新島夕の特徴が逆張りよりも別離エンドよりも語らない事であることが色濃く出ている作品。語らずとSF、燃えとのシナジーが悪い部分が多く見られるんですがその拙さがベテランの新島夕から初々しさが引き出している。その初々しさにセカイ系の香りや引用癖尺その他諸々が絡んだ結果……ゼロ年代同人サークル産エロゲー(ブレイク前)が爆誕した。
ものすごく可能性を感じるサークルだ……!
ノスタルジーによって気になる部分に概ね目を瞑れる事に気づいてしまった
エロシーンの薄さ少なさもゼロ年代同人ゲーということで。
まずプレイ時間が10時間かからなかった。フルプライスに届かないこの微妙な尺も同人ゲー感じゃないですか?
いや今回は本当に全部これで押し通していきましょう
だって特定の個別ルートから謎の組織が出てくるのも主人公が戦闘出来る能力に目覚めるのも記憶/存在が消えてしまうヒロインも全て今は平成だと叫んでる
ロミとミコの名前の対応なんて絶対ライターが後々個人ブログで言及する奴でしょ!
そんなノスタルジー。
しかし今作、とにもかくにも語らない
いやそれ言ってるのと同じだし明言しても良くない?って内容ですら明記されないし核となる設定にもかなり暈しが入っている
拾いたい情報を拾って君だけの最強の新島夕シナリオを作ろう!
というわけで足りない尺と掘られない設定からごっそり1ルート分削られたのかなと何が無くなったのか色々妄想した中で一つだけ
プレイしていて特に引っかかるのがまず父親の魂。
最期の最期、父はアインシュタインとして立ち上がるわけですが…
消滅して鯨に接続した主人公は散々肉体から離れた魂にタイムリミットがある事をシグマから聞かされています
にも関わらず父親の魂は死後7年以上経過してアインシュタインを動かすわけですが…ここの詳細は全く言及がありません
2つ目に引っかかるのは巫女、ミコの正体について
グランドでその姿を顕にする彗星機構を支配するミコですが…まぁ有村ロミという不可思議な名前に対してあからさまに関係がありそうなネーミングですよね
一切繋がりが言及されないもののあえてカタカナで表記されたミコとロミ、この字面の相似、対称性で何もないはさすがにないでしょう。
しかしこの経済に干渉し人を集い操るただ一機のみシンギュラリティを突破した超高度AIですが…いや本当に?
魂をエネルギーとして駆動するモーメント…その大型種を扱う魂の無い人工知能?本当に?
ロミとミコの対象性は人の形をした魂なき人と機械の形をした魂のある機械なんて分かりやすい対称性であってもおかしくない…事はさすがに無い。こともないかも。
とにかくこの2つの大きい何故を繋げる事が出来る魂関連がごっそり抜け落ちているのではという妄想をブートします。
というか正直世界の謎を追い求めるSF要素が薄いんですが……魂の在り処にもう少し踏み込めばSFとして十分な強度を持つと思うんですよね
そしてそれは父親を軸とした死者の魂はどこへ往くのかという普遍的なテーマ、ミコを軸にした人工知能に魂は宿るのかという普遍的なテーマこの2つを繋げ軸にして展開出来る魂を探求するシグマも絡む事が出来る物語でありこれをごっそり削ったと考えればグランドでの掘り下げの不足にも説明がつく……という妄想。いやもうその中身を連連書くのは感想文じゃなくて設定ノートですね。
みんなもしよう、妄想。作ろう、ノート。