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smitheeさんのSummer Pockets REFLECTION BLUEの長文感想

ユーザー
smithee
ゲーム
Summer Pockets REFLECTION BLUE
ブランド
Key
得点
88
参照数
1020

一言コメント

最高の夏休みをありがとう

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

久しぶりのkey作品。keyの集大成とも呼び声高いこの作品。2021年夏ようやくプレイ出来た。
Rewriteぶりのkey。過去のkey作品のことも少し触れるので気になる方は見ないように。
なお無印はプレイしていません。

攻略順↓
紬→静久→蒼→鷗→のみき→識→しろは→ALKA→Pockets→うみ

推奨攻略順は特にないけど個人的には最後にしろはがいいと思う。蒼を序盤にして紬の後に静久を持ってくるのがおすすめ。

まず共通ルート、基本的には攻略したいヒロインをひたすら選んでいくだけなので選択肢は多いがわかりやすく良かった。かなり会話パターンも多いので飽きずにサクサクできたしよかったと思う。
もともとは鏡子さんの遺品整理をすることが目的だったが基本的には外で遊ぶことばかり。なんか意味があるのかなと思っていたら後々しっかり回収されたので良かった。ギャグもそれなりに多くてリトバスなどには及ばないが笑える。

以下ルートの感想(ルートごとに点数をつけます。良かった悪かったというよりは自分の好みがどの順番か差別化を図るため。)


紬ルート(80点)
紬はとにかくかわいい。むぎゅむぎゅにされたわ。最初ツムギと紬が出てきてちょっとクエスチョンな部分があったけど考察やら見ていろいろ腑に落ちました。紬とクリスマスもお正月もできる濃密な夏休み。日記のところとか最後のシーン含め感動できた。最後のシーンがとにかく良い。だんだん面白くなっていく感じのルート。あの鼻歌聴くだけで涙目なるわ。

ここでトップ画面から紬が消えます。なるほどそういう感じね…いかにもkeyぽかったね。

静久ルート(82点)
少しだけ紬ルートよりも好きだったのでこの点数。ほかのキャラも結構登場するルート。
忘れ去られる主人公との思い出や母親との衝突など少々心苦しい場面が多くあるがしっかり満たされる良いルートだった。紬ルートとの親和性も〇

蒼ルート(86点)
蒼ルート良かったなーーーてか全体通しても蒼が一番主人公とお似合いな気するわ。
蝶の秘密もわかるから結構重要なルート。蒼がかわいかったな~恋に落ちていく過程や距離の縮まり方も蒼ルートはしろはルートと並んで好きなルートだった。
内容は蒼の双子である寝たきりの藍の目を覚まさせるお話。でも最後は蒼が蝶の記憶を取り込みすぎた影響で蒼が寝たきりに。おんぶして島を回るシーンで涙ボロボロ。蒼ルートはなんか演出や魅せ方が上手なルートだった。

鴎ルート(95点)
今回サマポケをプレイしていて一番好きだったルートが鴎ルート。鴎ルートは感動したのはもちろんだが、とにかくワクワク感がすごかった。共通ルートの時点から10年前隠した宝箱のカギを探して、そして10年前みんなで見つけた海賊船をもう一度見つけようというもの。もうこの設定がそもそも面白いしワクワクするしでたまらんかった。で実際の内容も本当に秀逸で、初めて来たハズの主人公にもなぜか当時のことがフラッシュバックする。当時冒険した仲間にはタカという男の子もいた。この時点でほぼ全員が「このタカという子はタカハラハイリのことで過去に鴎と冒険したメンバーだったんだな」と誰もが騙されたはず。見せ方うますぎる。見事に騙されたわ。Rewriteのルチアルートもきっとこんな感じにしたかったんだろなと…竜騎士先生…(あれは騙したのではなくただの矛盾)
本当は絵本の中の世界の話で、それを再現しようとしてたという内容。鴎のお母さんのキャラがとにかくいい。もうなんていうかテキストがとにかく先が気になるテキストで最後まで没頭してやることができた。最後のCGはあほみたいに泣いた。鴎の想いは報われたんだなと。髭猫海賊団か確かにいたのだと。鴎は一人じゃなかったんだと。そう感じることができた。締め方まで含めてパーフェクト。大好きなルートです。

このルート終了後restartの文字。
始めて見ると…うみちゃんの口調が変化している。うみちゃんかなりキーパーソンな立ち位置なのかなと察知。終わってみればキーパーソンどころかうみゲーでしたね。

のみきルート(73点)
一番ノーマークなルートだったのにめっちゃよかったよ。家族愛。島のみんなが家族。夢と現実の行き来もハラハラしたしギャグ要素も多くほかのキャラも活躍。バランスのとれたいいルート。

識ルート(91点)
無印にはこの子居なかったってマジか。もしかしたら賛否別れるシナリオかもしれないが個人的にはとても良かった。現在の行動によって過去を変えていく感じの話。シナリオもさることながら自分が鬼になって嫌われようとも島の住人を守りたかった。識というキャラにもかなり魅力が詰まっている。夏鳥の儀のCGがとてもいい。最後のシーンのおむすびだ!は泣いた。

ここで二度目のrestart。うみちゃんがさらに幼い感じに…

しろはルート(78点)
このルートはALKAと抱き合わせで考えたほうがいいね。しろはの秘密もわかって二人で未来を変えるために協力する。蒼ルートのとこにも書いたが、しろはの心開いていく距離の縮まり方や過程がとてもよかった。普通にいいルートって印象。

ALKA(94点)
来たよグランドルート。今作はどうなのか…
うみちゃんについても判明!ハイリとしろはの子供!まあなんとなくそうかなぁと。
中身はクラナドに少し近いかもしれない。家族愛のお話。
絵日記の過程。一緒に折った折り紙やかくれんぼ。どのシーンも思い出すだけでヤバイ。みるみる幼くなりハイリとしろはの記憶から抜け落ちていくうみ。日がたつごとにつらさが増す。3人で撮った写真にうみがいなくなってるのきつかった。そして最後の打ち上げ花火…もうThe keyって感じの出来でした。泣けたし素直に感動した。家族愛の描き方に関しては流石。

Pockets(90点)
しろはが死んでしまう運命を変えるために七海(うみ)がさらに過去に行くお話。ざーさんの声の正体も判明。記憶戻った後のやりとりよかった。しかししろはを救えばしろはとハイリは出会わず、うみは産まれない。駄菓子屋前ですれ違うCGが悲しかった。そこで終わりでも個人的には悪くない終わり方だが、最後の最後うみがいなくてもちゃんと二人は結ばれた。モノローグの鳥は傷ついても傷つかなくても出会う運命だったということでしょう。識のカットインも熱かった。
永遠に続く夏休みなどないしむしろ終わりがあるからこそいい。いいハッピーエンド。あと鏡子さん結構重要人物ね。影法師さんは多分瞳さんなのかな。

うみルート(76点)
ALKAとPocketsやる前と後とで印象変わりそうなルート。このルートではやはりハイリのことを良くは思っていない。まぁ残当。父ハイリのことは掘り起こされたし数少ない水泳克服に向き合うルートなのでそこはよかった。最後のシーンもエモかった。しろはとの絡み期待したけど特に何もなかったので多少意味深な感じの描写は欲しかったかな。


以下よかった点微妙だった点など

良かった点
・一人一人の出会い方にちゃんと意味があるところ
しろはは泳ぎの練習、蒼は昼寝、鴎はどこからともなくフッとスーツケースを持って現れ、紬は灯台の上で鼻歌。
どれもルートで大事な要素になっている。出会いの時点からルートが始まってる感があっていい。
・ルートごとのエピローグ
基本的にどのルートもビターな感じだったり微妙なところでエンディングを迎える。ここの引きとED入るタイミングなどもよかった。そしてこのゲームの真骨頂はエピローグ。きちんと報われるからほっとする。のみきとかいいよ。
・CGの綺麗さや背景の多さ差分の多さ
絵はとにかくいい
・キャラの良さ
男キャラ含めみんなマジで善人。いやなキャラは一人もいなかった。
・夏の雰囲気や舞台
夏を感じられるし聖地巡礼もしてみたい
・考察しがいがある
keyおなじみの。「これでよかったんだよね瞳…」のとことかね。

微妙だった点
・主人公ハイリ
これは過去と比較してという意味で。鴎ルートなどで活躍してかっこいい場面は結構あったのでいい主人公だとは思う。だが直枝理樹や天王寺瑚太朗に比べると弱い。Pocketsで空気だった上に未来のうみちゃんにひどいことしてるし。
・音楽
基本的にはかなりいい。きれいな曲が多くサマポケに合った曲ばかり。でも個人的にRewriteやリトバスの曲のほうが好み。
・ヒロイン同士の絡み
こんなもんっちゃこんなもんかもしれないけど良一天善のみき蒼は仲いいし描写多いけど他もっと多くてもよかったんじゃないかと思えた。
・Pocketsのボリューム
直近だとRewriteのTerraが好きなので比較するのもどうかと思うがもう少しあってもよかったかなと。

以上いろいろ書いたが全体的に没頭出来るいい作品だったと思う。
keyもスタッフがどんどん変わっており不安もあったがkeyらしさがしっかりあった。やはり自分はkey作品が好きなのだと再確認できた。
いい夏休みでした。この作品の眩しさだけは忘れません。