点数は灯花が可愛いという点と璃々子お姉ちゃんが最高であるという点のみであり、内容においては採点に含めていない
ーーー構成ーーー
全5章のうち2-4章がヒロイン3人の実質的個別√(1章を共通と見なす場合)であり、ED後の個別エピソードが極めて短尺(ほぼエピローグ)という少し変わった構成である。
よく初心者向けエロゲは何か?という話題が上がるが、私的には本作はこうした変わった構成という意味で初心者向けではないように思われる。
とはいえ、本作の知名度とプレイ数、周りの知人の話を鑑みると、一般的には初心者向けなのであろう。
ーーー世界観・設定などーーー
大論点は、(作中世界と我々の生きる世界のどちらにおいても)法律と國體はどうあるべきか?という点であろう。
あの世界であるが、
現在は民主主義であるが、立憲君主制に移行予定(君主は哲人と呼ばれる、とっつぁんはその候補)
特別高等法の成立前は、重罪人は鉱山発掘の義務を負ったそうだ。
そののち、特別高等法が施行され、現在の世界観に至る。
特別高等法の種別は目的刑論の中でも教育に視点を置いているようだ。(教育系論)犯罪抑止と更生。
とりあえず個別のケーススタディで考えてみる。
①さち
内乱後の借金を抱えているにもかかわらず、ギャンブルに没頭しているため、時間制限の義務を背負う。
当義務の目的は、時間の大切さを認識させること。
私は既に理解に困っている。巨視的な目線で見れば、さちが借金を返済することがゴールであり、その時点で義務は解消されるべきであろう。確かに、現行の刑法では被害弁償が成されていても有罪かつ実刑判決を受けた事例もある。しかしそれは、被害感情や被告人の更生のためである。
さちのケースでは、彼女は義務を負った現在、為替取引によって利益を生み出している。
従って、被害弁済は可能であり、かつ絶えず値動きするマーケットを注視しているので時間の大切さは重々承知であろう。つまり義務を背負う理由がない。
FXの利益は雑所得に計上され、所得税として納税されるのであればよいであろう。もちろん海外証券口座を経由した取引により、手数料(コミッション)が海外に流れるという点もあるが、これも無視できるレベルであろう。
更に言えば、労働=時間の等価交換であることを前提とした法であるが、さちの労働は絵を描き、売ることであり、それは時間との等価交換ではなく、作品の価値との等価交換である。
故に、この義務を負う必要は最初から無かったと考える。
あと、この世界って財産差し押さえと自己破産の制度ってあるのかな。
②とーか
まず、法の適用・解除の申請を司法以外の誰か(この場合は親)しかできないのが狂っている。
第三者から見て良い子でも、毒親から救うことは国家でも不可能なのだ。終わっている。
あと、母親の京子さんに必要なのは強制収容所への送致でも研修でもなく、治療と教育。
麻薬法で刑務所行った人が出所後に更生保護施設のダルクに通うように、彼女に必要なのは法の支配権ではなく治療。あの手の毒親の連鎖を止める制度になってない。
③なっちゃん
冤罪がまかり通る(自白強要)のはダメだろう、というのは置いておき。。。
色恋で財産等をせしめて、、、というのが義務を負った理由とあるが、じゃあホストクラブとかどうなるんだろう。枕営業を除けば、度が過ぎたボディタッチはNGだ。しかし顧客の女性は依存し、金を落とす。
とはいえ、現在の日本の法律より、この点は部分的に優れているように想う。
いわゆるハニートラップで他者を誑かす詐欺師に対して必要な制裁は、短期的には被害額の弁償であり、長期的には再発防止策として経済自立支援と思う。本作では後者は含まれていないため、完璧ではない。
④お姉ちゃん
極刑(認識されない)の設定は面白い。これのみ教育刑論ではない。ただし、現実的には運用が難しいと判断。
極刑=日本の死刑に値する犯罪者の刑罰とすれば、そんな輩を娑婆に野ざらしにするのはリスクが高すぎるであろう。
連座制は思想犯と宗教系以外は反対。親は選べないので。
総じて、私のスタンスでは、当該法は教育刑論という立場を取っている点では賛成だが、個別義務については各事象に対して最適な判断をもって刑を下すべきである。
なお、テロリズムについては、60年代の学生運動全盛期を引き合いに語られる笠井潔著の『テロルの現象学』を読むことで再勉強したい。
本書は今はえろげーを引退してしまった盟友なーなむ氏からの推薦書であり、私の中での必読書類である。
作中冒頭で、頭の偉い人たちが決めた法律に俺たちは何となく従っている、とあるが、これは昨今のTwitterでの議論でも見られる傾向で、「当たり前や前提を疑う」という行為ができない人が僕の思っている以上に多い。
作中で車輪について言及される個所
・今日も太陽は東から登ってくる。まるで車輪の様に・・・
・車輪とはある種の拷問器具を指す
・車輪の下にいる人間について考えるべきです
ーーーキャラーーー
さち:
性欲強めな元気っ娘だいすき侍。立ち絵のへそちらもエッチ
とーか:
最推し。ぶっ殺すぞ!(舌足らず)。あと虐待を耐えたのはすごい。洗脳もあると思うけど。
→この口癖、お姉ちゃんが仕込んでいたとは。。。
なっちゃん:
警官に凌辱され、7年も好きな人を待ち、いじめ、性虐待まで受けて世界に絶望したのに、よく立ち上がったと思う。彼女こそ向日葵の少女だろうね。
お姉ちゃん:
極刑(認知さてない)の伏線はエレガント。あと純粋に絵に描いたようなお姉ちゃんでガチ恋。こんなお姉ちゃんが欲しかった。
本作冒頭でも主人公が語っているように、「おれみたいなぺーぺーがどうやって姉貴と愛を叫ぶのかと、そういう話だ」ということで真ヒロインは姉貴っす。
京子さん:
あなたは親になっちゃだめでしょ。治療と教育を受けてください。
とっつぁん:
「指導者は謝るな」とあるが、同意できない。誰かに責任を押し付けられない立場の人間だからこそ、自責の謝罪は必須である。権威性を誇示するために謝罪をしないというのは悪手であると思う。なぜなら、自分の非を認められない指導者についていこうとする者はいないから。
磯野(セピア):
「僕ってすごいプロット上重要なキャラだから」というメタ発言が印象的だ。