ヒロインが良い
ユーザーに媚びを売るような、量産型萌え系ヒロインやトンデモヒロインに飽き飽きしている人におすすめです。
名前も古風で、ヒロイン達の精神年齢が比較的高く(萌えゲーに比べ)落ち着いているので、逆に新鮮な気持ちでプレイできました。
シナリオは模範ですが、文体やヒロインとのちょっとした掛け合いにセンスを感じます。
こういう子達がいたら、そりゃ最高の青春が送れるだろうなあ。
千尋・・・虐待を受けた女の子の心を開かせたいと、ボランティアと演劇を頑張っている本当にいい子。
伊織・・・あざとい狙った天然系ではなく、ほどよく天然が入っていて微笑ましい。
意外にしっかり者。
幸恵・・・茶髪ショートヘアで、演劇部では一見サバサバしてフランク。中身は繊細。
(実はクラスでは「金持ちがお高く止まってる」と誤解されて浮いてる)
親が転勤族で、友達を作っても無意味だと壁を作っているという、珍しいタイプのお嬢様キャラ。
彩・・・一番好きなルート。文化部が軽視される学校で一人で演劇部を立ち上げて、自分が舞台に立てない寂しさを抱えつつも率先して裏方をやり、みんなで舞台を成功させ、親との不和を解消し、ようやく報われた姿は感動的。
ヒロイン達は一見しっかり者や才色兼備ぽくても、半数は勉強がイマイチというのも意外性ありでした。
残念な点は、晴樹(主人公)の遊び友達らとの縁の切り方がモヤモヤした。
演劇部に入った途端、彼らの連絡や遊びの誘いを無視し、理由を訊ねられても説明すら面倒くさがり、「お前らに言っても無駄だから、もうこれで縁を切る、関わるな」と一方的すぎる。
「演劇に打ち込んで生まれ変わった、俺は成長した」と豪語しても、それはヒロイン達の前だけでの話であり、根っこは変わってないのかなと。
演劇部に乗り込んで知らない人達の前で千尋に潔く謝罪したり、彩の母親を説得するシーンとか、素敵な点も多いですが。
あと、幸恵ルートで幸恵と二人で夕空を見上げるシーンで、背景が青空だったのは台無しでした。(結構大事なシーン)
普通に背景の指定ミスだろうけど。
残念な点はあれど、ヒロイン全員魅力的で、プレイしてよかったと思える作品でした。
(エロには期待してはいけない。)
主人公というよりは、ヒロイン達の成長物語でした。