『euphoria』の陽キャ女子版、遊園地ノリお気軽Hバージョンかな? とにかく“楽しい”を愛でる作品。(追記:2/5-9,11,17)
履歴(2025年)
02/04:初稿(はじめに、事前調査、プレイしてみて、気になった点、選択肢の構成が単調な件、おわりに)
02/05:修正・追記(選択肢の構成が単調な件、おわりに)、追記(備忘録)
02/06:修正・追記(気になった点)
02/07:追記(備忘録)
02/08:全体的に細かく修正・追記
02/09:修正・追記(おわりに)
02/11:追記(プレイしてみて)
02/17:修正・追記(おわりに)
〇はじめに
当サイトの発売予定表を見て、今月(2025年1月末発売)の物(ブツ)を漁っていたら、今月発売14本の発売直前の購入予定者数トップ4は次のとおりでした。
2025-01-31 (14本)
ゲーム名:ブランド名:購入予定者数
ヤっても出られない部屋に閉じ込められたので引き続きもっとヤる話:Tily:15(→14)
おっぱいでかいナースとイチャコラエロ×2入院生活!?:アトリエかぐや:15(→12)
夏への方舟III(低価格):Argonauts:10
廃村少女 外伝 ~嬌絡夢現~(低価格):Escu:de:10
大物タイトルの発売は来月なので、購入予定者数がショボいことに……。しかもトップ2は、どちらも発売後に購入予定者数が減っちゃうという、オマケつき!?
さて、上位二作品は、抜きゲーという共通点以外は、正反対の制作方針ですよね。
・おっぱいの大きさ
・絵柄や塗り
・ヒロインの年齢
・価格帯 etc.
購入予定者数で、当サイトの利用者の意向が真っ二つに二分する結果が面白いよね。恐らく抜きゲーとしては、“かぐや”の作品が正当派抜きゲー路線であって、本作は抜きゲーフォーマットを纏(まと)った別物の何かじゃないかと、私は想定しました。
何しろ、描線が細い少女漫画のキャラ絵そのまんまで、塗りは薄いパステルカラー、しかも“ちっぱい”の陽キャJKギャル路線ときたもんだ。本作の方を選択した方々の、屈折した好み(性癖?)が、分かろうというもの(笑)。
かぐや作品とは違って、見た目からしてギドギドの男性向けエロ要素ゼロだし、これどんな方向性の作品なんだっていう興味もあって――個人的には“大人なエッセンス”を所望ではあるものの――今回は本作の方を選択してみました。
〇事前調査
絵柄とヒロインのキャラ設定から考えると、抜きゲー目的での購入など考えにくい作品です。しかも、TilyがHOOKSOFT/SMEE系列のブランドであることを考えると、低価格帯での抜きゲー形式にしたこと自体がTilyで出した意図そのものであって、根幹は純愛路線の作品なのかなって、私は最初に推察しました。
さっそく調査してみたところ、今から1年半前の「BugBug.NEWS(2023年8月28日)」のTily第一弾作品に対する紹介記事でのインタビューで、今後Tilyが出す作品についても言及されていて、
「現在進めている企画となりますと、まずは『いかにも低価格ソフト』という感じの、ひたすらヒロインとエロエロするゲームが動いています。単にエッチシーンを詰め込んだだけではなくて、ちゃんと設定やシチュエーションにこだわっている作品で、間違いなくHOOKSOFTやSMEEでは出せないだろうなってゲームになっています」
これって、間違いなく本作のことですよね。
また、「BugBug.NEWS(2025年1月24日)」の本作【連載特集第1回:ヒロイン紹介編】記事でのディレクター・真海氏へのインタビューでは、本作の生まれた経緯やコンセプトについては、次のとおり。
「いかに無駄を排しシンプルにエロのみで全編を進行できるか考えて生まれた」
更にヒロインの“ゆな”については、次のとおり。
「フルプラでも普通にヒロイン出来るとは思いますけど、意外とデザイン案が通りにくいというか、複数案あると選ばれないタイプのデザインだったりします」
「エロメインタイトルは、雰囲気出しのために絵柄も塗りの仕様もねっとりと匂い立つような絵面にしている事が多くありますが、それはそれで臭すぎるという需要もあるのではないかと考えて、贅肉感は少ない『かわいい』を重視した仕様にしています」
「構図やライティングには拘ってエロいはパワーを引かずに」
ジャンルが「Hな事しか起きない恋愛ADV」なため、「『恋愛』についてはHしまくるけど、仲良くなってイチャラブも楽しめるということでいいのか」との質問に対しては、次の回答でした。
「大丈夫です! HOOKSOFT系列のゲームだよ!」
これについては、「BugBug.NEWS(2025年2月5日)」の本作【連載特集第2回:Hシーン編】記事でのプロデューサー・亜佐美晶氏へのインタビューで、「Tilyのコンセプトは“作りたかったゲームを自由に作ろう”という感じになってます。ただし、どんな企画であっても、『純愛』であることは原則として入れております」とのことでした。
私の疑問点も少しは解消できて、なるほどなって感じです。
まとめると本作のコンセプトは、
(1)低価格路線
(2)ひたすらヒロインとエロエロ(エロのみで全編を進行)
・HOOKSOFT系列なので「恋愛(純愛)」もばっちり
(3)きちんとした設定やシチュエーションへのこだわり
1ヒロインの“ゆな”については次のとおり
・フルプラでは複数案あると選ばれないタイプのデザイン
・贅肉感は少ない「かわいい」を重視した仕様
・構図やライティングに拘りエロいはパワー
で制作した作品だとのメッセージが、既に発信されていたのです。
だとすれば、本感想ですべきことは、製作者が目指した上記三点が本作で実現できているのかどうかを考察し評価することだと、私は考えました。
〇プレイしてみて
本作のコンセプトである上記の三点について考察します。
(1)低価格路線
まずは、エロゲーにおける“低価格”の定義から考える必要があると思いました。
本作は「4,950円(税込5,445円)」ですが、フルプライス作品の半額と考えると安いのかもしれませんが、攻略対象一人あたりの費用対効果で考えたら、フルプライス作品以上に高額な価格設定とも考えられます。
最近の商業エロゲーの新作では、ヒロインが複数人いても価格が三千円以下なんてのも、当たり前のように存在します。更に同人エロゲーまで範囲を広げるのであれば、「ヒロイン一人で五千円」が“低価格”の範疇として妥当なのかどうか……。
そもそも「BugBug.NEWS(2025年2月5日)」での「御社ならではの、低価格作品で出すメリット」についての質問に対し、
「亜佐美晶:内部的な話になってしまい恐縮なのですが、フルプライスの製作期間がかなり長く、毎回制作費もかなりかかってしまっておりますので、間にロープライス作品を挟むことでフルプライスの制作費を減らすことが出来ることが大きなメリットになっております」
と回答しており、短期的な資金調達策の一環だと述べているのです。従って低価格の位置付けでも、できるだけ高めの価格設定にしたいとの思惑もあると考えられます。
また別の観点として――純粋な購入金額からの定量的な視点以外にも――“低価格ソフト”と呼ばれるニュアンスに含まれる定性的な品質の面から考える必要があるのかもしれません。例えば本作の最後に流れるエンドロールを見ると、次の記述があります。
Background Art:HOOKSOFT/SMEE 過去作品背景
Music:HOOKSOFT/SMEE 過去作品音楽
つまり本作は、すべてのリソースを新規に制作したわけではなく、実は過去作品の背景画や音楽を使い回しているのです。このリユース方針は、確かに場末的な“低価格ソフト”のイメージが脳裏に思い浮かびます。そのため、定性的な意味では“低価格”の範疇に含まれると考えることもできるのです。
また、ヒロイン“秋野 ゆな”の設定における属性と作中での実態が、
属性:クラスの2番目にウケるカースト上位な女子
実態:押しに弱くオタクに優しいチョロカワな女子
であるため、定量的にも定性的にも“低価格ソフト”(=“B級作品”)に出演する場末のヒロインを彷彿とさせると、捕(とら)まえることが可能なのかもしれません(定量的にはクラスの序列1番目ではなく2番目なところとか、定性的にはチョロインなところとか)。これについては、補足事項として「フルプラでは複数案あると選ばれないタイプのデザイン」が、その裏付けとなるでしょう。
以上から考えると、金額的には“低価格”とは言えないが、内容的には“低価格ソフト”をイメージできるので、“低価格路線”の作品だとは言えると思われます。そのため、純粋に費用対効果を気にする方には向かないかも。“B級作品”大好きで金に糸目を付けぬ方針の方には向いているのかも。そんな作品です。
(2)ひたすらヒロインとエロエロ(エロのみで全編を進行)
これを考察するには、本作の構成を明確にする必要がありそうです。本作の開始から終了までの構成は、次のとおりです。
プロローグ(とても短い)
↓
エッチ1回目(処女喪失)
↓
幕間+OPムービー
↓
4つの扉(選択肢第1弾)
ドアA:2回選択可(エッチイベント+幕間)※1回目は自動選択
ドアB:2回選択可(エッチイベント+幕間)
ドアC:2回選択可(エッチイベント+幕間)
ドアD:2回選択可(エッチイベント+幕間)
↓
4つの扉(選択肢第2弾)
ドアA:3回選択可(エッチイベント+幕間)
ドアB:3回選択可(エッチイベント+幕間)
ドアC:3回選択可(エッチイベント+幕間)
ドアD:3回選択可(エッチイベント+幕間)
↓
4つの扉(選択肢第3弾)
ドアA:5回選択可(エッチイベント+幕間)
ドアB:5回選択可(エッチイベント+幕間)
ドアC:5回選択可(エッチイベント+幕間)
ドアD:5回選択可(エッチイベント+幕間)
↓
エンドロール
↓
選択肢:物語はここで終わりますがこのままゲームを続けることができます。
終了する→エピローグ(とても短い)
ゲームを続ける→「4つの扉(選択肢第1弾)」に戻る
※選択対象のドアは、横一列に4つ並んでいるだけで、A~Dまでの名称は記されていないが、テキストのバックログ上には『《選択肢》選択「ドアA~D」』と記録される。
※「幕間」は、ドア選択でのエッチイベント後に独立して存在(エッチイベントと対で存在するわけではないが、記載の便宜上「エッチイベント+幕間」と記す)
さて、ゲーム進行の構成を見たら分かるとおり、プロローグとエピローグ以外は、「エッチイベント(15分前後)+幕間(短い)」をひたすら繰り返すだけの構成で、ゲーム的には何(なん)の捻りもありません。もし連続でプレイし続けたら、間違いなく途中でダレて“GiveUp”が頭上に点灯する羽目になるでしょう。その対策として私は、スキップ処理ではなく「4つの扉」選択の各段階を完了する毎に、1日休憩というプレイ方針で臨みました。
全くどんな罰ゲームだよ、ゲームだけに!!!
「幕間」での二人の雑談休憩がなかったら炎上モノでしたが、結論としては「ひたすらヒロインとエロエロ」に嘘偽りなく、100パー間違いございません。ただし、エロエロのエロさの度合いにつきましては、普通の抜きゲーレベルの品質を期待してはいけません。なぜなら、本作は“純愛抜きゲー”と呼ばれる新機軸に基づくジャンル(エッチ三昧なのに抜けない抜きゲー)に分類されるものだからです(笑)。ある意味、これがTilyが抜きゲーに仕掛けたパラダイムシフトといえるでしょう。
(3)きちんとした設定やシチュエーションへのこだわり
これについては、私は声を大にして主張したいのですが、きちんと練り込んで開発したことが伺われます。各パートのイベント内容や各種エフェクト仕様など、本当に素晴らしい出来です。例えば、次のとおり。
①各エッチイベントの内容は、ロールプレイで構成
これによってエッチイベントにストーリー性を持たせた上で、更に15分前後の長さにすることで飽きさせないで進行させる工夫をしています。エッチイベントをロールプレイ扱いにするメリットは、ヒロインがべらべらエッチシーンを解説しても違和感を覚えることはないし、タイトルにも書きましたが遊園地ノリ、秘宝館ノリで「楽しむ」ことに重点をおくことを可能にすることです。
そのため本来なら、基本的に「楽しい」気分を絶えず味わい続けられる作品だと考えられるのだけれども、それを何(なん)の捻りもない単調な選択肢構成が台無しにしてしまったことが、本作最大の罪だと思いました。
②動的表現へのこだわり
基本的に、静止画である紙芝居ゲーであるADV仕様なわけで、この形式のゲームの最大の課題は、静止画状態からどれだけ動的表現を提供できるかってことに尽きると思います。本作でいうなら、
・立ち絵への目パチ・口パク対応
以前はエロゲーがコンシューマー化されると、目パチ・口パク機能が追加されたりしたものですが、最近はどうなんでしょうね。静止画自体を動画化する方向なんでしょうか?
・効果的なエフェクトでの表示切替
立ち絵の位置や拡大縮小表示、各種効果描写など
(少女漫画っぽい「☆」がいっぱいのきらきら背景描写なんかも含まれるかな)
といったところでしょうか。
③ストーリー進行にともなう内容の整合性への配慮
ストーリーといっても、ロールプレイ方式で二人のエッチ度合いを深めていくだけなのですが、例えば次のとおり。
・言葉遣い
あるエッチイベントで、ペニスやヴァルヴァの言い方を“優斗”が“ゆな”に求めてから、その後のエッチイベントで“ゆな”が、“おちんぽ”とか“おまんこ”とか言うようになった。
・匂いへの執着度
最初のうちは匂いに殆ど言及しなかったが、ある時点から段々と匂いへの記述度合いが増し、匂いへのこだわり度合いが急上昇した。
・無関心⇒好き⇒大好き
だんだん“優斗”を「好き」になっていく“ゆな”の変化(成長?)が、直接的な言葉として示されていく。しかし、最後まで「愛してる」とは言わないので、この二人がエピローグ後に上手くいくのかどうかは、微妙かも(笑)。さんざんエッチした間柄だが、友達レベルで終わる可能性も捨て切れない。そもそも“優斗”はデブ気味の包茎オタクなのだから、恋愛以前に肉体改造から取り組むべしと思いました。
以上、まともに制作された作品なら当たり前っちゃ当たり前の気配り事項だらけなのだけれど、本作の場合は、エッチ度合いのレベルアップ仕様で構成されているため、それが目に見えて分かりやすかったと言えます。
〇気になった点
ライターさんの文章で気になった事柄を二点記します。
・漢字とひらがなの使い分け
ライターさんが、「言う」と「知る」を平仮名で書く傾向が強くて、最初“ゆな”の“ゆるギャル”っぽさを表現しようとしているのかなとも思ったのですが、“優斗”の会話文も同じ傾向なので、単なるライターさんの個性なのかと思い始めています。
ただ、「言う」と「知る」を平仮名にされると、平仮名が多い文章だと、内容を把握しづらいのが難点ですかね。例えば次の会話文。
ゆな「んっ、はぁっ……さっきいったの、本気……なんだよね……?」
ゆな「はぁ、ぁっ……私てっきり……エッチしたいからいったのかなって……最初、思ったんだよね……」
⇒話の状況から、「いったの」が「言ったの」じゃなくて「イッったの」に思えてしまって、本当に困りました(笑)。
ゆな「し、しらなっ、んぁ、ぁっ! そんなの、しらないっ! んっ、はぁ、あぁんっ! やっ、ちょっとぉっ!」
⇒全部が平仮名なので、“ゆな”ってバカな子かと思ってしまう。快感で思考がバカになった状況を示しているのかもしれませんが……。ただし、後の会話文では次のとおり。
ゆな「し、知らないしっ……まさか出ちゃうとは思わないじゃん! 教材が勝手に出しちゃダメでしょ?」
⇒漢字交じりになると、バカな子から脱却したように見えるよね。少なくとも「知る」は漢字にすることはあるみたいだが、「言う」は全体を通して平仮名で統一してるっぽい。
・“におい(ニオイ)”の漢字表記について
上記で、本作での「匂いへの執着度」についてちらっと言及しましたが、私は以前から納得できないことがあるのです。それは、“におい(ニオイ)”の漢字表記についてです。
まず一般的な大前提として、よい(快適な)“におい”は「匂(にお)い」、不快な“におい”は「臭(にお)い」と書き、汎用的な意味にしたいなら「におい(ニオイ)」と仮名書きにすることが挙げられます。それにも拘らず、大概のライターさんは“におい(ニオイ)”を漢字にする場合、よい“におい”でも不快な“におい”でも「匂い」と書くのです。
そうすると、大前提の解釈を拠り所にしている読み手にとっては、意味不明な文章内容が目の前に現出することになります。本作で実例を挙げるとすれば、次のとおり。
【例1】
ゆな「んっ……はぁ……優斗の精液、くさぁい……♪」
ト書き:お腹に飛び散った精液を指に絡め、ねとねと糸を引かせると、今度は顔の前に持って行って匂いを嗅いでいる。
⇒「くさぁい」のに何(なん)で「匂いを嗅いでいる」になるだよ。「臭いを嗅いでいる」だろ!
【例2】
ゆな「すん、すん……うぅん……やっぱおちんぽ変な匂いするよね……洗ってもこうなの?」
優斗「ふ、普段はちゃんと洗ってるけど……ここお風呂ないし、勝手に綺麗になってるじゃん……」
ゆな「じゃあ洗ってても臭いんじゃん……すん、すん……んっ……ふーっ……んぅ、ほんと、臭いっ……♪」
優斗「く、臭いなら嗅がないで……恥ずかしいって……」
ト書き:僕のモノに顔を近づけ、鼻を鳴らして匂いを嗅ぐゆな。
⇒「臭(くさ)い」のに「変な匂い」や「匂いを嗅ぐ」とかおかしいだろ。「変な臭い」や「臭いを嗅ぐ」が正しいだろ!
【例3】
ゆな「それで……丁寧ってどうすればいいの?」
優斗「じゃあまずは……匂いを嗅いで……皮も剥いてもらおうかな」
:
ゆな「すん……ん、すん、すん……くん、くんっ……」
ゆな「こんな臭いの……嗅がせるなんて……どうかしてるよっ……」
:
ゆな「おちんぽ、臭いっ……はぁ、はっ……すん、すんっ……」
ト書き:臭いといいながらもしっかり匂いを嗅いでくれるゆな。
ト書き:調子に乗って鼻にモノを押し付けた。
ゆな「んひゃっ? んんっ……くっつけなくても、ちゃんと嗅いでるでしょっ……すん、くんっ……」
;
ゆな「……あむ、んむ……ず、むぅっ……んふぅっ、ふっ……剥いたらもっと臭いじゃんっ……はぁ、すぅっ、はぁ……」
ト書き:ゆなは皮の先を唇で甘噛みすると、ずりずり根元までずり下げていく。
ト書き:その刺激の強さに思わず腰が跳ねると、剥けて少しぬめっとした亀頭がゆなの鼻に触れた。
ゆな「きゃっ……んんっ……くっさぁ……んぅ、はっ……臭いおちんぽ嗅がせて喜ぶ変態っ……」
ト書き:口ではこういっているけど……ゆなの表情は匂いを嗅ぎ出してから少し蕩けていることに気づいた。
ト書き:なんだかんだいっていても、僕のモノの匂いでゆなのスイッチが入っているみたいだ。
優斗「じゃあ臭いチンコ舐めていいよ? ほら、ご奉仕」
⇒好意的に解釈すると、“ゆな”と“優斗”は臭(くさ)いのに快感を覚えて、よいニオイとして脳内では認識されているとなるのだが、実際のところ、このライターさんにとっては、馥郁(ふくいく)でも悪臭でも「匂(にお)い」であって、それとは別に悪臭限定の言葉として「臭(くさ)い」が存在しているだけだと思われる。
以上のとおり、別にこのライターさんが特別なのではなくて、上記の認識で書かれるシナリオが大半なのだから、大前提である「匂(にお)い」と「臭(にお)い」が意味するところを明確に区別する読み手にとっては、性臭あふれるセックス描写シーンが、「匂い」と描写されるお花畑の香りがするスラングとしての能天気お花畑空間として目の前に提示されるのに、その空間のニオイが「臭(くさ)い」と表現されるのだから、これは究極のサドマゾ凌辱拷問の世界を書いたのだろうと、解釈するしかないのである。
〇選択肢の構成が単調な件
そもそも論として、選択肢ドアを4つ用意した理由は何(なん)なのか? 4つのドア毎に何らかの相違があったりするのだろうか? って話から考える必要があります。
ディレクターの真海氏によれば、「ゲームの構造が基本的に謎の扉をひたすら毎回選んで進行していくという形式なので、しいて言うなら物語をただ読んでいくだけではなく自分で選んでいく選択肢が多く、能動感があるのが特徴」とのこでした。
なるほど。プレイヤーに能動感を持たせるための仕掛けでもあると……。
ドア毎のイベント内容の傾向を分析してみると、選択対象ドアがA→B→C→Dになるほど、またドアレベルが上がる(選択肢第1弾→第2弾→第3弾)ほど、エッチ内容が過激、濃密になる傾向はあります。
しかしドアA~Dの種別で、テーマ・スタイル・カラーといった明確な意味づけ上の傾向があるのかというと、あるようなないような――ドアの見た目からは区別がつかないし、それを認識させる工夫もない――つまり希薄。例えば、『Role player:小粥姉妹の粘膜ポトレ ぐりぐちゃLIVE!』等との選択肢と比べると、相当に作り込みが甘いと言わざるを得ません。
まあ、いくら作り込んでも、最終的には――所詮“ひたすらエッチ仕様”では――プレイヤーにとって艱難辛苦の武者修行我慢比べ大会に収斂し帰結するしかないのですけどネ! それを打破するためには、良く検討された相当な作り込みが必要だってことです。
これは、本作においてはかなり深刻な問題だと思います。そもそも本作は「エッチしないと脱出できない部屋に何故か閉じ込められたため、脱出できるまでお題での指示どおりにエッチしまくりました」が、粗筋どころかメインストーリーの全てですからね。
これで飽きさせないようにするためには、「エッチしまくり」の部分が単調にならないように何らかの仕組みと仕掛けが必要で、それを実現するために、4つのドア選択肢を用意したと思うのですが、この選択肢に何(なん)の“ゲーム性”も“こだわり”も“ポリシー”も実装しなかったがために、単調な作業ゲーになってしまったのです。
このため、確かに「“低価格ソフト”(=“B級作品”)」のエッセンスを、悪い意味で完璧に実現したと言えなくもないのですが、プレイする身としては堪ったもんじゃありません。ストーリーがないのなら、そもそもゲームなんですから、本来ならゲーム性の向上に最も取り組み、単調な作業ゲーになるのを打破すべく、飽きさせない仕組みの構築とそれを活用した仕掛けで勝負するべきでした。
本作は、各イベント単体で見れば殆ど完璧と言っても過言ではない出来なのですが、それを何の捻りもない直列の選択肢構成によって、台無しにしてしまった作品であると言えるでしょう。
ところで、私が採(と)った今作での選択肢攻略方針は、一番左側のドアAが選択不能になるまで選択し続け、選択不能になったら右隣のドアB選択に移行するというのを、一番右側のドアDまでひたすら繰り返すというものでした。そうしたら、「4つの扉(選択肢第2弾)」のドアA攻略時に、次のメッセージが表示されたのでした。
優斗「よかった、普通の部屋で」
ゆな「毎回同じだとつまらなくない? 他の場所のほうが手がかりみつかりそうだし」
優斗「でもいきなり変なとこに飛ばされても困るじゃん」
ゆな「それはそーだけど、ここはもう調べるところもないじゃん? あ、もしかして優斗、ちゃんと調べようとしてないでしょ?」
優斗「そんなことないって、僕だってちゃんと調べてるよ」
ゆな「ほんとに~? 私とエッチしたいからってサボってるんじゃないの~?」
優斗「そんなことあるわけないってば! ……エッチしたいのは事実だけど」
ゆな「優斗のエッチ、へんたーい」
優斗「ほ、ほらお題が出るよ!」
これを見た時、私は狂喜乱舞しました。
「本作、ちゃんとゲーム仕様してたんだ!? びっくりだよ。私はここまで、てっきり全部のドア選択肢を選択しなければならないだけの仕様なのかと思ってプレイしていたのに……。本来の目的が、“手がかり”を見つけて脱出することだってことが、最初からすっかり頭から抜け落ちていたよ。まさか、選択肢の選択に意味を持たせた本当にゲーム仕様だったとは……」と。
「そうすると脱出ルートがあって、“手がかり”(?)とやらを見つければ、全部の選択肢を選択しなくても、脱出できるってことなの? でもそうすると全イベントを完全攻略できないよね。えっ!? このゲーム、いったいどういう作りになってるの? いや、ちょっと奥さん、聞いてよ、もうビックリ仰天ですよ!?」と。
これは同じドアを連続して選択し続けた結果のメッセージなのか、それともここでのこのメッセージは固定で単なる偶然なのか? その後、これまでの方針どおりにドアを選択し続けたのですが、結局、“手がかり”なるものは見つからず、エンドロールを迎えてしまったのでした。
そのため、未だに謎のままです。ただ、エンドロール後の次の選択肢も、実は意味深なのです。
選択肢:物語はここで終わりますがこのままゲームを続けることができます。
終了する→エピローグ(とても短い)
ゲームを続ける→「4つの扉(選択肢第1弾)」に戻る
これ、「ゲームを続ける」をなぜ用意したのだろうかと。この意味するところは何(なん)なのだろうかと。まあ確かにエロイベントのいくつかで二者択一の精子ぶっかけ場所選択肢があって、片方、未選択のまま残っているのですが、その回収のため? それとも純愛エッチ三昧の無限ループを楽しめってこと? その意図するところが良く分かりません。
ちょっと継続してみようとドアを選択して進めて見たのですが、なんと未確認の“幕間”が出現したのです。えっ、どういうこと。“幕間”って固定の話ってわけじゃなかったの? さっそく調査したところ、なんと“幕間”はランダムで違った話が表示される仕様であることが、判明したのでした。ということは、まだ見ていない“幕間”の話があるってこと? もしかして、ランダムにドアを選択し続けたら、“手がかり”が見つかって、途中脱出も可能な仕様なの? だから「ゲームを続ける」選択肢があるの?
とは思ったのですが、エピローグも見て「TITLE」画面に戻ると、「Extra(おまけ)」も新たに追加され「CGモード、回想モード、音楽鑑賞」がそれぞれ選択できるようになったため、
もういっかって気分になってるし……。
ただ、気になる点としては、「回想モード」でイベント2つ分の空きがあることなんですよね。私の場合、ドア開け回数は40回(初回の1回は自動)。「回想モード」での回収イベント数は26。ドア開け前の処女喪失イベント1回を考慮すると「41-26=15」だから、回想モード対象外のイベントが15件あったってことを意味します。
う~ん、やっぱり何かまだ見ていない回想モード未回収イベントや回想モード対象外イベントがあるのかも。“幕間”もランダム表示っぽいから、見ていない“幕間”だって、まだまだありそうだし。といっても、真偽不明状態で、当てずっぽうでドアを選択しまくるのも、時間の無駄だし。これは攻略サイトで確認かな?
(確認したところ、フルコンプできてるっぽいし、ドア選択の順番も無関係っぽい)
※「BugBug.NEWS(2025年1月24日)」の本作【連載特集第1回:ヒロイン紹介編】記事では、
「真海:衣装差分等含めてCG付きのHシーンが26回、
ミニCG等のHなシチュエーションシーンまで含めると
全部で41回ものHな出来事が起こります」
となっておりました。
〇おわりに
本作って公式Webページを見ると、発売日までに動画アップ告知を11回も出していて、販促活動がすごいですよね。しかもその動画が“OPムービー”と“販促ムービー”以外は、本作のゲーム仕様で制作し、“クリック反応集”以外は AUTO MODE で流しているのが面白い(目パチ口パチの立ち絵だから簡単に制作しやすかったのでしょうね)。
ところで、“クリック反応集”の動画には驚いたぞ。まさか“ゆな”の立ち絵に対して、こんなギミックを用意していたなんて(HOOKSOFT/SMEE系列ブランド製品は、これって標準機能なんですか?)。この動画を見なかったら、こんな仕様、永久に気が付かなかったゾ! そもそもダウンロード版には何も製品説明書がないのですが……どうなってるの?
さて、制作サイドがそれだけ販促に力を入れている本作、抜きゲーとして一つの完成形――ただし抜けないから本来の意味での抜きゲーではない――もとい沢山のエッチシーンを「楽しむ」ゲームだよね。
本作は「“ロールプレイ”+“一部コスプレ”」形式なので、各エッチシーン毎にサブストーリーの意味を持たせ、各種シチュエーションを楽しむ構成にしている作品だと思うのですが、それを強制スキップしようものなら、15分で本ゲームは完了となるでしょう(「プレイ時間=スキップ時間」となってしまう)。
私の理想エロゲーは、エッチシーンをスキップするとストーリーが意味不明になってしまうというものですが、それを完全に実践して対応しており――否、良く考えたら本作、ストーリーが意味不明になることないわ(笑)――究極のストーリー簡略化というコンセプトを練った上で制作したことが伺えるし、「🌸たいへん良くできました」作品であることは間違いありません。素晴らしい成果です――4つの扉選択肢による能動感の向上施策を除けば……。
これは駄目です。自分で選んでいく選択肢仕様での能動化の仕組みに、何(なん)の仕掛けもないズボラさ。「❌もうすこしがんばりましょう」です。ぷんぷんです。ゲーム舐めてんですかと言われても仕方がありません。
本作は、tilyが考える「キャッキャうふふワールド」を、“閉鎖空間”からの脱出をテーマに創造してみましたっていう作品だと思うのです。「ヨナ・コンプレックス」による“閉鎖空間”フェチである“SF四季シリーズ”の渡辺ファッキン僚一氏なら、なぜ私をシナリオ担当にしなかったと、泣いて縋り付いたことでしょう(笑)。
また「BugBug.NEWS(2025年2月15日)」の本作【連載特集第3回:ブランド深堀り編】記事では、
問1:他社のような1つの作品を3部作にすることは
回答:亜佐美晶:春夏秋冬の4部作にしたりするのも面白いなと今思いました(笑)。
問2:Tilyブランドとしてこだけは外せない【一番大事にしている】ポイント
回答:亜佐美晶:基本的にエロシーンのスピードに拘ってます。今までのHOOKSOFTやSMEE作品ではエロに入るまでにかなり時間を要しましたが、Tilyは早く、内容や回数も多めになっております。
との回答でしたから、「一度は抜きゲーできちんと評価されたい」らしい渡辺ファッキン僚一氏、春夏秋冬の4部作を含めて、実績的にもジャストフィットじゃんと思ってしまいました(笑)。
ところで本作、もしロープライス(実際はミドルプライスの価格帯だと思う)ではなくフルプライスの作品だったなら、謎の“閉鎖空間”に何故か“幽閉”というミステリー要素満載の設定を生かして、脱出方法を模索の過程でいろいろな謎解きをしつつ、むふふもあるでよとメインストーリーを膨らませていって、その行きつく先に……っていう感じのドラマになったと思うのです。
それを本作ではメインストーリーの内容をバッサリ切って、「謎の空間に閉じ込められた彼と私、楽しいエッチをしまくったら何故か脱出できました!? てへぺろ」という最近のなろう系長文タイトルみたいな作品にしてしまったのです。
このように本作は、“閉鎖空間”にて「ひたすらヒロインと楽しいエロエロ」を目的とする作品ではあるのですが、その目的と“閉鎖空間”からの脱出を目指すというコンセプトが、良く考えると相矛盾する構造ではないのかと、ふと気が付きました。
恐らく、本来のあるべき姿は「二人の恋愛を成就する」ために“閉鎖空間”からの脱出であって、そのために脱出するまでの≪試練≫としての紆余曲折は「純愛(エッチが楽しい)」ではなく「凌辱(エッチが苦しい)」でなければならなかったのでは……。
しかし、HOOKSOFT/SMEE系列のブランドで、凌辱テーマの作品など制作できるわけがないので、もともと破綻している設定なのではないかと思い直してしまいました。“閉鎖空間”から脱出したいのは、そこにいたくないからであって、そこにいて楽しいなら、そもそも脱出する必要がないのではないかということ。
そう考えると、この作品に足りていないのは、“閉鎖空間”から脱出できることにするための強力な理由付けということになります。私はこの解決策として、“閉鎖空間”にとって主人公たちは“獲物”であり、その“獲物”を自分の腹の中(“閉鎖空間”)に幽閉したのは、「食」を得るため。
ではこの場合の「食」とは何かというと、主人公たちの「エッチが苦しい」での負の感情を貪(むさぼ)ることという設定を設け、にも拘らず「エッチが楽しい」状況になってしまったがために、“閉鎖空間”から追い出された(=脱出成功)という理由付けのストーリーにするべきだったんじゃないのかなと思いました。
さて、最終的な評価点ですが、選択肢の構成に深遠なトリックが隠されているのかもなんて思った時がピークで、80点以上は確実と息巻いていたのですが、その後は単なる作業ゲーから脱却できず、自分の中の情熱も急速に萎(しぼ)んでしまい、一気に冷めてしまいました。
それでも、ゲーム性としての選択肢機構の不十分さを除けば、全体を通して丁寧に作られていることは感じられましたし、“純愛抜きゲー”とカテゴライズされるべき分野を新たに切り開こうとした新規性は、評価すべき事柄だと感じました。費用対効果については思うところがあるものの、全体を総合して勘案した結果、70点を進呈したいと思います。
〇備忘録
★アニメとかゲームじゃない
ゆな「アニメとかゲームじゃないんだから……誰かの仕業に決まってるでしょ」
⇒この冒頭での“ゆな”の会話文に、「否(いや)これゲームだし」って思わず突っ込んでしまいました、私。
★心の声の書き方
優斗「(ここから出たら頑張るぞ……!)」
⇒このライターさんは“「(心の声)」”って書くのね。よく“(心の声)”って書き方は目にするけどね。
★頭軽い“ゆな”
ゆな「一回だけ……一回だけだからね! それでここから出られるなら……」
⇒よく男性側が言うセリフ「ちょっとだけ……ちょっと見る(触る)だけだから!」の女性受け身バージョンに笑える。
★最初の頃のエッチシーンの淡白さ
(処女喪失シーン)
ゆな「っていうか……いつまで挿れてるのっ……? もうっ……」
ト書き:慌てて引き抜くと、どろぉ……と濃い塊のような精液がピンク色に色づき、膣口から溢れ出てきた。
⇒「精液がピンク色に色づき」ってさり気なく処女喪失だったことを匂わせる文章は、とても良いと思う。でも、絵はピンク色じゃなくて殆ど白にしか見えなくて、精液の輪郭部分が微妙にピンク色っぽい箇所があるかも程度なんですけど……。
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ゆな「……えぇ……めっちゃ出したじゃん……なに? この量……こんなに出るもの……?」
優斗「普段より全然多いかも……」
ゆな「……これ、できちゃうかもじゃん……」
優斗「そ、そうなったら責任取るから!」
ゆな「そういうことじゃないし……」
⇒「そういうことじゃないし……」って、どういうことなの? その後の文章を読んでも、本当に分からないんだけれど……。誰か教えて欲しいです。
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ト書き:ゆなさんは備え付けてあったティッシュを手に取り、溢れ出てきた精液を綺麗に拭き取っていた。
⇒初めてのセックスでの処女喪失を、こんな場慣れしたような内容の地の文1行で、サラッと終わらせられてもなって感じです。不思議なのは、精液のニオイについて、一切ふれていない点かな。その後のエッチシーンでは、「精液、くさぁい」発言とかを連発していたので、最初のエッチの機械的な淡白さが異様に感じました。セックスの不慣れさを表現したかったのか、その意図するところが知りたいものです。
⇒そもそも“ゆな”は、「ギャルなのに未経験な処女」っていう設定なのだから、普通だったら精液の“臭(にお)い”にビックリ仰天、ギャーギャー喚き散らす描写でも良かったんじゃないのかなと思ったりもしたのですが、エッチ用語もろくに知らない清楚系ギャル設定らしく、構成は抜きゲーなのに内容は抜きゲーじゃないみたいなノリに、私は言い知れぬ葛藤を抱え込んでしまいました。
(フェラチオでの射精シーン)
ゆな「うぇぇ……なにこの味……なんか青臭いし……喉に引っかかってる感じする……」
優斗「無理に飲まなくても……」
ゆな「す、好きで飲んだんじゃないしっ……飲み込まないと息できなかったから……なんか喉ががらがらする……」
ト書き:備え付けてあったティッシュで後処理し、一息つく。
⇒さらに機械的に「ティッシュで後処理」で終わらせる淡白さ。tilyの目指す抜きゲーとは?
★食事
ト書き:気分転換でお茶をし、ゆなはチーズケーキを、僕はチョコケーキを食べていた。
ト書き:ここの空間はお腹が空かないけど、それでも美味しいものは美味しい。
⇒「ここの空間はお腹が空かない」は重要な情報。ところで、いきなりお茶やケーキって、どっから出てきたのか説明くらい書いて欲しかったなって思った――金庫のような形状の謎の箱からだろうと想定はできるけれども、これ食事に関する初回の描写だったので。
★口内でさくらんぼのヘタ結び
優斗「ゆな、まだなにか食べてるの?」
ゆな「んふ? たへてらいよ」
優斗「なんか口もごもごしてるなって」
ゆな「もうひょっと」
ト書き:もごもごし続けているゆなを観察していると――
ゆな「できたっ」
優斗「おぉ?」
ゆな「さっき食べたさくらんぼのヘタ、口で結んでたの」
:
ゆな「じゃあ優斗はキスが下手なんだね」
⇒最初の段階で何をしているのかは想像できたのですが、できれば「ヘタだけに」ってオチをつけてくれると良かったのにって思ってしまいました(笑)。どうも私は、ライターさんとは感性の相違があるみたい。
★だんだん調教されてきた“ゆな”
(エッチ課題クリア後)
優斗「ま、まぁ……でもこれでクリアだね」
ゆな「うん……ね、優斗……また今度、舐めてね……?」
⇒徐々にエッチなお題で調教されてきて、だんだん主人公に心を開いてきたことを示す会話文。シナリオ上の細かな配慮ができてるよね。
★“おちんぽ”と“おまんこ”
優斗「……チンコのことはおちんぽ、おまんこのことはおまんこ……っていってほしい。そのほうが興奮するんだ」
⇒そもそも、「チンコ」と「おまんこ」って“優斗”が言っていた言葉。“優斗”から“ゆな”へのお願いなのだから、これまで“ゆな”が言っていた言葉と、今後“ゆな”に言って欲しい言葉との対比にしないと、明確な依頼にならないよね。
⇒そうはいっても、これまで“ゆな”はペニスのことは「おちんちん」とは言っていたけれど、
ゆな「……あれ? おちんちん大きくなってきた……?」
ヴァルヴァについては直接的な言葉として言わなかったんだよね。ということは、前半は「おちんちんのことはおちんぽ」に変更できるとしても、後半は「おまんこのことはおまんこ」と表現するしかないのだろうか?
★足コキ射精
ト書き:ゆなの柔らかそうな足にはつい目がいってしまうし、それで足コキしてもらえるこの状況は興奮してしまう。
⇒この地の文で、“ゆな”の太腿を拡大描写する演出は変。これでは「足コキ」じゃなくて「素股」を連想してしまうじゃないですか。本来は“ゆな”の足元を拡大描写しなければならなかったと思うのですが、太腿の拡大描写の方がエッチっぽいってことなのでしょうね。
★オナホ
ゆな「あっ、なんかすごいぬるぬるしてるー! ええ、なんでなんでっ?」
優斗「多分すぐ使えるようにローションが入ってるんじゃないかな?」
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優斗「え、ええと……中はローションがいっぱいで、ちょっと冷たいのはあるけど……ゾリゾリしたのがやばいかも……」
⇒「中はローションがいっぱい」ってちゃんと現実の実態を配慮した設定は良し。良くあるでしょ、ローションなしでいきなりオナホを使い始めるエロゲー。ライターさんは実際にオナホを実体験してから、シナリオを書けよっていうエロゲーが……。摩擦係数が高すぎて、ペニスがオナホの穴の中に入るわけないだろ。
⇒ここでは、既にローション塗(まみ)れのオナホっていう設定だが、実際のオナホは自分で穴の中にローションを塗りたくる必要があるわけだが……。
★生活魔法クリーンがある異世界のような世界設定
ゆな「この部屋、身体は勝手に綺麗になってるけど、やっぱりちゃんとお風呂に入りたかったんだよね」
ト書き:今まで謎の力が働いてお風呂に入る必要がなかったが、これはただ、お風呂に入れという意味の部屋なのだろうか。
⇒しょっちゅうエッチして精液塗(まみ)れになっているのに、次のシーンになると綺麗になっているから、どうなっているのかなと思っていたのだが、やっぱり勝手にお掃除される設定だったのか。ちゃんと疑問点を解消する説明があるのはいいよね。まあ、それ以前に突然裸になって突然服を着ている状況なのだから、基本なんでもありの部屋だよね。
⇒よく考えると、欲しいものは謎の箱で取り寄せられるし、食事は不要、身体も含めて自動お掃除機能完備、恐らく不老不死であったとしても、何(なん)ら不思議じゃない閉鎖世界。ずっとこのままこの箱庭で好きな女の子とセックス三昧の日々で、脱出の必要性なんてないんじゃないのかって感じだよね。
★カツアゲ
優斗「僕はあのお店入ったことないんだよね……リア充の巣窟で怖くて入れない……」
ゆな「ええ? そんなこと気にしてるの? 別に誰も見てないよ?」
優斗「いやなんかほら……もうオーラが出てるじゃん……陰キャお断りみたいな……」
優斗「入っただけでカツアゲされそう……近寄らんとこ……」
⇒カツアゲって今となっては死語なのかもと思って調べていたら、「恐喝とカツアゲの違い」は「脅しとトンカツ定食の違い」というQ&Aがあって、吹いた。
★包茎へのこだわり
(フェラチオシーン)
ゆな「うん……ねえ、これ包茎? なんでしょ?」
優斗「う……剥けるから仮性だよ」
ト書き:男は大体仮性包茎だ。といいたかったが、他と見比べたことのないゆなにいっても、あんまり意味がないと思った。
(男性器について学べシーン)
優斗「ええと……男性の大半は通常時皮を被っている包茎という状態で、これは自然なことであり……一般的です」
(ペニスの呼称)
ゆな「包茎おちんちん……包茎おちんぽ……包茎ちんぽ……♪」
ゆな「優斗……どうしたい……? おちんちん……おちんぽ……♪ ちんぽ……♪ もうガッチガチ……♪」
(皮むき)
ゆな「……剥いて、と……」
優斗「あぁぁっ……!」
ゆな「ちょっと、声大きいっ……皮剥かれたくらいでそんな声出さないでよっ……もう……」
優斗「し、刺激が……強いんだって……剥かれると……」
ト書き:いつも必ず手で剥いてくれるゆな。
ト書き:こんなときでもそれが染み付いているのが嬉しくなってしまう。
ゆな「んんぅ……剥いたらもっと匂い強くなったっ……もう、個室でこもるんだからぁっ……」
(包茎がテーマ? ネタ?)
ゆな「優斗ってさ、包茎だよね」
優斗「い、いきなり心に刺さるこというね……」
ゆな「な、なんかごめん……でも包茎っていうと反応するから嬉しいのかなって……」
優斗「……どっちもどっちだから複雑だ……」
主人公が仮性包茎という設定だからなのか、ライターさんの趣味趣向なのか、やたらと「包茎」の字を目にするし、“ゆな”が“優斗”のペニスの皮を剥くシーン(手でも口でも)も目にする。
「男は大体仮性包茎」は、銭湯に行くとこの事実を直に目にすることになるのだが(刺青してる人だって包茎)、日本人の包茎の割合は約7割から8割で、その多くが仮性包茎とのこと。
ただし、少なくとも5人に1人以上は露茎なのだから、包茎が一般的だと言って良いものなのかどうかは、検討が必要かも。それに仮性包茎だったら、強制的に皮を剥いて絶えず亀頭全体を露出する状態にしておけば、亀頭がパンツに絶えず擦れる状態になることで徐々に育って大きくなり、露茎になる可能性はある(皮が本当にダブダブ状態だったら無理かも)。現に私は、そうやって10年以上かかって自然と包茎ではなくなったのだけれど……お金もかからず手術痕も残らないが、一朝一夕には改善しないことだけは実体験から確実。
★SAN値
優斗「こ、これは……なんか違う……まずいかも……SAN値が削られそう……」
⇒SAN値って何? って調べたら、オタク用語なんか分かるかい!
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SAN値(さんち)とは、正気度や精神力を意味するオタク用語です。テーブルトークRPG「クトゥルの呼び声」の正気度パラメーターに由来しています。
SAN値は、精神的にショックを受けた場合や正気を失いそうな場面で用いられます。
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★トイレ(幕間)
優斗「そういえば……ここさ、トイレっぽい個室はあるけど、おしっこしたくならないよね」
ゆな「い、いきなりそんな話……? まあ……私もちょっと変だなって思ってたとこあるけど……」
優斗「なんでだろう……寝てる間に身体から抜かれてるとか……? カテーテルで」
ゆな「こ、怖いこといわないでよっ……もう寝られなくなるじゃん……」
優斗「ああでも……出そうと思えば出る気がする」
ゆな「しなくていいって……」
⇒トイレ、どうしているのかなっていう疑問はあったのだが、やっと氷解。それにしても、クスコを知らなかった“ゆな”が、カテーテルの使用場面を想像できるって、なんか変。これまでの“ゆな”の知識状況では、カテーテルって何? って反応になりそうだったから。
★食べる理由
ゆな「お腹すかなくても時々食べたくなるよね」
優斗「うん、なんか不思議な感じだけど」
ゆな「私は……ちょっと不安になったりするときとか、食べるかな?」
ゆな「なんかほら、ここにいると……今ちゃんと、生きてるのかなって、たまに考えちゃうんだよね」
⇒哲学的命題ですか? 「我思う、故に我あり」じゃいけないんですか(笑)。
★嗅ぐ
“ゆな”と“優斗”って、最初はお互いのニオイなんて嗅がなかったのに、徐々に嗅ぐボルテージが上がっていくのですが、好きな相手のニオイを嗅ぐ行為には合理的な理由があるって、私はエロゲーで初めて知りました。
それは『琥珀色のハンター』ってエロゲーをプレイしていた時に、
クォーツ「ふぅ、いい香りだ。知ってるかね? 体臭で遺伝子的に適合するかどうか嗅ぎ分けているという説があるのだが」
という会話文があって、私は「またまた~、ウソばっかし」なんて軽いノリで調べてみたら、
「ヒトのMHC(主要組織適合性複合体)であるHLA(ヒト白血球抗原)が関係し、HLA遺伝子の異なる相手の体臭を好きな匂いと感じる」という事実を知ったのでした。
そのため、世の中の恋愛関係のストーリーで、やたらと好きな相手のニオイを嗅ぎまくり、言及することになっているのは、理にかなっている行為なのです。
★女子更衣室
ゆな「女子更衣室なんて撮って面白いのかな? 優斗はそういうの好きなの?」
優斗「えっ!? あ、いや……別に興味ないかな」
:
ゆな「ふーん? 別にどっちでもいいけど……女子更衣室なんていいものじゃないけどね……」
ゆな「体育のあとなんて最悪だよ? 汗の匂いにあっちこっちで制汗スプレーばらまいてる状態だもん」
⇒こういうリアルな話って面白い。ライターさんのは、どこぞの情報なんですかね。
★“ゆな”はチョロイン
ゆな「むむっ……いつでもどこでもエッチするとはいってないよっ……? 私、そんな軽くないしっ」
優斗「う……じゃあ、だめ……?」
ゆな「……してあげなくは……ないけど……」
優斗「(ないんだ……)」
ト書き:はじめの頃だったら考えられないことだけど、ゆなは悲しそうにお願いする、色んなお願いを聞いてくれる。
ト書き:ちょっと単純……いや、面倒見がよく、僕のことをよく思ってくれている証だろう。
⇒真の抜きゲーだったら、「いつでもどこでもエッチ」になるんだろうけどね。
★恋愛
・三連コンボ
(だんだん優斗を好きになる“ゆな”)
ゆな「……うん♪ ふふ……優斗、好き……♪」
(キスしながらイク)
ゆな「最後は……キス……しながらイこうっ……? ね、優斗っ……ちゅー、しよ……ちゅーっ……」
(責任取ってね)
ゆな「あーでも……もしかしたら危ない日、なのかなぁ」
ゆな「……責任、ちゃんと取ってね……♪」
・「俺のものはお前のもの、お前のものは俺のもの」by シェイクスピア
ゆな「……うん……いいよ……? だって私の身体……優斗のでしょ……? だからいっぱい……また、しよ……?」
ゆな「それに……優斗の身体も私のだから……♪ おちんぽ……いっぱい気持ちよくしてあげるっ……♪」
優斗「うん……大好きだよ、ゆな」
ゆな「……私も、大好き……♪」
HOOKSOFT作品はプレイしたことがなかったのですが、こういうのがHOOKSOFT的なんでしょうか?
★女の子の匂い
ト書き:両手で閉じた肉をゆっくりと開き、隠れていたピンク色の秘部を目の当たりにする。
ト書き:ふんわりと漂うゆなの女の子の匂いに、視覚的興奮も加わり、ゴムを装着された僕のモノは大きく主張していた。
⇒「女の子の匂い」って、この場合は女性器の性臭を指すのだろうけれど、“優斗”にとっては、よいニオイとして認識されているのだろうから、この場合は「匂い」表記で正しいってことに……。
★サージカルテープ
ト書き:光る謎の箱をあけてみると複数個のローターとサージカルテープが入っていた。
⇒サージカルテープが分からず、調べてしまった。
サージカルテープとは、ガーゼ、包帯、チューブなどを人体に固定することを目的とするテープ状の医療材料で、テープ絆創膏と呼ばれる製品ものの一種です。これは、ロール状となった支持体と、肌に張り付くための粘着力をもつ粘着剤の2つの要素でできています。
★成長
ト書き:もし、ここから出られた場合……きっといつもの生活に戻るんだと思う。
ト書き:そうしたら……自分に自信がない僕は、ゆながいなくなってしまうんじゃないかと、ずっと心の奥底で怯えていた。
ト書き:そんなことになるくらいならいっそ……閉じ込められたままでいい、なんて考えていたくらいに。
ト書き:でも……どこにいても、ここにいても……成長できることがあるはずだ。
⇒人の何らかの成長を謳うのは物語の基本?なのだろうと思うのだが、恋愛的には「好き⇒大好き」に成長はしたが、「愛してる」に至らせなかった理由は、何(なん)でかな?
★告白
優斗「ゆな……僕と付き合ってください!」
ゆな「……はい♪ じゃあ……これからはー……彼氏として、よろしくね? 優斗……♪」
優斗「う、うん、ゆなっ、ゆなっ!!」
ゆな「ちょ、ちょっと優斗っ……どうしたの? いきなり抱きしめられたら恥ずかしいよっ……」
優斗「ごめん、抑えきれなくて」
ゆな「ふふ……でも、なんか順番めちゃくちゃだね、私たち……一番最初にエッチなんだもん」
ゆな「だからさ……ここから、もう一回はじめよ? 私たちの関係……恋人同士の……ね?」
優斗「うん……よろしく、ゆな」
ゆな「……うん♪ 優斗っ♪」
⇒恋愛成就で帰結の場面なのですが、結局、「好き」止まりの関係で「愛してる」に発展しなかったのだから、部屋から脱出後は、吊り橋効果が切れて破局って線も捨てきれないのです。その後の二人の運命はいずこにありや……。
★不具合
たぶん間違いではないのか程度なので、本作の品質管理は良いと思います。
・誤字脱字関係
ト書き:僕たちは何度も今度こそは……と、祈るような気持ち扉を開いてきたのだが、一向に状況が変わる気配がない。
⇒「気持ちで扉を」だと思う。
優斗「まぁ、オナホが気持ちいいのに違いはないんだけど……自分で使ったときもこんな気持ちよくなかったし」
⇒「自分で使ったときは」だと思う。「オナホは気持ちいいが、自分で使うより“ゆな”にしてもらった方がもっと気持ちいい」ってことを言いたい内容だと思うのだが、「自分で使ったときも」だと「そもそもオナホは気持ちよくない」って事になって、意味不明な内容になってしまう。
優斗「校内射精大会」
:
ゆな「って、字違うじゃん! 校内写生大会でしょ!? ってすっごいメタじゃん! これだめだってば!」
:
ゆな「……優斗のバナナ……口内射精大会……する?」
⇒話の流れから考えると、優斗の「校内射精大会」は、初出の時点で「口内射精大会」が正しくて、ライターさんの書き間違いだと思われる。
・声優さんの読み間違い関係
ゆな「セックスしたのに出られないじゃん!!」
⇒声優さんは“ゆな”の可愛らしさを出すべく「じゃ~ん!」って嘆(なげ)くように読んだのだけれど、たぶんライターさん的には、「!!」と書いていることからも、怒ったように「じゃん!!」って字面(じづら)どおり読んで欲しかったのではないかと思う。
⇒このため立ち絵の顔の表現も、声優さんの読みに合わせたようになってしまっているのだが、文章の前後関係からも、怒ったような顔表現が本来のライターさんの希望だったのではないだろうかと思った。
ゆな「なんか私も変な気分になりそうっ……見られておちんちん気持ちいいのっ? 恥ずかしいのに、我慢できなくなってるんでしょっ?」
⇒「なってるんでしょう」と同意を求めるニュアンスで読んだ(疑問形になっていない)。しかし、ここでは書いてあるとおり「なってるんでしょっ?」って状態を確認するための質問としての疑問形として読まなければいけなかったと思う。
ゆな「優斗っておっきいおっぱいと小さいおっぱい、どっち好き?」
⇒「どっちが好き?」と読んだ。私は声優さんの読みの方が良いのだけれど……。
以上
The above is a long impression of shiratori.