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snooさんの大帝国の長文感想

ユーザー
snoo
ゲーム
大帝国
ブランド
ALICESOFT
得点
79
参照数
1611

一言コメント

魅力はあるのに粗が目立ってしまった………そんな作品。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

大シリーズどころかアリスソフト作品は未プレイで、
前評判の良さから興味を持って買った本作。
賛否両論の中で揺れる作品ではありますが、
個人的には非常に楽しませてもらったので買って損はありませんでした
………が、やはり美点もあれば欠点も多い。
評価が二極化してしまった理由も頷けます。

『大帝国は算数』
と言う言葉には激しく同意します。
戦略フェイズでは資源と技術のやり繰りをしつつ、提督の指揮値を考えての艦船編成。
そして、いざ戦闘に入れば戦局影響と敵提督のスペックを考慮しつつの艦隊編成。
変えて言うなら、『大帝国は家計簿』かな………。

ただ戦略を綿密に組まなければ勝ち進めないと言うシステムは、
噛み応えが十分にあって自分としてはストライクでした。
ターンを稼げば資源が溜まって無双も可能ですが、
ルート分岐を考えると無双はほぼ不可能だと思いますので、
サクサクプレイが好きな方には回避推薦かと………
ただ、頭を捏ね繰り回して考えるのが好きな方には楽しめるのではないかと思います。
私自身もあーでもないこーでもないと考えに考えた末、
その戦略通りに突破出来た時はえも言われぬ喜びもとい快感がありました。

現在はパッチを入れる事で『偵察』も追加可能ですし、だいぶプレイ環境も快適になったと思います。

また提督の育成要素は全くありませんが、
艦船の組み方次第では弱小提督も十分に実用可能になるので、
個人的には『育成ゲー』と言うよりも『カスタムゲー』って感じですね。
ただキャライベントをこなすと提督の指揮値が30アップするんですが、
そこはせめて60ぐらいは欲しかったなぁ
むしろ90ぐらいくださいよ、お願いします………
と贅沢な事を言ってみたり。

※ここから多量にネタバレを含みます。

さて、ここまでは特に欠点を言及しませんでしたが、
私が何よりも何よりも声を大にして言いたいことは―――
2週目以降の引き継ぎ要素をもうちょっと考えましょうよ!…です。
初ENDはEND3だったのですが、
クリア特典に一瞬ポカーンとしました。
「いや、うん…まぁ、猫好きだし…まっいっか」
と思いさっそく堂々デビューをしてもらったんですが、
「声無いんかいッ!」
とその時点で急にやる気を失ってしまったのも事実。
一言可愛く『ニャー』とか鳴いてくれるだけでも全てを許せたのですが、
さすがにこりゃあ無いよーと思いました。
まぁ…その後にはまたコツコツと再開してましたが。

それと、資源と技術の引き継ぎのYES/NOぐらいはあっても良かったなぁ…と。
家庭用ですが、テイルズシリーズ並みの細かい設定があればかなりの好感が持てました。
最近のテイルズはちょっと付いていけませんが。
………すみません、余談でした。忘れてください。

シナリオについては個人的には可もなく不可もなくと言った感じです。
WW2をモデルにした所は非常に面白かったです。
ただもうちょっと演出にも力を入れてくれたらなぁ…とは思いました。
COREルートは「オラ、なんだかワクワクしてきたぞ」
と思ったのですが、なんだか終わりはあっさりしていたような………
てっきり巨大勢力と化したCORE達を全星域が力を合わせて倒すという、
王道ながらも胸熱な展開になるかと思いきや東郷さんとキングコアの自己完結的な終わりでちょっとガッカリしました。
せめてキングコアとのラストバトルはBGMを変えるなりして熱い物にして欲しかった………てっきりラスボスだと思ってたので。
はっ、ラスボスじゃないからシナリオが軽かったって事なのか!?

うーん…でも、COREは完全な悪役って感じが良かったからなお惜しい。
最近の一般向け作品は中途半端な悪役が多すぎてげんなり気味なので。
その非道の裏には実は~とかこんな悪い人だけど良い所もあるんだぜ?とか
そういう同情を買うような悪役は悪役じゃないと思うんですよね………。
日本作品はアンチ勧善懲悪の風潮があるので仕方がないのかもしれませんが、
潔いほど極悪非道な悪役がいても良いと思うの! せっかくの18禁なんだからさ!!

現にCORE達の凌辱を超えた暴力シーンを見た時は
「絶対コイツらぶっ倒す!」
って感じでかなり燃え上がりました。
こんな事言ってますが、突き抜けた悪役は大好きですよ。
たぶん半端なのが個人的に受け付けないんだと思います。
ヒーローはとことんヒーロー。
アンチヒーローはとことんアンチヒーロー。
悪役はとことん悪役という風に役柄を貫いて欲しい。
………話が脱線してしまいすみません。
しかも、ちょっと極端な意見で申し訳ない限りです。

気を取り直して、今度はキャラクターについて。
お気に入りのキャラクターは女性では、
レーティア、ゲッベルス、デーニッツ、津波、クリオネ、ゲーペ
男性では、
ロンメル、アイゼン、山本
このメンツを一目で見れば分かるとおり………完全なドクツ贔屓ですね。
ドクツ関係のイベントはどれも良かった為、必然的にこのような形になってしまいました。
ハイル・アドルフ! ハイル・ジャージ!
ただゲッベルスの本番シーンがなくて(´・ω・`)ショボーン
あんな良いおっぱいをパイズリだけで済ますなんて勿体ない! 実に勿体ない!
追加パッチを所望する!………えっ? 有り得ない?
………(´・ω・`)ショボーン

それとグラフィックについては文句無しです。
看板絵師さんばかりなだけあってキャラクターの造形も非常に良かったです。
グラフィッカーさんも安定した塗りで綺麗でした。
ただちょいちょいデッサンが崩れたものもあったかなぁ………と。
あまり気にならない程度ですが、
夫婦が好きな私としてはスカーレットさんとのHシーンをものすごく期待してたのですが、ちょっと違和感がありました。
あっ…スカーレットさんの風船おっぱいは美味しかったです、ええ。
それと、スカーレットさんとの濡れ場は珍しく情熱的で良かったです。

和姦エロが薄いと嘆かれてる大帝国ですが、
たぶん原因はHシーンがワンパターンなせいで飽きるんだと思います。
事実、私も飽きました。
東郷さんの女性には優しく紳士的。
抱かれた女性は不満の一つもなく東郷さんにメロメロ。
って言う設定が仇になったんじゃないかと思います。
大抵のHシーンは女性奉仕に徹しすぎて「あん、東郷さん! 気持ちいい!」のパターンばっかりになってしまったのが良くなかったかと。
あと、キャラが多いから仕方が無いのかもしれませんが短い・少ない。

ただ決して質は悪い訳では無く、ハンナとロスチャの濡れ場は個人的に良かったですし、クリオネちゃん関係はスタッフからの愛も感じました。
リットンもキャラ的に好きじゃありませんが、新鮮で非常にムラムラしました。
東郷さんの設定に縛られずに、もっとHシーンに幅を利かせれば良かったのでは?
とちょっと思いました。
もしくは脇役同士の濡れ場がもっとあっても良かったのでは―――
と思ったのですが、それは事情的に難しいのかもしれませんね………。
個人的に神視点で物語が語られている時点で、
東郷さんはプレイヤーが投合する主人公と言うよりあくまで物語の主人公という目で見てた為、キャロルに関してもNTRとは思わなかったです。
むしろハワイルートでは「もう早く付き合っちゃえよ、お前ら」とニヤニヤしてた自分が居ました。
キャロルはわっしぃーとの方がより魅力的な女性だと思ったんですがねぇ…っと独り言。

さて、これ以上長く書いても仕方が無いので総括させて頂きます。
この作品を一言で表せば―――
『惜しい作品』ですね。
見飽きたフレーズだとは十二分に承知しています、はい。
ですが、やはり惜しいと言わざるを得ない。
個人的には良作の分類に入っているのですが、客観的に見れば粗が目立ってしまったのが頂けなかった。
実際、最初は戸惑うことが多かったです。
チュートリアルも特に無く、細かな説明も無し。
思うままにやってみれば撃沈撃沈の嵐。
初っ端から取っ付き難い印象を抱かせてしまったのが、個人的にマイナスでした。
しかし、コツを掴めばアラ、不思議。
ハマってハマって仕方が無い。
とんでもない中毒性を持った不思議な魅力を持った作品でした。
点数は非常に微妙な物となってしまいましたが、次作も楽しみにしてます。

※追記…チラ裏レベルの考察

連合艦隊をクリアして思った事ですが、
東郷さんって柴神様の種族であるノーブドッグの血が混じってないか?
例えば祖先がノーブドックと人間のハーフとかだったりで。
そうすれば、カテーリンの絶対服従が効かなかったのも真希のチート能力にも説明が付くと思うんですが、
劇中では一切その手の話が出て来ないので、ただの思い過ごしかなー…と。
(ロリコフには東郷の性格上従わないだけとか説明してましたし)
ただ単に自分がやりこんでないだけかもしれませんが、
女王の命令は効かないけど触手宇宙人の毒電波は効くとか、なんかそこら辺の設定が曖昧すぎてモヤモヤします。