否が応でも惹き込まれる世界
とにかく先が気になる作品だった。
基本的に上野猟奇殺人事件が主人公の周囲を渦巻いているせいで、なんだか自分自身の足元にも常に殺人鬼の狂気が迫っているようで、ドキドキしながらプレイしていられたのは、ある意味ゲーム体験としては非常に優秀だったと思う。
また、ヒロインたちが魅力的だったのも、作品に没頭できた理由だと思う。
凛など、みんながみんな好きになりそうなヒロインが正史では死んでしまう、といった辛い点も多く、人によってはその点が減点対象になりうるのかもしれないが、私個人としてはそのあたりの要素によって傷つけられた心が主人公とつながっている感じがして非常に世界観を体感できた気がしている。
また、当然ながら由良という狂気と偏執のヒロインが見事にエンディングをまとめてくれたことも高得点となりうるポイントである。
3つの方向性からエンディングを描いたからこそ、由良というヒロインを受け止めることが出来た気がする。
とはいえ、主人公の過去が明かされていなかったりなど、若干掘り下げが足りないと思うところがないではないので、その点は少し残念だった。
とはいえ、総じて凄まじいまでの世界観に浸らせてくれたことは、やはり面白いと思わざるを得なかったので、プレイしてよかったと思う。
さて、これで心構えはできたので少女シリーズに進もうと思う。
次の舞台はどんな彩に染まるのか、とても楽しみだ。