10年後もエロゲの第一線に名前を連ね続けるであろう一本
二年前からずっと待っていた。
あのとき、どんなことをしてでも、学校や友人、あらゆる柵を振り切ってでも、かずさルートに進みたかった。
それくらい、冬馬かずさというヒロインは魅力的だった。
そんな思いを嘲笑うように、ccではもう一人のヒロインが心を侵食する。
脇道であるサブヒロインのシナリオは、単体で十二分な評価をつけるに値するものだった。
その評価の影に、その感動の陰には、常に小木曽雪菜の姿があった。
彼女を見るのが、痛くて、苦しくて、かずさの三文字で硬く閉じられていた執心は抉じ開けられてしまった。
彼女が幸せになる過程でいつの間にか執心の痛みを我慢出来るようになっていた。
これほどまでに素晴らしいシナリオだった、と感じてしまう要因はなんだろう。
これまでの丸戸作品では、伏線やテンポ感からなる良構成が支持されていた。
今作では、この素晴らしい構成を支える要素に先の二つに加えて「キャラクターへの感情移入」がある。
プレイヤーの感情さえ容易く操作し、転がっていくストーリー。
ccを終えた時、雪菜への想い入れは、かずさへの執心とほぼ等価となっていた。
そして、あのストラスブルグへと繋がる。
このとき、WHITE ALBUM2は幕を開けたのだ。