法月将臣を愛するすべての人へ
個人的に、前作よりも高得点を付けざるを得なかった。
実際のところ、全体的なバランスや構成的な意味合いでは前作の方が上を行くのだが、「法月将臣」という人間ただ一人に執着してしまった私としては、悠久の少年少女の法月の過去のお話が非常に魅力的で面白かった。
なぜあの法月将臣が生まれたのか、三郎とともにいたはずの彼がなぜ袂を分かつことになったのか。
あと、たまに垣間見える冗談のセンスがどこから来ているのか、などなど。
とにかく知りたかった法月将臣について多くのことを知ることができたし、エンディングを迎えた今となっては、あまりある感情を持ってあの親子に向き合わざるを得ないようになってしまったのである。
完全にあの人間は劇物であったと、そう思う。
ヒロインたちに関しては特にいうことはない。まあ、そんな感じの未来をたどるんだな、という程度。
ただ、南雲えりという人物の深堀があったのは地味にうれしかった。
たとえあのような結末を迎えたとしても、彼女というキャラクターに意味があったことは、その死を目の当たりにした人間として感慨深いものであったのだと思う。