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shiratoriさんのソーサレス*アライヴ! ~the World's End Fallen Star~の長文感想

ユーザー
shiratori
ゲーム
ソーサレス*アライヴ! ~the World's End Fallen Star~
ブランド
Fluorite
得点
97
参照数
1589

一言コメント

「自分は作品の良し悪しを見極められない馬鹿で~す!」ではなかったと改めて自覚できた作品。エロゲーに対する自分の審美眼を懸けて去年の8月に予約してしまった本作品。熱中度だけなら『ぬきたし』を遥かに凌駕する出来。ただし冒頭とラスト以外はの条件付き。今回は、ストーリー構成の観点からそれを解き明かしてみたいと思います。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

○はじめに
皆さんは、どういう想いでエロゲー作品を選んでいるのか分かりませんが、私の場合、それなりにお金とプレイ時間を要するのですから、割と真剣です。当然、自分が楽しめる作品かどうかが、最終的には唯一無二の絶対的な選択基準となります。よく、低得点、こき下ろしコメントを見かけますが、そのような方々はきっと、お金と時間が有り余ってるんだろうなって思ってます(単にレビューしたいからってのも含む)。そうでないのなら、「自分は作品の良し悪しを見極められない馬鹿で~す!」と世間に公表しているように捉えられてしまうことでしょう。

当然、これまでの私の長文感想でも低得点をつけた作品はあります。つまり、自分は馬鹿で~すと公表してしまったわけですが、どう見誤ってしまったのかの理由を、一応明確に書いているつもりです。まぁ、私の場合は、自分の見極め能力のなさを棚に上げて、メーカーに対する恨み辛みの捌け口にしていたりもするのですが、二度と掴まされないぞとの自戒の念を込めてもいるのです。反省と学習が基本ですが、それでもときどき特攻してしまい――以下"ループ"。


○予約購入の決め手
当然、本作品も相当吟味した上で、予約しました。決め手は、Amazonの次の解説文でした。
------------------------------------
・パッケージゲーム開発に本気で乗り出したDMMGAMESが贈る新規ブランド第1弾!
・シナリオは数多の作品を手がけたストーリーワークスと、11eyesなどの人気作を生み出したLEGIOんがタッグを組み、ラノベの人気ジャンル「異世界転生」に本格バトルファンタジーを加え昇華しました。
・ディレクターには数々の人気作を世に出してきた椎原旬が担当。まさに人気クリエイターが集結した超大作がここに登場!
------------------------------------
私は、この解説文から、次のように考えました。

≪好感≫
 ①「新規ブランド第1弾!」だから相当に力を入れた作品に違いない。つまり失敗は許されない心意気で制作している筈だ
 ②お金があるDMMが制作するのだから、間違ってもプアな作品である筈がなく、豪華な作品である筈だ
 ③「異世界転生」も「本格バトル」の燃える展開も、個人的には大好き。これで失敗などありえない筈だ
 ④「まさに人気クリエイターが集結した超大作」と自ら断言しているのだから、嘘偽りなく超大作の筈だ
≪悪感≫
 ①私は「ストーリーワークス」も「LEGIOん」も知らないので、シナリオは一抹の不安
 ②私は「椎原旬」も知らないので、ディレクターとして能力など全く予測不能

好悪両方を検討し、更に本作Webサイトに書かれている紹介内容等も吟味した上で、即予約としました。で、10月楽しみ~とか思っていたら、1月に延期されてしまい、半年間悶々とすることになってしまったのでした。


○"悶々"と"熱中"
"悶々"の一番の原因は、体験版の評価です。私はプレイしていませんが、もう散々な評価でしたからね。あれっ、またまた私のエロゲーセンサーが故障してしまったのかって。読み間違ってしまったのかと思い悩み、予約を解約しようかなとか真剣に検討もしましたが、ええい、自分のセンサーを信じて、初志貫徹で行っちゃえみたいな。これ購入しないと、次は2月の『イブニクル2』まで退屈な時間を過ごすことになってしまい、耐えられそうもないと思ったもので。

結果、実際にプレイしてみて、全体の20%が "×"(冒頭とラスト)でしたが、残りの80%は本当に熱中できました(9/18:後から冷静になって考えてみると、全体の30%が "×"、20%が"△"、50%が"◎"ですかね。良くいうとメリハリが効いているかナ!)。私の場合、熱中度合いの指標は簡単で、飽きてくると一旦休憩がてらに『スパイダー ソリティア』を難易度上級でやり始めてしまう癖があるのです。本作では、一度も『スパイダー ソリティア』をプレイしなかったので、私にとっては、相当に熱中できた作品として評価できます。ここ5年くらいでは、初めてかもしれないです。それくらい熱中できました。では、どこに熱中できたのかについて、次に考察してみたいと思います。


○熱中度の高さについて考察
純粋にストーリー構成から分析してみたいと思いますが、本作だけでは説明しきれないので、去年7月の発売以来、未だに本Webサイトの"最近入力が多いエロゲー"にランクインし続けている『抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか? 』(略称:ぬきたし)を比較対象として考えたいと思います。因みに『ぬきたし』は、私が長文感想に三度挑むも悉く挫折。作品の出来が良いと、自分は感想が書けない体質だと思い知った作品です。

◇『ぬきたし』のストーリー構成
素晴らしい作品ではあるのですが、構成は一本調子でとても単純です。世界観は一見ぶっ飛んでいるように見えるけれども、内容はいたって単純明快。
 共通――個別―――TRUE
    (奈々瀬)(文乃)
    (ヒナミ)
    (美岬)
思うに、この作品の欠点は、個別ルートで徐々にフラグ回収してTRUEルートに繋げるプロットにしたため、個別ルートのストーリーがどれも似たような内容になってしまった点でしょうか。そのため、当然の如く私は、個別ルートの二人目あたりで熱中できなくなってしまい、『スパイダー ソリティア』にお手つきしつつプレイすることになってしまったのでした(笑)。

更にもう一つの欠点が、「コミカル」と「シリアス」の同居という二律背反する設定にしたことです。こういったどっちつかずの設定は、大概失敗します。私は、「二律背反の設定で物語を構成・構築すると、物語から受ける印象に一貫性がなくなり、もやもやとした不安定さを、プレイヤーにもたらす」との結論に達しております。それでも『ぬきたし』は、けっこう頑張った部類だとは思うのですが……。

つまり、ぶっ飛んだ設定とパワーワード連発で盛り上げようとしたのに、本質がシリアスストーリーであるがため、最終的に話をこぢんまりと収束させてまとめることになってしまい、話のスケールアップができず、広がりに欠けることになってしまったのです。そのため、美岬ルートは良いという評価もありますが、私には、美岬ルート程度のはっちゃけぶりでは、ぶっ飛んだ設定(パワーワード連発含む)との釣り合いがぜんぜんとれていないと感じました。「爽快感の欠乏」というのが、一番ピンとくるかと思います。

◇『ソーサレス*アライヴ』のストーリー構成
 翻って本作、『ぬきたし』とは違って構成がとても凝っています。その根幹を成すのが、過去と未来の時空間を跨ぐSF要素です(ネタバレになるので詳しく書けないのがなんとももどかしいですが)。
【SORCERESS編】 【ALIVE編】
 共通1―個別―共通2+―NORMAL
    (アキナ)  |
    (ユズリハ) +―TRUE個別
    (ミア)     (アキナ)
    (アズーリア)  (ユズリハ)
             (ミア)
             (アズーリア)
             (リリ)
             (美由紀)
 しかも『ぬきたし』とは違って、個別ルートでフラグ回収はせずに、逆にフラグの設定に活用した点です。これによって、熱中度を下げることなく、話の更なる広がりをもたらすことに成功したのです。このように、十分な種蒔きを完了させた上でALIVEルートに突入するプロットにしたことで、共通2で徐々にフラグ回収する構成が可能となり、共通2では、二転三転どころか十転くらい過去・未来が入り混じった大どんでん返し連発ストーリーになったのです。「ウソ、何これ」って本当に良い意味で唖然としてしまいました。本当に熱中させてもらいました。

 私にとっては、『斬魔大聖デモンベイン』か『マブラヴ オルタネイティヴ』プレイ時の熱気を垣間見た気がします。『ぬきたし』とは違って、エンタメとドラマ性重視に徹したのが功を奏しましたネ! 異世界転生ファンタジーなのかと思いきや、実は純粋なSF作品だったのです。羊の皮を被った狼とは、正しくこの作品のことをいうのでしょうね。

2019/3/14追記
放送中のTVアニメ『サークレットプリンセス』を見て、ストーリー進行等が全く同じノリなので、DMM GAMESが目指すスポ根美少女バトルもののストーリー構成は、恐らくテンプレ化されているのだろうと思いました。


○残念な点
先に私は、「全体の20%が "×"(冒頭とラスト)でしたが、残りの80%は本当に熱中」と述べました。本当に、冒頭の"現代編+α"部分とALIVEルートの"TRUE個別"部分がダメダメですね。ALIVEルートの現代編回想部分も微妙な出来でしたけれど、まぁ目をつぶりましょう。

冒頭を書いたライターさんはA級戦犯に値すると思いますが、それ以上に全く訳が分からないのが、このダメダメ冒頭部分を体験版とした DMM GAMES の考え方です。マーケティング的には、大失策ですよね。相当、スタートダッシュでの売り上げ減に貢献してしまったことは想像に難くありません。まったく、実際に仕事に携わっている現場の方々の思考パターンが理解できません。

冒頭がダメダメなのは、誰の目にも明らかだったと思うのです。普通だったら、初動売り上げのことを考えたら、真っ先に最初のレイヴシーンを体験版とするべきだった筈です。そうしなかったものだから、酷評されて、様子見が多くなってしまい、Amazonなんかを見ると、「※早期予約キャンペーンは無くなり次第終了となります」って書いてありましたが、発売日前日時点になっても終了になりませんでした。つまり、売れなかったわけですね。そのため、色紙1枚でもうんざりなのに、4枚もついてくる羽目に。まぁ、『まいてつ』の8枚よりはマシでしたが(笑)。

それが今や、早期予約キャンペーン版は「現在在庫切れです。この商品の再入荷予定は立っておりません」ですからね。発売後に評価が上がって売れたから良いようなものの、売れなかったら責任問題になっていたことでしょうね。まぁ、ある意味、ユーザーにとっては、発売前に作品の最も悪い部分を何も隠さずオープンに曝け出してくれたので、非常に良心的、ありがたいメーカー(ブランド)と言えなくもないのですが……。

さて、次に残念な点が、 ALIVEルートのTRUE個別構成です。他の方も一言感想で書いておりましたが、本作の世界観では、男女構成比が1対10のため、一夫多妻制が容認されているのです。この設定で、ハーレムエンドにしないでTRUE個別って、なんだこりゃって感じです。そんなとこまで予想外の展開になどしないで欲しかったです。

プレイしてみれば嫌と言うほど実感できると思いますが、ラストをTRUE個別構成にしてしまったがために、それまでの熱気が一気に冷め、単なる個別エロイベント回収ルーチンワークになってしまったのでした。もう、DMM GAMES の制作者達が何を考えているのか、わけ分かんないです。お金があるから、ゲームよろしく全てがお遊び感覚の仕事なんですかね。良い身分です。

私は、TRUE個別ルートから攻略したので、NORMALルート側がハーレムエンドなのかと逆に期待してしまいましたよ。もしかして、ハーレムエンドはファンディスク制作のために取っておく計画ですか。そもそも DMM GAMES(Fluorite)がファンディスクを制作することを考えるスタンスなのかも現時点では不明ですが……。消費豚どもは、自分達の手の平の上で踊っていろってことですかね。そこまで開き直られたら、私も踊らざるを得ませんが……。


○点数
もしかすると――ついにエロゲー業界は底を打つことになる転機となった作品――そう思わせるほど、熱中できる作品でしたが、やはり、オープニング部分とエンディング部分がダメダメなので、内容評価としては70点台が妥当と判断しました。しかし、近年では稀にみる高い熱中度――私にとってはプレイ途中で『スパイダー ソリティア』をしないこと――を最初から最後まで自分が保てたことは驚きに値しましたので、私のサマリーに書いてある評価方式(私の評価の90点は何らかの驚き体験を表し、作品内容の評価は一の位で示す)に則り、97点としました。


○雑記
プレイしながら約25000字をメモりましたが、そのうち3000字はALIVE編のマザーストーンの正体部分のシナリオをそのままテキストにおこしたものです。多分、プレイ後は速やかに綺麗サッパリ頭の記憶領域から消え失せてしまうので、後から振り返れるようにしようとしたと思うのですが、書いてて何でこんなことに時間を費やしているのか、一瞬むなしくなりました。たぶん、熱気の為せる業ですね。

・気になった点
<操作性>
★画面モードでフルスクリーンからウインドウにすると、毎回デフォルト画面サイズになるのは問題です。ウインドウモードで画面を縮めても、それを維持してくれないと困ります。私は、上記のとおり、ログ画面を見ながらよくメモるので、いちいち画面を縮めてメモ帳とゲーム画面のテキストが見える様にするのが、本当に面倒くさかったです。デフォルト画面サイズが選択できなくて、しかもでかすぎるのが問題ですよね。

★マウスカーソルの自動消去仕様が欲しかったです。本当に、これは標準機能にして欲しいです。画面の絵を見るのに、カーソルが邪魔なんですよね。

<チャプター(またはセクション)切り替え時の挿入画面>
★各チャプターの切り替え時の挿入画面ですが、画面表示時の各ヒロイン達の声は、表示される各ヒロイン達の顔の表情に合わせた声にして欲しかったです。どんな顔の表情でも同じ声なのは手抜きですし問題です(例えば、悲しい顔の表情なのに楽しい声を聞かされてもってことです)。

<バージョンの考え方が不明>
パッケージ版だと、インストール時に約600MBのアップデートが求められます。それで良く分からないのが、アップデート前のバージョン表示はVer1.00だったのですが、アップデート後もVer1.00のままなのです。パッチ適用してもバージョン表示が変わらないゲームは、初めてです。DMMのゲームってみんなそうなのでしょうか? これだと、プレイヤーは、今、どの時点のパッチが適用されているかが把握できなくなってしまうのでは。

<不具合>
※飽くまで、私が気がついた分なので、全てではありません。
SORCERESS編
 誤字脱字:15箇所
 声優さんの読み間違い:11箇所
ALIVE編
 誤字脱字:8箇所
 声優さんの読み間違い:14箇所
 文章内容と絵が合っていない:1箇所
  ト書き:その秘裂から、一筋の破瓜の血が流れいくのが視界に入った。
    ⇒一筋とは「細長く続いている一本のもの」のことなのに、絵は複数の破瓜の血が流れているし。
 意味不明:1箇所
  ト書き:学院を卒業した後、俺はミアと結婚した。妹と結婚するのはいかがなものかと思ったが、この時代では兄妹ではないし、元々も義妹だから問題はない。
    ⇒問題ないのに「いかがなものか」とか何を書きたかったんでしょうか、このライターさん?

ここで、特に興味を引く"誤字脱字"と"声優さんの読み間違い"の例をいくつか挙げてみたいと思います。

誤字脱字
ミア「何度も言ってるでしょ! お兄様はあたしのモノなの~!!」
アキナ「そっちだって何度も言っているでしょう? これはチームが
    強くなるのに必要なんだって!」
 ⇒「こっちだって」が正しいと思います。「そっちだって」ではミアの方を指すことになってしまうでしょう。

誤字脱字?
アズーリア「手を繋ぐのは恥ずかしかったけど、コウキさんのあたたかい
      手で握られていたから、とても幸せな時間だったわ」
 ⇒声優さんは文章の先頭で「人前で手を繋ぐのは」と読んだ。そもそも書いていない「人前で」と敢えて読んでいるのだから、収録時に指示があったのだと思います。

声優さんの読み間違い
エレナ「ただ守るだけなら盾を持つ。ですが、ランドール家の剣は、
    炎の剣ですから――」
アキナ「『炎の剣』っていう単語?
    それはランドール家の魔法が火属性なんだから、当たり前でしょ?」
 ⇒エレナの声優さんは「ほのおのけん」と読み、アキナの声優さんは「ほのおのつるぎ」と読んだ。名門貴族なのだから、読み方に違いがあってはならないのは自明の理。どちらが正しいのかは分かりませんが。

声優さんの読み間違い
ノノ「それができたとしても、お嬢様が無防備のアキナ様を逃すわけないでしょう!」
 ⇒「逃す」を「にがす」と呼んだ。これは送り仮名から「のがす」が正しいと分かるのですが、そもそも、
 にがす:意図的に捕まえない事や、捕まえていた物や拘束されている物を解放する事
 のがす:捕まえる事や、機会を失ってしまう事
なので、ここでの文章の意味合いからも「のがす」でしかありえません。結論としては、この声優さんは日本語を再勉強した方が良いと思いました。

声優さんの読み間違い
アキナ「まるで他人事ね」
 ⇒「他人事」を「たにんごと」と読んだ。本来は「ひとごと」。私は、他の長文感想でも書いたのですが、今や明らかに「たにんごと」と読む人の方が、多い気がするのです。これって、良いことなのか、悪いことなのか。

声優さんの読み間違い
★★★農作物の読み方
リリ「そういえばアキナ、コウキが農作物を育て始めてなかったかしら?」
 ⇒声優さんは、農作物を「のうさくもつ」と読んだのですが、私は「のうさくぶつ」だと思っていたので「のうさくもつ」という読み方は、物凄く奇異に感じて違和感を覚えてしまいました。調べてみると、本来、「農作+物」なので「のうさくぶつ」が正しいが、最近は「農+作物」だと解釈して「のうさくもつ」と読む人も多いとのことでした。私にとっては、他人事は「ひとごと」「たにんごと」のどっちに並ぶ衝撃でした。日本語が壊れていく。恐らく、数百年後の日本人と会話したら、会話が成り立たないんじゃないかと思ってしまいます。

声優さんの読み間違い
ユーミ「そう、なら翼を閉じるように伝えて。3方向から挟撃、殲滅するわよ。それまでオーリエト班はここで敵を足止め!」
 ⇒殲滅を「ざんめつ」と読んだ。正しくは「せんめつ」。まぁ、「殲」が「残」に見えなくもないけれど……。そもそも「殲滅」と違って「残滅」なんて言葉、殆ど使われないでしょう。普通、おかしいと思う筈なんだけどな……。男と女では違うのだろうか?
 【殲滅】皆殺しにしてほろぼすこと。残らず滅ぼすこと。
 【残滅】そこないほろぼすこと。また、やぶれほろびること。

声優さんの読み間違い
女子学生F「彼は今この場にいないのに、こんな戦術を指示してきてたんですか!?」
 ⇒「指示してきたんですか」と読んだ。しかし、文章の前後関係から「きた」ではなく「きてた」が正しいと分かる。

声優さんの癖?
擬音語・擬態語に対するリリの声優さんの特徴的な癖、考え方をご紹介します。
★★★ごにょごにょ
リリ「そっ、それは……ええと……その……ごにょごにょ……。……そこは察しなさい!」
 ⇒「ごにょごにょ」は、声優さんはどう読むのだろうかと思ったら、喉を鳴らすような感じで「ごにょごにょ」とは声を出して読みませんでした。実際、こういう場合は、どう読むのが正しいのでしょうか?
 ⇒結論:このシナリオ上では「ごにょごにょ」と声を出して読むのが正しいことが、次の「むにゃむにゃ」で発覚することになりました。

★★★むにゃむにゃ
リリ「むにゃむにゃ」
コウキ「むにゃむにゃってハッキリ言いやがったぞ、こいつ……!
    おーい起きろ、りーりりりりりりりり、りーりりりりりりり~」
 ⇒「むにゃむにゃ」をハッキリ言わなかった。「ごにょごにょ」もそうだけれど、リリの声優さんは、このような擬音語・擬態語は言葉として明確に読まないポリシーがあるようですね。その所為で、コウキの文章内容と不整合が発生することになってしまったわけですが……実際問題として普通、どう読むのが正しいのでしょうか?


○その他、思ったことを五月雨式に列挙
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<SORCERESS編>共通1ルート
★「魔素」説明での黒板に書かれた「魔」の字が、中国の略した漢字みたい――「魔」の部首「まだれ」の中がカタカナの「マ」――になっていて、思わず笑ってしまいました。「魔」の字画が多すぎて、見えるように書けなかったからでしょうけれどね。でも、明治時代から略字としては使われていたみたいです。

★★★リリは慣用句が得意
・士別三日、即更刮目相待(「士別れて三日なれば、 即ち更に刮目して相待すべし」)
リリ「女子三日会わざれば刮目してみよ、というでしょう!
   ライバルの実力は毎日確認すべきですわ!」
 ⇒男子を女子に言い換えているのはご愛嬌ですが、私のライター能力判定基準では、「刮目」と「ノブレス・オブリージュ」を安易に使うライターは、低脳だとなっています。
・温故知新
リリ「フィールド外に監督を置いて指揮を仰ぐ方式は、今ではほとんど廃れてしまった戦略ですけど、故きを温ねて新しきを知る、と言いますものね」
 ⇒「故きを温ねて新しきを知る」って良く使ったな、このライターさん。偉い。
・獅子搏兎
リリ「ふっ! 獅子は兎を倒すにも全力を尽くす、と言いますものね。みなさん! フォーメーションBでいきますわよ!」
 ⇒本来は「獅子は兎を捕らえるにも全力を尽くす」ですけどね。これはギャグなのかな(笑)。

★テンプレ
ユズリハ「同感……。しばらくはわたしたちだけの秘密……。ふふふふ」
アズーリア「私たちだけの秘密ってなんだかいい響きよね」
 ⇒秘密
ユズリハ「わたし専用……」
 ⇒専用
 ※こういう、特別感を持たせるのがテンプレだよね。

★4人と同時に闘い続けて
ト書き:戦法はバレバレだけど、ユーミだって4人と同時に闘い続けて、
    魔力が尽きないわけがない。少なくとも隙を見せるときがくる。
    そのときがチャンスだ。
 ⇒この時点で2人が既に退場しているので、「4人と同時に闘い続けて」は正確ではないよね。リセットされた二人は、時間を置いてまた戻って来るからってことなのかな。

★★話半分
ユズリハ「あと、とにかく言うことが大げさ。シャンジーンの話を信じるのは半分だけでいい」
 ⇒このライターさん、本来は熟語があるのに、それを説明文章にしてしまう癖がありますよね。

★★シナリオと画面が合っていない
コウキ「ひっ!」
ト書き:な、なんでいきなりプロメテウスを構えるんだ?
 ⇒プロメテウスを構えてくれない。っていうか、そもそもプロメテウスが出ていない。

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<SORCERESS編>アキナルート

★★★定番設定
学院長「調べを進めていたのですが、膨大な『無色の魔力』を持つ人物の場合、体液や粘膜に触れることで、その魔力を受け取れるようなのです」
 ⇒Fateみたいな設定は定番だよね。

★フェラチオシーン
アキナ「んちゅっ、変なにおい……でもなんか、すごく好き……。もっと、欲しくなりそう」
ト書き:唾液と精液と、おそらく汗が混じったにおい。
ト書き:それに官能的なものを感じるのか、俺の股に顔をうずめて、すんすんとにおいを嗅いでいた。
 ⇒この部分を書いたライターさんは、「におい」は漢字を使わないで、仮名書きにしてますね。OKです。つまり、匂いでもあり臭いでもあるってわけですよね。別のところでは「匂い」って書いてあったので、同じライターさんなら、きちんと意識して書き分けていますね。

★伝説
アキナ「地位や序列は重んじるけど、自分の信念は曲げない人だから。
    そういえば、私を生む前、現役の騎士だった頃にも、色々と
    伝説を残してるのよね」
 :
コウキ「学院でもその手の伝説を残しちゃってるわけ!?」
 ⇒伝説話もテンプレの鉄板だよね。

★★テキスト表記の仕方
5人「いつも、笑顔! 冷静、正確、全力で! みんなが居ること、忘れない!」
5人「おーーっ!」
3人「勝ってっ!」
 ⇒これらは本来だと、例えば「勝ってっ!」「勝ってっ!」「勝ってっ!」と記述すると思われます。しかし、最近のラノベとかでは、複数人が同じ台詞を重ねて発したように読解させる方法として、書記素配列のレトリックによる多重鍵括弧で「「「勝ってっ!」」」と表記するみたいですけどね。私もこんな書き方、最近まで知らなかったので、ちょっとビックリしました。「こんなのあり!?」って。

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<SORCERESS編>○ユズリハルート

★テンプレ
コウキ「キスしたり、もっと先のことだってしてみたいって思ってる
    ……。俺がそんなふうに思うのはユズリハ、君だけなんだ」
ユズリハ「わたしだけ……? コウキがそんなふうに思うの、わたしだけなの?」
 ⇒特別感

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<SORCERESS編>○ミアルート

テンプレ:特別
ミア「だーかーらー! あたしはお兄様の妹になったの! あたし
   はお兄様の『特別』なの!!」
テンプレ:全部
ミア「あたしの全部……お兄様のものだかんね……っ。あっ……んっ……くぅぅんっ……」
 ⇒全部なんだ
テンプレ:マーキング
ト書き:これ!? キスマークじゃねぇか!? こんなものいつの間に……あ!?
アキナ「首元にマークをつける……それは恋人の証よ!」
テンプレ:匂い
アズーリア「しかも……もっと硬くなって……。すん……すん……はぁ……匂いも強くなってきています」
ト書き:二人は匂いに誘われるように、顔を近づけ舐め始めた。

★世界の中心で……
手紙「世界の中心で、あなたと合体したい!」
コウキ「途中まではいい感じだったのに! 最後で台無しだよ!?」
ト書き:っていうか、俺の世界からの情報が、この世界に来てないか、このフレーズ。
 ⇒SF好きの方々だったら、ハーラン・エリスンの『世界の中心で愛を叫んだけもの』がオリジナルだろって叫ぶと思います。

★ツーマンセル
コウキ「その逆にミアとユズリハは常にツーマンセルで行動してもらいたいと思う」
 ⇒「ツーマンセル」って言葉、これも良く使われる言葉ですよね。「マンガのナルトでよく使われているから、そこそこ浸透」しているらしいです。

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<SORCERESS編>○アズーリアルート
このルート、誤字脱字と声優さんの読み間違いが多いです。

★アズーリアとの最初のセックス
 声優さん喘ぎ声が下手糞です。っていうか、上手い声優さん、あまり出演していないような気が……。

★★★個別ルート恒例のデートシーン
どの個別ルートもプロットが同じでデートシーンがあるのですが、まぁ、ぶっちゃけ制服や戦闘服ではない普段着のお披露目シーン演出なわけです。そんなシーンで、どこに行くのかについて、
コウキ「あとは、娯楽施設とは違うけど……デートの定番と言えば、
    美術館とか、かな?」
という会話があって、この発想はちょっと大人っぽいかもって思ってしまいました。そうか、美術館ってデートコースだったんだって、改めて再認識したのでした。下層市民の私は、美術館とか今まで一回も行ったことないですから、発想自体できなかったことを告白しなければなりません。

★★★★一夫一婦制の是非
そもそも、一夫多妻制の世界で、一夫一婦制が純愛だとするスタンスが、この作品世界の多様性と楽しさを矮小化させる原動力になっていると思います。この作品世界の本当の面白さを殺しています。こういうところは、アリスソフトのランスシリーズやイブニクルシリーズでのハーレムスタンスを見習って欲しいなとは思います。その意味で、2月の『イブニクル2』は本当に楽しみ。
 ⇒これ、私が<SORCERESS編>時点で書いた感想文章そのままなのですが、先にも書きましたが、<ALIVE編>ラストでおもいっきり思い知ることになるわけです。

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<ALIVE編>共通2ルート

★★★宝石、願い、等価交換
ト書き:ただ気になるのは、願い事を叶えるために、体力を消費している"だけ"なのか、ということだ……。
 ⇒宝石が願いを叶えるには、何らかの代償を必要としていると。定番の設定ですね。

★★★★★アズーリアとリリリとの3P場面での過去編回想シーン
 ⇒コウザとリンドリアの話が涙脆い私にはグッとくる。
コウザ「そんなに自分を卑下することはないんじゃないか」
リンドリア「え……?」
コウザ「君はすごい魔法使いだよ。なにせここに来たとき、俺を魔法であっという間に拘束したんだしな。俺だって、一応、君の婿に選ばれるくらいには、魔法が使えるのに」
コウザ「それにさ、俺には少しだけ未来が見えるんだ。その未来で君の名前はブリットアニアに語り継がれる。子孫が誇らしげに名乗る名前に残り続ける」
コウザ「君はきっと偉大な魔法使いになれるよ、リンドリア」
リンドリア「そんなこと……冗談でも初めて言われましたわ」

○長音の読み方
アズーリア「じゃあ別に、私がコウキさんといちゃいちゃしてたって構わないじゃない~。ね、コウキさん?」
リリ「むき~っっ! ですから、それをおやめなさい~っ!」
 ⇒声優さんは「構わないじゃな~い」や「おやめなさ~いっ!」と読んだ。どの作品でも思うのですが、私には声優さんの読みが正しいと思うのですけれど、どうして、シナリオでは文章の最後が長音になってしまうのでしょうか?

○塩対応
ト書き:うっ、つ、冷たい……。この塩対応はまさにミミコを思い出すぜ……いや、でもミミコなら!
 ⇒「塩対応」って、もう普通に使われる言葉なんですね。私はこの言葉、『キミに迫るオトメのレッスン』をプレイして覚えたんですけどね。今や新しい言葉もエロゲーでしか覚える機会がない自分が情けない。

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<ALIVE編>TRUE個別ルート

★★駄目シナリオの例
コウキ「バカでけっこう、ドレットノート級の変態上等! 男は誰だって変態だからな!」
 ⇒「ドレットノート級」って書いているのですが、もう駄目シナリオの典型ですよね。こんな分かる人しか分からない言葉を書いて悦に入ってるようでは、本当に「超ド級」のバカだと言いたいデス(-"-;)。

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◇最後まで読んでいただいた方、お疲れ様でした。
 取り敢えず、以上です。