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snowfilさんのゆびさきコネクションの長文感想

ユーザー
snowfil
ゲーム
ゆびさきコネクション
ブランド
HOOKSOFT(HOOK)
得点
75
参照数
668

一言コメント

良いところと悪いところがはっきりしてる作品。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

HOOKSOFTさんの作品は昔は眠くなるとか物語が平坦とか言われてましたけど、
最近SMEEさんの作風を取り入れていくことで良い意味でかなりの進化を遂げていました。
自分は放課後シンデレラから久しぶりにHOOKさんの作品をプレイしているのですが、
なるほど、SMEE主人公的な素敵な男性像をよく描けているなぁという印象です。
それはこのゆびさきコネクションでも同じように感じました。

また、HOOKさんではあまりヒロイン側の感情描写はなかった気がしたのですが、
放課後シンデレラからその部分も取り入れているのは個人的には嬉しい所。
放課後シンデレラではテロップのみでしたけど、今作では立ち絵付きになって、
よりヒロインの感情が分かりやすくなりました。

そして、個人的に一番今作で嬉しかったのは立ち絵差分の多さです。
イベントCGやらテキストでいくら特別感を煽ったところで、一番目にする立ち絵が同一だと違和感が凄いんですよね。原画家さんには酷な話かもしれませんが…。
今作では部屋着、私服、デートの時の私服、仕事着と最低でも4種類は差分がありますし、
上着や帽子の有無とか髪型とか細かい差分がたくさんありました。
悠月のヒロインビューの為だけの悠月の部屋着があって、主人公の部屋では別の部屋着着てたりとか、
細かいところまで差分作っててほんとありがたかった。

ただ、SMEE的な良いところを吸収する過程で悪い?ところまでしっかり吸収しちゃってる印象も正直あります。
特に最近のSMEEさんは一人との恋愛をしっかり描く傾向が強くなってる気がして(ハーレムキングダムのコンセプトが好みじゃないので、そうじゃない作品を避けているだけなのかも)モブキャラを活躍させることで賑やかさを補い、日常パートではあまりヒロインが登場しなかったり、ヒロイン同士の関係性が薄い感じがしています。

学園物である放課後シンデレラですらその傾向だったわけで、社会人恋愛を描くゆびさきコネクションではどうかというと…共通ルートではヒロイン2人しか登場しないのです。
そして、日常パートとして必ず通る所が自室しかないこの作品では、学園での主人公とサブ/モブキャラとの掛け合いみたいなものもありません。
それなので、賑やかさや笑いという部分ではかなり大人しめな印象です。
一応選択肢のヒロインが居ないところに行ったときにはあたおかなモブキャラとの絡みが楽しめたりするのですが、わざわざイベント絵もなく、恋愛に関わらないイベントを回収して回る意味…。
これも作品の味といえばそれまでですけど、放課後シンデレラみたいにルート選択して偶然出会うというシステムでなく、どこへ行く?の選択肢に平然と会ったことがないヒロインが登場するのはかなりびっくりしちゃいました。
まぁ、だからこそ選んだヒロイン以外のルートで他のヒロインが出てこなくても違和感は少ないのか…?という気もしますね。他のヒロインのルートでちょいちょい喫茶店に行っても悠月は出てこないわけだし。(内装同じ別の喫茶店の可能性もなくもないけど…)

ただ、いままで共通ではヒロインも含めワイワイみんなで集まって遊んでたのが、個別に入ると誰もいなくなるような割とよくある違和感を感じることはこのゲームではほぼありません。
なんてったって最初から他のヒロインとの関わりがほとんどないわけですから。
そして、ヒロイン毎に仲のいい?サブキャラが居たりするので、ヒロインと主人公の二人だけの関係を延々見せられることもありません。
その辺はやっぱり見せ方が上手なんだろうなぁと。

メッセージアプリで連絡を取り合うシステムがあまり活かせてない所もそこそこ気になったりはしますが、可愛いヒロインとのいちゃいちゃを楽しむという意味ではとっても満足できました。
お酒に関する話題も割と出てきますが、お酒に酔って騒ぐ描写がなくて、あくまで落ち着いて嗜む感じなのも社会人らしくて凄くよかったのかなぁと。
髪をおろした悠月が可愛すぎたので、今作のお気に入りは悠月一択!