ErogameScape -エロゲー批評空間-

slav23さんの終わる世界とバースデイの長文感想

ユーザー
slav23
ゲーム
終わる世界とバースデイ
ブランド
コットンソフト
得点
88
参照数
458

一言コメント

終りを迎えた世界のその先へ

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

コットンソフト第6弾にして偶数作3弾。新・終末系恋愛ADV
の触れ込みと残酷シーンを含んだ体験版からスプラッター
展開の連続を期待した人も多かったと思いますが、よい意味で
終末の謎が解明されていきます。

ストーリー;2012年9月の始め、事故死した親友の妹入莉
(後遺症で主人公を兄と錯覚中)を実の妹としていた
主人公、冬谷和臣は入莉の友人織塚美咲の助けを得ながら
2人で未来都市てんくうタウンで高校生活を送っていた。
ある日、てんくうタウンの住民用ネットから「月末29日に世界が終る」
という予言がネットに書き込まれた上、その噂が街に広まっている
事を知る。最初は半信半疑だった冬谷だがある予言が妹を巻き込む学園内の
殺傷事件を引き起こしたことから、塾のクラスメイト夏越大天使、
学校のクラスメイト藤白柊、ニートなマンションの隣人諏訪成子らと
9.29対策委員会を結成、惨事を起こす予言を未然に阻止する行動に
乗り出す。しかし、カサンドラを名乗る予言の書き手の言葉は確実に
委員会の面々に迫りつつあった...

事前の触れ込みから予想されたスプラッター的シーンは少なめですが、
世界の終りについてどういうことかと色々考えされられ、続きが
気になる展開で楽しめます。当初個別√での入莉の消滅、殺人ウィルス
の流行、てんくうタウンの凍結といった現象を前に主人公たちは
意識を持ったプログラムであり、一連の現象は管理者カサンドラに
よるdelete、コンピューターウィルスの発生、データの凍結
が主人公らの世界に影響した結果ではと考えていました。しかし、
私のこの予測は微妙な差違でもって裏切られました。成子√から
終章への展開がクライマックスです。前作「アンバークォーツ」の
レビューでも述べましたが、本作でも主題歌がストーリー展開の
ヒントとなっており、「僕がここに生きたという証をここに残す♪」
ことが重要は行為となります。また、入莉を助けるためあの方が終盤で
復活するシーンでの「夏の終わり」BGMとエピローグでのED曲の演出は
鳥肌ものです。

お気に入りキャラはイリとカアサンドラ。片仮名は入力ミスではありません。
ラストまでプレイして全てが分かります。