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shishou9119さんの夏の魔女のパレードの長文感想

ユーザー
shishou9119
ゲーム
夏の魔女のパレード
ブランド
Wonder Fool
得点
80
参照数
593

一言コメント

一粒で二度おいしい、ひと夏の祝賀を貴方に――

長文感想

※構成がバラバラですが一旦上げます
以下のレビューは、こんな人向けです。
・体験版までやった人
・製品版を途中までしかやっていない人
・購入を迷っている人
2分程度でサクっと読めるので
最後まで どうかひとつよろしくお願いします
※下までスクロールするとネタバレ感想があります。
かなり下に置いてありますが、未プレイの方はご注意ください。


 『約束』という1つのテーマを、
時には可笑しく、時には厳粛に、時には温かく……、
それはそれは賑やかなパレードの如く描いた作品。

本作『夏の魔女のパレード』は、
ユーザーに楽しんで貰おうという工夫に溢れた作品です。
 
 導入は、所謂「ヒロインからの好感度が高い状態から始まるラブコメ」
といった感じなのですが、
 ルートによって方向性が様々で、
萌えゲーともシナリオゲーとも受け取ることができますね。
それぞれのルートが振り切っているので、いずれも楽しむことができました。
(そのため上のような小見出しを付けさせていただきました)

 各ヒロインの個別ルートは大体、シリアス、ラブコメ、ギャグと分けることができ、
それぞれ方向性が違うのですが、
個別ルートでも各キャラクターの魅力が一貫して描かれていたり、
別ルートの伏線が張られていたりと、
目当てのお話を楽しみながら別ルート(別ジャンル)への興味を
持たせるようなつくりになっています。

 本作で筆者が最も好ましいと思える点は、
キャラクターがブレない、という点ですね。
 キャラクターがシナリオの犠牲になってしまう作品は往々にしてあるのですが、
(無論キャラとシナリオは不可分です)
 本作は方向性が違うシナリオの中、
ブレることなくキャラクターが生きています。
 この辺りは、昨今珍しくなった単ライターものの強みと言えますね。
(一部ルートの書きぶりが違うので、もしかしたら違う人が書いている箇所が
 あるかもしれません。)




といったところで、とりあえず仕様説明のようなものを以下に置いておきます。


 作品形式としては、1時間程で読める小話で区切られていて、
共通が5話(導入1話、残り4話でヒロイン4人の個人回)
ルートは各ヒロインとも7話の全12話。
 ルートは前後半に分かれており、
ヒロインと結ばれるまでの前半4話、
ヒロインの問題を解決する後半3話という構成になっております。
 ルートの前後半の間にヒロイン毎に専用のムービー付きの
2ndOPが流れるという豪華仕様。お話の盛り上げに一役買っています。

 CGは各ヒロイン20枚前後×4+SDということで約90枚。
 Hシーンは最大5枠。(1人のみ4枠)
1シーンにつきCGは必ず2枚。
 非HCGも半々くらいの割合であるので、
1枚絵がシナリオを彩ってくれます。
 あと主人公以外男女フルボイスで、ボイスカット機能ありです。
 キーボードによるショートカット操作可あり
 立ち絵があるキャラによるシステムボイスで、
個別ON/OFFがあります。

 


 



 















※※※以下本編感想ネタバレ注意※※※
(プレイ済みの方や、ネタバレ踏んでもいいよ、
 そもそも他人の感想が読めるよっていう人だけお願いします)












 以下に各ヒロインルートの感想を述べていきます。
本当に思ったことをぐちゃぐちゃと書き連ねていくので、
過度な期待はしないでください。
説明はしません。やった人だけ分かればいいです。

0.共通(0とかカッコつけたワケじゃないのよ、後付けだからなのよ)
1.アリサ
2.早沙
3.キャロル
4.あずき 




0.共通
 ヒロインたちの中から嫁候補を選ぶだと、この羨まけしからんヤツめ。
ヒロイン全員からの好感度が高い状態からスタートというのは、
よいものですね。
 ヒロインそれぞれが好きになった経緯こそ まだ分かりませんが、
主人公の人柄を見ればなんとなく分かります。こういう子好き。
 
 かなり息子ラブな お母さんですが、
この人が主人公の人格を形成したのだと思うと、
非常に好感が持てます。今のところ二番目に好きかもしれん。(一番は主人公)
 魔女の在るべき姿が最初に提示されますよね、「そこに困った人あらば~」的な。
お母さんはその中でも、最高の魔女なんですよね。
 ということはつまり、魔女として在るべき姿を最も体現した存在ということなのですよね。
そんなアンパンマンみたいな お母さんに育てられたってことなんですよね。
 はぁ、好き。
はい、ということで第一話。
第一話までは導入といったところで、
物語の土台形成ですね。
 アリサとキャロルにとって過去にした結婚するという約束は
「魔女の約束」という特別な誓約で、非常に重い意味を持つとかなんとか。
それで結婚までするかフツーと疑問に思いますが、
 同じ様に約束したらしい非攻略ヒロインであるトピアが、
そこまでこの約束に執着していない様子を見るに、
アリサとキャロルが約束という義理だけでなく、
気持ちまで持ち合わせていることが分かります。
 非常に親切なメッセージですね。

 キャロルさんが高難易度のクエ……依頼を受けようとするところ、
それぞれキャラクターの良さが表れていて好きです。
 キャロルさんが功を焦る気持ちも、お母さんがキチンと失敗させてあげたいというのも、
幸人くんがそれをフォローしようとするのも、怒らないのも、
そこからキャラの良いところが伝わってきました。
(キャロルさんは、失敗を反省するところまでがセットですね)
 
 お母さんのこの、経験主義というか、
他人の意思や選択を尊重するというところが全編通して一貫していて、
非常に好感が持てます。
 後々出てきますが、結局主人公がしようとしたフォローは、
自分が手を伸ばせる範囲にしか及ばない、ということなのでしょうね。
 お母さんがキャロルの選択を尊重して、好きにさせて、
隠れてセーフティネットを張って失敗させて、
そこから実感を持って反省させようとするのも、
主人公のフォローを止めないのも、同列なのですよね、矛盾しない。
 
 イノシシを退治せよ、という依頼で、
まぁ害獣ですからね、射殺が一般的でしょう。
 それをキャロルが石を射出することで実行しようとしますが、
かわいそうに思ったトピアが邪魔をするところ、
年頃の女の子の表現としては現実味があってなんとも……。(なんともなんだよ)
 ハンバーグお好きなんですよね? 材料だよソレ。

 そしてピンチの時の主人公、かっこええわぁ。
解決する能力がないのはまぁ仕方ないとして、
冷静にヒロインたちの無事を優先するところいいわぁ。
 まぁ妹の早沙が来て解決してくれるんですが。
ちょっと電話の時と印象違うな……。まま、気のせいだわね。
 ということで当然早沙も嫁候補の仲間入り。
妹なのに嫁っておかしくねーかって、
おまいら そもそも「嫁」は親とか家目線の言葉だからなーーー!!
 こまけーことはいいんだよ。語感大事。
 
 これは描写する順番の問題でもあるんですが、
今のところ早沙が一番好感が持てますね。
 主人公と一緒にいるために遠く離れた学院を
頑張って飛び級で修了してきたっていう、
そんな感じの説明があるかないかで結構好感度違いますね。
 ちょろいな筆者。
 主人公の妹である早沙ですが、これまた好感度Max
求愛マシマシなグイグイくるタイプのブラコン妹ですね、
好き。主人公と幸せになれ(ここ伏線)
 そういうタイプの例に漏れず、
他のヒロインにはあまり良い感情を持ってなさそうですが……。

 あぁああっと、無茶やらかしたキャロルと一緒に頭下げようとした
主人公を制止したぞーーーー!!!
 一体どういうことなのでしょう、
「こんな女の為に兄さんが
 頭を下げるまでもないですよ」
ということなのでしょうか。
 その真意は如何ほどに……。
「自身を案じてフォローしに来てくれた部外者の主人公を危険に晒すた上に、
 その本人に擁護までされたら
 (キャロルにとって)恥の上塗りでしかないです
 (なので頭を下げるのはやめてください)」
  ってーーーー!!!??
 なんてこった、この子どこまで好きにさせるの。

 ということで、唐突にヒロイン四人から求婚された主人公、
ああもうわけわかんないんだぜ状態で選べと言われても……。
 あと一押し欲しいんだぜ
→わかったぜ。母さんに任せろぜ
→テレビでどどーんと嫁選び宣言だぜ
→期限は夏祭りまでぜ
→村中に知れ渡っぜ
→だれがそこまでしろと言ったぜ!!!

 OP~♪

はい、第2話
アリサの個人回!

はい、第3話
キャロルの個人回!

はい、第4話
あずきの個人回!!!

はい、第5話
早沙の個人回!!!!!

はい、共通終わり!

まぁ、冗談はさておき、第2話~第5話は
ヒロインの物語と連続性があるので、
各ルートの項目と統合しますね。

第6話から個別ルート、はぁじまるよ~!
 


1.アリサルート
 ルートの方向性はシリアス寄りの子ですね。
 初登場から主人公と過去に関係があることを仄めかしていますが、
同居開幕まさかの三つ指。
 過去に結婚の約束をしていたとかなんとか。
しかし、主人公会ったことすら覚えてない……。なんだと!?
 後々仕掛けが分かる構造になっていますが、
この辺りの設定は非常にプレイヤーに寄りそっていますね。
 主人公としても唐突に言われたし、プレイヤーも同じ気持ちだょ。
 ネクラな印象を受けますが、第2話で おばあちゃんの逡巡も見逃さない,
そんな人の機微に聡い子なんだなぁと、好感が持てました。
 と、それを単体で見ればいいんですが、ねぇ。
ルートに入るとアリサの過去が明かされます。
閉鎖的で古臭い因習がまだ残っている村に魔女として生まれたアリサ。
 その村では魔女は化け物扱いで、虐待を受けて育ちました。
 食事は日に一回で、奴隷の様に働かされました。
 何ぶん閉鎖的な村なので、余所の価値観もなく、
本能的に空腹や過労に異常を覚えつつも、
当然の扱いだと、自分の立場を受け入れていました。
 そしたら、ある日ユリスがたまたま村を訪れて、
アリサと出会います。
 ユリスはアリサを一目見て異常な環境に置かれていると察し、
アリサに問いかけます。
 「……、私と一緒に来ない?」
えっっっっ!!!!!(呼吸困難)
 はぁはぁ……、ふぅ……。

……そこは問答無用で連れ去っても良くないか?
 いいや、良くないね!!

 あくまでユリスはアリサに選択を与えます。
 その秤にかけられた二つの可能性は、
同じ重さを持ってはいないけれど、
それでもフェアに、ユリスは語りかけます。
 自分の意思で選択できるように。
 ユリスさんブレないなぁ。そこがいい。
(この生い立ちを知ってしまうと、アリサの美徳である人の機微に聡いというのは、
大人たちの顔色を窺って生きてきたのもあるのかなぁ、
と思うとちょっと辛い)

 そうしてユリスはアリサを連れ帰ってきて、
主人公とアリサは短いながらも仲良く一緒に暮らしました。
 一緒の布団で寝たり
そこで一緒に本を読んだり
 川で一緒に泳いだり
溺れかけたアリサを主人公が助けたり
 本を読むのに夢中になって夜更かしを お母さんに怒られたり
箸が上手く使えないアリサに教えてあげたり
 いつも手を繋いでお出かけしたり
本当に、温かな、本当の家族のような時間でした。
 その思い出だけで十年の時を頑張って過ごしてきた……、
そんな大切な記憶を……、

主人公テメー全部覚えてないだとぉぉぉおおおおお!!!!

 そんな主人公のことアリサは嫌いになりそうだったけどさ、
でもさ、久しぶりに会った主人公はさ、
そんな温かい記憶をくれた当時の性格のままでさ、
嫌いになんて、なれませんでした。
 っていうのが第6話。
 思い出の彼が好きなのではなく、心底人柄に惚れたのだと、
そう思わせてくれる良エピソードです。
 
 アリサはこんな重たい過去を明かしたものの、
主人公には嫁候補をフェアに選んでほしいと お願いしました。
 主人公も慎重に言葉を返します。
あくまで本当に決定するまでは期待させないように。
自分のせいで辛い思いをさせているアリサを安心させるために
甘い言葉を重ねることもできたハズです。
 でも主人公はそれをしなかった。
それはきっと、心で彼女を裏切ることだから。

 主人公はきっと「目の前の人にとっての理想を演じない」 
それだけに行動のひとつひとつが誠実で、格好良いのだと思います。

 そんなこんなで第7話で、
色々考えた主人公がアリサへの気持ちに気付きます。
「俺アイツを幸せにしてやりたい」って、
好意を持った相手への想いとしては最高レベルで格好良いでしょう。
 どこまで好きにさせるの……、この子。

 というところで、他の嫁候補に交際を宣言しますが、
早沙がね……、祝福してくれるの。
「それが兄さんにとっての幸福であるなら」って。
 早沙ーーーーー!!!!!
良い台詞なのに ちょっと裏ありそうで怖い!!!
(ありませんでした☆)


 はい、第8話
いよいよ夏祭り当日、嫁宣言&結婚式です。
 指輪とかどーすんのよって、
母さん……、父さん……、
そんな自分らの指輪を……?(父さんもういないけど)
 誓いのキスの前に、アリサが耳貸してって、
そしたら「ゆーくん」って囁いて、
覚えてないハズなのに懐かしい響きを感じて、
ああ^^~。

 げふんげふん。

その後は第10話までエッチ(ジャーマンもビックリの投げっぱなし感想)

第11話から再び話が大きく動き始めます。
 魔女課程を修了させ、魔女としての決意を述べる4人、
どれも素敵ねぇ。
ただし、アリサ、おめーはダメざます。
 DO・U・SI・TE!

文化祭の手伝いとか色々あって
 
 魔女は人に施すものではなく、
あくまで人と歩みをともにするもの。
 だれもかれも助けようとして自分を犠牲にすることは、
いずれ自分を大事してくれる人まで犠牲にすることに繋がる。
 そんなユリスの真意に気が付いたアリサ。
 続く第12話で、自分で考えて考えて考え抜いて、
経験として実感して答えを出すところがあまりにも尊い。
 奴隷のように生きてきてきた過去を持つ彼女が、
それを克服して自分の意思を持つことが尊過ぎる。

といったところでエンディング。
ここから先はキミの目で確かめよう!!
(え、そういう趣旨の感想じゃないよねこれ)
 仕方ないのです……、尊い以上のことが書けなくなったのです……。

クズ三人衆をギャグ時空で成敗してくれた あずき先輩に感謝☆
 主人公は自分が受けたことに対する怒りはあまり持たないけれど、
人のことになると ちゃんと怒れる子ですね。


2.早沙ルート
 早沙ルートもシリアス寄りの話で、アリサルートが土台にあります。
 なので、ここまで読まれている方にはもう遅いかもしれませんが、
アリサルート後にプレイされるのをオスゝメします。
 

 というワケで第6話から
最高かつ最強の魔女である お母さんに挑む早沙。
お母さんは強い、まだ勝てない……。
 わざわざ勝負を受けるのが お母さんらしいというかなんというか、
ブレないですよねぇ。
 
 アリサルートでも出た、早沙の過去についてですが、
こちらではアルバムがないため お流れに。
 疑念を抱いた主人公はご近所さんに早沙が生まれた当時のことを
聞いて回ります。
 しかし、どういうワケか生まれた時のことは聞くことができず、
違和感を覚えます。
 その中で何気なく、匠馬くんが過去10年以内に越してきたことが分かります。
アリサとニアミスしてるんだね。
 まぁ、これが分かったからなんだという話なのですが……。

 早沙の話に戻して
 早沙の過去について必死になる主人公、
何がここまで主人公を必死にさせるんだ。
 血が繋がっていようと いまいと、早沙は早沙、
大事な家族じゃないのか?
 ヒロインとの温度感の差が露わになります。
いやホントなんで この子こんな必死なん?
 
それは続く7話~9話で分かります、それではどうぞ!

お母さんの過去回想。
え、もしかして魔法的なサムシングで主人公の記憶改竄された?
 早沙の過去への疑念に憔悴している主人公、
顔を見ただけで何事かと察するあずき先輩。
 「わかるんですか」と主人公、
「そりゃあね?」と少し恥ずかしそうにあずき先輩。
 これあれですね、主人公のことを本気でよく見ているから、
っていうことですよね。
 こういう1テキストでキャラクターのよさ散りばめてくるのホント
不意打ちズルい……。 


 早沙への気持ちを固め、
そしてついぞ明かされる早沙の正体。
 意外、それは早沙本人でさえ知らないことだった。
妹であればまだよかった。
 なんと、早沙の正体は主人公の使い魔だった。

 アリサと別れた頃の主人公は、
父はなく、母親のユリスは仕事で忙しく飛び回っていたことで
寂しさを募らせていた。
 それをいけないと思ったユリスは、
魔女を引退し、主人公との時間を大事にしようと考えた。
(この辺りの反省がアリサルートに繋がってるんスよねぇ)

 一緒にいられる時間が増えることを喜ぶ主人公だったが、
呼び出しやらなんちゃらで最後の一夜だけ、
しかし幼い主人公にとっては大きく その期待が裏切られることになる。
 
 そしてその日魔法使いとして覚醒した主人公が、
寂しさと怒りを魔力と共に実態化させた存在。
それが、早沙だった。
 早沙は、主人公の幸せをなによりも願い、
主人公のことが好きになるように行動原理を持った使い魔だった……。
 っていうこの話回りあまりにも尊いのでもうアレなんですけど、
アレですね、アレ。
 情報量多過ぎてもうアレ。
とりあえず思いつくだけ書いていきます。

・主人公は早沙のことを女性として意識していた
・早沙の過去への疑念を抱いた時に主人公が解明に必死だったのは、
 早沙が「実妹でないこと」を期待していたから
・早沙が主人公に「実妹だから」と拒まれていても、
 アプローチをやめなかったのは、
 それが主人公の望むことだから

 使い魔であることは早沙本人も知らなかったことで、
そのことに早沙が強いショックを受けて逃げ出してしまいます。
 追いかけてきた主人公に、早沙が、
自分が使い魔であることで生じる障害と感情を吐露します。 
 早沙にしてみれば、自分が持っている感情は、
すべて作られたものかもしれないと考えられるんですよね。
兄さんのことは早沙にとって全てだったワケです。
 それが自分のどこかに埋め込まれた行動原理から
くるものだとしたら相当ショックだと思います。

 しかし、そのときの主人公の返しがまた尊い……!!!
(以下一部抜粋)
「わ、私……、人間ですら、ないなんて……」
「……関係ないよ……」
「俺は早沙が好きだ。だからな? お前が使い魔だろうと構わない」
「でも……私、人間じゃないんですよ?」
「だからどうした」
「……でも、使い魔と人間は結婚は……」
「兄妹でも結婚はできなかっただろ」
「……子供が出来るか分かりません」
「なら、ずっと二人の時間を楽しめる」
(以上抜粋終わり)  

 これ何がって、アリサルートの項で述べたのですけど、
主人公って「目の前の人にとっての理想を演じない」のですよね。
 つまり、この一連の言葉は早沙への慰めでもなんでもなく、
本心から来る言葉なのだと分かります。素敵兄貴かよこの子。

 というワケで心身ともに結ばれた二人は、
家に帰り、残りの嫁候補に、
主人公は使い魔の早沙と添い遂げると報告します。
 これまた3人の反応が素晴らしい。

 まず魔女の名家に生まれ、
魔女としての強い矜持を持つキャロル。
 彼女は本来魔女が使役するべき使い魔に
嫁争いで負けたことに激怒します。 
 好きになった自分がバカみたいだと。
二人も悔しくないのかと。
それとも二人の主人公への思いはその程度だったのかと。
 主人公を殴り、罵ります。
今まで頑張ってきた時間を返せと。

 そんなキャロルの頬を張って
止めたのは意外にもアリサでした。
 アリサはいつになくハッキリと言い切りました。
「それ以上は私が許しません」

 アリサにだって悔しい気持ちはあるだろうに、
そんな気持ちを押しとどめて、
アリサは主人公に問いかけます。
 主人公が持っている早沙との思い出について。
小さい頃は早沙と会ってなかったハズのアリサが語る思い出は、
どれも早沙とのもので、何故知っているのかと、
疑問に思うと、ある可能性に思い当たります。
 早沙は主人公の寂しさを埋めるために生まれた存在。
思い出のアリサを早沙と入れ替えることで、
その寂しさを埋めたのです。
 その可能性に気が付いたアリサと主人公の二人は、
自分が悪いと責めてしまいます。
 そんな主人公は、アリサにどんなことをされても構わないと言いました。
それを聞いたアリサが選んだのは、
「その胸で泣かせてほしい」というものでした。
 胸で「ゆーくん」と言いながら大泣きするアリサは、
さながら過去の恋に決着をつけているようでした。
 あずき先輩も100回目の告白をして、
本気で断られて、アリサと同じように胸で泣いたよ、
主人公は抱き締めなかったよ。(雑)


 このシーンの三者三様のリアクションは、
もう本当によくキャラクターを表現していますよね。
 
 キャロルが怒るのは、
魔女として由緒正しい生まれである彼女らしいでしょう。
 また、ことの重大さを伝えるための役も担っています。

 アリサとあずき先輩は比較で語ります。
どちらも主人公のことを許して、胸を借りて泣きます。
 ここで違うのは主人公の対応です。
アリサは抱き締めて、あずき先輩は抱き締めてないのよね。
 差別かコラーーー!!!!
いやちゃうねん。
 筆者個人的にはどっちも抱き締めてほしくなかった……。
いいでしょ筆者の感想なんだから……。
 冗談はさておき、あずき先輩を抱き締めなかった理由としては、
主人公には その資格が無いからですよね。
 ここでの抱き締めるという行為=慰めです。
 また、雑に言うと記憶というのは人格そのものですから、
主人公の人格は現在のものと、記憶が改竄される前で違うワケです。
 
 なので、あずき先輩に対しては現在の「幸人」として抱き締める資格が無く。
アリサは過去の「ゆーくん」として抱き締めた……。
 というのは筆者の妄想が9割9分9厘です。


 そんなこんなで回りに受け入れられ、
翌日お母さんにも報告しましょということで、
身構えていったら、あっさりOK。
 意思や選択を尊重する お母さんらしいです。
 しかし、何事もなく許されるワケではなく、
お母さんは その称号や魔力を返納して、
普通の女の子に戻らなくてはいけないらしい。
 二人のためにそんな……。
戸惑う二人に お母さんは、こう言います。
「この世に生まれてきた全てのものは、みんな幸せになる権利を持っている」
もうこの親子あまりにも好きすぎる……。


といったところで怒涛の7話~9話でした、感情が溢れすぎてもうダメ。
ここまでくると何か書き損ねてないか心配になるな、
まあいいや、次行ってみよー!

 結婚式はあまりにも尊いよ。CGの主人公イケメンですこ。

はい、第10話はエッチメインですね。
はい、第11話もエッチメインですね。
ちょっとだけ不穏な空気が流れます。
え、もしかして早沙消えるの……?
はい、第12話
そんなことなかったぜ☆
消えるのは存在じゃなくて魔力でした。
(自分でここ魔力じゃなくて早沙てミスタイポして泣きそうになった)

 元々寂しさと、お母さんへの怒りが元でできた存在故に、
お母さんに冷たかった早沙だけど、
 魔力が抜けたことでその行動原理も薄まったのか、
母娘として接することを少しずつ心掛けてきた。
 それがもう、なんですか、
いままでは 「あの人」とか、そんな感じでしか呼ばなかった子が、
「お母さん」って!!!!!
 尊さ余ってマンドラゴラみたいな声上げたわ。

 そんな感じで以上早沙ルートでした、筆者はこの作品で一番好きですね。
 アリサルートとトレードオフな感じがなんとも悲しいですが、
ゲームとしてルートというのはパラレルで同時存在しているので、
これでいいのだ。
 


3.キャロルルート 
 キャロルはラブコメ寄りですね。
 早沙ルートでもチラっと出てきて、二言で筆者を好きにさせた
ルイスさんが本格登場します。
 ルイスさんかわいい、攻略したい!
 と思うんですが、
ルイスさんを攻略しようと思うとそれこそシナリオの根本から改変しないと、
できないんですよね、それが分かっていても、もったいない……。
 うーん、まぁそんなだからキャロルとお風呂場でイチャイチャするシーンで、
裸絵を供給してくれたのは、どちらかというと感謝すべきことなのでしょうけれどね。
 Hシーンほしかったよーーー!!!

 見どころさんとしては、
キャロルの母親のニコラさんに対して主人公が怒るシーンで、
アリサと早沙が1テキストずつ台詞があるのですが、
この一言だけでキャラ表現するの本当に素晴らしい。
 アリサは狼狽えて、早沙は嬉しそうにしているんですが、
ここは声優さんの演技のみでキャラクターが表現されていますね、いい……。


4.あずきルート
 あずき先輩はギャグですね、一辺倒というワケではありませんが、
概ねそんなノリです。

 ちょっとだけ他のルートとノリが違うのですが、
可笑しく笑えるところもあり、まぁ概ね良いです。
 良いのですが……、匠馬くん回りだけちょっとアレ。
 匠馬くんがどうやらあずき先輩に恋心を抱いているらしい描写が入り、
主人公とあずき先輩が結ばれるまでに三角関係が展開されるのかと思いきや……!?
 展開されず……。
エンディング前にひと悶着あるかと思いきや……!?
 悶着せず、結局投げっぱなし。ジャーマンもビックリだよ。
書かないなら最初っから仄めかすなーーーー!!!11 

 他のルートまでは、キッチリ過不足なく描写されてきただけに、
ここだけは不可解です。
 まぁ、ギャグ時空に免じて許したるわ。(何さま)



以上各ルート感想でした。
ここまでお付き合いくださった方は ありがとうございました。
これ素面で書いたんだぜ、信じられないだろ……?

ということでひとつ。


今気が付いたんですけれど、
ロード時のシステムボイス、
どのデータ(ルート)をロードするかで変わるんですね、
芸コマ!!!