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skskidaysさんの11月のアルカディアの長文感想

ユーザー
skskidays
ゲーム
11月のアルカディア
ブランド
LevoL
得点
89
参照数
2492

一言コメント

総合力が高い作品。(少々長く感じる側面もあるが)シナリオも良く、グランドEDの落としどころも良かった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 時期的にネタバレ要素をできるだけ少なめ。
 ルートの形式は、一本道(本筋)に対し、ヒロインルートへの分岐が挿入されるタイプ(穢翼のユースティアと同じ感じ。ただし、ユースティアと異なるのは、最後がメインヒロインではなく、グランドルート)。
 総括はSummaryの通りなので、詳細部分について。
 お話は、所々展開が読めるところがあるが、その一方で読めない展開もきっちり配置されていて、「やられた」って素直に思えた。本作のライターさんはこのギャップをあえて作っているのではないか、と想定される。伏線回収が綺麗で、話そのものの矛盾も感じられなかった。
 設定面も良くできていると感じた。異能とキューブによる影響(自動型→制御、任意型→展開・強化)の設定や異能に対する立場の設定(異能により救われている者、異能により苦しむ者など...)が特にそう感じた。
 選択肢の提示も主人公(主人公目線のプレイヤー)が迷うところで出してくるところが上手かった。ヒロインルートに行きたい欲求に何度駆られたことか....単純な選択肢で5分悩んだのは久々だった。
 本筋に対し、個別ルートをやった後、スタート画面にAfter Storiesが表示され、クリアしたヒロインの後日談が見られる仕組みになっていた。これは作品の特性を踏まえて、「オーブを手に入れる」という目的に対し、どういう結果に至ったかまで(シリアス含む)と、その後のヒロインとの生活(シリアス含まない)を分離させる必要性を感じたためだと想定される。(この表現が正しいかは分からないが、)シリアスのないヒロインとのイチャラブ展開を楽しむユーザーも視野に入れてのことかも...とも感じた。
 少々気になったのは、シナリオにて若干長いと感じさせる側面があったこと。人によってはPrologue(体験版部分)が少し長く感じられるかもしれない(体験版で一度プレイしたせいでそう感じるだけかもしれないが...)。後半に進むにつれ、シナリオのリズムが良くなっていく感じがあった。
 演出(SEも含めて)が、体験版とは異なるところが随所に見られた(良い意味で)。その演出強化が作品全体を引き締めている感じがした。特に、終盤の「28日カウント」の演出は分かりやすくて良かった。
 CGも塗りが綺麗だった。特に愛瑠のルートで、愛瑠が窓際で服を脱いでいくCGが個人的にはお気に入り。音楽も作品に順応していて素晴らしく、システムに不自由な点はなかった。

(あとがき)後日追記する可能性もあります。