良くも悪くも健速氏の特徴がよく出たシナリオ。単体として見れば結構面白かったけど、健速作品の中では平凡な出来かな…。
個人的に、健速氏は
「非日常的状況における描写は非常に上手いが、普通の日常の描写はいまいち」
なライターだと思っています。
本作にもそれが顕著に現れており、共通ルート中盤以降のドタバタ劇ははっきり言って
茶番にしか見えず、激しく中だるみします。
その後の個別ルートに繋げる為の必要な描写なのはわかるんですが、結末の分かりきった
コメディほど見ていて退屈なものはありません。
個別ルートでもそのまま退屈な日常が続くこともあり、正直盛り上がりに欠けます。
ヤルセナイザーがほとんどシナリオに絡んでこない場面も多く、
「ええい、そんなグダグダなラブコメ劇はいい!
ヤルセナイザーを映せ! ヤルセナイザーを!!」
とテム・レイ大尉みたいなことも思ってしまいました。
ただし、メインヒロインであるシャノンシナリオだけは別格。
ロボットモノのお約束をキッチリ守った熱く泣けるシナリオ、意外な真相が明らかになる
展開など、一人だけ別次元のクオリティになってます。
…と、シャノンシナリオは非常に良かったのですが、その他はいまいち。
シャノンとは別の意味でロボットモノの王道を行く鳩子シナリオがまぁまぁ面白かったかな、
というくらいです。
事前に期待していた程度には楽しめましたが、期待以上のモノはありませんでした。
買って後悔はしていませんが、買って良かった、とまでは思いません。
シークレットゲームEP3終盤クラスの神展開はありません。
まとめとしては、良作ではあるが年を代表するほどの傑作ではない、といったところでしょうか。
全キャラがシャノンシナリオクラスの出来だったら間違いなく傑作だったんですが。
とりあえず、プレイする際はシャノンシナリオをラストに回すことをお奨めします。
自分は最初にシャノンシナリオやっちゃったのが失敗でした…。