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sonsonさんのリトルバスターズ!の長文感想

ユーザー
sonson
ゲーム
リトルバスターズ!
ブランド
Key
得点
65
参照数
449

一言コメント

設定は他作品の流用。友情の描き方は及第(非共通)。個別は凡作。リアリティはない。ライターさんの苦手分野なのかな

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

久しく積んでいましたが、なんとかクリアしたので。
やはりというか辛口気味になっているので、信者の方すいません。
(私も「KANON」でエロゲに入って「CLANNAD」の渚アフターは過去のギャルゲシナリオで5本の指に入る位好きなんですけどね(笑))

流れは「CROSS†CHANNEL」をさらに隠匿したようなシナリオにゼーガペイン(アニメ)の設定を+アルファした感じでしたね。
又は、「マブラヴ」に対する「マブラヴオルタ」の関係を「何処へ行くの、あの日」の設定を使って表した作品と言ってもいいかもしれません(各作品を知らないと何を言ってるかわからないでしょうが)
特に「何処へ行くの、あの日」に関してはおそらくこの作品にかなり影響を与えていそうな気がしますね(此方は結構お気に入りの作品だったりします(笑))。

とまぁ、虚構世界とループ物というのが相性が良いのか知りませんが、私のプレイした作品でも度々見かける設定の今作ですが、「虚構世界物」「ループ物」としてみると二流作品だったという印象です。
どちらもこの作品の主題としては弱い使われ方なので、あくまで「友情」が主題なのでしょう。
登場キャラクターは所謂KEYキャラクターで、伝統(?)の通りヒロイン達は基本的に小中学生の精神年齢なので、序盤の掛け合いが長い点は私にはマイナスでした(面白い場面もありましたが)。
ノーマルEDを繰り返した主人公・鈴の成長物語を目指しているのでしょうが、各シナリオが完全に独立しているのでその成長をプレイヤーが感じることができないのはかなり痛手だったと思います(そう考えると「CROSS†CHANNEL」の手法が異例ですごかったことがわかりますね)。
では、個別シナリオ+ループ物の2作品として考えるとどうか?というと、やはり「ループ物」ということが「個別シナリオ」の枷になってしまっています。
簡単に言うと「個別シナリオでヒロインと結ばれた」というのはtrueを見ると虚構だった、ということがわかってしまうので「夢落ちだった」と感じてしまうのですね。
個人的には「虚構世界」「ループ物」の2条件に当てはまるのならば、クリア順序を完全固定にしてでもきちんと毎個別ルートごとに成長若しくは間違いを正すことを実感させてくれるようなシナリオを望みたかったところです(「CROSS†CHANNEL」の真似といわれてでも)。

あと、細部にわたる「リアリティの無さ」は「虚構世界」への遠まわしな複線だったのでしょうか(言葉にはし辛いですが、敢えて言葉にすると「バトルランキング関係・しつこいほどのササミ軍団vsリンの対峙・学生生活描写の徹底排除等」)。
フィクションでもリアリティというのは必要だと思います。

リフレインをやってみて「これをやりたかったんだ」と理解はできましたが「何処へ行くの、あの日」に比べると陳腐な作りに思えてしまいました。
リフレインに関しても、あくまであの世界は「理樹と鈴を成長させる為に恭介が用意した世界であり、他3人はそれを承知で動いている」ことを前提として考えると、違和感を覚えるところが多々ありました。
バスからの最後の救出に関しても時間軸・虚構世界・現実世界の関係性が私には理解できませんでした(笑)ので、無理やりハッピーEND作ったの?と感じています。
(これに関して読みが足りないのかもしれないので、もしそうであれば指摘していただけるとありがたいです)


長くなりましたが、シナリオに関する雑感まとめ:
「虚構世界」「ループ物」は手にあまったんじゃないの?
友情物としては及第点


グラフィックについては、かなり綺麗なのは言うまでもないですが、構図の魅せ方が上手かったですね。

システムについては、基本的にはいいのですが、共通シーンが多いのでスキップはもう少し強化してほしかったですね(できれば選択支までジャンプ機能があれば)
ミニゲームに関しては野球は面白かったので、得点等もつけていつでも遊べるようにするとよかったかな。
バトルランキング関係は正直ある意味があまりわかりませんでした(ニックネーム付けは面白かったけど(笑))

以上。
KEYは「不幸と奇跡」を売りにしてきたブランドですが、いくら「泣け~~」的な打算シナリオだとしても、先入観にとらわれなければ良作を数多く作っているメーカーに違いはありません(今回はちょっと無理して失敗した感がありますが)。
今後麻枝氏を排出したあと、なおも同じ傾向で進むのか、新しい方向性を考えていくのは気になります。

今作の18禁ver.を出すつもりらしいですが、某曲芸のように三流メーカーにならないことを願います。