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shaneさんの桜の木下での長文感想

ユーザー
shane
ゲーム
桜の木下で
ブランド
Words
得点
77
参照数
76

一言コメント

家族の尊さがテーマ

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

他の方も言っているように、父子家庭である主人公と父の関係性や鈴菜シナリオが一番良かったです。

4/20前後にソメイヨシノが見頃って北国設定なんだろうか。
デッサンの狂いが随所でみられるのが残念。
その代わり、河原に佇む桜の木の背景やCG彩色が本当に美しい。
背景が少ないためか、それに比例し行動範囲も狭すぎる。
(学校と河原と家と商店街)
全ヒロイン商店街デートで済ますというのはちょっと拍子抜け。
どの店に行っても大体は商店街の背景一枚のみか、暗転で終わってる。
一応商店街にある喫茶店内の背景はありましたが。

真咲ルート
とにかく話し合えばいつか必ず分かり合える、子供を愛していない親はいないという
価値観を絶対に曲げずに真咲に押し付け、話し合いを強要するので、違和感が強烈でした。
世の中には毒親も存在するのに。
ただこのルートでは、幼少時反発していた息子に対する父の愛に触れる事ができます。

菫ルート
主人公は最後まで思い出さなかったけど、菫が幼少の頃桜の絵を渡す約束していた相手とは、主人公の事かと思っていました。
てっきり主人公は肉親の死のショックで、当時の記憶があやふやになっているのかと。

ひなたルート
よく気が付くしっかり者の姉に対し、コンプレックスを抱く気持ちは分かる。
学生時は一学年差でもすごく大きく感じるし。街中で花束渡してひなたに告白する展開があるとは思わなかった。
主人公度胸ある。

鈴奈ルート
一番の見せ場である、「桜が咲いてるよ」のシーンの鈴奈は美しかった。
お父さんに会えて良かったねと素直に思えた。
ただ、再婚して新たに別の子供がいるのに、多感な年頃の鈴奈に「会いたい」と手紙を送るのは虫が良すぎる。
その結果、真実を知った鈴奈がレイプ目になってしまった時は怖かった。

主人公の両親のビデオレターのくだりは、ライターの泣かせよう泣かせようという魂胆が露骨でしたが、それでも感動はしました。
純粋な子供であるが故に、病が治り元気になったという悲しい嘘を疑う事なく信じ、その矢先に、目の前で肉親を失うのはキツ過ぎる。
同時に、主人公の父も本当につらかっただろうなあ。

同じビジュアルアーツだからか、ほんのりクラナドの香りもする。悲しみと優しさと温かみを感じる作品。