100点以外の選択肢がなかった、唯一の作品(現時点)。私には、普通の面白いとは異なる別次元の理由があるのです。その理由とは……。
自分のサマリーで「唯一の100点評価作品。理由はいつの日か感想に書く予定?」と記載しておいて、全く書かずにいたのですが、『真剣で私に恋しなさい! A』がパッケージ版として発売されたことですし、私の点数評価方式において、なぜ100点をつけざるを得なかったのかの理由を、ここで記録しておきたいと思います。
そのため、今回は、作品内容については書きません。というか、書けません。そもそも、2009年の発売当初にプレイしたきりで、内容の詳細は殆ど忘れていますので。しかし、私にとってはとても面白かった特別な作品であったことは間違いありません。ただし、その面白いの意味合いが、他の人達とは恐らく異なっていて、個人的な環境に依存しており、それが、100点をつけざるを得なかった理由になっています。
では、何故この作品が、私には満点しか付けられなかったのかについて、これから述べたいと思います。
さて、その前に「聖地巡礼」という行為が世の中にはありますよね。まぁ昔から、文学作品や映画・音楽などの舞台を訪れる人達はいた訳ですが、私がこの行為を明確に意識したのは、『らき☆すた』の舞台となった神社に巡礼者が殺到しているという記事を見た時でした。その時の私の感想は、「ばっかじゃないの!」というものでした。――なんて非生産的な行為をしているのだろうと。つまり、その行動が全く理解できませんでした。
そんな私が、本作品をプレイすることになった訳ですが、ご存知のとおり、本作品の主な舞台は川神市で、そのモデルは川崎市川崎区です。そして、川神院は川崎大師がモデルです。私は当時、作品内容など知らないでプレイし始めたのですが、直ぐに気がつきました。背景画が、実写と寸分違わず、また土地柄に関する記述描写が、実世界そのまんまだということに……。
しかし、普通ならそんなこと分かりませんよね。でも私は、この舞台設定の場所に、実際に住んでいたのです。そのため、普通だったら、味わえないことまで、この作品世界を堪能することができました。つまり、何も知らない人達に比べて、この作品世界を十二分に満喫できたと思うのです。しゃぶり尽くせたと言ってもよいでしょう。例えば、次のとおりです。
クリスが馬で川神駅から川神院まで競争するというイベントが確かあったと思うのですが――今となっては忘却の彼方――土地勘が無ければ、駅と寺の点でしかイメージできない訳です。なぜなら、駅と寺の間がどうなっているかなど、ゲームでは描写も記述もされていないのですから。ところが私には、駅と寺どころかその他の各拠点間の位置関係も含めて、把握することができたのです。そうすると、どの様なルートを通って、距離と時間はこの位だろうということまで、推測できてしまったのです。つまり、ゲームでは言及していないことまで、勝手に脳内補完できてしまいました。行間を読むどころか、拠点間を読むことができたのです。
また、先に背景画が実写と寸分違わずと書きましたが、その結果、例えば川神駅など、どの場所から見た描写なのか一目瞭然でしたし、更に駅周辺の描かれていない風景さえも脳内再生できてしまったのです。挙句に、駅の背景に描かれている建物の名前(ミューザ川崎とか)すら分かってしまう始末です。これは、その他の各拠点についても同様でした。
そして究極が、なんと空気の匂いまで完璧に再現できてしまったことです――というか、ゲームしながら、実際に吸ってたし。
こんなことになってしまったのも、現実のモデル世界をそのまま流用して作品世界が構築されていたからなのですが、これのメリットはリアリティ度100%ということですかね。工業地帯に関する文章内容も、社会問題も、風俗も、風景も、当時の川崎市川崎区そのまんまの記述ですからね。手に取るように共有することができました。当然違和感ゼロ――そもそも、これで違和感があったら、現実世界を否定することになってしまいます。勿論これは、違和感無く表現する力がライターにはあったことを意味します。また、別のメリットとしては、舞台設定や背景画に時間と費用をかけずに、制作できるってのもあると思います。
ここに至って、私の点数評価方式において、100点以外の採点は考えられなくなってしまいました。つまり、作品世界に対するバックグラウンド情報の多寡が、作品の評価に大きく影響を及ぼすってことですね。「聖地巡礼」にはちゃんと意味があり、理に適った行為だった訳です。「ばっかじゃないの!」は、私の方でした。ごめんなさい。
以上をまとめると、本作品のモデル世界のリアル住人である私にとっては、
(1)現実のモデル世界を完璧に踏襲してあったため、リアリティ度100%
(2)普通なら各拠点毎の点でしか把握できない事柄が、各拠点間に跨った面で把握できたことで、非描写事項まで完全脳内補完
(3)空気の匂いまで完璧に再現できた最初(で最後?)の作品
となります。勿論、本質的にストーリーを含めた本作品の内容自体、基本的に十分面白かったですよ、私にとっては。だから100点なのです。
今後、これに匹敵する衝撃をもたらす作品が、私の前に現れることがあるのでしょうか。是非、死ぬ前までには拝んでみたいものです。
追伸
前作まではプレイしていたのですが、『真剣で私に恋しなさい! A』はまだ買っていませんでした。まぁ、今回は予約してまで買う気がなかったというか。そのため、1月5日になってからAmazonで注文したのですが、なぜか初回版のAmazon直販価格が、
(限定特典なし) 新品:¥10,584-
Amazon限定特典付き 新品:¥10,082-
となっていました。なので、私は躊躇わず、限定特典付きにしました(限定特典など不要でしたが)。ただし、注文内容を確認すると、配送状況が「1月17日から2月15日の間に到着予定」となっています。期日が遅いのは暫くプレイする気もないので気にはならないのですが、そもそも、限定特典付きの再入荷なんて、あるのでしょうか……。更に1月7日時点では、Amazon直販がなくなって、¥15,800-とかになっているし。これって、注文受け付けといて、強制的にキャンセルされるパターンじゃないですかね。注文後、しばらく経ってからキャンセルされた経験がある私は、強く思うのでした。
それにしても、割引率0%って、強気の販売。みなとそふと、恐るべし。
追伸の追伸
1月20日になって、予想どおり、キャンセルされてしまいました。いったい何人が犠牲になったんでしょう。
こんなことならまだ定価で売っていた予約特典付きのみの方を買っておけば良かったかも。機会損失ですね。
そのため、初回版も17%引きになっているし、中古が安くなったら買うに方針転換しました。大量に出回るでしょう、きっと。