唯一無二
オリエント工業のラブドールを使った実写作品。
インパクト勝負のネタゲーかと思っていましたが、シナリオも含め、かなり丁寧に作られています。
リメイクや新作を出して欲しいと思うくらい、独特の世界観に惹かれました。
このライターさんの作品がもっと読みたかった。
シナリオのボリュームも上手い具合にコンパクトに収まっており、
CGの枚数が多く、飽きさせない作りです。
ドールの衣装は種類が多くて作りが細かく、車やアクセサリーや食器や調度品などの小道具も含め
手抜きはなく、制作費にかなりの額が使われている事が分かります。
テーブルに微細なホコリが写ってたりもするけど、そこはご愛敬。
声優さんの演技も◎
無表情のはずのドールも、声が付く事でこんなに表情豊かに見えて、親近感がわくんだなと新鮮でした。
特に、愛の少し硬質で幼さの残る声がマッチしてました。
一番好きなのはアリスシナリオ。
残された側の後悔と苦悩、そして悲しみを乗り越えるまでの描写が秀逸。
骨董屋の店主との不思議なご縁や絆も必見。
主人公は妹を性愛の対象ではなく、守るべき大切な家族として愛しており、
最後まで妹とは一線超えずに終わったところも切ない。
感動したのは、ドールの与えた試練を乗り越えても、「妹の死」は絶対覆らず、
主人公はその現実を受け入れた上で成長していくところですね。
ご都合主義ゲーにありがちな、妹の命を救った夢が現実化したり、
ドールに妹の意識が宿って人間化したり、妹が新たに生まれ変わってフラグが立ったり、
という安直なハッピーエンドにならなかったのは良かったです。
あくまで妹似のドールは別の自我を持った人形であり、妹そのものではありませんでした。
このお話の主人公は、最後には妹を救いたいと思っていた熱量を、同じだけ他の患者に向ける事ができたら、
と新たな目標を胸に生きる、素敵なお兄さんでありお医者様でした。
Hシーンは、雰囲気重視の為か映画のベッドシーン風のあっさり描写。
局部は見えずあっという間にフィニッシュ。
エロを求めると物足りないかもしれませんが、
造形や目を閉じた表情が綺麗だなと見惚れました。
理恵は、嫉妬したり落ち込んだりと人間くさいところや
お姉さん風を吹かせてグイグイ引っ張るところは見ていて微笑ましかった。
欲を言えば智子を攻略したかったです。
眠そうな表情に上品な所作や声がマッチして魅力的でした。
特に声と演技が素晴らしい。
「作り物だけど、私も理恵も人間と同じ」と切に訴える演技はぐっときました。
ドールの写真集的なイメージでしたが、結果的には大好きな作品になりました。
(omakeフォルダで本編以外のドール写真集もあります)