましたが、本作を語る際は、少しばかり厳しく発する部分も多々ある事を、何卒ご了承下さい。
さてそれでは、批評へと入る前に、僕が1番申し上げたい事の発言開始。今こそ、始まりの合図なり。
HULOTTEさん、ルートロック対象についてはもう少し考えましょう。
2.主人公について
と、それぞれのルート感想について語る前に、まずは彼について少し述べさせて下さい。
「待雪晴季」
誕生日……1月22日
本作の主人公。
進学を機に親元を離れて都会の待雪家に居候している。
面白そうなものにはなんでも手を出すレベルの面白ジャンキー。
そのおかげでゲームでも本でもなんでも手を出すし、人の誘いには全乗っかりするくらいのポジティブガイ。
学園では生徒会副会長をやっているくらい行事などにも全力参加。
運動は苦手なので裏方をこなすのが割と得意。
久しぶりに再会した亜芽には最近冷たくされている。
ネットアイドルの追っかけをしているせいかもしれない。
もしくは、学園で美人な先輩に引っかかって副会長になったからかもしれない。
もしくは部屋にある巨乳本がバレたからかもしれない。
でも、対戦ゲームに誘うと乗っかってくる亜芽のことは気に入っている。
透明人間化することで更なる刺激を手に入れつつ、これをなんとか人助けとかに使えないか思案する。
エッチなことにも普通に使う。
そういうタイプ。
(『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』公式サイトより引用 http://hulotte.jp/product/invisible/)
作中では特に語られていませんが、彼の誕生日は1月22日。待雪草(スノードロップ)の誕生花と同じです。
そのスノードロップは「希望」「慰め」にして「死」の象徴と称される花
エンジョイ&エキサイティングと称して生きている彼の生き方は、上記3点を見事根底に反映させながら生かされていた思想でした。
自分の人生を省みる事無く刹那的に、希薄な『生』に従って生きる事と相成った待雪晴季
大切な存在である亜芽を含めた周囲の人達に気取られまいと、自身の存在消失に対する恐怖や葛藤を押し隠し、他者を元気付けて楽しく「生きようと」してきた権化
それが「エンジョイ&エキサイティング」と言う思想で反映されているのが、作中でも少なからず感じられた次第
だからこそ晴季の心境は、発言内容の裏に達観した意味を感じたり、周りを良く見て行動してたりする部分も併せ持っています。
しかし、そんな笑顔を与える行動の危うさを、全てと言わずともよく分かっている人にとっては、それが「笑い」には繋がらん訳で。
本作はそんな騙し騙しに過ごす彼と、しっかり気付いている彼女達によって取り巻かれていた物語……と強引に纏めた上で、早速ルート感想へ移ると致しましょう。
3.ルート毎の感想
【1】共通ルート
全体的に面白可笑しく進行しているのが特徴。共通ルートに限っては正直あんま文句が無い位
やっぱ主人公が良いと、場面内容も映えますね。面白みの欠片もねえ無個性野郎じゃない時点で個人的には好感触でしたが、やってる行動自体が懐かしい部類に入り、一周回ってどこか新鮮に感じられた心境
しかし、要所要所で不穏な表現や心境描写、発言やシーンの数々も多く感じられたこの部分。場を彩るギャグだけじゃ終わらねえぜ?ってのも妙に強く感じられた共通展開です。
特に彼の過去が絡んだシーンの数々は、個人的嗜好故、結構お気に入り部分だったり。
「人はいつ死ぬか、それは人に忘れられた時さ」と申した1人の医者がいましたが、それは即ち「生きていても死んでいる」状態にだって成り得る証明です。
生きている人間の中に、自分の事を覚えている存在が誰も残っていない時、人は自然に「死」の道へと傾いてしまう。
それを痛感していたからこそ、彼は「エンジョイ&エキサイティング」で普通な自分を他者に確立して貰っていたし、逆にそうする事でその恐怖から逃避する道を選び続けていました。後者の意味合いの方が強いかもね。
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このままでは自分が消されてしまう。
それは圧倒的な恐怖だ。
完全に消え、なくなり、だれの記憶からも忘れ去られてしまう。
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』共通ルート 待雪晴季
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思い出したように、私はここへやってきては、兄さんのことを考えます。
誰にでも明るく、楽しげに振る舞う兄さんが、いつからあんな風だったかを思い出しながら。
「昔はもうちょっと、カッコよさに比重が向いていたような」
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』共通ルート 待雪亜芽
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彼が背負ったトラウマってヤツは、有体に申せばそういう事
河辺の事故は自身の生き方を決定付けた出来事であり、「エンジョイ&エキサイティング」は「自分がいつ死ぬか分からない、いつ死んだっておかしくない」事を体感した男による「普通」を求めた「足掻きの生き様」に他ありません。
しかし、そんな生き方の真意を感じている人達が少なからず彼の周りには居る訳で。彼女等の懸念を取っ払う為、彼は自身の力量を越えた行動を無理に行い、更に逃避の道へと突き進まざるを得ない始末
晴季の「リメンバー・ミー」と叫び続ける防衛機制は、逃げ続ける精一杯の信念は、トラウマ外傷を負った彼にとって自分の首を絞めるだけ。それを分かっているからこその達観、恐怖、そして痩せ我慢も要所要所で強く感じられます。
これはそんな共通ルートであり、だからこそ小生は、1番彼と密接な亜芽ちゃんのルート内容に結構な期待を寄せていたのでした。
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誰も独りじゃないって言葉 疑う夜がある様に
時に大声の真似を知って 頼りない日々を守っている
tacica「vase」
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ただね、ある意味ここから複数ライター故の欠点が浮き彫りになっているのも、少しばかり視認出来た次第
最初に河原へと辿り着いたシーンの数時間後、後半の勉強会前日で「もう何年も来ていないのに、なにも、変わらないな……」とボヤく場面は、思わず首を傾げちゃいましたよ。
まあ、背景は同じだけど場所が同じじゃなかったんでしょ? 最初のシーンは遠目から見たもので、次のシーンは「(近くまで)もう何年も来ていないのに……」って意味だったんでしょ?と、適当に脳内補完して先へ進みます。そこに固執したって仕方ないので。
【2】冬羽ルート
はっきり申せば、あまり印象には残らなかったシナリオです。
彼女が新しい物好き、風潮に流されやすい体質なのは共通ルートでも少々描かれていましたが、急造したソシャゲの話から始まる交流で半分を占めるとは思いも寄りませんでした。
その際に仲良くなって、生徒会活動で学園行き始めて、イチャイチャし始めたらお互い透明化の呪いにかかっちまったって展開。終わった現在比較してみると、ヒロイン勢の中で最も単調な流れだったかもしれません。まあ、それが良いって人もいそうだけど。
でもだからこそ、僕個人の意見としてはこのルートを1番最初にやって良かったと思えました。主人公の過去等も全く絡まないサブルートみたいでしたが、飽きる事無く読み進められたんが幸いでしょう。
さて、このルートでは自分に自信が持てなかった冬羽の精神面解消が、透明化解除に大きな貢献を果たした次第。これって、全体を通して結構重要で。
此処を覚えているかいないかで、他シナリオにおける一部描写の見方も大分変わります。
彼女の自信喪失については、共通ルートであまり描かれていなかった分唐突感もありましたが、他者へ意外に気を使う配慮の姿勢はかなり克明に描かれていた次第
よって、亜芽が「兄さん」を好きである事実も知っている彼女が、彼氏彼女報告に対して二の足を踏むシーンの数々については理解出来なくも無かったかと。
後、明確に副作用の内容が明かされましたね。「T」を使い続けた際と同じ状況へ陥るだけだったので、些か拍子抜けでしたが、よく考えたらそれ以外考えらんねえわな。
他のキャラが晴季と冬羽を覚えていたのは、他ルートの使い続けた事で起きた「透明化」と違って、これが冬羽の「副作用」メインで起きた現象だからでしょう。使い続ける事で存在が消えると、チトセは言ってたし。
とまあこのように、フォローの気持ちが湧く位には、つまらない訳ではありません。ただ、冬羽とどのように出会ったかとか彼女の内面をもう少し深く掘り下げるとか、しても良かったんじゃない?と感じたのも事実。勿体無いってのが純粋な感想ですね。
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俺がはじめてチトセに選ばれた時、もしかして俺自身も、無意識に悩みを抱えていたのだろうか。
「センパイは、アタシのヒーローです。困った時も、普通の時も、どんな時も」
「ずっとずっと一緒にいられるようにアタシも強くなりますねっ」
そう言って、冬羽は俺を強く抱きしめる。
それが、不安にさせない男になろうと、俺が強く誓った日だった。
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』冬羽ルート 待雪晴季・高城冬羽
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上記エピローグから分かるように、冬羽ルートは晴季の悩みも全く見えず、これまでの生き様から抜け切った様子も見受けられません。このルート以後の展開は、彼がまた無理をし続ける未来しか見えない……と言うのは少々見方が穿ち過ぎでしょうか? 彼女が早く強くなって、彼と「対等」に支え合いながら生きていける事を祈るばかり。
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「大事な人がいるだけで、どんな苦悩も乗り越えられるもんなんだわ」
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』冬羽ルート 葛ノ葉チトセ
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しかし、そういうルート内のテーマが作中チトセの台詞にもありますが、クリアした今聞くと、凄え怖いんですよね。彼女が言うと洒落にならない。言葉の裏を感じてしまう。
あんな事件があった後で、普通にチトセと仲良くできる晴季と冬羽はかなりの聖人です。僕には絶対無理でしょう。
【3】七夕莉ルート
性欲大魔神誕生の章
まさかあの「妄想パート」以上の「変態生徒会長」だったとは夢にも思わず。僕も晴季君と同様「へっ?」と驚愕してしまいました。
いきなり「処女をもらってくれ!」ですからね。「セックスするぞ、待雪!!」ですからね。そこから三日三晩以上の性交描写とか、いくら夏休みだとしても爛れ過ぎでしょう。凄いね、若者の性欲は。
そしてこの七夕莉ルートは、主人公自身がそれを疑問に思い始めてから、シリアス展開へ突入していく次第
そんな彼女の物語は、あくまで個人的意見を申すなら、亜芽ルートの下位互換。しかし、何も考えず読み進めていれば楽しめるルートとも言えます。
上記2人のルートは生徒会に所属するヒロイン達の物語ですが、どちらもヒロインの中ではサブって印象が強め
それは、根幹となる主人公の設定をあまり表とせず、これから語られるルートの補足描写的な側面も多く鏤められていたからです。
主人公のトラウマやエンジョイ&エキサイティングを例とする生き様にはそこまで深く足を踏み入れず、彼自身の過去とも向き合わず。無理をしないで生きていけるんじゃ?って事を示すオアシスキャラクターの魅力によって、彼女達のルートは彩られています。
さっきシリアス展開と申しましたが、まあそんな大した事ねえし。僕自身は「分かる、分かるぞ!」と童貞感丸出しで共感しましたけど。
だからこそ、彼女等のルートの方が気に入った人もいるでしょうね。最後は見事なギャグオチだし。好みは実に人それぞれ。
ただ、会長の個性が瞬間記憶能力で、完全なる透明化にも至らせない最強特性ってのは、正直かなり萎えました。
世界のルールに当てはまらない生徒会長のチート具合は「七夕莉さん凄え!」と色んな意味で賞賛していた僕の熱も少しばかり冷却させた次第
まあ、その能力と、彼に対する想いの強さがあったからこそ、彼女は彼を忘れる事無く視認出来たんでしょうけどね。亜芽ルートでは結局、七夕莉さんも彼を見つけられず、亜芽と一緒に捜そうとする程には想いが湧いてなかったようですから。
ただ、真なる透明化へと至るリスクが此処で完全に消失する事、そして想いの強さと言う尊い力に対して少しでもチャチな感じが沸いてしまったのは、かなり複雑な心境でした。彼女の如きチート存在がそんなつまらん事を証明するのでなく、そこはやはり公平感を保って欲しかったのが、僕の正直な内心と言えるでしょう。
【3-EX】完全なる透明化解除へと至る為のプロセス
七夕莉ルートと冬羽ルートを踏まえて得られた推論「完全なる透明化はどうすれば解除出来るか?」
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「例えば、この必要条件と十分条件の問題ですが……」
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』七夕莉ルート 待雪晴季
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自身の存在があったと他者から認知される――①
透明化のきっかけとなった心の闇を失くす――②
以上2点の必要十分条件を満たした時、完全なる透明人間となった存在は他者からの認識を享受出来る。
周囲の世界から受け容れられて、そんな世界を受け容れられた時、人間は透明でなくなる。
当たり前の話でもありますが、一応此処に追記しておきます。
【4】琥珀ルート
テキストが変わった。本ルートを読み終えて最初に思った事
一文中、同じ単語を主人公の心境で矢鱈使いまくる部分が多く、読んでいて少しばかり違和感を覚えた次第
途中から急に変わった印象なので、付き合う前と付き合った後でライターが変わったんでしょうか? 詳細は不明なり。
「恋愛関係は、付き合うまでが面白い」とはよく言ったモンですが、本ルートも正にそれで。
河原でキスするまでは僕もかなり好みだったんですけどね。ほぼ特定のヒロインしか登場しなかった上記2ルートと違い、夏休みの繁華街巡りや、クラスメイト連中との勉強会で、幅広く登場人物を出していたのが好感触と映りました。
本作の主人公はトリッキー故に、多くのキャラクターと絡ませて様々な反応を見せてくれるのが、面白み溢れてて実にGOOD
冬羽や七夕莉のシナリオと違い、自身のトラウマについて向き合った上で生き方を革めようとする姿も、印象深かったです。
ただ、琥珀と付き合い始めてからは、上記2ルートでやっていた事の繰り返し染みていて、物語としては正直「ちょっと飽きた」印象強め。新鮮味が無くなった感じ?
やり取りは全く違いますが、流れがこうも似通ってくると、流石に展開のバリエーションを熟慮した方が良いのではないかと思う始末でした。デート描写の琥珀はかなり可愛かったけどね。
しかしだからこそ、デートに来なかった琥珀が「約束」を破った自責の念に駆られて思い詰めまくる展開については、油断していてちょっと驚いた次第。まさかそこまで深く考え込むとは思わず、晴季くん可哀想だなあ……と思いながら眺めていました。
なんで琥珀がデートに来なかったか疑問視している感想を散見しましたが、単なる寝坊です。「パジャマ姿」で「布団の上」に体育座りしていた事と、電話対応時の反応から確定事項
解決方法や「約束」に対する解答については実に予想通りであった為、特筆する事は致しません。ただ此処で重要なのは、犯してしまった過去の出来事を現在の情景にて塗り替える展開の流れにあります。
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琥珀は、あの場所が好きでいるんじゃない。
誰かが来るのを、無意識に待ってるんだ。
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』琥珀ルート 待雪晴季
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地味に、此処の部分は「ああ、成程」と感嘆した次第。発想の転換が行われ、彼女への見方も変わった瞬間です。
「現在が変われば、過去に対する見方も変わる」と説いたのは精神学者のアルフレッド・アドラーですが、本作は彼が生前言っていた「意味付け」を変化させて、過去の出来事に対する見方を変える手法が取られていました。
バッドエンドで締められた過去に、続きを与えてハッピーエンドとする。約束を守れなかった悲しい過去も、運命力が新たな約束へと導く。
その形成は、琥珀ルート単体で見るとあまり膨らませられず、些か急に過ぎて急に終わった感が見受けられます。
しかし「数奇な運命」と呼ばれるタイトルには、見事符合するシナリオだったと感じられました(不可視の薬は全く使ってないけども)
このタイトルの意味と重なる点は、冬羽・七夕莉ルートでは全く感じられなかった感覚です。河辺へ赴く琥珀の描写が共通ルート時点で描かれていたら、もっと良かったね。
個別展開で、琥珀の色々な特徴を適当な理由付けで適当にでっち上げたように見えるから、勿体無い。このシナリオもまた、良い部分はあるのに欠点で上手く反映されてない出来に仕上がっているなと思えた読後感でした。
でも「水の中へ潜る」=「死の追体験」としてあった彼が、最後は琥珀と共に潜れるまでになった=「トラウマを克服した」と見受けられるあのラスト。事実は小説より奇なり。正直、嫌いじゃありません。
【5】チトセルート
さて、ここからは攻略順で言ったら、従妹の亜芽について語らなきゃいけない所でしょうが、本作に関する私の見解を彼女の章で示す為、そしてこのルートに対する憤りを態々最後で表明したくない為、敢えて先行した形で語らせて下さい。
チトセをこれまでの展開で気に入らなかったら、このシナリオは絶対にプレイしない方が良い。
上記の考えで色々書いていきます。チトセのキャラ若しくはルートがお気に召した方は色々不快感を覚えると思いますので、対象者の方は、潔くすっ飛ばすかページを閉じる事を推奨致します。
さて、取り敢えず、僕がモヤモヤした理由は、最後にプレイしたこのチトセルートにあります。
4人のルートをプレイした上で、満を持して最後に葛ノ葉チトセを遊ばせた意味。それは明かされてなかったチトセ絡みの問題が大半を占めていました。付随的に終盤ちょろっと過去の出来事も明かされる感じ
要するに、チトセを好きになっていなければ然して興味が湧かないシナリオとも言えます。これがキャラゲー、仕方ない。
しかし、そもそも本作は全体的に見て、これらの「謎」を究明する事に重点を置いたストーリーとして機能していません。
この作品は寧ろ、奇妙な力を手に入れた事によって変わっていく人間関係、心のやり取り、その「青春」と「代償」に焦点を置いている物語でした。彼女が取り囲む不思議な異質感と道具要素はあくまで導入のきっかけでしかなく、もし仮にそんな彼女の究明を最後と据えるんだったら、よっぽど上手く彩って締めなきゃダメになります。終わり悪けりゃ全て悪し。「はあ、そうっすか」って思うだけの最悪な結末と相成るでしょう。
本作はどうだったか。
態々ルートロックしてるからどんな謎かと思い進めてみたら、仙丹に皇帝ですか。ぶっ飛んでますねえ。
物語にも許容量があります。「今はこんな技術が生まれてるんだ」的な台詞と、チトセの昔語以外に何の伏線もなく、こんなしょうもねえ突飛な真相解明で閉じるんだったら、わからないままぼやかされていた方がまだ良かったってモンです。
そして何より、このルートは最終段階の癖して、よく分からない部分や矛盾も多すぎる。
チトセは晴季の事を「ずっと見てきた」と語っていましたが、どういう事でしょうか? 彼は幼少期の出来事以降、彼女と会った記憶は無い。しかし、ずっとチトセは見えていました。晴季に隠れてストーキングでもしてたんですかね?
バーチャル映像越しに語りかけていたのも気になります。主人公の事どのように察知したの? 近くで撮影してたの? 最初の「当選トリック」はどうやったの? DIO様オマージュですか?
晴季がチトセにハマったのは、亜芽と霧姉が話してるのを聞いたからって言ってましたけど、それも彼女による工作が働いているんでしょうか? 「T」を飲ませなければ、チトセの思惑は成就しない訳で。自分のテリトリーに入れる為、彼女等を利用したと考えなければ、ここまで辿り着くのはかなりの天文学的確率だと思うんですが。
上記はほんの一例。しかし、ただの「透明化の被害に遭った皇帝でした」で終わらせるには、彼女はあまりに謎を残し過ぎています。途中で正体を変えたんじゃねえかと思える程、葛ノ葉チトセは違和感の塊だらけでした。
また、主人公は進学を機に親元を離れて上京してきたキャラクターと言う事でしたが、両親は幼少期の折に死んでいるそうです。よくわかりませんね。
琥珀ルートでは「居候になる前、この街に家族で受験の下見に来たんだよ」って台詞があります。待雪家自体が引越してきたって事ですか? そこらへんの細かい説明も全く無し。
もう良いでしょう。最後で締めるにしては、充分に伝え切れてない箇所があまりに多すぎなんですよ、このルートは。
確かに本作はご都合主義多めな部分も含めてどこか寓話的です。だからこそ僕自身、よく分からない存在は「よく分からない」でも良いと思っていました。
奇妙な物語世界の中に「不思議」ってヤツは数多登場する訳だけど、あくまでそれって不可思議奇妙なままでも、十分存在を許されるファンタジーなんで。
猿の手はよく分からない産物だから恐ろしく、不思議の国は不思議だから神秘性を保ち、ペーター・シュレミールの影を譲り受けた謎の灰色服の男は「悪魔」と自身を仮称しつつも、明確な正体は明かす事なくフェードアウトしていく次第
全部ファンタジーだから、と言われたら納得する他ありません。
しかし本作の場合、語られた真相は突拍子も無く、語られない部分は杜撰な目眩ましに留めています。語るんだったら矛盾なく疑問なく明確に語れよ。語れないんだったら語らないままにしとけよ。その「中途半端」加減に、僕は純粋な怒りを覚えました。
そして、それは葛ノ葉チトセというキャラも同様。シナリオだけでなくヒロイン自体も「中途半端」の汚名を一身に体現しています。
彼女の立ち位置もまた『影をなくした男』と同様、願いを叶える代わりに代償を要求する灰色服の男の立ち位置。人の身に余る大いなる力を与え、その責任を相手の消失によって取らせる立場を「ヒロイン」として強引に見せるのは、やはりあまりに無謀でした。
体験版時点で酸っぱく語った通り、こういう悪魔的キャラクターはヒロインに仕上げるのでなく、サブで大いに暴れ回るからこそ、真価を発揮するんです。僕はそう思っているので、面白い人物としては受け容れられるけど、ヒロインとしては全く見れないのが本音。この時点で、僕と感性がちょっとズレてると思ったのが体験版プレイ後の正直な感想
そして、それはクリアした今になった所で、全く変わる事無く。寧ろ悪化の一途で、チトセは頭がおかしいヒロインとしか映りませんでした。
僕はこの事について、ちょっとガチで物申したいんですけど、彼女は1000年以上の透明生活で頭がどうにかなってしまったんでしょうか?
自身の寂しさを紛らわす為に、主人公の事を誰よりも理解していると思い上がり、同じ透明人間にさせてあげる事で、彼を助けた気持ちになると言うのは、明らかに歪んだ思考。執着で心が病んでます。
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「俺には亜芽がいる! 霧姉がいる! 家族を置き去りにしていくわけにはいかないだろ!」
「……それは逆でしょ、晴季」
「なに?」
「亜芽ちゃんも、霧ちゃんも強い子だよ。あの子たちは晴季がいなくても生きていける。だけど晴季は違う。あの子たちがいないと生きていけないのは、晴季の方でしょ?」
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』チトセルート 待雪晴季・葛ノ葉チトセ
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色々このルートには思う所があったんですけど、その中でも僕が1番、腹が立った部分。遠目からでしか晴季を「ずっと見ていなかった」部外者が、何を分かったような口ほざいてんだ。
「兄さん」がいなくなる事で憔悴する姿を見せていました。「晴ちゃん」がいなくなったら生きていけないと痛み入る姿もありました。
そんな彼女等の確かにあった弱さを、簡単な「強い子」や「生きていける」って言葉で片付け、自身の野望だけ成し遂げようと動くその汚らしい姿勢には、正直気持ち悪さすら覚えた次第
大体「いなくても生きていける」ってのは「T」のせいで存在を全て抹消されるからこそ起こり得る事態であって、元を正せば結局全てお前のせいになるじゃねえか。それでこんな台詞吐いて色仕掛けで迫って性交ですから、どこまで性根が腐ってんだコイツは? 借り物の力で調子に乗んじゃないよ。
「私のことを知る人間が死んだときは、私の一部も死ぬのだ」なんて言葉を白石一文って作家は語りました。彼が消失した時、存在の記憶を抹消された時、亜芽や霧姉の一部も確かに死んだんです。それは同じじゃありません。姿が似ているだけの全く異なった「カタチ」であり、だからこそ「いなくても生きていける」から「私と一緒にいて!」と平易で語る殺人者ヒロインの価値を、僕は認める事が出来ませんでした。
トラウマの解決方法それとなく教えたり、相談に付き合ってあげたりと、悪くない部分もあります。しかしそれは、自身が秘密裏でやっている事の罪滅ぼしや、罪悪感を紛らわす為の偽善にしか見えません。結局、この娘は終始変わらず独り善がりに行動しているだけ。キャラの魅力を上げる筈の行為が逆作用となっていたのは、僕にとっても実に致命的でした。
こういう事を思って発言した時点で、彼女を可哀想とは断じて思えないし、況してや救いたいなんて欠片も思いません。晴季を陥れようとした加害者的立ち位置と、仙丹に毒された被害者的立ち位置は全く調和せず、僕の心は「大変だったね。で?」と淡白な反応しか齎しません。終盤の「余が幸せになっちゃいけない」なんて、病んだメンヘラが如し、今更唐突に何言ってんの構ってちゃん?としか感じません。
不憫なヒロインは「救いたい!」と思わせたら8割方勝ちです。僕はその例に漏れ、コイツを「絶対に救いたい!!」とはどうしても思えず、自身のルートのみでしか救われないもう1人のヒロインを「絶対に救いたい!!」と思いました。でも製作陣は、そんなモヤモヤを与える事を考慮せず、ルートロックなんて御大層な真似をして、僕の読後感を最悪にさせてくれた次第。クリアした際の心境が筆舌に尽くし難かったのは言うまでもない事でしょう。
とは言え此処で少しばかりフォロー。最後にこのルートを持ってきた理由も主人公の思想から推察すると、分からなくはないんです。
晴季の「エンジョイ&エキサイティング」から成る行動は、彼の周囲にいる人全員を「笑顔」にさせようとする。つまり、チトセルートはその最終段階。チトセは最後に「笑顔」へさせなきゃいけない存在って事でしょう。
でも、だったら彼と同じように「この娘を救いたい!」と思わせてくれよ。
晴季は1つのルートしか歩んでないから、簡単に好きになって容易に助けようとか思っちゃいますけどね(それでも充分聖人の部類)
しかし、他ルートを見てるからこそ、僕みたいな捻くれユーザーは、コイツに関して『元凶』と言うイメージしか沸きません。特に亜芽ルートな。SEXの蛮行は忘れていませんよ。
彼女との交流に変化を齎したって点を重視するなら、ルート内で彼が申していたように、チトセへ怒る資格なんて無い。すっげえムカつくけど。
しかし、他ルートのヒロインに限っては「T」って特に関係性向上の役割を為してないですからね。冬羽なんて、一緒に透明化しちゃって、バッチリ完全にとばっちりでしょう。
救いたいと思わせてくれないなら、別にルートロックさせたヒロインである必要はありません。上記の「謎」を解明するだけだったら、別にヒロインとして攻略させる必要もありません。
彼女は非日常を齎した異質存在であると同時に、諸悪の根源でもあり、別のヒロインの物語で大いに彼女自身の口から語らせたって問題ない筈。はっきり申せば、チトセのヒロイン性については「力不足」としか感じられず、態々ルートロックして真相を後出しに持ち込むスタイル自体に、物語の意図的な水増しを強く感じました。
キャピキャピ喧しいその性格もうぜえし、ルートラストが仙丹と仙人のおかげでよく分からないけど上手くいきましたって結末も随分下手に逃げましたね、どうかしてますね。こんなしょうもねえオチなら、チトセルートをカットして、その容量は奇妙な力を手に入れた事によって変わっていく人間関係、心のやり取り、その「青春」と「代償」のみに費やした方がまだ良かったと言うもの
それが無理なら更なる魅力的なキャラの構築へ努めて下さい。この娘を最後に攻略して良かったと思わせる作品にして下さい。
ルートロックさえしていなければ、ここまでグダグダ言う事も無かったでしょう。実に長々と申し訳なく思う所存
しかしHULOTTEさん、何でもかんでも白髪貧乳ロリ不思議存在でロックすれば良いと思ったら大間違いですよ。そこはきちんと考えた上で猛省して下さる事を、僕はこの場から心より祈っています。
【6】亜芽ルート
さて、本作についてはもう大分けなしまくったので、後は持ち上げる事と致しましょうか。彼女についての感想開始
「どこにも行かないで!」と言われたから、どこにも行く道を選ばなかったルート。そして、元の自分へと自身を戻した主人公のシナリオになります。
一言で称するなら合格点。このルートの為に、本作を買って良かったと思えた程であり、亜芽以外の個別ルートで描かれた事が、彼女のシナリオで繋がって形となり花開く姿には、期待してた自分ですらちょっと驚いてしまいました。
全ての人を「笑顔」にする事は不可能です。何を突然とお思いでしょうが、これはエロゲと言う媒体で、選ばれる者と選ばれなかった者に分かれる時点で、総じて言える事であります。誰もが笑える世界なんてマヤカシ。それはルートロックされていたあの物語においても、等しく例外ではありませんでした。
亜芽ルートをプレイすると、チトセルートの彼女の行動にも邪推が湧いてしまいます。多分僕がモヤモヤした1番の理由ってそこだったんです。亜芽の行動は結局の所、彼女のシナリオで彼が望むからしていた行動となんら変わりません。変わってないからこそ、彼女だけはあの展開で救われていない。僕はその隠された描写を思い、自然と後味悪く感じてしまったのでしょう。
此処では、それらの事について詳しく語っていきたいと思います。長々と読んで下さり、どうもありがとうございました。後もう少しだけ、お付き合い下さい。
(1) 雨降って地固まる
まず、このシナリオは序盤から、共通ルートを最も強く意識して作られているのが特徴的でした。
物語序盤で家事手伝いをしないでいた主人公の展開から、亜芽と一緒に手伝う流れへ。
ゲームを一緒にやらなかった2人から、個別序盤だと一緒にゲームを遊ぶシーンに。
共通ルート最初の描写から、個別ルートでここまで至ったという明確な変化を、最初に予め提示しておくのは、とても親切で好感が持てた次第
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「朝もそうでしたけれど、そんなに仲、よかったですっけ?」
「別にそんなことはありませんが」
「いつもどおりだよな?」
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』亜芽ルート 待雪家
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しかもここでは「認識の差異」ってヤツを描写する事で、個別ルートに入ると性格が変わったと申すような「違和感」を霧姉の口から代弁させています。
「いつもどおり」と「仲良くなって以心伝心の亜芽と晴季」に言わせる事で、「他者」から見た変化をユーザーに味わわせ、受け容れさせるこの手法。地味ですが、実にさらっと上手く描いており、違和感を軽減させる効果と相成っていました。こういった何でもないシーンを忘れない丁寧さが大事だと、僕は常々思います。
また、この主人公は開始当初から亜芽を1番強く気にかけていますし、取り分け大事に思っていたので、好意へと至る描写にも急激な変化の矛盾は全く感じさせません。
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「最近あいつ、なんかずっと機嫌悪いし、驚かせてやりたかったっていうか……」
「ふふふふ。本当は亜芽に笑って欲しかったんですね?」
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』共通ルート 待雪晴季&待雪霧
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亜芽の心からの笑顔を見て、なんだかドキドキしてしまう。
たったそれだけのことで、体育祭に満足してしまう。
俺はただ、亜芽の笑顔が見られるなら、それで良かったのかもしれない。
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』共通ルート 待雪晴季
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「あの笑顔……いいなぁ……」
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』共通ルート 待雪晴季
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「……でも、ここ最近あの子、よく笑うようになったよ」
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』亜芽ルート 四葉琥珀
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亜芽の笑顔に対する想いは不動。晴季はどんな行動をしている時も、その内面だけはずっと一貫して変わらず。それを見事自覚した事で開花したのがこのルートと言えましょう。
彼自身が亜芽への好意を無意識に覚える描写も共通ルートで結構あるし(最初の風呂シーンの苛立ち、勉強会の様子 etc……)
他の個別ルートでも、大事な場面や状況で必ず彼女を頼る事は忘れていません。亜芽の風呂を「T」で除くパートは、どのシナリオでも皆勤賞の様相を呈してました。
自身の好意へ自覚的となるかならないかで道は大きく分かたれますが、彼女に対する好感は本物であり、本ルートへと至るまでの布石は十分打たれていたと考えるべきです。
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「私は、一身上の都合で兄さんとは付き合えません」
「ですが、体だけの関係なら…いいですよ。彼女になるのだけは、無理です」
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』亜芽ルート 待雪亜芽
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そしてだからこそ、自覚した彼が亜芽に告白して最初に言われた言葉がこれは「…………はあああああ!?」とガチで驚いた次第。「好きです、兄さん」って言ってたやん! 好意だだ漏れだったやん!! と。
しかし振り返ってみると「母親のように」接している等の対応の変化が見られた時点で、察しておくべきでした。距離を置いている描写を見た時点で、自ずと気付いておくべきでした。
待雪亜芽は、待雪晴季の前だと「従姉妹の亜芽」で接する事を義務付けられた罪人だったんだと。
思えば、本作をプレイした際、必ず疑問に思っていた事があったんです。
「どうして亜芽は、晴季が他のヒロインと彼氏彼女の関係になる事を、容易に受け容れられるんだろう?」
「兄さん」の事が好きだって言うのは、共通ルート時点で自明の理過ぎる程自明の理だし、そんな物分かり良く対応の変化が臨めるものか疑問に思ってました。特に冬羽ルートとかね。
ヤキモチ顔を表明しても、寂しそうな表情になっても、彼等の関係を邪魔するまでには至りませんし、そんな簡単に諦めて良いものか、正直僕は不思議でならなかったのです。
このルートをプレイして、そう出来た理由がよく分かった次第。それは、彼女にとっての「罰」であり「報い」だったんだって。
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「許される、わけがない……」
「今も兄さんを苦しめてる私なんかが、兄さんと付き合って……幸せになっていいわけがない……」
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』亜芽ルート 待雪亜芽
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だからこそ、彼女は内心言い聞かせながら、自分を更に嘘の仮面で彩ります。晴季の服の胸元部分に鼻血が付いてしまった事で自身の罪を魂に刻み付けんとし、「愛してるぞ」と語る彼の言葉にも冷めた声色で応答するのみ。
「一度起きたことは、取り返しが付かない」と思いながら生きる亜芽にとって、晴季と付き合う事は決して赦される筈もなく、彼女は自身が選ばれない限り、大好きな従兄を窮地に追い込んだ自分への「罰」として、贖罪の道に生きる事を余儀なくされる次第
亜芽は晴季の事を「もう少し真面目になってくれたら」「真っ当な人間になってもらいたい」と言っていました。それは彼女にとって、罪悪感から生じた真心で満ち満ちた願いだったんです。あの事故によって「誰にでも明るく、楽しげに振る舞うように」なってしまった少年の変化を認めた少女。そんな彼女が希う、戻ってきて欲しいと思う嘘偽り無き願望。それが果たされない限り、彼女が赦される日は永久に来ないと断言出来ます。
そして、そんな亜芽の想いを分かってあげて、和らげる事の出来るんが唯一存在するこのルート。思惑を知った主人公が従妹の為に動き続け、彼女の苦しみを癒してあげられる無二のシナリオ。それこそ、この物語における大きな主旨と言える事でしょう。
ここで晴季くんは、トラウマ解消に向けた特訓を周囲へ相談しながら、独りで向き合い続けました。冒頭2人でしていたRPGの主人公のように、ソロでレベル上げをしていきました。お得意のエロも封印し、彼女の為だけに行動し続ける。凄く直向きで純粋な格好良いヤツです。
その時晴季が取り組んだ解消方法は、本来ならもっと長い時間をかけないといけませんが、凄く理に適っている事が分かります(参照:https://www.waseda.jp/inst/weekly/academics/2015/04/01/31281/)
河原に行けば苦しくなるってのは「パブロフの犬」と言う例が示すように、刺激を与える事で条件的に反応が出る「レスポンデント条件づけ」に過ぎません。だからこそ此処で重要なのは、その出来事に対しての記憶消去へ努めて再固定化させる過程にあります。重要なのは以下2点
①何も悪くならない、もしくはそこまで酷くならないという新たな経験でオーバーライトし、刺激的反応を徐々に緩和させていく事
②十分にリラックスした状態で同じ状況を再体験する事。長時間留まるのが可
要するに、少しずつ記憶の上書き学習を行って抵抗を緩和させていき、安楽な状態で類似の状況の再体験を繰り返せば、改善へと繋がる見込みは生まれるって事。主人公がやった行動は……
①ストリートビューで河原の映像を見ながら体を慣らしていく
②過去の出来事について自室で向かい合う
③河原で瞑想する
この3点は、トラウマを解消させる定説に則った、至極有効的手段なんです。映像体験で記憶の書き換えを行い、リラックスした状態で過去の出来事を思い出し、最後には瞑想効果で現場の空気へ実際に触れています。何ら向き合う形において、間違っていません。①と②は順番が逆だったらもっと良かったけど。
「ああ、ちゃんと調べてんだな」と、気付いた時の僕は素直に驚嘆しました。本作のシナリオへ敬意が湧いた瞬間です。
しかし勿論トラウマとは、一朝一夕でどうにか出来る代物でなく、それを限られたシナリオ量で描く事は不可能に近い。だから、晴季のトラウマ問題については一旦保留となり、物語は亜芽の思いに向き合うパートへと移行します。
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兄さんが今日も、出かけていった。
私はあとを追いそうになって、結局、踏み出しきれずに諦める。
「そう……ここのところの兄さん、体調、また悪そうだし……」
顔色が冴えない。
笑顔も、どこかうつろで。
だから、心配だった。
本当なら、出かけさせたくなかった。
できるならベッドに寝かせて、ずっと、そばについていてあげたかった……。
「でも……兄さんに平気って言われたら……」
「迷惑かも……知れない、ですし……」
「そう……兄さんが、望まないなら……」
私には、なにもできない。
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』亜芽ルート 待雪亜芽
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彼女は彼が河原へ行っている事を察しています。だから、外へ出る兄さんを止めたくて、でも彼が望んでないから強く言えない。
そこから見えるのは、晴季と亜芽がこれまで互いの過去や気持ちに向き合ってこなかった事実です。仲良しなままで、家族のままでいられたのは、結局過去の話を蒸し返さないで「無かった事」にしようとしていたから。本人達それぞれが忘れてなくとも、相手の事が凄く心配でも、そこまで深くは踏み込めない。だから、亜芽は素直になれず。彼が望む事のみを実行し続けて。雨が降ると、思い出してしまうんです。
つまり、亜芽と漸く向き合って、自分はもう大丈夫だと言う証明が出来れば、彼女の苦悩は少しでも浄化される。無理した口調でない、本音の言葉で過去と現在両方に対する亜芽への想いを語れば、彼女は心を開いてくれる。彼はそう考えた訳
だから、晴季は敢えてこれまで隠し事せず向き合ってきた風呂場で、敢えて過去の出来事と擬似的な状況に落とし込む事で、彼女への想いを吐露する決意を固めた次第。この発想は、単純なようで中々思いつかず、初見時は理解が追いつきませんでした。ギャグ染みたバカみたいな行為に見えるかもしれませんが、深く考えるとかなり男らしく、随分と格好良い真似を見せてくれたもんだと痛感します。
そして、だからこそ。
エロに全く感情を向けず、頑張る彼を見ていた亜芽は。無理をしてもおどけて心配かけまいとする姿を知っていた亜芽は。これまでほぼ毎日、自身のトラウマへ立ち向かっても尚、変わる事の無かった愛情を聞いた亜芽は。
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「兄さんの、おかげです。兄さんが頑なな私の心を必死で溶かしてくれたから……」
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』亜芽ルート 待雪亜芽
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いつもと違う本気の彼を、受け容れる。ソロでクリアしたゲームの主人公に、可愛い女の子が仲間になる。そこには、彼女の心残りを上書きで緩和した事によって、乗り越えさせた男の姿が確かにあったのでした。
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キミが独りで泣いた事を 忘れる事がない様に
時に少年は雨を知って 戻らない日々を探している
tacica「vase」
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(2) 雨垂れ石を穿つ
そしてここからは、亜芽の強さと脆さ、晴季のトラウマにおける帰結の寓話。とても「愛」を感じられたパートです。
透明化した事で消えてしまった晴季を思い出してからも、笑顔で日々を過ごし始めた亜芽。そこに兄さんがいると信じて、楽しい生活で立ち回り、しかし耐えられなくなって時折涙を流すその姿は、至極切ないものがありました。
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笑ってしまう顔を、いつものようにムッと戻します。
これをきちんと矯正しておかないと、私はずっと、笑ったまま。
兄さんはヘンタイっぽいことをよく口にしますが、一緒にいるのは楽しいので。
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』亜芽ルート 待雪亜芽
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兄さんが一緒にいるから自分も楽しいと思い込んで、でも真に彼自体を感じられている訳ではないから、近くにいると信じていてもどこへいるか探したり、疑問を投げかけたりする。騙し騙し兄さんに語りかけても、結局姿は見えない。涙を流した所で現れない。彼女が犯した罪への罰としても、少々重過ぎる代償でしょう。
でも、どんなに泣いても、亜芽は信じ続けて、向き合い続けて。
姿が見えなくても、何も感じられなくても、彼が居る事だけを胸に、兄と共に生きる彼女の姿は、かなり心に来るものがあったんです。
そして『ゴースト/ニューヨークの幻』が如く、何も出来ない状況を歯痒く思いながらも、亜芽への想いのみを胸に傍へ居続ける晴季。あのヘンタイがチトセの誘惑を突っぱねて「亜芽以外の裸は見ないって決めたんだ」と豪語する場面は「よくぞ言った!」と思わず拍手してしまいました。
彼女と彼のそんな弱さと強さ。互いに相手を受け容れる事は出来たけど、未だトラウマやしこりは心に秘めた状態で。相手への罪悪感によって再び表出した感情は、あの河原での事故へと至るまで収束する事無く、描かれていく次第
チトセルートで、見えるようになる要因に「好きな人への承認欲求」と言う話がありました。
しかし、それだとどうも辻褄の合わない部分があります。もしそれで見えるようになるとしたら、亜芽ルートの途中で見えるようになってもおかしくない話じゃないですか。
だから結局の所「承認欲求の透明化解除」ってのは、途中経過の副産物なんです。恋心によって、自身の苦悩が中和された事による効果。それが、透明化現象打開の鍵となったと、僕自身解釈致した次第
チトセルートで、彼女が可視化出来るようになった理由も心の闇が晴れたからだし、冬羽ルートも同じ理由。七夕莉ルートは自身の存在を認知される事のみによって、透明化が解除されたって言う理由付けの御話
だから結局は、下記のように組み立てられるって訳。再度挿入します。
自身の存在があったと他者から認知される――①
透明化のきっかけとなった心の闇を失くす――②
以上2点の必要十分条件を満たした時、完全なる透明人間となった存在は他者からの認識を享受出来るんです。
周囲の世界から受け容れられて、そんな世界を受け容れられた時、人間は透明でなくなるって寸法
そして琥珀ルートには、犯してしまった過去の出来事を現在の情景で塗り替える展開があった次第
つまり何が言いたいか。結論を申せば亜芽ルートって、①と②を遂行し、トラウマとなった出来事を現在の出来事によって塗り替えた物語なんです。
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「兄さんは私のせいじゃないと言ってくれましたけど……」
「やっぱり私、まだどこかで引きずっています。あのとき私が、ここで……」
「溺れたりしなければって……」
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』亜芽ルート 待雪亜芽
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いつか独りで泣いた場所を きっと忘れはしないでしょう
実に透明なままの一歩 では誰も知らないキミの声
tacica「vase」
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晴季に強く説得されて、素直になっても良いと肯定されて、心が解き放たれたって、まだ心に蟠りはある亜芽。そんな簡単に解消したら苦労しない。風呂場の一件で解決した訳じゃない。
そして晴季のトラウマについて。彼がそこに向き合わず無かった事としたのは冬羽ルート・七夕莉ルート。向き合って克服する道を選んだのは琥珀ルート・亜芽ルートでした。だから前者で晴季の「心の闇」は絡まないし、後者はそこが主軸となります。
彼の「エンジョイ&エキサイティング」ってヤツは、事故によって突きつけられた孤独への恐怖から生まれた思想です。「T」を使い始めた理由も「エンジョイ&エキサイティング」と言う名の「呪い」によって行動した結果の産物でした。
要するに、その思想を生み出すきっかけとなった出来事に対しての「価値観」を変えなければ、彼の「状況・状態」は変わらないって事。「エンジョイ&エキサイティング」が生まれた根本の「心の闇」を変える。それが、透明化解除へ至る布石になると言えます。
もうお分かりでしょう。再度起こした河原の出来事が、彼と彼女2人に変化を齎したんです。
河原で従妹を救えなかった従兄は、その数年後に溺れた従妹を救う。
河原で従兄を失ってしまった従妹は、その数年後に従兄を取り戻す。
溺れた彼女を、漸く助けられた。
溺れたからこそ、彼を助けられた。
そして、互いの心の闇はこの時、見事に塗り替えられた。新たな出来事として、上書きされた。
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私には、人に言えない罪がある。
あの日、この場所で起きた出来事をきっかけに、私は他人の命を1つ、奪ってしまった。
奪った命は、かろうじてカタチだけは残り、今も私のそばに寄り添ってくれる。
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』亜芽ルート 待雪亜芽
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待雪晴季は「帰ってきた」
「昔のもうちょっと、カッコよさに比重が向いていた」晴季が帰ってきた。
カタチだけでない、透明でもない、生きている存在として、現世に帰還を果たした次第
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――ああ、俺は帰ってきたんだ。
愛しい亜芽の元に。
だから、きちんと言った。
キスのさなかから。
「ああ……ただいま、亜芽……」
もうどこにも行かないよと。
それどころか、こうやってずっと一緒にいるよと。
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』亜芽ルート 待雪晴季
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胸の痛みなんか吹き飛ぶ愛しさと喜びを胸に。互いの望みは叶えられます。
これから夏になると思い出すのは、トラウマではなく想い出の1ページ
互いの胸が、もう痛む事はない。夢ある未来に彼と彼女の胸は躍るばかり。
これは、そんな「めでたしめでたし」の、少し不思議な御伽噺なのでした。
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いつか独りで泣いた場所は いつか誰かと笑う場所
共に有限の中の一歩 まだ誰も知らないキミの声よ
tacica「vase」
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(3) 随想
このシナリオを読み終えて、僕は思ったんです。
「いや、こっちもルートロックしろよ」
「亜芽を受け容れる」「理性を取り戻す」って選択肢を最初は後者だけにして、他3人攻略させた後に選択肢発生。そこから全く違った共通ルート内容に行くも良いし、同じ内容でも良い。長い個別ルート展開に突入しても構わない。何でも良いからロックしてくれよ。切に思いました。
だって、こんなん亜芽を最初に選んじゃったら、他ルート行けませんよ。いや、他の人がどうかは知りませんが、僕は間違いなく達せませんね。共通ルートで「兄さんの選択を受け容れる」と言いつつ、もう全部決まってる事だからと涙を浮かべた彼女を見てるんです。自身の本音に蓋をして従妹としてのみ接する他ない少女の姿を見てるんです。そんなん全て開けっぴろげに心を開かせて、幸せになってほしいと思うんが男のサガでしょう。もう、女に涙を流させるのはやめようじゃないか。男は女を泣かせてはいけない。お前が泣いてやれよ、身代わりになって。合掌、藤岡弘、だわ。
まあ、こんな個人的にも程がある消化不良のオルガスムはさておき、ルートロックはするべきだったんじゃないか?と、思えた根拠は他にもあって。
物語の根幹となるチトセルートと亜芽ルートは、どちらかを選べばどっちかが報われないと言う点においても、「エンジョイ&エキサイティング」のあり方についても、チトセの色仕掛けを受け容れるかどうかに関しても、亜芽とチトセ双方が放った「私のもの主張」についても、それ以外のシーンにおいても、とにかく要所要所で対比となっている部分が顕著なんです。
彼女の場合、共通ルートでSEXを受け容れた時点で、どの選択肢を選んでも(チトセも含まれる)問答無用でルートが確定するガチ強仕様だし、そうする事自体はそこまで難しくなかったんじゃないかと思えてなりません。ロックがされているかいないかで読後感も大分変わったし、対比構造による仕様で描かれたなら、僕自身の本作に対する評価ももう少し気持ち高めに上向いていたでしょう。
ってかそもそも、もし亜芽ルートからやっちゃったら、最後の展開なんてよくわかんねえままに締められたご都合主義じゃないですか。いや、俺の語った内容でも「ご都合主義だ」と言われたら苦笑せざるを得ませんけども。ただ、透明化解除に対する筋書きを考え、トラウマと向き合う時間を与えたライターと、本ルートで亜芽の為に頑張っていた晴季を思うと、「ご都合主義」なんて言葉で揶揄するんは流石に失礼と思っちまった始末
裏を返せば、それだけこの亜芽ルートが気に入った証明と言えます。待雪兄妹が、この物語で更に大好きになっちゃったから仕方ないんだわ。主人公は従妹の為に動き続ける「格好良いヤツ」となり、そんな彼女の苦しみを唯一癒してあげたからこそ、彼も最後に満たされる。双方与えたつもりが、与えられたってシナリオの主旨に、僕の好みもバッチリ適合した次第
やはり女の子と付き合うからには、これ位の努力と情熱が必要不可欠でしょう。だからこそ、その過程における主人公とヒロインへ「愛」を覚える。彼等の行末を見届けたくなる。
「シリアス」だから「クソ」なのでなく「考え無しのシリアス」が「クソ」なのであり、そこを熟慮した上で「物語」を吟味すべきと、僕は改めて痛感した次第。イチャラブだけが「愛」ではないし、その形のみ求めるなら、そもそもHULOTTE以外の作品をやろうって話になります(体験版時点で分かっていた事)
亜芽の事は、純粋に可哀想だと感じました。救いたいと思いました。久しぶりに、選ばれなかったルートでのヒロインを考え続ける境地にも至れたんです。
それは結局の所、どっちに手を差し伸べたいか?って疑問へと至ります。他ヒロインは無理に晴季じゃなくても成り立つ仕様故、彼じゃないとダメなのは2人の内どっちか。亜芽を救いたいか、チトセを救いたいか。僕が選ぶのは言うまでもない。亜芽しか僕には見えないのでした。
さて、最後に彼女の名前について語る事で、本批評も幕引きと致しましょう。
「待雪亜芽」
「亜」って単語について調べてみると、面白い語源がありまして。その中に、古代中国殷の時代、陵墓の玄室の平面図の象形であり、葬礼を司る聖職者を示す字であったという項目を見つけた次第。「亜」の本来の字形は「亞」であり、死者の魂を蘇らせる為、間にある「十字」のカタチで墓を作ったとも目されています。
「芽」って単語は文字通り「生まれ出た命が息吹く」象徴
待雪を示すスノードロップは「死」を示すと前述しましたが、本来は冬から春への到来を告げる花です。新たな草花が芽吹く世界はもうすぐと、天使がイブに見せた慰めの花
つまり、何が言いたいか。苗字から名前に至るまで、彼女の全てが「生命の復活」を示してるんですよ。
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「亜芽が愛しすぎて、死にそうだった……」
「死なないでください」
「死なないよ……亜芽の将来、人生をもらったんだから」
『俺の姿が、透明に!? 不可視の薬と数奇な運命』亜芽ルート 待雪晴季・亜芽
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晴季が「亜芽」の元へ戻ってこれたのは、正に『数奇な運命』だったのかもしれません。
4.特装限定版購入特典・ソフマップ特典・駿河屋特典の感想
※僕は当初から亜芽が好きだったので、彼女のいる特典しか買っていません。どうか悪しからず。
★特装限定版購入特典「あの子が水着に着替えるなら」
皆で海へ赴く前に、水着選びをする事となったメインヒロイン勢。そんな彼女等をチトセと「T」で刮目する、7分程度の短い小話
エロい要素は全く感じない。あってチトセの実況位?
チトセが五月蝿いから、彼女が好きなら普通より楽しめると思う。病んでる発言も散見出来ます。
個人的感想……悪くはなかった。及第点!
☆店舗特典
ソフマップ「晩夏だよ! 全員集合!」
実は「ハーレムルート」の前日譚
あの旅館から始まる一連の流れについて、真実が分かる裏話ドラマCD
しかし、亜芽はこういう場所でも、抜け駆けせずに提案して敵へ塩与えている所が、真面目で愛らしくあり、そして、不器用でいじらしくもある。
ってか、ハーレムルートでも思ったけど、なんでチトセの姿見えてんだろうな?
まあ、おまけって事で深く気にしない事にする。
個人的感想……かなり楽しめました。合格点!
駿河屋「亜芽はナイショの通い妻」
可愛すぎて死んだ。
皆でガイガイワチャワチャも良いけど、こういうキャラ特化シチュエーションもまた、ドラマCDの醍醐味だよなあ……
聴いて改めて深く痛感致した次第
他ヒロインがどうかは分かりませんが、このドラマCDでは明確に「兄さん」を思って妄想に耽る彼女の可愛らしい御姿が拝見出来ます。
なので、主人公との関係性が気に入った僕にとっても、ドンピシャな内容でした!!
個人的感想……かなり楽しめました。合格点!
P.S.
待雪亜芽と言う超絶可愛らしい存在を本作限りで終わらせるのは、凄く勿体無い。
と言う訳で、FDを作ってくれる事、切に求めます。
作ってくれたら、HULOTTEさんの評価爆上がりだろうなあ……(チラッ