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shaneさんのすく~るふぁいぶ ~五つの秘密の物語~の長文感想

ユーザー
shane
ゲーム
すく~るふぁいぶ ~五つの秘密の物語~
ブランド
DisAbel
得点
70
参照数
114

一言コメント

即席カップルだらけ

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

登場人物達が暮らす街は、外国との姉妹都市で、自然災害によって街並みをヨーロッパ風に一新したらしい。
そして制服のデザインと言い、複数主人公システムといい、完全にefを意識してるようですがストーリーは完全に別物。
タイトルからはまったく想像できませんが、最終ルート「終わりの物語」で急にSF色が濃くなります。
スク水スーツみたいな戦闘服は一体。。

この作品に菅野ひろゆきが携わっていた事に驚きましたが、ストーリーに期待したらがっかりします。

5組のカップルのうち、3組は悲恋で終わります。
タイミングよく助けが入ったり、奇跡が起きて、安易に全員ハッピーエンドというよりはよかったですが。
ただ、どのカップルも恋愛感情に至るまでの特別なエピソードもなく、出会って数日で急に恋愛モードになるので、薄っぺらさがある。
5日くらいで「好きかもしれない」と告白しそのまま身体の関係持ったり、将来を誓い合う仲になるのは違和感。

5組の中で、流司と星歌カップルが一番おいしい思いをしているのでは。
星歌は魔法使いの家系の血を引いていて、「正義の味方」に固執する、どこかで見たキャラと思いきや、星歌の正義は殺人鬼対策よりデートを優先する程度のものだった。
魔法使いの衣装がもろにCCさくら風なのは笑いました。
それにしても、猫をかぶっていたとはいえ、星歌みたいな感情の起伏が激しい娘は大変だろうな。

瑠璃と真白のカップルは見ていて和みました。
瑠璃の明るさや芯の強さ、粘り強さはネガティブ思考な真白にとって救いになっただろうな。
お似合いで可愛いカップルだと思った。
それだけに、真白の最期のあっけなさに愕然としました。
最強の傭兵と恐れられる中ボス敵キャラに、「戦う相手が欲しいから」という理由で瞬殺され退場。
更には、その中ボスも後日あっさり麒麟達が作った落とし穴に落ちて、それが仇となりあっという間にフルボッコにされて退場。
見え見えの罠(落とし穴)にハマるようなおバカに、真白は負けたのか。

ヒロムに関しては、異性や恋自体に興味がない設定なのに、強引な一目惚れ展開というのは。
不審者(クロエ)を見かけてから、その姿が気になって頭から離れないヒロム。
そりゃ夜道にあんな痛い恰好した女の子が一人でいたら、恋とか関係なく誰でも気になるかと。
「それ恋なんじゃないの」と、状況を知らない友人に軽く言われただけで、「これが恋か」と鵜呑みにしてしまい、クロエに迷惑がられても付きまとう。
数日しつこくストーキングしてたら、クロエの好感度がいつの間にかMAXになっていたという謎展開。
まきいづみのクール声が良かっただけに、デレるのが早すぎたのとデレ分が強すぎたのが残念。

灯はてっきり、おっとり穏やかで控えめだけど、面倒見の良いお姉さんタイプかと思いきや、実際はそうでもなかった。立ち絵は可愛いし、第一印象は一番良かったんですがね。本当に残念。
ルートに入ると「しっかり者に見られるよう演じて、よく頼りにされるけど疲れる」と幾度か愚痴ってたのは、リアルと言えばリアル。
瑠璃に異様に慕われてたけど、どちらかと言えばデリカシーのなさで同性に嫌われるタイプなのでは。
実際それが一因であんな悲劇が起こったわけですし。
彩も大概な性格ですが、「彩ちゃんだって可愛いよ」「彩ちゃんにも素敵な彼氏できるって」等、無自覚にマウント取って彩を傷付けるくだりは引いた。
朱良に対しても、「あなたは本当はこういう生活を求めているはずです。あなたはずっとここで暮らして私とお店をやるんです」と気持ちの押し付けが半端ない。
知り合って数日で相手の一生を縛ろうとするのは。。
それでも朱良は幸せだったんでしょうけど。
男主人公の中では、朱良が一番漢気があってかっこよかった。

麒麟に関しては、死んだ幼馴染の影が薄すぎて、もう少し掘り下げて欲しかった。
同一存在っていっても、カノンとは完全に別人格みたいですが。
幼馴染が死ななければ、カノンと出会う事がなかったというのが皮肉。
ラスボスは当初は戦闘バカのあのキャラかと思っていましたが、意外な人物でした。
火のない所に煙は立たないって事か。