ただ、ありがとう。
僕は幼少期から祖母に買ってもらった小学館の宇宙の図鑑を読み漁るほどの宇宙好きで、学生時代はつくばにいたので宇宙開発が身近にあり「つくば宇宙センター」も庭のように訪れていた。大学受験の際は天文学や宇宙工学を学ぶために出願先を決めたりした。大学では好成績を維持し、例年もっとも倍率の高い超高層大気物理学を専門とする研究室にも配属され、主著国際論文も投稿しアクセプトされた。
つくばにいた頃から6年の月日が経ち、僕は大学を卒業して23年4月から社会人、経営コンサルタントになる。
なぜだろうか、いつのまにか宇宙やロケットへの夢と情熱は消え、かつての自分とは別人になってしまった。
そんななか、たまたまこの作品を手に取り、たったいまプレイを終えた。
いま心の中にあるこの感情を僕は絶対に忘れてはいけないと思いここに記す。もちろん別途EverNoteにもまとめておく。
・僕はいまでも宇宙やロケットが好きだ
・何かを諦めなかったころの自分は今よりずっとかっこよかった、今は何でも諦めてばかりだ
・何かを始めるのに遅すぎるということはない
・法規制など課題は多いが、アマチュアとして極小ロケットを打ち上げたい
・宇宙関連企業に転職したい(三菱重工、IHIなど)
・宇宙に関わる修士以上の学位を取得したい(宇宙航空工学系の大学院がいいか)
・上記を達成できなかったとしても、何らかの形で宇宙開発に関わりたい
作品について:
一言でいえば、自分も人生のどこかでほんの少しだけ運命が違っていたらこんな風にロケットを作っていたかもしれない、「もしも」の人生として読みました。
①呼び名の話
僕の本名がシュンなので、ヒロインから実名で呼ばれた時は感動して涙を流した。Cationシリーズのラブリーコールシステム以来の感動。むしろ後者は事前に呼ばれると知っていたが本作は主人公の名前自体はシュンではないので不意打ちだったぶん感動はなお大きかった。
②宇宙・ロケットについて
上記に述べた通り僕は宇宙が好きだったので、主人公やヒロイン、ロケット部のみんなが本当にロケットが好きだということが伝わり、見ていて昔の自分を思い出して胸が痛くなったし、とても眩しかった。
内容についても一切妥協せずに読者への配慮は最低限で、ばきばきに専門用語を使って深く掘り下げてくれたのがよかった。これがなかっただけで駄作になっていたと思う。
③「諦めない」というマインドについて
本作の主題が宇宙なら、次点のテーマは逆境でも挫けないマインドだと思う。電装・推進・機体・PMそれから完結編でも各々の課題が発生していた。一見どうしようもない課題も多かったと思う、特に夏帆の目の病やグランドでの有佐の事故など。それでも誰一人諦めない姿勢は、巷に幾多もある自己啓発本を何冊読んでも学べない大切なことを教えてくれている。余談だが、僕はいつも「自己啓発本なんか読むならエロゲを読め」と言っているが、その真意はこれである。
④青春について
これも大きなテーマでしょう。こんなにロケットが好きな女の子と青春したかったね。
⑤曲について
非グランドENDの曲がとても好きです。
⑥舞台について
種子島への聖地巡礼がしたい。
⑦ヒロインについて
個人的評価としては、夏帆=有佐>>>ほのか>>那津
夏帆はただ一人、「愛してる」という言葉を使ってくれた。
那津はキスシーンで正面CGがあったのでよかった
ほのかは話し方が萌え。セフレでもいいという感情も好き
有佐はいい意味で人間らしい思考をしていて僕好み
⑧青春という箱庭の外にいる者の視点について
本作では明里先輩がそう。
青春はいつか終わる。びゃっこのみんなも卒業し、今作での出来事は「いま」から「思い出」に変わってしまう。また5人で再会できることはあっても、あの学園であの環境でなにより「学生として」もう一度ロケットを作ることは未来永劫できない。悲しいことに青春は有限な時間での箱庭である。そして多くのエロゲプレイヤーは箱庭の外にいる。その立場のキャラが一人でも登場してくれるだけで、現実を直視しつつゲームの世界に浸ることができる。
今作では、学園を卒業した明里先輩が登場することで「いつかこの青春は終わる」という当たり前だが受け入れがたい事実を直視することになり、箱庭がより一層輝く。
雑記
グランドでの高乃酉は本当にかっこよかった。特定のキャラを悪役みたいに評価下げる構図が苦手なので、グランドでいいところを見せてくれた制作陣に感謝。
ゆいちゃん(妹)も攻略させてくれ!
テーマでもなんでもないが、本作は目標達成までのプロセス、具体的には課題の特定→掘り下げ→施策出し→施策評価→実行→効果検証のPDCAサイクルがとてもよくできていて研究やビジネスにも役立つレベルで参考になった。ヒロインの思考プロセスから学びを得ることができたのは嬉しい体験。
Hシーンや日常の中でソリューションが直感的に浮かぶのもよかった。夏帆も言っているが、直感とは知識と経験に基づく思考で、ただそれが言語化できていないだけ。知識と経験の集積は武器になる。