本編と本作(アフター)が揃って、やっと一つの作品としての体を成すことが、改めて理解できました。やっぱり、両方合わせて70点前後が、妥当かな~。知らんけど。追記(4/21:個別アフター毎の感想。9/19:エロゲー市場縮小への超絶有効対策)
○はじめに
本作は、FDというより純粋に本編のアフター編オンリー集なので、私には、一つの完結した作品として評価することが、今回はできませんでした。そのため、私の長文感想で、初めて「得点なし(--点 )」を付けることになってしまいました。これまで、「得点なし」ってなんやねんと思っていた私でしたが、今回みたいな場合に使うのですね。
本作に対する表層的な感想は、以前(2019/01/16)、「ファンディスク発売前コメント」として本編の長文感想に追記したので、本長文感想では、もっと別な視点で書いてみたいと思います。では、別な視点って何ってことになるのですが、各ライターは、個別毎のアフターでそれぞれどこを担当したのかを、推論してみるお遊びをしてみたいと思います。また、本作はアフター編しかないので、それぞれの個別アフターで、ライターは何を書きたかったのかも考察してみたいです。
○本作全体の評価
別な視点の評価前に、本作の総体としての評価は、やはり簡単に書いておきたいと思います。既に現時点(2019年4月13日)で評価した方々の意見で、出尽くしているとは思いますが――データ数8しかないけど(笑)――そもそも売れてんですかね、本作品? まぁ、最近のエロゲー市場は、高粗利の抱き枕カバー売り上げでカバーするビジネスモデルが流行っているみたいですから、ライセンスの販売数自体は、あまり気にしていないのかもしれませんね。
さて、気を取り直して真面目に書きますが、一言感想欄(普通の方々)とPOVコメント欄(アンチの方々)で、見事に点数が分かれていますね(笑)。ただし点数は、人それぞれの判断基準に基づいた結果なので、比較・検討するのは無意味だと思っているのですが、コメント自体は、どちらのご意見も、そのとおりだなって私には思えました。ただ、一言感想だけからだと、本ゲームをプレイしていない方々には、何が「残念で、惜しくて、薄い」との評価になるのかが分からないのではないかと思います。
それらの疑問を、この私がズバッと解決してあげましょう(笑)。では、それらの疑問に対する根本原因は何かですが、私の分析では、「本来、本編と本作(アフター)を合わせて一つの作品であった筈なのに、それを分割したから」が問題の本質だと考えています。
私は、本編に対する自分の長文感想において、作品のコンセプトから「出会いから結婚(+α)までしっかり堪能できるのではないかと考え購入に踏み切ったが、私の期待値を大きく下回ったことは否めません(ボリュームがぜんぜん足りない)」と書きました。結局、本作のアフター編をプレイしてみて、これが諸悪の根源だと確信するに至りました。つまり、分割してしまったことで、分割されたそれぞれを個別で評価することになってしまい、その結果として「残念で、惜しくて、薄い」との評価になってしまったのだと。
また、各個別ルートのストーリー構成がどれも同じパターンなのも残念な点ですかね。「開始⇒エッチ1⇒本題⇒エッチ2⇒結末」の構成で、各エッチは二回戦で、イベント絵の枚数は何枚で、はい1ルート完成みたいな。もう、ベルトコンベアでの大量生産かって感じです。
作り手としては、開発期間短縮と利益最優先を思考したのかもしれませんが、『星織ユメミライ』みたいな作品が現実に存在する以上、そうしなかった(できなかった)ブランドは淘汰されるとしたご意見が出てきたとしても、何ら不思議ではないでしょうね。実際、今の駄々下がりエロゲー市場では、その可能性も否定できないでしょう。
最後に、結局、アフター編で各ヒロインに設定した花をストーリーにコミットしたのは、なずな(それなり)と美里(少し)だけだったのが、非常に残念に思いました。私からメーカーへのアドバイスとしては、今以上に、もっとコンセプトを煮詰めて、気配りした方が良いのではってことにつきますね。気配り内容が何なのかは、本編での長文感想でさんざん考察したので、今更、書きませんが……。
○各アフター毎のライターは誰だ?
ここでは、ちょっとお遊びで、各ライターがどこを担当したのかを考察してみたいと思います。とは言っても、各ライターの過去作すらプレイしたことのない私には、実際のライター名と担当したアフターを結びつけることは不可能です。そのため、頑張ってもグループ分けがせいぜいかなと。
さて、アフター編でのシナリオ担当者は、来夢みんと、ギハラ、桃ノ雑派の三名の方々です。因みに、本編でのシナリオ担当者は、来夢みんと、ギハラ、無義歩、若葉祥慶の四名の方々でした。つまり、二名を切って一名を加えたわけですね。
まずは、ライター本人が、吐露ってないかと思って、各ライターのツイートを調べてみましたが、誰も自分がどのルートを書いたのか、書いていませんね。これは暗黙のルールなんでしょうか? 複数人で分担するのなら、自分を売り込むために、自分はこのルートを書いたって宣伝すれば良いのにって思うのですが。声優さんや絵師さんは、自分を売り込むために必死にアピールするのに、何でライターの方々は、こんなに冷めているんですかね。複数人で担当するのなら、自分の能力が他より優れていることを明確にできるのだから、もっと自分がどの部分を担当したのかをアピールすれば良いのにって思ってしまいました。
それでも、今回の場合、新たに参加した桃ノ雑派さんが、「ちょこっとだけお手伝いさせていただいた『恋はそっと咲く花のように~二人は永遠に寄り添っていく~』も本日発売です」と、チクっていました(笑)。でもツイートを見ると、本作に関してはこれしか書いていないので、本当に「ちょこっとだけ」しか関わっていないのかもしれません。そのため、桃ノ雑派さんは、個別ルートは担当していないか、担当したとしてもエッチシーンだけといった可能性があります。もしそうなら、私は、おまけゲームの『お風呂で女子会 in 恋花』ではないかと当たりをつけてみたのですが、実際はどうなのでしょう?
では次に、残りの二名の方々がどこをご担当されたのかですが、そもそもどちらの方々も、他の明確になっている文章を読んだことがない私には、比較検討しようがないので、実際の文章と書かれたライターの氏名を紐付けすることはできませんでした。そのため、グループ分けまでが限界でした。
ではどうやって分けたかですが、まずは特徴的な言葉使いを捉えるです。有りましたよ、一つ気になった使い方をしている言葉が、複数のルートに。それは何かですが、「季節は(が)巡り」です。この言葉は、伊織アフターと蓉子アフターで使われているのですが、ライターさんはこの言葉の解釈を間違っているのではないかと、私は思いました。その結果、私は、最初、文章の内容が?状態になってしまったのですが、具体的に使っている文章を明記して解説しますね。
・伊織アフター
(最初のセックスシーン後)
ト書き:早いもので、伊織は大学生として最後の年を迎えていた。
ト書き:季節は日中も冷たい風を感じるようになった秋。
:
ト書き:季節が二つ巡れば、伊織は大学を卒業する。
:
ト書き:それから、また季節は巡り、冬を越えて、暖かい春の兆しが見え始めたころ。
ト書き:伊織は無事、大学を卒業することができた。
・蓉子アフター
(蓉子の妊娠後)
ト書き:やがて季節が巡り、冬の寒さが過ぎ去った頃。
ト書き:温かい春と一緒に、娘の智が俺たちのところにやってきてくれた。
さて、上記の文章のどこが変に思ったのかですが、私の認識では、「季節は(が)巡り」とは春夏秋冬の年単位の季節の移ろいの話だと思っていたのですが、個々の春・夏・秋・冬の四季の移ろいにも「季節は(が)巡り」と使うものなのでしょうか?
そもそも、この場合の「巡る」とは「順番にまわって元に戻る」、つまり循環の意味で使われていると思います。つまり、春を起点とするなら翌年以降の春、夏を起点とするなら翌年以降の夏になって初めて、「季節は(が)巡り」という言葉が成立すると思っておりました。
しかし、このライターさんは、春から夏、夏から秋、秋から冬、冬から春への季節の途中経過の移り変わりに対し、「季節は(が)巡り」と使っているわけです。そのため最初、私は話が見えなくなって、何回もこれらの場面を読み返してしまいましたよ。
私の日本語に対する言語感覚が間違っているのでしょうか? まぁ、5段階評価で国語力3以下だった私ですから、間違っている可能性も高いのですが……。
ところで以前、『未来ラジオと人工鳩』の感想でも書いたのですが、「温かい春」は「暖かい春」が正しいですよね。なんで、ライターさん達は気候や気温に対して「温かい」と書きたがるのか、謎です。「暖冬」を「温冬」としても、言葉として変じゃないと言っているようなものですからね。
で、長々と解説してしまいましたが、上記から伊織アフターと蓉子アフターは同じライターさんが書いたのではと判断しました。
次に、本編との関連性をどう捉えているのかに注目してグループ化してみました。具体的には、美里アフターとさなえアフターですかね。ご丁寧にも、本編での内容説明をいろいろと回想してくれています。
美里アフター :美里の実家の解説部分
さなえアフター:さなえの生い立ちの解説部分
過去話(学校の庭園でのさなえ、美里、怜の初めての出会い)シーン
過去話(さなえと美里のメールやりとり)シーン
ということで、美里アフターとさなえアフターは同じライターさんかなと判断しました。恐らく美里アフターは、本編とライターさん違うんじゃないかな。なんか文章が上手くなっているので(本編の長文感想で「ライターさん、下手かも?」って書いたくらいですからね)。
次に、花の扱いをしたかどうかでグループ化してみました。これは簡単です。美里アフターとなずなアフターですね。わざわざ花をコミットしたのだから、ライターさんの性格に起因するのではないかと考えました。
最後に沙希アフターですが、他のアフターより、出来が良いですね。独特な感性と構成力があって、ライターさんの能力が頭一つ飛びぬけている気がします。他のアフターとのグループ化はできそうもありません。取り敢えず、単独のグループとしたいと思います(桃ノ雑派さんが、「ちょこっとだけ」と書かなければ、無条件にここに割り当てたのですが……)。
まとめると、次のとおりです。
グループ1:伊織アフター、蓉子アフター
グループ2:美里アフター、さなえアフター、なずなアフター
グループ3:沙希アフター
当たるも八卦当たらぬも八卦ですが、誰か真実を知っている人がいたら、教えてください。
○個別アフター毎の感想
私は、「西園寺蓉子⇒琴石伊織⇒宮音沙希⇒早見美里⇒来未さなえ⇒藤堂なずな」の順番でプレイしました。この順番にした理由ですが、次のとおりです。
①蓉子:大人な雰囲気を感じるには、やっぱり年上かなって
②伊織:表のヒロイン(病弱なのに明朗)の行く末が、やっぱり気になって
③沙希:芸能人と一般人の恋の行方をどう料理するのかなって
④美里:お口直しで、幼馴染のありふれた恋愛劇の行方はどうなるのかなって
⑤さなえ:本編では一番シリアスな設定が、どう転ぶのかなって
⑥なずな:締めはやっぱりなずな。こいつら結婚までたどりつけるのかなって
①②③は、どれを一番最初にプレイするかで、ちょっと葛藤があったことを白状しちゃいます(笑)。因みに、プレイした順番は重要です。なぜなら、順番が違ったら、それぞれのルートに書かれた内容によっては、いつ把握するかによって感想が異なってくるかもしれないからです。ということで、私のプレイした順番で、個別毎の感想を以下に記します。
--------------------
◆蓉子アフター
--------------------
★「伝説のお姉様」の話
冒頭で、後輩二人と蓉子さんによる「伝説のお姉様」エピソード紹介シーンがあります。勿論、本編での蓉子ルートで一番面白いのが「伝説のお姉様」エピソード部分だと私も思っているので――面白いので本編では何回か読み返してしまいました――書きたかったのは分かるのですが、実は、本編と違って、本作では書かれている内容がぜんぜん面白くありません。
なぜ面白くないのかというと、本編では、「伝説のお姉様」エピソードに関するボケとツッコミの会話が面白かったのと新旧二人の「伝説のお姉様」エピソードを対比構造とする構成が面白かったのであって、ただ後輩二人と蓉子さんから、「伝説のお姉様」エピソードを淡々と紹介されるだけでは、何の面白味もないのです。ライターさん、これ書いていて、自分で面白いと思ったのでしょうか?
★家族
このライターさんは、家族がテーマであることに拘っているみたいですね。
・その1
ト書き:学園を卒業したばかりの俺たちにとって、
籍を入れ指輪を作るまでで精一杯だった。
ト書き:そもそも、籍を入れること自体
少し早いんじゃないか、なんてことも
言われたりしたんだけど。
ト書き:どうしても我慢できなかったというか、
俺たちは一日でも早く家族に、夫婦になりたかった。
⇒つまり、テーマなのかな
・その2
ト書き:芽吹いて育ち、ゆっくりと花が咲くように、
少しずつみんなが家族になっていく……
その様子を見ているような気がしたから。
⇒「花が咲く=家族になる」ってことですね。タイトルに少しでもリンクしようという意識は感じます。その意味では、このライターさんが一番、本作のスタンダードであるとは思います。
★エッチなこと考えた
蓉子「いま、ちょっとだけエッチなこと考えたでしょ?」
怜「えっ!? あ、その……ちょっとだけ……」
蓉子「もう少しだけ我慢してね。
今夜は結婚初夜になるんだし……」
ト書き:頬を赤らめながら告げる蓉子さんに、
危うく理性が吹き飛びそうになった。
⇒なんか、エロゲーらしい会話だなと思った。
★★★ライターさんの語彙の感性が私には合わない
・二人の行く先
由乃「では、二人の行く先が明るいものであることを願って
……乾杯!」
⇒私は、第一義の意味を、
行く先:目的地。行く手
行く末:将来。前途
と捉えているので、「将来。前途」の意味で「行く先」を使っているのは、非常に抵抗があります。では間違っているのかというと、「行き先」の第二儀の意味は「将来。前途」でもあるので、間違っているわけではありません。ただ、間違ってはいないのだけれど、「将来。前途」の意味では、その意味しか持たない「行く末」を使うのが、普通の感覚だと思うのです。このライターさん、霊園での「ご両親は休んでいる」記述などもそうだし、ちょっと、普通の文章感覚とは違った感性の持ち主みたいですね。ただ、この感性と感覚は、私は嫌いです。ちょっと、受け入れ難いです。
・夢心地
ト書き:注いでもらったジンジャーエールを飲んでもまだ、
どこか夢心地のような気分だった。
⇒ここでもライターさんとの感性の違いが露呈するのですが、私だったら「夢見心地」としたでしょうね。なぜなら、私にとって「夢心地」は言いづらいからです。「夢見心地」は言いやすいし、言葉が地に着いているというか、据わっているというか、華があるっていうか、もう感性の違いですから、どうしようもありませんね。そういえば、声優さんが「夢心地」を「夢見心地」と読んだ作品があったのを思い出してしまいました。読むほうからすると、「夢見心地」の方が据わりが良いのかなって思ったものです。
★★★結婚のお祝いパーティー
みんながお祝いパーティーを開催するわけですが、実は、この感覚がどうも自分には受け入れ難いのですよね。なぜなら、この物語でお祝いしてくれる方々は、IFの世界では主人公と結婚していたかもしれない方々だからです。本当は、もっとどろどろした人間模様が溢れるシナリオになったとしても、ぜんぜん不思議じゃないわけです。そのため、各人の会話文が、白々しく感じてしまう捻くれた考えを持った自分が、現出してしまうわけです。そのような中で、
沙希「私にも怜さんみたいなステキな人が
現れてくれたらいいんですけど……」
とかの会話文を見てしまうと、未練たらたら感がなんともなんて、思ってしまうのです。そうすると、このお祝いパーティーのシーン全体が、ぜんぜんお祝いではない修羅場に見えてしまうのですよね。実際に修羅場パーティーにでもしてくれたら、私は90点以上をつけたと思うのですけどね。あぁ、とことん、このライターさんとは感性が合わないんだなと、つくづく思ってしまうのです。
★幸せは分け与えるもの
さなえ「そうやって並んでいるだけでも、
幸せが溢れてますから」
蓉子「そうかな?
それじゃたくさんお裾分けしないと。
幸せは独り占めするものじゃないから」
⇒ギャルゲーではよく提示される考え方ですよね。
★玉枝さんのシーン
本編もそうなんだけれど、玉枝さんが出てくるシーンは、シナリオ的に良い味出してるよなぁって思います。
★成長
ト書き:子供はいつも大人が気づかないことや、
思いもしない発想で物事を見ている。
ト書き:そこから気づかされることもたくさんあって、
子供と一緒に親も成長してくんだなと
痛感させられてばかりだ。
⇒子供と一緒に親も成長かぁ。エロゲーでは、新しいパターンかもしれない。ただ、なんかお約束として「成長」に触れないと、話として不完全みたいな暗黙の同調圧力めいたものが、渦巻いている気がします(笑)。主人公は物語を通して成長しなければいけないみたいな。個人的には、そういうお約束事に縛られているストーリーを評価する風潮が嫌いです。
★★★★う~ん。このルートは、私の心の暗部(捻くれた物の見方)が露呈するシナリオだと感じました。嫌いです、このライター(笑)。
--------------------
◆伊織アフター
--------------------
★宮音沙希の昼食シーン
冒頭で、宮音沙希の昼食シーンを入れているのだけれど、他の子とのシーンを長々と入れて、良いのかなって思ってしまいます。本来のヒロイン以外のヒロイン候補をストーリーに割り込ませるのは、蓉子アフターの結婚お祝いパーティーのシーンを入れる感覚と相通じるものがあるので、私は、同じライターさんが書いたのかなって思ってしまうわけですが……。
★★★子供が欲しい
伊織アフターって、ざっくりいうと「仲良し夫婦⇒不妊⇒妊活⇒妊娠」の話なのだけれど、話を掘り下げないですよね。「妊活」って言葉、私、『赤ちゃんほしいな ~今日からはじまる妊活えっち~』で初めて知ったのですが、これからの大人なエロゲーでのテーマの一つにでもなるのかななんて思ったりもします。それなのに、
ト書き:いまのところ、俺たちは子供を作ることに対して、
積極的にアプローチしていない。
ト書き:もし、妊活をするのなら、
できるだけ早いほうがいいらしい。
ト書き:それはよくわかっているのだけど、
いつも通り愛し合う意外に、特別な行動は <-- 誤字脱字:以外に
していなかった。
あれっ? 結局、妊活ってなんだったの? っていう展開の結果が、
ト書き:生まれ持ったハンデのせいで、
人生におけるひとつの喜びを
諦めようとしてた。
ト書き:可能性を追いかけることは、
俺にも負担をかけてしまうからと、
現状で満足しようとしていたんだ。
ト書き:でも、心のどこかでは奇跡を信じていて……
その思いが、わずかな可能性をつかみ取った。
ト書き:これは伊織の思いが繋いだ命だ。
ト書き:俺たちは人目もはばからず、
ロビーで抱き合った。
なんの努力もしないで奇跡で話を完結させるなんて、こんなストーリーあり? どう考えても安易すぎますよね。こういうところが、「残念で、惜しくて、薄い」との評価に繋がっていると思うのです。妊活を語りたいなら、私が2018年最高エロゲーの一つと長文感想で認定した『赤ちゃんほしいな ~今日からはじまる妊活えっち~』を煎じて飲めよって言いたいです。
★伊織のご両親
伊織アフターを語るのに、伊織の両親は不要扱いって、どんなストーリーなんだこれって思っていたら、ここまで影も形もない雲隠れ状態だったご両親が、伊織の出産でやっと登場。登場したのですが、薄い、薄すぎる。
------------------------------------------
伊織の母「お仕事中にごめんなさい、
あの……伊織が産気づいたみたいなの」
伊織の父「いや、こちらこそ急に連絡して申し訳ない……
本当に急に産気づいてしまったようで、
私もいま着いたところなんだよ」
------------------------------------------
★あの子
伊織の母の会話で指示語の使い方が変です。目の前の生まれた子供と一緒の伊織に対して、「あの子」はないでしょう。目の前のベッドにいるのだから、「この子」でしょう、普通は。でも、ちょっと前に、目の前の子供について「この子」と使ったもんだから、「あの子」で区別しようとしたのだと思われます。でも、変。生まれた子供を「この子」とするなら、自分の娘に対しては、素直に名前で呼ぶべきだったと思います。
--------------------
◆沙希アフター
--------------------
このルートのライターさんは、私には眩しすぎます。だって、本当に文学専攻しましたみたいな感じだから。追々下記で説明いたしますが、私には逆立ちしたって出てこない、文学という引き出しをいっぱい持っていそうなんですもの。こういうところで、人生のヒエラルキーを感じるというか、下賤な私を許してくださいとのたまってしまいそうになる自分を見いだしてしまうのです。
★成長
沙希「なんだかね、最近、ちょっと
ドキドキすることが多いの」
沙希「怜は社会人で……私はまだ学生で……」
沙希「ほら、そういうのって……
なんだか漫画みたいでしょう?
大人の恋愛をしているみたいでドキドキするの」
ト書き:自分では全く変わっていないつもりだったけど、
沙希の中の俺はきちんと成長していたらしい。
沙希「そうやって大人になった怜と、
まだ学生の私……そんなギャップがね、
嬉しいような、寂しいような……」
沙希「あ、でも甘えられるからやっぱり嬉しい!」
⇒ここでの成長は、大人になるってことみたいですね。定番の「大人な貴方に憧れる乙女」の図式が、またなんだか眩しすぎます、私には……。
★みんなに言いたいこと
沙希「あのね……今までありがとう。
それと、これからもよろしくね」
希美「あの子ったら……これまでの苦労を
あんな一言で片づけるつもりかしら」
ト書き:冗談めかした言葉に、様々な感情が内包されている。
⇒ト書きが全てを語っているのですが、この場面だけ見ると、本当に一言で片づけてる気がしますね。
★1回目のセックスシーン
沙希「ね、怜……
学生の私と学生じゃない私、どっちがいい?」
沙希「だから……えっと……そ、卒業後初めての夜だけど……
今夜まで……学生気分でいさせて?」
怜「うん、沙希……しよ?
学生最後の夜に……制服姿の沙希を……抱きたい」
沙希「うんっ! 私も……年下の女子高生として……
怜に抱いて欲しい……です……」
⇒部分的に抜き出してみましたが、このセックスシーンだけなら馬鹿みたいな設定なのですが、このシーンを導き出すために、前述の成長の話を前振りしているわけです。だから、プロットが相当に練られているといえますし、セックスシーンの文章も上手いです。
沙希「あふぅ、この苦しい感じが好き、です……。
でも、お腹の圧迫が緩くなった瞬間も
気持ちいいんです」
ト書き:妻の晴れの日に、
学生生活との決別のセックスをする――。
沙希「んん、ふぅ……いっぱい出されちゃったぁ……
ああ、すごぉい……。
中でちゃぷちゃぷ音立ててる……」
ト書き:腰を引いて、
溢れ出る精液をティッシュで拭う。
ト書き:またムクムクと沙希への愛情と
野生の本能が混じり合った感情が
下腹部に集まってくる。
⇒私、喘ぎ声だらけの文章、実はあまり好きではないんですよね。だって、何の中身も無いから。だから、読める文章があると、安心してしまいます。
★におい
このライターさん、文章は個性があってしかも上手いのだけれど、におい(匂い or 臭い)は区別してくれません。
ト書き:僅かに漂う精液の匂いと、沙希独特の甘い香り。
ト書き:情交直後特有の、この生臭い空気が
快感の余韻をさらに深めてくれるようだった。
⇒「生臭い」と書いているのだから、「匂い」は「臭い」にするべきだと、いつも思ってしまう。
★沙希のWebラジオ
ト書き:確かに店のこともあって、
俺たちの新婚旅行は、まとまった休みが取れる
年末年始の休みまでお預けとなっていた。
ト書き:学園を卒業した今、俺は本腰を入れて働くべく、
いい加減な営業スタイルをやめた。
⇒沙希担当のライターさんは、ちょっと他のライターさんより、文章が個性的なんですけど、「いい加減な営業スタイル」って、ここでしか書いていないと思うのですが、どんなスタイルなんですかね。
★大丈夫きにしないで
怜「大丈夫きにしないで。
それに、姉妹水入らずの邪魔するのも悪いし」
⇒「大丈夫きにしないで」が、一瞬、どう読むのか分からなかったです。「大丈夫き」って何? みたいな。「気にしないで」と漢字で書くべきでは。漢字が連続するのを避ける意味合いなら、「大丈夫、気にしないで」と読点を打って書いて欲しかったです。
★家族
沙希「ええ、もちろん。当たり前のことだもの。
愛し合う二人が結婚して……
家族が欲しいって思うこと……」
⇒他のヒロインルートもそうなのだけれど、やっぱり家族がテーマだよね。
★ライターさんの文章、面白い
2回目のセックスシーン
ト書き:柔らかな粘膜が、先をすっぽり包んで……
ふぅ、気持ちいい……
ト書き:粘膜の洞窟の中、亀頭で掘削していく。
⇒殆ど、見ない表現だよね。はっきり言って、ぜんぜんエッチくないのですが、表現方法は斬新だよね。土木工事かよって(笑)。
★★★陣痛
沙希「ど、どうしよう、怜。
これ、こんな、痛いんだ……くぅぅぅっ!」
ト書き:ぎゅっと、痛いくらいに手が握られた。
ト書き:それを力強く握り返して、俺は何度も、
「大丈夫だから」と繰り返した。
沙希「うん……うん。でも、うぅぅ。
こんな、痛い、なんて。んんん!」
ト書き:がくりと、力をなくしたように沙希が膝から崩れる。
⇒表現方法が面白いねぇ。このライターさん
★★★赤ちゃん共々、沙希帰宅のシーン
沙希「ほら、お祖母ちゃんだよ。抱っこしてもらえて嬉しいわね」
由乃「お祖母ちゃん……そうね、私もいよいよ、お祖母ちゃんなのね。ふふふ」
:
ト書き:学生時代のことだ。俺はクラスメイトで友人の来未さなえさんという女
の子と、その姪っ子の面倒を少しだけ見たことがあった。
:
ト書き:『来未』と書いて『くるみ』と読む珍しい苗字を持つあの女の子とは、し
ばらく顔を遭わせていない。
ト書き:幼馴染みである美里すら、最近はすっかりご無沙汰だ。
⇒このライターさん、他のライターさんと感性が違いますね。他のライターさんは、女子会でどうこうとか、学園卒業後もみんな仲良しみたいな感じなのに。まぁ、私の嫉妬でどろどろ空間になるだろうという疑問に対する、一つの答えではあるよね。二人だけの世界、他は排斥っと。
⇒誤字脱字?:普通に考えれば「顔を合わせていない」となります。この場合の「合う」は、複数のものが一つに集まることを意味しますから、単純に「会っていない」ってことですね。ところが、「顔を遭わせていない」だと、この場合の「遭う」は、好ましくない出来事や悪いものが思いがけず身に及ぶことを意味し、そもそもマイナスなことに対して使う言葉であるため、「会うと不幸になるから会わないようにしている」ってことになってしまいます。まぁ、このライターさんの感性なら、そう思っていたとしても、ぜんぜん不思議じゃないのですけどね。わざと書いたと言われたら、私は納得しますね。
⇒なんだろう。やっぱり、今回からライターとして参加しました感が滲み出ている気がしますよね。設定資料見て登場人物の関係を知りましたみたいな感じかな。
★格言:「頑張ったんだね。お疲れ様」
怜「頑張ったんだね。お疲れ様」
ト書き:愚痴に対して欲しいのはアドバイスではなく同意である。
否定などもってのほかだ。
⇒なるほど、納得。
★沙希の良い嫁キャンペーン後のセックス
ト書き:その夜、俺と沙希は、未希が母さんの
部屋で寝たのを良いことに、肌を重ね合っていた。
ト書き:なんども味わった沙希の身体だが、
それでも飽きることのない高ぶりを、
今でも俺に与えてくれる。
ト書き:向こうも、久しぶりということもあってか貪るように
おれを求めてくれて、気がつけばお互いに三回も果てて、
ようやく体の火照りが収まる。
⇒これは文章だけなのだけれど、沙希って、エロ担当要員の位置づけなのでしょうか?
★国営放送
沙希「国営放送だって」
怜「……え?」
由乃「国営って・日本の?」
怜「え!? こ、国営放送って、あの!?
日本の国営放送!? まさか!? え?
まさか大河とか!?」
⇒日本には公共放送はあるけど国営放送はないのですが、これはわざとなのでしょうか。わざとでしょうね、きっと。
★★★オセロ
ここで、いろんなことが繋がるのか。一人朗読会。
このオセロの一人朗読会のくだりに至って、このライターさんに対する冒頭での「私には眩しすぎ」発言につながるのですが、下賤の私は、シェイクスピアの戯曲など、一本も読んだことがありません。それ以前に欧米の名だたる純文学作品は殆ど読んだことがないのです。『赤と黒』『罪と罰』、タイトルしか知らないよ。私が唯一読んだのは、カフカの『城』と『審判』だけ。『審判』など、薄い本なのに読み終えるのに二週間もかかって、内容同様に読むのが本当に苦しかったです。
そんな私ですから、さらっとオセロを題材に、話を一本創りあげるこのライターさんの手腕には、本当に羨望の念を禁じえません(悪くいうと創作しないで他作品に依存)。ライターって、本来、こういう人のことをいうんだって思ってしまいます。もう、凡人とは素養が根本的に違うって感じです。
★エッチとは
3回目のエッチシーン
沙希「ふふっ、分かってる。
でも……エッチって……
妊娠するためだけにするわけじゃないものね」
沙希「私たち夫婦がもっともっと
仲良くなるためにも……
んっ……っと……」
⇒大事なことだよね、これ。それにしても、他のヒロインは2回なのに3回って、やはり沙希は、エロ担当要員だったことが明確になってしまいました。
★セックス時の描写表現
ト書き:顔と胸元にこびりついた精液を
軽く指先でクルクルと回し、
自分の肌に塗り込んでいく。
ト書き:空間に精液独特の匂いが染み渡り、
沙希は恍惚とした笑みで深く呼吸を繰り返した。
ト書き:快感の本流に理性が干渉され、
ついつい表情が歪んでしまうのだろう。
ト書き:苦しげな顔さえも、美しい……。
ト書き:愛液だけではなく、口からも涎が滴っている。
ト書き:濃密な液体が透明な糸を引き、
唇に引いた糸が
薄暗闇の中でキラキラと輝いて見えた。
⇒もう小説の文章ですよね。このライターさんは、ensemble じゃなくて、別のブランドの作品を書くべきです。
--------------------
◆美里アフター
--------------------
ここ、内容は大したことないのですが、後から読むために気になった文章をそのまま書き写していたら、書き写すのが楽しくなってしまいました。
★すみれのブーケ
ト書き:アナウンスが終わり、
式場のスタッフさんから、美里がブーケを受け取る。
ト書き:それは、美里が特別にお願いした、
スミレのブーケだった。
ト書き:純白のドレスに、深い紫のスミレがよく映えている。
美里「派手さはないかもしれないけど、
わたしたちにとって、スミレは特別なお花だから」
⇒やっと、花を絡めた一人目。しかし、そもそも美里の花は白スミレ設定だった筈なのに、深い紫のスミレっておかしくないって思うのは、私だけ? ドレスのスミレは白なのだから、ブーケのスミレも白にするべきだったと思うのですが、一貫性がないですねぇ。
★家事の楽しみ
美里「洗濯物を干すときに香る柔軟剤のにおいとか、
お掃除してピカピカになっていくお部屋とか」
美里「そういう小さなイイコトを見つけると、
なんだか嬉しくなるの」
怜「道ばたで四つ葉のクローバーを
見つける感覚に近いのかな」
美里「そうだね、小さな宝物を見つける感じ♪」
美里「だからね、いまは全然大変じゃないよ。
むしろすっごく充実してる」
美里「これもきっと、結婚することで感じられる
幸せのひとつなんだろうなぁ」
⇒幼馴染の結婚生活シーン、本当に庶民的設定ですよね。ほのぼの担当ってところでしょうか。ストーリー自体は、お笑い担当なんですけどね。
★家族
美里「あ、でも……いまよりもっと幸せに
なっちゃってもいいかなぁーとも思ってるよ」
ト書き:意味深な言葉と共に、
美里が体を俺にくっつけてくる。
⇒この後、最初のセックスシーンなんだけど、その意味するところは……。
美里「あなたとわたしの、
可愛い子供、作っちゃおう♪」
⇒ノリ、軽っ。
★セックス描写
ト書き:美里はキツく唇を閉じたまま、
頭を上下に揺らし、肉棒をシゴきあげていく。
ト書き:さらには肉棒の敏感な場所を探るように
舌を絡ませ、こちらへの刺激を強めていった。
:
美里「えへへ……いっぱいしようね……んっ、あぅ……
今日も、これからも……いっぱい、いーっぱい……」
美里「大好きなあなたを、
わたしにいっぱい感じさせて……」
⇒本編より、シナリオが良くなってますね。ライターが違うのかな?
ここでは、ト書きである程度説明してから、会話文って感じですね。
★美里の声
美里「うんとね、お腹にいる時から良い音楽とか
お話を聞かせてあげると良いって聞いたから。
毎晩絵本の読み聞かせしてあげようと思って」
ト書き:そう言いながら、
愛おしそうにお腹を優しくさする美里。
その姿に俺はキュンとしてしまった。
怜「美里の声は可愛いから、赤ちゃんも喜ぶだろうな」
美里「えっ、そうかな?
あなたにそう言ってもらえると嬉しい!」
⇒声優さん、アニメ声だからね。シナリオにまで書かれているわけだ。
★美里の実家
ト書き:元々の実家は、うちの近くで
フレンチのお店を営んでいた。
ト書き:それが数年前、美里のお父さんが、
修行時代にお世話になった方に招かれ、
ホテルのチーフシェフになることになった。
:
ト書き:そのことがきっかけで、いろいろとあって、
俺たちは一緒に暮らすことになり、
お互いに距離を縮めていまに至る。
⇒このライターさんは、本編でのこれまでの経緯を、きちんと説明してくれます。
★朝――回想
美里「透明な空気をくぐり抜けてきた
新鮮な朝の光……それに、まだ光に暖められていない
少しだけ余所余所しい朝の空気……」
:
:学生時代の回想を経て、結婚式のブーケトスの回想
:
美里「ブーケトスに順番があるなら……
わたしは、その幸せを
誰から受け取ったんだろう……?」
ト書き:そう口にすると、ブーケトスした瞬間、
傍らにいた愛する人の姿が脳裏に去来する。
美里「……なんてね。そんなの決まってるじゃない」
ト書き:幼い頃から、常にわたしの傍らで微笑んでいた怜――。
ト書き:彼が、わたしに幸せを授けてくれたんだ。
美里「ふふふ、幸せをありがとう……怜」
ト書き:微笑む彼に、
あの時わたしはそう言った……ような気がする。
⇒この件(くだり)は、なかなか文章が巧いです。
★モテる条件
美里「なにに悩んでいるの?」
奏「おかあさん、女の子にモテるには
どうしたらいいのかな?」
美里「……へ?」
⇒このシーンも長々と続くのですが、結局、女の子にモテるには、
怜「父親として、そして男として、
カッコイイ存在でいないといけないな」
⇒というのが結論らしいです。
★料理対決ふたたび
お笑い担当シーンになりました(笑)。ライター違うのに、同じ土俵でよくやるよ~、このライター。私の中では、もうライターさんが本編と違うことになっているのですが、同じライターさんだったら御免なさい。m(_ _)m
奏「それじゃあ、おとうさんとおじいちゃん、
どっちのほうがおりょうり上手なの?」
ト書き:無邪気な疑問に、俺とお義父さんの動きが止まる。
美里「それはもちろん、お父さんの方が上手だよ」
美里の父「はっはっは、まあ怜君とは料理のジャンルも違うし、
一概に私のほうが上とは……」
美里「ああ、お父さんじゃなくて、怜くんのほう。
奏のお父さんって意味ね」
美里の父「なっ……」
ト書き:美里にぴしゃりと言い切られ、
お義父さんの口元が引きつる。
⇒この後、延々と続くのですが、会話が楽しいです。
★笑顔の連鎖
ト書き:笑い合う二人を見て、ふと気づく。
ト書き:俺はなぜ、こんなにも料理に一生懸命になるのか。
ト書き:それは、こうして食べてくれた人の
笑顔を見るのが好きだから、なんだと。
ト書き:俺の作った料理で笑顔になり、
それを見て俺もまた笑顔になれる。
ト書き:笑顔の和が繋がるの瞬間が、
たまらなく好きなんだ。
ト書き:そして、こうして俺が料理を頑張れるのも
美里や奏という大切な家族が側で支えてくれるから。
⇒「他の人が幸せなら、自分も幸せ」って考え方の「笑顔」バージョンですね。ただし、その前提には「家族」があると。なんだかんだいっても、「家族」に紐付けることは忘れないところが、この作品らしいところでしょうね。
--------------------
◆さなえアフター
--------------------
さなえアフターなのに、美里の大変身が語られるビックリ仰天ストーリー。
★何気ない日常の幸せ
さなえ「えへへ。なんか、こういうの、いいよね」
怜「こういうのって?」
さなえ「……何気ない日常。
ふとした瞬間に、すごく幸せって感じるの。
えへへ」
怜「家族なんだなって思える瞬間だな。
俺も時々感じるよ、そういう瞬間を」
怜「仕事でくたくたになって家に帰ってくるだろ?
その時に、そらが気持ちよさそうに寝てて、
さなえが嬉しそうに出迎えてくれて……」
怜「その瞬間、ああ、家族がいるんだって感じて、
凄く幸せになる」
⇒ほのぼの日常の中で、「家族」と「幸せ」を結びつけるのは、美里アフターと同じですね。
★婚姻届の承認欄に、お義母さんのサインをもらったシーン
由乃「でも、どんなことがあっても、
二人で力を合わせれば大丈夫だから。
結婚はね、人生を賭けるだけの価値はあるから」
さなえ「お義母さん……」
由乃「だから、これからも宜しくお願いします。
それと、怜のこと、よろしく頼みます。
新しい家族として、一緒に頑張っていきましょう」
:
怜「これからもよろしく、さなえ。
絶対に、幸せになろうな」
さなえ「うん……うんっ。なる。
うん……幸せに、なる。うぅぅ」
⇒結婚と家族について語らうのですが、ここでも「家族」と「幸せ」を結びつけています。しかし、リアルの世界では、「家族」と「不幸」の組み合わせもいっぱいあるわけで、一つの一面だけしか見せないから、「残念で、惜しくて、薄い」って評価に繋がっている気がします。人生、山あり谷ありなんですから。
★格言
ト書き:それにしても、『血の繋がりよりも心の繋がり』
という言葉は、夫婦にこそ必要な言葉だ。
ト書き:他人同士が新たな家庭を築くのだから、
親子よりも強い絆が必要なのは当然だろう。
ト書き:かと思えば、中国の故事成語に
『人はことごとく夫なり』という言葉もある。
ト書き:他人の男はその気になれば誰でも
夫として迎えることができるが、親は一人しかいない。
だから夫と親なら親の方が大切だという意味だ。
ト書き:裏を返せば、それぐらい心の繋がりを大事にしないと
夫婦関係は簡単に破綻する、とも読める。
⇒さなえの生い立ちの秘密(養子)に絡めての記述なのですが、本当に日本人は血筋に拘るよなとつくづく思ってしまいます。私が思うに、血筋を題材にするなら、本来の血筋にまつわるストーリーを考えるのが本流であって、血が繋がっていないことを血筋の題材にするのは、話として薄いと感じてしまいます。そもそも、殆どの創作ストーリーでは、他人との関係性において、いちいち血筋について言及したりしないじゃないですか(いや、日本の場合は違うのか?)。
★男子三日会わざれば……
祖父「それにしても、そらは会う度にべっぴんさんになるな。
おまけにどんどん大きくなって。
抱っこがだんだん辛くなってきてるわい」
由乃「何言ってるの。父さん。
前に会ってから、まだ二週間も経ってないじゃない」
祖父「男子三日会わざれば刮目して
相まみえるべしと言うだろう?」
怜「そらは女の子だよ」
祖父「分かっておる。
それぐらい子供の成長は早いと言いたかったんじゃ」
⇒このライターさん、名言・格言・諺・故事の依存症ですね(笑)。これらの言葉をそらんじれば、ライターとしての格が上がったように見えますものね。ここでは、原文と日本での慣用句のちゃんぽんで書いていますが、正確には次の2つです。
原文:士別三日、即更刮目相待(「士別れて三日なれば、 即ち更に刮目して相待すべし」)
慣用句:男子三日会わざれば刮目して見よ
最近、他のエロゲーでもこの慣用句をもじっていたし、個性あるライターいないな~とか思ってしまいます。というか、「刮目」もう見飽きたよ。最近、これに「忖度」が加わりそうで、世も末だよ。
★好き嫌い
祖父「冷凍物だけだよ、さなえさん。どうにもパサパサ
してて、口の中が乾くんだ。おまけにえぐみがある。
年寄りには辛い食べ物なんだよ、あれは」
怜「確かに、できたてと冷凍物の差が
あれだけ大きい食材もないからね」
ト書き:グリーンピースが駄目な人は意外と多い。
でもそのほとんどが、炊きたてのグリーンピースを
食べたことがないのが現状だ。
⇒私は、ピーマンもグリーンピースも好きなので、書かれている内容がよく分からないのですが……。別に冷めていても、パサパサでもグリーンピースはグリーンピースにしか感じません。多分、私は美食家にはなれないってことなのでしょうね。
★育児が完璧なのはSF
さなえ「そんな、私なんかまだまだです。
育児も家事も、お店のことだって、
完璧にはいかないですし」
祖父「育児が完璧にいくなんてこと、あってたまるか。
そういうのは、SFの世界だけだよ、さなえさん」
由乃「そうね。それもどっちかというと、
ディストピアっぽい世界観よね」
祖父「その通り。育児、介護、畜産……この三つは、
どれだけ頑張ろうと、自分の思い通りには
いかないんだから。覚えておきなさい」
⇒このライターさん、なんか、独特の発想しますね。本作の話で、SFとディストピアって言葉が出てくるのが、びっくりです。
★★★みさっちゃん
さなえが美里と休日を過ごす(遊ぶ)ことになったシーンでのびっくり仰天設定。私は、このシーンのテキストを延々と書き写してしまいましたよ。びっくり仰天設定に至った経緯を、きちんと説明できているのかを検証するために。そうしたら、話が長い長い。
◆ここ、長いしネタバレ満載なので、プレイしていない人、読み飛ばしてください。
まず、次の文章から始まります。
怜「本当にな。
あいつも、今じゃ立派なシェフだもんな」
⇒「はぁ?」ですよね。本編も通して、美里は、実家がレストランで父がフレンチシェフなのにも係わらず、料理できない設定だったのに、さなえアフターだけ、女性シェフって、なんか発想がぶっ飛びすぎです。学生時代から料理の達人で怜と腕を競っていたっていう設定になっているのです。このライターさん、発想に制約なくて自由きままですね。なんか凄いですね、本来の設定、ガン無視で……。と思って、先を読み進めると、過去話(学校の庭園でのさなえ、美里、怜の初めての出会い)の回想シーンで、
さなえ「じゃあ、早見さんも、料理とかするんだ??」
美里「えっと……あはは。わたし、料理だけは苦手なの」
⇒あれっ!? ちゃんと設定どおりじゃない。ということは、学園を卒業してから突如目覚めて女性シェフになったという設定なのか!? いや、でも料理が不得意だったのがシェフって、ちょっと不自然だろう、さすがに。と思って読み進めると、
さなえ「懐かしいね。そう言えば、あの頃のみさっちゃんは、
料理できないって言ってたのに……それが今じゃあ
総料理長補佐(スーシェフ:副料理長)なんだから、凄いよね」
⇒やっぱり、学園卒業後に突如ってパターンなのか。とすると、次はそうなった原因はって話しになる訳ですが……。すると、いきなり、
美里「ねえ、さなちゃん。今、幸せ?」
ト書き:唐突に、そんな質問が投げかけられた。
ト書き:え? ――と疑問が先に浮かんで、即答できなかった。
⇒いや、唐突すぎるだろ。ライターさんも、読者視点で書きまくってるよね、これ。どろどろ展開になるのかと思いきや、
美里「それはね、わたしが店を継げるように頑張ろうって
気にさせてくれたのが、さなちゃんだからだよ」
さなえ「あの……全然わかんないよ。
そんなことした覚え、一切ないんだけど」
美里「あのメールだよ」
⇒本編での親友を裏切ったことに対する謝罪を綴ったメールのことですが、この時の美里の返信メールは、簡単に言うと「悲しいけど、諦めて、祝福します。これからも親友でいようね」って内容です。普通、有り得ないよねって思ったものです(長々と引用しているので、さなえアフターはさなえ本編と同じライターさんかな? 普通、人の書いた文章を、長々と引用しづらいと思うので……)。
美里「なのに、それでも、わたしじゃなくてさなちゃんが
怜くんに選ばれた理由ってなんだろう。
それをね、考えたの」
さなえ「……なんだろう。
私、そんなの、考えたこともなかった」
⇒まあ、普通、勝者は考えないよね。敗者はうじうじ考え続けるけど……。これが国と国との関係になると、現在進行形の世界史になるわけですが……。
美里「もっと簡単に言えば、口を開けてれば餌を放り込んで
もらえるって思ってた、かな? かなり下品な
例えだけど。言ってる意味、分かるかな?」
ト書き:正しいかどうかは別にして、
その例えは、簡単に腑に落ちた。
⇒★この書き方は、変かな。普通、正誤不明じゃ「簡単に腑に落ちた」りできないのでは……。
さなえ「うん。良く分かるよ。
でも多分、学生時代の私なら、分からなかったと思う」
美里「そっか、良かった。
じゃあ、お互いちゃんと大人になれたんだね」
⇒いや、大人になったかどうかなんていう、簡単な話じゃないと思うのですが……。で、やっと本題。美里の怜くん諦めた宣言で、本来のシェフになった理由と幸せ質問の真意について、ここから更に延々と語られるのです。
なんか、無理クリすぎるだろ、これ。そもそも、親友に寝取られた後に頑張っただけじゃ、意味ないよね。ここからストーリーとして成立させるためには、怜と同じ土俵に立って、寝取り返したって話にならないと。だから、さなえアフターは駄目なんだと思う。もっと『WHITE ALBUM2』してくれないと。やはり、丸戸さんレベルのライターさんじゃないと、この手の話は駄目だなって、改めて思いました。まぁ、ensemble はそんなこと求めてないってことになるとは思うのですが……これが、このブランドの限界なのかって。そう考えると、やっぱりクソかも(笑)。ただ、この後の飲食店経営の話は、現実を踏まえていて面白かったです。
--------------------
◆なずなアフター
--------------------
実を言うと、ここあまり書くことありません。さなえアフターが余りにも突っ込みどころ満載だったので、その反動で、なんか普通すぎて。長さも一番短いかもしれません。私が思うに、なずなストーリーというか設定の一番悪い点は、なずなに恋人や結婚に対する必死さが足りないってことじゃないかと思うのです。
怜の自宅まで京都から押しかけてくる行動力はあるのに、そこから先の押しがない。これは、設定上、不自然すぎますよね。だから、話がつまらないのだと思うのです。その原因が"いとこ"だからに求められても、実妹との結婚を問題にしている作品がいっぱいある中で、?状態ですよ。
唯一、褒められる点は、最初から最後までスズランで押し通したことでしょうか。ある意味、これしか特徴を出せなかったということですかね。スズランの薀蓄まで書くのでしたら、スズランは猛毒植物なのだから、なずなの毒性設定をストーリーに絡めて欲しかったかなと思いました。
まぁ、おまけストーリーのアフターだから、おまけのおまけですからね。何かを期待するのは無理があるのでしょう。
--------------------
◆おまけゲーム「お風呂で女子界 in 恋花」
--------------------
「各ヒロインのエロ設定に関する心理学的分析」をテーマにした非常の学のあるお話です(笑)。これ以上、書くことは何もありません。
○本編に続きウィルプラスのサポートにご厄介
まさか、再度、サポートに問い合わせることになろうとは、夢にも思いませんでしたが、今回は、本作起動後、OP/EDムービーだけが無音という、なんとも訳の分からない状況に陥ってしまいました。前回同様、直ったのですが原因不明です。ただし、今回は私のPC環境との関係であることは間違いありません。
事の顛末は以下のメール内容どおりですが、簡単に解説しておきます。
最初に、ウィルプラスの問い合わせ方法が、自動応答システムに変わっておりました。前は自分でメールに問い合わせ内容を書いて通知だったのが、Web上の問い合わせフォームページでの問い合わせになりました。「早速ですが、サポートを始めさせていただきます」で始まるのが、ウィルプラスの特徴ですね。後は、下記の回答メール本文に、コメントを追記したいと思います。
=======================================================
2019年4月3日(水) ウィルプラスユーザーサポート
この度は、弊社ソフト『恋はそっと咲く花のように ~二人は永遠に寄り添っていく~』をお買い上げいただき、誠にありがとうございます。
ムービーのサウンドが再生されないとの事で大変申し訳ございません。
早速ですが、サポートを始めさせていただきます。
お客様の環境をご確認させていただきたいと思いますので、DirectX診断ツールの情報をお送りいただけないでしょうか?
:以下省略
cmt> 最初からDirectX診断ツールの情報を送付するようにしてくれた方が、手間が1アクションお互いに省けるのではと思ってしまいます。
続きまして、本編同梱版の特典パッチについてのご質問にお答えさせていただきます。
> ・imageフォルダの中身が違う
> ⇒これは宣伝用のを含んでいるので問題ありません。
> ・README.TXTファイルがない
> ⇒これは大問題だと思います。setup.exeを起動すれば良いとどうやって理解するのでしょうか。
大変申し訳ございませんでした。
近日中に「README.TXT」を追加した物と差し替えさせていただきます。
cmt> 内容が前回と同じなのかなと思って試しにダウンロードしたら、違っていたというお話です。今は改善されたと思います。良かったですね。
> ・setup.exeのファイルサイズが以前と違う
> ⇒2178KBから2203KBに変わっています。
> READMEがないので何が変わったのか不明ですが、何が変わったのでしょう?
バナーにオンカーソルした時に表示が切り替わる機能が追加されました。
分かりにくくて申し訳ございません。
cmt> サイズが微妙に違うので、何が変わったのか興味本位に訊いてみました。追加されたREADMEに書かれているのかは不明ですが。
お客様には、ご不便ご迷惑をお掛け致しますが、ご理解いただきますようお願い申し上げます。
ウィルプラス/ensemble
ユーザーサポート
=======================================================
無音の件は、結果的に、『起動設定ダイアログの「サウンド」の項目で変更』との回答があったため、「サウンド」にある二つのデバイスについて、規定値を変更しながら、あわせてディスプレイの表示モードも「拡張」「複製」「コンピュータのみ」に切り替えテストしたところ、何回か切り替えているうちに、AVAMP側でムービーの音が再生されるようになりました。
私のPCのサウンド環境が特殊なことに起因して発生した問題ですが、AVAMPのデバイス設定を見ていたら、7.1ch設定ができることに、今更知ったのでした。今まで、7.1chのスピーカー環境なんてないから関係ないやって思っていたのですが、ヘッドフォンはそれ専用なのだから、できないわけがないんですよね。7.1ch設定にしたら、なんだか音があっちゃこっちゃから聞こえてきて、3D酔いならぬ音酔い状態に……。
2019年9月19日追記
○備忘録:エロゲー市場縮小への超絶有効対策に遭遇
本サイトのトップページを何気に眺めていたら、キャンペーン情報に、
「【まとめ買い】10本選んで1万円 ウィルプラス特別パック(DMM.com)」
が目に飛び込んで来ました。
ダウンロードの配信期間が「 2019/09/13~2019/09/30 23:59」で、ウィルプラス各ブランドの対象187作品から最大10作品を選択できるのです。
1本1000円、安いな。「電子ワゴンセールかよ!」と思わず突っ込んでしまいましたが、なんと例として挙げられている対象ゲームが『遥かに仰ぎ、麗しの』『あやかしびと』『この大空に、翼をひろげて』なのです。もっとビックリしたのが、最近の作品(つまり本作:あちゃ~、売れなかったか!)も対象に含まれているのです。
これ、画期的ですよね。プロ作品が1本1000円なら、メーカーが望む中古市場の壊滅を確実に実現できますよね。このキャンペーンを、他メーカーのブランド作品でも連発し始めたら、今後は「中古市場=マニア向けコレクターズアイテム市場」として、細々と生き残るしかなくなるのかもしれません。
ただし、新規のエロゲーユーザーさんは是非とも活用すべきキャンペーンだとは思いますが、どうしてもやりたい作品が10作品もあるかっていうと、疑問ではあります。やはり、売れ線の作品(例えばHERMITブランド)は対象から外れているのが多いので、既存のエロゲーユーザーへの訴求は、今一、いや今三くらいですかね。
以上です。