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snowfilさんの見上げてごらん、夜空の星をの長文感想

ユーザー
snowfil
ゲーム
見上げてごらん、夜空の星を
ブランド
PULLTOP
得点
90
参照数
263

一言コメント

星を見上げたくなりました。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

共通ルートは過去と現在を行ったり来たりしながら”星を見ない天文学部員”の主人公が周辺の学校の天文学部同士で結成されたむつらぼしの会に参加することになったのをきっかけにまた星を見るようになるまでの話です。
幼馴染三人の出会いとすれ違い、そして現在での再会して絆を取り戻していく過程が描かれていて、読んでいてほっこりとしてしまいました。
現在と過去を行き来するゲームは過去にちょくちょくやってきましたけど、どうしても時間が切り替わった時に話が断片化して分かりづらくなってしまう感じがして好きになれませんでした。
今作では過去の日常シーンみたいなものは少なくて、幼馴染3人にとって重要な過去の出来事を上手く見せてくれていたおかげで分かりづらさをあまり感じなかったのかなぁと思っています。

個別ルートは幼馴染二人と先輩・後輩で分岐→各ヒロイン個別ルートへという流れなのですが、幼馴染二人のルートはひかりが一度海外に行く都合上大きく時間をスキップしてほぼ一年後のひかりが帰ってくるところから再開します。
それによって三年生だったヒロインや二年生だったサブキャラクター達がみんな天文部を引退しており、主人公に後輩が出来たり各校のサブキャラクターの顔ぶれも大きく変わってしまいます。
共通ルートで活躍していた部長勢が魅力的だった分ちょっと代替わりした部長勢が弱かったかなぁと思うのは自分の好みの問題でしょうか?
一番盛り上がるところで流れる挿入歌がひかりルートではWinter Diamond、沙夜ルートではStar Mapとそれぞれのヒロインで違ったのも印象に残りました。

一方先輩・後輩のルートではひかりが旅立ってすぐの時間帯の話になりますのでほぼひかりはほぼ登場しません。
そして幼馴染ルートでは同じ計画を進めながら違った関係性で話が進んでいましたが、先輩・後輩のルートではそれぞれのヒロインで別の話が進行します。
幼馴染のルートでは個別に入っても過去の話が絡みますが、ころなルートでは少しだけで織姫ルートでは過去の話は一切なくなります。(織姫は過去に絡んでいないので当たり前ではありますが。)

この作品で特徴的なのは天体関係の描写が細かいところまでされている点になります。
星座の紹介から星に関する知識、天文現象や星に関する神話や観測の仕方までちゃんと調べなければ知らないようなことまで細かく描写されています。
CGで描かれる星の描写もとても美しくて、思わず星について勉強したくなりました。
天文関係のことには解説が入るので、詳しく知らない人でも楽しむことはできます。

作品の紹介ページを見てヒロインが気に入った人、ストーリーを見て気になった人、夜空を見上げて星を眺めたことがある人には自信を持ってお勧めできる作品です。
特にひかり・沙夜のどちらかが気に入った人には是非やっていただきたいです。
FDも2作品出ていますので、気に入った人はそちらもぜひ!