この作品に出会う前よりも、各段に今を生きることが楽しくなる対策でした。
forever〇 → melancholy〇 → abandoned〇 → vivid〇 → innocent〇 → circular〇 → lost〇 → dear〇
forever
永遠を望んだ一人の人間が、対極の概念である「一瞬」に永遠を見出した構成が美しかった。
写真が一瞬を永遠に昇華する行為であるというのは予てより考えていたことではあるが、最近は石に彫った方が写真よりも耐用年数も長くより永遠なのではと思った。
と、ここまで考えていたところ、「過去」そのものは永遠であるという自分になかった視点を提示され驚いた。確かに、時間が不可逆である以上、過去の事実に対しては未来永劫干渉することはできないため、永遠性がある。すごく面白い考えと思った。
melancholy
雨が嫌いだったけど、雨の間だけ好きな人と会えるから雨が待ち遠しくなるという展開はシンプルだが少女漫画的展開で良い。
自分の人生は自分の意思で決定したい、というのは同意。只、天候のようなランダム的要素を「神が決めた法則」と見なして、その束縛から逃れんとする思考は自分にはないものなので新鮮だった。
尚、自分は自分で変えることができる要素=変数は全力でコントロールしにかかるが、変える事のできない要素=定数については大局に身を任せる精神。
abandoned
死んだ朝日の代替品、という理由付をされて生まれてきたブルーが、
自身を分解することで代替品ではなく「ブルー」として生きることを証明したのが良かった。
たとえ無機物であっても、懸命に生きようとするブルーは人間と何ら変わらないであろう。
vivid
感情のない二人が友達でいるという約束を守るために自らを殺し、涙を流せない自分の目を切り裂く姿は常軌を逸していながらもそれが彼女たちの友情だったのだろう。
innocent
あらゆる争いが科学的根拠、及び真実の眼に基づく討議によって解決される世界、というのは面白いなと思った。
闇ちゃんを主軸として、正義とは何であるか?を考える時間であった。
当初は、正義を「善」、「悪」の二項対立的な視点で捉えていたが、僕は同意しかねていた。
しかし、後半につれて、正義とは一意に定まるものではなく、また時代と共に変化していくという考え方に移っていった。こちらは同意。
circular
vividで登場した目の赤い超能力者が登場し、ニヤリ。innocentの闇ちゃんの親がハマっていた宗教とはこれのことか。
序盤は宗教モノと思われたが、「赦すこと」がテーマと理解。理不尽な社会に復讐するのではなく、社会を赦すという極めて性善説的な思想。
個人的には社会に復讐する方が良いと考えているため同意はできかねる。
池に映ったホログラムのマゼンタが、実は主人公を生んで死別した母だったというのは泣けた。
lost
世界の崩壊に先立ち、逃げていた現実に向き合う強さ。ここに生きていたことを忘れることなかれ(勿忘草)
dear
滅び朽ちた世界でも、たんぽぽは誰にも知られることなく咲いている。世界を愛そう。歴史に名を遺すことはなくとも、人はどの時代でも懸命に生きていた。
人類史という一つの大きな物語においては、自分も必要な登場人物の一人であり、物語の一ページを彩るのだ。